日米大学合同 デジタルファブリケーションワークショップ in KOIL

こんにちは。FabCafe Tokyo, Fabエンジニアのカナオカです。

去る7月23,24日の2日間、FabCafeとニューヨーク州立大学バッファロー校建築学部(以下バッファロー校)共催で、日本の各大学の学生有志を招いたデジタルファブリケーションワークショップを行いました。

内容は、最新のソフトウェアのスキルセッションとデジタルファブリケーション。

日本での8週間にわたるフィールドワークの一環として、アメリカの学生と日本の学生が2日間、FabCafeでのワークショップを通じてデジタルファブリケーションを学びました。

FabCafeでは『Rhino for Fabrication』(https://fabcafe.com/tokyo/events/g00f24056) といったデジタルファブリケーションのスキル向上のためのワークショップを開催していますが、今回はその発展系に生徒たちが挑戦しました。

 

1日目の7月23日、バッファロー校の生徒と日本の各大学から集まった生徒がFabCafeに集合。この日は3DモデリングソフトウェアのRhinoceros(ライノセラス)とそのプラグインであるGrasshopper(グラスホッパー)とKangaroo(カンガルー)を使った物理シュミレーションを組み合わせた3Dモデリングの演習を行いました。

今回のワークショップでメインで学ぶKangaroo。Rhinocerosと併用して、重力や風力などの物理シュミレーションができるプラグイン。

モデルをある条件下において、その作用による形状変形などをシュミレートして3Dモデルとして取り出したり、その挙動をシュミレーションすることができます。

 

Kangaroo - Funicular Structure from Daniel Piker on Vimeo.

 

Wind test 2 from Daniel Piker on Vimeo.

 

Kangaroo collisions from Daniel Piker on Vimeo.

 

Kangarooの存在は知りつつも、使ってみるのはほとんどの生徒にとって初体験。

まずはバッファロー校で教鞭をとるニックがサンプルを使ってその概念と使い方をレクチャーしてくれました。

△演習を担当してくれたNicholas Bruscia氏。ニューヨーク州立大学バッファロー校の建築学部のClinical Assistant Professorであり、コンピューテーショナルデザインとデジタルファブリケーションに関する授業を担当している。

氏の過去の作品についてはこちら → https://architizer.com/projects/project-2xmt/

 

アンカーポイントを設定しての、膜構造のシュミレーション。Rhinoceros単体では不可能なモデリングです。

生徒たちからは"WTF"と驚きの声があがります。約5時間、次々と風力や膜構造の解説が続きます。

Kangarooの演習と同時に、そのモデルのファブリケーションについても学びます。

△シュミレートした3次元モデルを2次元モデルに落とし込んでいる。紙を使い、折れ線を入れる前提でのファブリケーション方法の例。

 

△今回のワークショップのアシスタントを担当したOrange Jelliesパートナーの堀川淳一郎氏。ライノセラスやグラスホッパーをはじめとしたソフトウェアに広く精通する。

Orange Jelliesについてはこちら → https://orangejellies.com/

 

演習の締めくくりは堀川氏によるPlankton(プランクトン)というメッシュ最適化のプラグインの紹介。

カンガルーを使用するときのインプットはメッシュとなるので、メッシュの分布はとても重要。

Relaxation + Remeshing with Plankton and Kangaroo from Daniel Piker on Vimeo.

 

演習の後は、2,3人ごとのチームに分かれます。チームごとにKangarooをつかったモデリングにチャレンジ。2日目にはそれをレーザーカッターを使って作る(ファブリケーション)というのが今回のワークショップの課題です。

翌日はファブリケーション。レーザーカットや組み立てのスケジュールを考えると、今夜中に切り出しのデータを9割がた仕上げる必要があります。

FabCafeからもカナオカ、イワオカ、オーバの3人がチームとして参戦。

朝に習った手法を自分のものにしながら、各チームが夜遅くまで追い込みをかけます。

明けてワークショップ2日目。KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)に会場を移しました。

KOILは、起業家から生活者まで、職種や立場を超えた多用な人々の知識、技術、アイデアを組み合せることで革新的な新事業や製品・サービスを創造するための場。

国内最大級のコワーキングスペースとなるKOILパークや、ベンチャー企業だけでなく大手企業の事業部門が入居するオフィスフロアに加えて、一般の方のビジター利用も可能な機能として、アイデアを素早くカタチにするKOILファクトリー(デジタルものづくり工房)、様々な人材の交流を生み出すカフェやスタジオなどを併設した、これまでにないオープン・イノベーションセンターです。
 
KOILについて、詳しくはこちらをごらんください→ https://koil.jp/
 
 
△KOILファクトリー。レーザーカッターをはじめ、3Dスキャナー、3Dプリンターなどのマシンが並ぶ。
 
△レーザーカッター、"trotec Speedy 300" 。素材にレーザー光を照射して、さまざまな素材をデータどおりに切断したり、表面を削ったりすることができる。
 
 
2日目はレーザーカッターを使ったファブリケーションにチャレンジ。
 
レーザーカッターとは、イラストレータ(.ai)などのデータを読み込んで、さまざまな板材を、データ通りに切断などの加工をしてくれるマシン。
2次元の加工のみができるので、3次元で作ったデータをいかにして2次元のデータにおとしこんで、ファブリケーションして再構築するのかがポイントです。
 
1日目で作ったデータを、ファブリケーションできるデータに変換してゆきます。
 
 
△3次元モデルを2次元に落とし込み…
 
△材料をセットしてレーザーカット。このチームはケント紙という紙を切断しています。
 
△3次元モデルを見ながらレーザーカットしたパーツを組み立てます。
 
△FabCafeチームは時間が限られている中、果敢にも可動式のモデルを制作することに。レーザーカッターで変速ギアを作っています。時間内に完成するのか!?
 
 
△こちらのチームは紙に細かい折れ線をレーザーカット。
 
各チーム追い込み。時間のない中、ぎりぎりまでファブリケーション。
 
 
 

 

17:00 いよいよ各チームのプレゼンテーションの開始です。

 

バッファロー校チームAはKangarooでシュミレートした膜構造を紙を使ってファブリケーション。

さまざまなファブリケーション方法を模索。背骨のようなジョイントのディテールが素晴らしかったです。

 

バッファロー校チームBはKangarooでシュミレートした膜構造を、伸縮性のある布をつかって現実世界で再シュミレート。


FabCafeチームは同一軸上を回転する、回転速度のそれぞれ違うフィンを包む膜構造のシュミレーション。残念ながらファブリケーションはタイムオーバー。。。

 

早稲田大学チームは渋谷の地形をKangarooを使って3次元モデル化。

 

武蔵美+理科大のデジタルスタジオチームは、ランダムな挙動の点群を結んでできるサーフェスモデルにチャレンジ。

 

バッファロー校チームCはKangarooでシュミレートした膜構造を、木材で作った構造体に伸縮性のある布で包んで再現。

 

教室の最後には、堀川氏が即興で作った、『Kangarooを使用したくらげの挙動のシュミレーション』の披露。

Simulating swimming jellyfish using Rhino / Grasshopper / Kangaroo Physics from Orange Jellies on Vimeo.

△パーリンノイズという技法とKangarooを組み合わせて、かなりくらげっぽい挙動が再現されていました!

ということで、2日間にわたるワークショップ無事終了! バッファロー校の生徒にとっては、8週間にわたる日本でのフィールドワークの締めくくりとなりました。また来年ワークショップを開催することを約束して、解散!

FabCafeでは、今後もデジタルファブリケーションに関連したアカデミックなワークショップを展開していくので、ご期待ください。

 

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