Event report

2015.7.13

YouFab 2015 Kick Off Party 開催レポート

FabCafe編集部

FabCafeのカナオカです。

いよいよ今年も始まった 「YouFab Global Creative Awards」。

作品募集開始を記念して、7月8日(水)にFabMeetupスペシャルとして、パーティを開催しました。その模様をお伝えします。

YouFab Global Creative Awards」(以下YouFab) は、デジタルファブリケーション領域の優れた挑戦を表彰するグローバルクリエイティブアワード。レーザーカッターや3Dプリンターなど、デジタルファブリケーションを利用したアート、プロダクト、パフォーマンスなどを世界中から募集しています。

 

クリエイタークロストーク 「Creative x Technology」

イベントでは「Creative x Technology」と題して、トークセッションを開催。
昨年開催されたYouFab 2014のグランプリを受賞されたAKI INOMATAさん、準グランプリのAgICの杉本雅明さん、入賞の力石咲さんに加え、FabCafe共同設立者でありYouFabの実行委員長である福田敏也氏も加わり、ディスカッションが行われました。

20150708_YouFabKickOffParty

(左から、力石咲さん、AKI INOMATAさん、AgIC 杉本雅明さん、実行委員長の福田敏也氏)

YouFab 2015では、5つのカテゴリで作品を募集しています。

ART : デジタル工作機械によって作り出されるアート、インスタレーション、アート活動、パフォーマンス、LIVE
PRODUCTS : デジタル工作機械によって作り出される製品
MACHINES : ユニークなデジタル工作機械そのものの発明、開発
HACK : 既製品をハックしてつくられたもの
BEYOND : 上記のどれにも当てはまらないもの、もしくは上記のどれかを組みあわせたもの

本パーティーでは、AKI INOMATAさんにはART文脈で、AgIC杉本さんと力石咲さんにはそれぞれ、MACHINESとHACK文脈で話を聞くと同時に、プレゼンテーションを行っていただきました。

銀インクを、衣食住につなげていく -AgIC 杉本雅明さん

20150708_YouFabKickOffParty

まず、最初にお話してくれたのは、「YouFab 2014」で準グランプリを受賞した、AgICの杉本雅明さん。AgIC Printは家庭用インクジェットプリンターから電子回路を印刷する技術で、導電性の銀インクを使うことにより導電パターンを印刷することが可能です。

http://agic.cc/ja

杉本さんからは、AgICが取り組んでいる最新のプロジェクトを紹介してもらいました。
紙状のものにも印刷できる技術を生かし、様々なインスタレーションやプログラムに挑戦している、という杉本さん。AgICを利用した子供向けの電子回路のワークショップも多く開催しており、「初めて電子回路を作った子供を日々量産している(笑)」とのこと。子供達が初めて回路をつなぐ瞬間に、好奇心が芽生える工夫を常に考えているそうです。もともとAgICを始めたのも、電導性の銀インクの存在を知り、杉本さん自身が好奇心を抑えきれなくなったのがきっかけだそう。

△「花灯」Cupworks製作、Hana Lab・AgIC協力による水墨画をモチーフにしたインスタレーション。2015年ミラノサローネ発表。

 

△「Slice of Light 」# Beigeとのコラボレーションによるインタラクティブな壁紙。2015年ミラノサローネ発表。壁に貼り付けコンセントを差すだけで、昼はポスター・夜は照明として利用できる。

杉本さんは、今後はテクノロジーをどう衣食住に落としこんでゆくのかを考えたい、特に、 「衣」分野とコラボレーションし、ウェアラブルやテキスタイルに注目して展開してゆきたい、と語ってくれました。

いきものとのかかわりや協働、自己と他者を探求- AKI INOMATAさん

次にプレゼンテーションをしてくれたのは、YouFab2014でグランプリを受賞した、アーティストのAKI INOMATAさん。

20150708_YouFabKickOffParty

 

Why Not Hand Over a “Shelter” to Hermit Crabs? digest ver. from Aki Inomata on Vimeo.

YouFab2014で受賞した、『やどかりに「やど」をわたしてみる』は、やどかりに、3Dプリンティングで世界各地の都市をかたどった「やど」を渡し、ヤドカリが気に入れば引っ越してもらうプロジェクト。背負う「やど」によって見た目がすっかり変わってしまうヤドカリの習性と、国境、そして移民、難民、国籍の変更、自らが住む土地を選択することは可能か、といった私たちの抱えている問題とをリンクさせています。

AKI INOMATAさんは、いきものとのかかわりや協働、自己と他者に関する作品を多く発表しています。今回は新作、「LINES — 貝の成長線を聴く ver.1.0」についても紹介してくれました。この作品は、年輪のように刻まれるあさりの成長線に注目し、東日本大震災の発生前と発生後のあさり環境変化のログとしての成長線を音に変換した作品です。(手に持っているのはレーザーカッターで作成した、音が記録されたレコード。)

20150708_YouFabKickOffParty

 

 

次の作品は、バイオと食をテーマとした作品を作ってみたいというAKI INOMATAさん。デジタルファブリケーションを使った身体への介入や身体改造などを試してみたいそう。
 

3Dプリントで作った編機でエリアを包み込む- 力石咲さん

最後に話を聞かせてくれたのは、ハイパーニットクリエイターの力石咲さん。

20150708_YouFabKickOffParty

 

力石さんの「旅するニットマシン・プロジェクト」は、YouFab 2014の審査員特別賞作品。キャリーケースと編み機が合体したプロダクトであり、転がしながら旅をし出会った人を編み包んでいくというアート活動です。車輪の動力を使って、移動した分だけ編み物ができ、旅先の人を編み包んでいきます。

そんな力石さんは、「近作『Knit Invador』で強く感じたことは、モノだけでなく、エリアを包み込むこと」といいます。力石咲さんの次なる活動は、「関西を編み包む。」とのこと。どんな作品になるのか楽しみです。

YouFab 2015は、応募作品募集中!

 

20150708_YouFabKickOffParty
「新しいテクノロジーが出てきたとき、それを誰かが翻訳しなければいけない。ここにいる3人のクリエイターは『おれはこういうふうにこのテクノロジーを使うぜっ!!』て使うのが上手い人たちであるし、それがミッション。YouFabのミッションも同様です。デジタルファブリケーションという新しいテクノロジーを翻訳して伝える。そうしないと、テクノロジーは死んでしまう。」とYouFabアワード実行委員長の福田氏は言います。

あなたなら、今目の前にあるテクノロジーをどう翻訳しますか?

今年のYouFabのエントリー受付期間は、2015年9月30日まで。まだまだ時間はたっぷりあります。今年はどんな作品が世界からあつまり、僕らにどんな新しい表現や、その未来を伝えてくれるのでしょうか。ご応募お待ちしています。

YouFab Global Creative Awards 2015 ウェブサイト
http://www.youfab.info/2015/?lang=ja

 

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  • FabCafe編集部

    FabCafe PRチームを中心に作成した記事です。

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