Workshop
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本イベントは、日常の『音』とそれを記録する『録音技術』を題材に、音を素材とした創作活動を通して、テクノロジーの仕組みや社会と文化、そして私たちとそれら技術のあり方を多角的に考察することで、技術への新たな視点と思考を広げる学びと発見のワークショップです。(主催:松井 光寿 / 協力:FabCafe Kyoto)
2025.8.2 (土) – 2025.8.9 (土) UTC+09:00
13:00 – 16:30 *8/2(土), 8/9(土) の全2回開催です。
2025.8.23 (土) – 2025.8.30 (土) UTC+09:00
13:00 – 16:30 *8/23(土), 8/30(土) の全2回開催です。
「参加する」ボタンをクリックすると、申込フォーム(googleフォーム)へ移動します。
録音技術がひらく、テクノロジー思考の視点
私たちの日常は、もはやテクノロジーと分かちがたく結びついています。例えば、スマートフォンを手にし、多様な技術の恩恵を享受するように、私たちはテクノロジーが生み出す「結果」や「利便性」を当然のように享受してきました。しかし、その裏側で複雑に絡み合い、機能している「仕組み」について、あるいはそれが私たちの社会、文化、さらにはものの見方や考え方といった「認知」にまで、過去から現在進行形でどのような影響を及ぼしてきたのかについて、深く考察する機会はほとんどありません。私たちは、往々にしてテクノロジーを、透明な「道具」として、あるいは理解不能な「ブラックボックス」として受け入れているのが現状ではないでしょうか。
そうしたブラックボックスと化しているテクノロジーを、単なる利用に留めるのではなく、その駆動原理や、社会と文化、そして私たち人間の感性へ及ぼす影響といった多角的な視点から捉え直す試みは、現代において非常に有用です。それは、 テクノロジーが急速に進化し、社会構造や人々の生活様式を常に変容させていく現代において、その変化の本質を理解し、主体的に関わる能力こそが、未来を創造し、より良い社会を築いていく上で極めて重要であると言えるからです。既存の技術を自らの手で「再解釈」し、新たな意味や価値を持つものとして「再組織」していくことで、私たちはテクノロジーとのより健全で創造的な関係性を築くことができるのではないでしょうか。
本ワークショップでは、この「テクノロジーを解釈する試み」を、私たちの生活に深く根差しながらも、その本質が意識されにくい「音」から始めます。具体的には、音を記録し、時間を超えて再現することを可能にした「録音・再生技術」に深く焦点を当て、その本質を紐解いていきます。 これは、単に音の波形を記録する技術に留まらず、私たちの聴覚体験、音楽文化、そしてコミュニケーションのあり方そのものを変革してきた、計り知れない影響力を持つ技術の一例です。ワークショップでは、この技術を通じて、日常に溢れる身近な音を「作品」として自らの手で再構成する実践的な試みを行います。
プログラム概要
開催日時
・A日程(第1セット): 8月2日(土),8月9日(土) 13:00〜16:30
・B日程(第2セット): 8月23日(土),8月30日(土) 13:00〜16:30
*本イベントは2週間に渡って開催されます。AまたはB、いずれかの日程をお選びください。
会場
・FabCafe Kyoto 2階和室
参加費
・無料(各回、別途カフェでの1オーダーをお願いいたします。650円〜)
実施内容
▼ 1週目:音と録音技術の仕組み、フォーリーアート制作
1. 音の基本的な性質、音波と知覚の関係について理解を深めます。
2. 録音・再生技術の歴史と原理、基本的な機材の扱い方を学びます。
3. 身の回りの物を使った「フォーリーアート」制作を体験し、音の素材化と表現の面白さを実感します。
4. このセッションで培った技術と発想力を元に、2週目の『音喜利』へ向けた各自の回答制作に取り組みます。(自宅等での制作期間となります)
▼ 2週目:『音喜利』の開催、テクノロジー思考の深化
1. 各参加者が制作した「音」の回答を発表し、全員で鑑賞・評価する『音喜利』を開催します。
2. その後、発展的な内容として、電子音の生成技術やAIによる音の生成など、現代の「音」にまつわる最新テクノロジーのあり方を体験します。
3. 最後に、ワークショップ全体を通してのテクノロジー体験を振り返り、新たな視点や思考の広がりについて皆で議論し、共有します。
フォーリーアート
この『音の再構成』の中心的な手法として取り上げるのが、『フォーリーアート』です。フォーリーアートは、映画やテレビの映像に効果音を後付けする伝統的な技法であり、身の回りの様々な素材や道具を創意工夫して使い、映像と完全に同期するリアルな音を制作します。例えば、雪の上を歩く音を片栗粉のきしむ音で表現したり、馬のひづめの音をココナッツの殻で作り出したり、あるいは鳥の羽ばたく音をジャケットのはためきで再現するなど、日常にあるモノが想像力と技術によって全く別の「音」へと生まれ変わります。これは、音の物理的特性と、それが喚起する感情やイメージを深く考察して緻密にデザインする、交差的な創造です。
そして、このフォーリーアートで培った『音の解釈と創造』という考え方を、本ワークショップの大きな見どころである『音喜利』へと発展させます。これは、一般的な大喜利のように即興で答えるものではありません。参加者各自が設定するお題に対し、音の特性や、録音技術、音響効果の可能性を深く考え抜き、計画的に音の『答え』を編み出す対決形式です。
『音喜利』とは
