Event report

2022.11.17

コラボレーターとつながる 名古屋共創会議 vol.6 開催レポート

“不安6割”スタートから社内文化を更新/共栄鋼材株式会社

共創=オープンコラボレーションとは…

2020年のFabCafe Nagoyaオープン早々から人気を博す「名古屋共創会議」。“共創”の名の通り社外のコラボレーター(協力者・共同制作者)とつながり、“共に創って”いく=「オープンコラボレーション」のためのイベントです。

6回目となる今回は、未知を恐れず新たな挑戦を仕掛けていくための「ヒト」づくりをテーマに、実践者であるゲストスピーカーが講演。東海エリアの企業や教育機関などから約20人が集まり、ディスカッションや交流を楽しみました。

共栄鋼材株式会社代表取締役 松本英之さん

100年に一度の大変革「このままで良い訳がない」

ゲストスピーカーは愛知県江南市の鋼材加工・販売業者「共栄鋼材株式会社」3代目代表取締役の松本英之さん。約70年続く同社は堅実かつ高品質な自動車部品用の素材加工で世界に誇る日本の自動車産業を支えてきました。

しかし、EV化が進むなど“100年に一度の大変革”時代を迎え、産業全体が新たな業態へのシフトを急ぐ中「共栄鋼材だけが変わらず、このままで良い訳がない」と焦りを感じていたと言います。

そこで思い立ったのが、新商品の開発。コラボレーターとして、FabCafe Nagoyaの母体であるシンクタンク・OKB総研とクリエイティブカンパニー・株式会社ロフトワークへサポートを求めることにしたと松本さんは振り返ります。

3ヶ月先まで自動的に注文を頂けるこれまでの環境では、同じ思考パターンやルーティーンを繰り返すばかりでした。6割は不安の心境でしたが、想像超えたところにアプローチするため、オープンコラボレーションで“新商品”を作ろうと一歩踏み出しました。(松本さん)

株式会社ロフトワーク・クリエイティブディレクター、岩倉 慧

優先すべきは「チームづくり」

”新商品開発”をファーストアクションに掲げた松本さんの思いとは裏腹に、コラボレーターのプロジェクトチームが優先すべきと提案したのは「チームづくり」でした。共栄鋼材のパラダイムシフトに必要なのは、当座しのぎの新商品開発ではなく、中長期的に見て如何なる変化にも柔軟に対応できる「人材育成」ではないか。

この発想に「グッとギアが入った」と話す松本さん。この日参加していた同社社員の秋田さんは、松本さんが当時「将来、絶対に会社のためになるから」と説いていた力強さに、「ついていこう!と決心した」と話してくれました。

 

濃密な4日間「人材育成プログラム」を実施

こうして、共栄鋼材のための研修プログラム「未来構想スクール」(2021年5月〜9月)は、2日間の合宿を含む全4日間の日程で開催されました。

プログラムでは、ロフトワークのグループ会社で、森林資源の管理から製造・サービスまでのバリューチェーンを手がける岐阜・飛騨市のヒダクマを見学。コンパクトにまとまったバリューチェーンを俯瞰することで、改めて自動車産業や社会における自社のインパクトを捉え直すことができたと言います。

また、デザイン思考やモビリティ事業の専門家をメンター(指導者・助言者)に迎え、自社廃材と異質の木材を掛け合わせた製品の可能性を模索したり、業務フローを洗い出して改善点を見つけ出すためのディスカッションが行われた様子が紹介されました。

メモをとりながら講演に熱心に耳を傾ける参加者

”心理的安全”を確保し社内文化をアップデート

4日間のプログラムを経て社員の意識が大きく変わったのが、課題へ取り組む際の態度、そして、コミュニケーション方法だと松本さんは言います。

相手の立場に立って業務を再考したり、「会社がどうあるべきか」という課題への“大きな視座”や、次なるアクションへの“主体性”も出てきた。以前は「どうせ難しい」「こんな事をしてもいいのか?」という雰囲気もあったが、社員が安心して意見を言える“心理的安全”を確保することの大切さをプログラムで学んだことで、社内文化が変わりました(松本さん)

共栄鋼材社内のオープンスペースは「未来構想空間」と呼ばれている

プログラム後、進化は続く…

人材育成プログラムから1年。共栄鋼材は社内にオープンスペースをつくり、引き続き社員同士のコミュニケーションが活発に行われていることが紹介されました。

スペース内のインテリアは自社廃材でつくられた他、ビジュアル化が必要なディスカッションには“レゴブロック”を使うなど社員全員が臆することなく意見できるよう工夫を凝らしていて、プログラムで学んだ精神をさらに進化させている様子が垣間見られました。

写真左、FabCafe Nagoya 代表 矢橋 友宏

“呼び方”ひとつで、変わる可能性

今回のディスカッションの中で熱気が高まったのが、素材の”呼び方”を変えると可能性が大きく開けるという事です。興味深い一例として、共栄鋼材で「スクラップ」と呼んでいた自社廃材を「パンチングメタル」と呼んでみては?とメンターに指摘されたことをきっかけに、廃材を家具づくりに活かす発想が生まれた事が挙げられました。

サーキュラー・エコノミーへのシフトを推進するFabCafe Nagoya代表・矢橋友宏もこれに同調。「都市鉱山と言われるように、廃棄物の中に資源がたくさん埋もれている。言葉を変えるだけで“資源”として大切に使われ、新たに循環し始めるのではないか」と参加者へ問いを投げかけました。

この後、参加者同士が直接交流する時間が設けられ、未知なる時代に起こりうる共創の在り方について熱いディスカッションが続きました。

イノベーターとつながり、オープンコラボレーターと出会うことのできる「名古屋共創会議」はFabCafe Nagoyaで定期的に開催しております。次回の日程は適宜アップデートされますのでHPをチェックしてくださいね。


  • 松本 英之

    共栄鋼材株式会社 代表取締役

    大学卒業後、鋼材コイルセンターを経て2007年、 祖父が設立した共栄鋼材の後を継ぐべく同社に入 社。2019年8月から現職。

    大学卒業後、鋼材コイルセンターを経て2007年、 祖父が設立した共栄鋼材の後を継ぐべく同社に入 社。2019年8月から現職。

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Author

  • 東 芽以子

    FabCafe Nagoya アシスタントディレクター

    新潟県出身、北海道育ち。仙台と名古屋のテレビ局でニュース番組の報道記者として働く。司法、行政、経済など幅広い分野で、取材、撮影、編集、リポートを担い、情報を「正しく」「迅速に」伝える技術を磨く。

    「美しい宇宙」という言葉から名付けた愛娘を教育する中で、環境問題に自ら一歩踏み出す必要性を感じ、FabCafeNagoyaにジョイン。

    「本質的×クリエイティブ」をテーマに、情報をローカライズして正しく言語化することの付加価値を追求していく。

    趣味はキャンプ、メディテーション、ボーダーコリーとの戯れ。



    新潟県出身、北海道育ち。仙台と名古屋のテレビ局でニュース番組の報道記者として働く。司法、行政、経済など幅広い分野で、取材、撮影、編集、リポートを担い、情報を「正しく」「迅速に」伝える技術を磨く。

    「美しい宇宙」という言葉から名付けた愛娘を教育する中で、環境問題に自ら一歩踏み出す必要性を感じ、FabCafeNagoyaにジョイン。

    「本質的×クリエイティブ」をテーマに、情報をローカライズして正しく言語化することの付加価値を追求していく。

    趣味はキャンプ、メディテーション、ボーダーコリーとの戯れ。



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