Column

2018.6.12

100年以上続いている古民家をリノベ、 FabCafe Hida ってどんな建物?

FabCafe Hida 編集部

Hida

cafeに初めてのお客様が入ってこられると、『わーすごい』 と、とてもシンプルに素直なこの反応が、思わず漏れてしまいます。
そんな声に私たちスタッフも嬉しくなり、つい長くお喋りしてしまうんですよね。

ここは、実はふらっと立ち寄るだけでも とても気持ちのいい場所だということを知っていただきたくて。
こんにちは。宿泊を担当している伊藤です。

古い建物の良さってどこにあると思いますか?そして、なぜみんな古民家が好きなのだろう?
移築や改装をして、リノベーションをしながら住んだり、FabCafe Hida のようにお店として新たな風を吹かせたり
それは人それぞれなのですが、この旧熊崎邸に足を踏みれて半年以上たった私、伊藤が感じた “居心地のいいこと” を5つご紹介します。

1. 共感してしまう懐かしさ

暮らすように旅をするという言葉をよく耳にします。それはもう、ひとつのスタイルとして確立されつつありますが、FabCafe Hida の空間に足を踏み入れると それとは違う 懐かしい に近い感覚を覚えるのです。

それはなんだろう?

●古民家を再利用しているから?
●町の中にあるから?
いろいろ考えられる理由を紐解いてみましょう。

FabCafe Hidaの建物 旧熊崎邸

天正13年(1585)秀吉の命をうけた金森長近・可重父子が、飛騨に進攻。先導便宜を図った功績によって、古川町の街づくりが行われ、一番町に間口十二間、奥行十五間の除地扱いの屋敷地を与えられました。
また、信長の楽市楽座の流れをくむ『金森可重商町定書:天正十七年(1589)三月二十八日』を保持してきたことで知られています。江戸期には商家として、また酒造業は、文書の残る元禄十年(1697)から明治十七年(1884)頃まで続けられました。
造り酒屋、木製品の工場、塩専売、駄菓子屋、紳士服屋、金融業など、時代のニーズに合わせて柔軟に変化をしながら、飛騨古川の宝もののように存在してきました。

リノベーション前の旧熊崎邸 

●夏休みに、田舎のおばあちゃんの家に行くような感覚

久しぶりに会う緊張感と、普段の生活で見れないもの、体験できないもの、
でも妙に馴染み懐かしく感じる。

あの “夏休みに、田舎のおばあちゃんの家に行く”

感覚が余韻として残り、またこの場所へ帰ってきたいと思わせる。

そして、私たちもまた “待つ”、“迎え入れる”という“感覚”を楽しむのです。

昔、この熊崎邸のお嬢さんが同級生だったというお母様と、たまたま通りかかってお洒落な雰囲気に入りたいと思ってお母様に言った。という、親子のお客様。 当時から立派なお屋敷で、熊崎邸に足を踏み入れることができるなんて。

と、大変楽しそうに、嬉しそうに、隅々までこの今の FabCafe Hidaの空間を満喫してくださいました。

cafeに来られるお客様で、熊崎邸の歴史を知る方は貴重で珍しいですが、そうやってお客様からこの建物の良さを教わることも少なくはありません。

2. 時代の変遷を楽しめる

江戸時代から続く蔵エリア

明治の大火以降に再建された土間エリア

昭和時代に改築された台所や風呂場

時代の流れにより、改築したり物を増やすことで人々の生活を豊かにすることは、とても良いことですが、利便性ばかり追及しすぎてしまうと、人と人との関わりが減っていくことがなんだか寂しい。

FabCafe Hidaの空間は、古き良きものと新しいデジタルファブリケーションやテクノロジーを掛け合わしていくことで、この飛騨古川という地に足をつけ、助け合いながら残していきたいと考えています。

3. 愛着を知る

お店として造られた建物ではないからこそ、自分だけの愛着のわく“好きな場所” が見つけられる。

様々な時代を繋ぎ その古き良きものと、新しいものが入り交ざった空間だからこそ、沢山の要素から誰でもきっとある、家の中で自分の好きな居心地のいい場所ってありますよね?

そんな風に、お客様にも、どうかFabCafe Hidaの空間でお気に入りを見つけて頂きたいのです。

4. 町の中で守られている心強さ

「 おもしろい 」

「 いいなあ 」

と、楽しそうに嬉しそうに建物の中を見て下さったのは、竹林 幸信さん。

竹林さんは、お向かいに住む私たちヒダクマの頼れる素敵な存在。 まだまだ何もわからない私たちにお祭りの準備から日常の困ったことに優しく手を差し伸べて下さいます。

建築設計デザム

ご自身でも建築事務所を主宰されて、様々に各地で活躍されている竹林さん。

普段、お客様のいない時は、明かりの灯らない客室のある2階も、宿泊の方がいらっしゃると格子越しに外に温かい明かりが漏れます。

少し前のこと。日が暮れたあと玄関で、ばったり、竹林さんが

『今日は、泊りがあるんか?』と、声をかけてくれる。

『そうなんです。賑やかでいいですよ。見かけたらよろしくお願いしますね。』

『わかったぞ。そしゃな(飛騨弁で、またね。の意味)』

と、笑みひとつ零し、背中で手を振る。

ご近所さんはみなさん、温かい。

挨拶を交わすだけでも、顔を合わすだけでも、

当たり前に、私たちは守られていたことを知るのです。

5. 静寂を過ごせる安心感

日々、繰り返される日常。都会とは違う忙しさを過ごし、

ここにしかない自然と田舎の営みに身を置く。

このどっしりと構えた 旧熊崎邸の安心感の中で、心静まる時間はなにものにも変えがたい。

そうやって、町の中にある FabCafe Hida という建物の夜は更ける。

家って必ず誰かが帰ってくる場所だから、旧熊崎邸であったDNAを引き継ぎ、

足を踏み入れてくれた誰もがまた帰ってきたくなる場所であり続けたい。

この小さな町の中で、守り守られながら、

今日も、美味しい珈琲をいれてみなさんのお越しを心よりお待ちしていますね。

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