Talk Event

【出版記念イベント】修理する権利とそのローカライゼーション

あらかじめ壊れた世界におけるテクノロジーと私たち

  • #参加受付中
  • #誰でもウェルカム

『修理する権利──使いつづける自由へ』の刊行を記念して、本イベントでは、研究者・プログラマの中村健太郎さん・吉田健彦さんを迎え、それぞれの視点から「修理すること」が持つ意味を掘り下げます。
修理という行為をめぐる倫理、技術、政治を軸に、これからのテクノロジーとの関わり方について考えます。

2025.7.2 (水)  UTC+09:00

19:00 – 21:00 Open at 18:30

FabCafe Tokyo | Google mapで開く

40名

2000円 ワンドリンク付

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修理する権利」とは

スマートフォンやパソコン、自動車など、私たちの生活に欠かせない製品の多くは、ユーザーが自ら修理することが難しい構造になっています。専用工具が必要だったり、部品が非公開だったりと、「修理を妨げる仕組み」は年々巧妙になっています。

こうした中で登場したのが「修理する権利(Right to Repair)」という概念です。これは、製品をメーカーに頼らずにユーザー自身や第三者が自由に修理できる権利、またはそのための法的保障を意味します。

この運動は、2010年代初頭のアメリカで、メーカーによる意図的な修理制限に対する消費者の反発から始まりました。近年ではヨーロッパでも環境政策の一環として推進され、「壊れたら買い替える」という従来の消費行動の価値観に変化をもたらしています。

こうした背景を踏まえ、本書では「なぜスマホのバッテリーはすぐに交換できないのか?」という問いから、修理が遠ざけられていく社会の構造を解き明かします。

書誌情報

『修理する権利──使いつづける自由へ

■内容:

なぜスマホのバッテリーはすぐ交換できないのか?
短い保証期間、高額な修理費用、交換のできない部品……わたしたちは修理することからますます遠ざけられている。「壊れたら買い替え」へ消費者を駆り立てる資本主義社会には、修理を阻む巧妙なカラクリが隠されていた。そうしたなか、いま米国やヨーロッパで「修理する権利」運動が巻き起こっている。その現状を縦横無尽に分析した決定的入門書。

[著者]アーロン・パーザナウスキー(Aaron Perzanowski)
ケニオン大学卒業後、カリフォルニア大学バークレー校法科大学院を修了。現在はミシガン大学教授として著作権や商標、財産法などについて教鞭をとる。専門はデジタル経済圏における知的財産法や物権法について。これまでの著作として『所有の終焉(The End of Ownership)』や、共編著『法なきクリエイティビティ(Creativity without Law)』がある。

[訳者]西村伸泰(にしむら・のぶやす) 
法政大学法学部卒。雑誌記者、広告プランナーを経て翻訳業に従事。

■刊行年:2025年
■出版社:青土社 HPはこちら

当日イベントでの書籍のご購入が可能です。

 

ディスカッショントピック

今回のイベントでは、『修理する権利』の刊行を契機に、研究者・プログラマの中村健太郎さんと、同書に解題を寄せた研究者・プログラマの吉田健彦さんをゲストに迎え、「修理する」ことの意味について改めて考えます。

吉田さんは本書の概要を紹介しつつ、修理する権利が単に法的な問題だけではなく私たちの日常生活に深く根差したものであり、生きるために必須の営為であることを提示します。そしてそのためには修理を「この私の問題」として内面化し、さらにローカライズしていくことの重要性について考えていきます。

一方の中村さんは、”テクノロジーによって形作られる世界は、完成されたものではなく、常に壊れつつあるもの”だと捉える「Broken World Thinking(あらかじめ壊れている世界思考)」という概念を手がかりにしつつ、「壊れていること」の定義をめぐる集団的な闘争として「修理する権利」運動を捉えようとされています。

製品の修理制限、技術へのアクセスや所有をめぐる課題、そして政治とテクノロジーにまつわる倫理的な揺らぎまで──「修理する」とは何かを多角的に見つめ直し、テクノロジーとのより良い関係を築くための視点を探ります。

 

著者

  • アーロン・パーザナウスキー(Aaron Perzanowski)

    [著者]アーロン・パーザナウスキー(Aaron Perzanowski)
    ケニオン大学卒業後、カリフォルニア大学バークレー校法科大学院を修了。現在はミシガン大学教授として著作権や商標、財産法などについて教鞭をとる。専門はデジタル経済圏における知的財産法や物権法について。これまでの著作として『所有の終焉(The End of Ownership)』(MIT Press, 2019)や、共編著『法なきクリエイティビティ(Creativity without Law)』(NYU Press, 2019)がある。

    [著者]アーロン・パーザナウスキー(Aaron Perzanowski)
    ケニオン大学卒業後、カリフォルニア大学バークレー校法科大学院を修了。現在はミシガン大学教授として著作権や商標、財産法などについて教鞭をとる。専門はデジタル経済圏における知的財産法や物権法について。これまでの著作として『所有の終焉(The End of Ownership)』(MIT Press, 2019)や、共編著『法なきクリエイティビティ(Creativity without Law)』(NYU Press, 2019)がある。