この『音喜利』の勝敗を分けるのは、高度な技術力ではありません。いかに音への豊かな想像力を働かせられるか、いかに身の回りの物を使って、その音にふさわしい響きを創造できるか、その発想力が問われます。例えば、『AIが生成した架空の生き物の鳴き声』というお題であれば、参加者は想像力を凝らし、その生き物が発するであろう音を創造し、録音します。そして、その音が他の参加者たちを『なるほど!』と納得させる、あるいは驚かせることができれば、それが勝利へと繋がるのです。
これらの活動を通して、参加者の皆さんは、音、ひいては録音技術に対する深い解釈力を培う機会を得るでしょう。そして、そうして培った音や録音・再生技術に対する解釈力を、他の技術にも応用し、私たちの世界を取り巻く技術全般に対する新たな視点を獲得することを目指します。
それは、単に技術を『利用する』だけでなく、その背景にある仕組みや意図を読み解き、自ら『使いこなす』視点、あるいは社会や文化、そして私たち自身のあり方までも俯瞰する視点となり得るでしょう。音という身近な入口から、技術の奥深さ、そしてそれが持つ無限の可能性を体験し、未来を自ら考え、創造するための思考力を養う、そんな特別な学びの場となることを期待しています。
こんな方におすすめ
■ 制作経験のない初心者の方
…「ものづくり」や「アート制作」の経験が全くない方もご参加いただけます。専門知識は問いません。音や技術への好奇心があれば、どなたでも安心して取り組めるよう、基礎から丁寧にサポートします。
■ テクノロジーに対する新たな視点を持ちたい方
…情報化が進む現代において、技術の本質を多角的に捉え、自分なりの解釈を深めることは重要です。本ワークショップは、そうした思考力を養うきっかけとなるはずです。
■ 多様なバックグラウンドを持つ仲間と語り合いたい方
…年齢も経験も様々な参加者とともに、音や技術について自由に意見を交わし、互いの視点から新しい気づきを得たい方に適しています。
■「音」の世界に魅力を感じる方
…音楽、効果音、環境音など、あらゆる「音」に関心がある方。音が持つ表現の可能性や、音と技術の深い繋がりを、実践を通じて体験したい方を歓迎します。
■「音を使った大喜利」で発想力を試したい方
…与えられたお題に対し、音でユニークなアイデアを表現することに挑戦したい方。熟考と発想力で、クリエイティブな対決を楽しみたい方に適しています。
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松井 光寿
情報科学芸術大学院大学修士課程(メディア・アート)。メディアと身体活動を介した表現を模索しながら、固定化された技術観にとらわれることなく、あらゆる時代の技術を多義的に解釈する作品制作を探求している。
情報科学芸術大学院大学修士課程(メディア・アート)。メディアと身体活動を介した表現を模索しながら、固定化された技術観にとらわれることなく、あらゆる時代の技術を多義的に解釈する作品制作を探求している。
お問合せ先
本イベントに関するお問合せは下記までメールにてお願いいたします。
■ メールアドレス : a24@iamas.ac.jp (松井 光寿)
注意事項:あらかじめご確認のうえお申込みください
・本ワークショップは、研究活動の一環として実施されます。プログラムの一部始終を記録するため、音声および映像の記録(撮影・録音) を行わせていただきます。
・記録された音声・映像は、研究成果発表(論文、学会発表、ウェブサイト掲載など)および今後のワークショップ改善のために利用される可能性があります。
・肖像権やプライバシー保護、その他、記録に関するご配慮が必要な場合は、事前に必ず事務局までご連絡ください。個別に対応を検討させていただきます。ご協力とご理解をお願いいたします。
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日時
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2025.8.2 (土) – 2025.8.9 (土) 13:00 – 16:30 *8/2(土), 8/9(土) の全2回開催です。 UTC+09:00
2025.8.23 (土) – 2025.8.30 (土) 13:00 – 16:30 *8/23(土), 8/30(土) の全2回開催です。 UTC+09:00 -
会場
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FabCafe Kyoto (MTRL KYOTO)
〒600-8119 京都府京都市下京区本塩竈町554
■電車でのアクセス
JR京都駅から徒歩20分
京都市営地下鉄烏丸線五条駅から徒歩10分
阪急電鉄京都線河原町駅から徒歩15分
京阪電鉄清水五条駅から徒歩5分
■バスでのアクセス
京都駅から4・17・205号系統 五条河原町下車徒歩3分
※駐車場はありません。近隣の施設をご利用ください。
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参加費
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無料(*別途カフェメニューのご注文をお願いいたします)
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定員
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各日程 3名
「参加する」ボタンをクリックすると、申込フォーム(googleフォーム)へ移動します。