    当日は、著者から寄せられたビデオメッセージをご紹介します。

ゲスト

  • 中村 健太郎

    東京大学情報学環博士課程

    研究者・プログラマ。1993年大阪府生まれ和歌山県育ち。情報技術とデザイン・建築・都市の関係に関心。2016年慶應義塾大学SFC卒業後、NPO法人モクチン企画(現CHAr)ソフトウェアエンジニア、東京大学建築学専攻学術専門職員を経て、現在東京大学情報学環博士課程在学中。共訳書に『スマート・イナフ・シティ──テクノロジーは都市の未来を取り戻すために』(2022, 人文書院)

    研究者・プログラマ。1993年大阪府生まれ和歌山県育ち。情報技術とデザイン・建築・都市の関係に関心。2016年慶應義塾大学SFC卒業後、NPO法人モクチン企画(現CHAr)ソフトウェアエンジニア、東京大学建築学専攻学術専門職員を経て、現在東京大学情報学環博士課程在学中。共訳書に『スマート・イナフ・シティ──テクノロジーは都市の未来を取り戻すために』(2022, 人文書院)

  • 吉田 健彦

    東京農工大学非常勤講師

    研究者・プログラマ。1973年生まれ。環境哲学・メディア論を中心としてポストヒューマン論やメディアアートに関心を持つ。プログラマとしては組込みシステム開発が専門。主な著書・論文に『メディオーム──ポストヒューマンのメディア論』(共和国)、「宇宙の修理とメンテナンス──メタバースは私たちの生きる宇宙になり得るのか」(現代思想50(11)、青土社)などがある。

    研究者・プログラマ。1973年生まれ。環境哲学・メディア論を中心としてポストヒューマン論やメディアアートに関心を持つ。プログラマとしては組込みシステム開発が専門。主な著書・論文に『メディオーム──ポストヒューマンのメディア論』(共和国)、「宇宙の修理とメンテナンス──メタバースは私たちの生きる宇宙になり得るのか」(現代思想50(11)、青土社)などがある。

モデレーター

  • 金岡 大輝

    FabCafe Tokyo CTO

    英国で建築を学んだ後、持ち前の幅広いデジタルファブリケーションの知識を活かしFabエンジニアとしてFabCafe Tokyoの立ち上げに参加。Fab部門のリーダーを務め、テクニカルワークショップなどを主宰。その後、Noiz Architectsにてコンピューテーショナルデザインを駆使した建築設計に携わる。

    2015年ロフトワーク入社。デジタルファブリケーションの知識と海外とのネットワークを活かし、世界各地のFabCafeの立ち上げ・海外クリエイターとのコラボレーションや作品制作・自治体や海外大学との教育プログラム設計・アート展示ディレクション・コミュニティ運営・コンピューショナルデザインを駆使したプロジェクト企画などを幅広く手がける。

    2019年よりFabCafe Tokyo CTOとしてFabCafe Tokyoのリーダーを務める。

    英国で建築を学んだ後、持ち前の幅広いデジタルファブリケーションの知識を活かしFabエンジニアとしてFabCafe Tokyoの立ち上げに参加。Fab部門のリーダーを務め、テクニカルワークショップなどを主宰。その後、Noiz Architectsにてコンピューテーショナルデザインを駆使した建築設計に携わる。

    2015年ロフトワーク入社。デジタルファブリケーションの知識と海外とのネットワークを活かし、世界各地のFabCafeの立ち上げ・海外クリエイターとのコラボレーションや作品制作・自治体や海外大学との教育プログラム設計・アート展示ディレクション・コミュニティ運営・コンピューショナルデザインを駆使したプロジェクト企画などを幅広く手がける。

    2019年よりFabCafe Tokyo CTOとしてFabCafe Tokyoのリーダーを務める。

  • 大澄 楓

    FabCafe クリエイティブディレクター

    服飾専門学校の在学時にメディアとしてのファッションに興味を持ち、多摩美術大学情報デザイン学科にて環境や特定の文化における装いやそこにおけるコミュニティーのあり方を探究する。複数のファッションブランド、メディアコミュニティ、ギャラリーで企画運営を行う。NEWVIEW SCHOOLのインターンとしても参加。当たり前とされているものを問い直し多角的な視点で捉え、より多種多様な人々が特性を活かせる新たなコミュニティや価値創出を目指しFabCafeに入社。ものづくりを通したイベントや、異文化交流に興味を持つ。

    服飾専門学校の在学時にメディアとしてのファッションに興味を持ち、多摩美術大学情報デザイン学科にて環境や特定の文化における装いやそこにおけるコミュニティーのあり方を探究する。複数のファッションブランド、メディアコミュニティ、ギャラリーで企画運営を行う。NEWVIEW SCHOOLのインターンとしても参加。当たり前とされているものを問い直し多角的な視点で捉え、より多種多様な人々が特性を活かせる新たなコミュニティや価値創出を目指しFabCafeに入社。ものづくりを通したイベントや、異文化交流に興味を持つ。

Organizers

Timetable

19:00 – 19:05

イントロダクション

19:05 – 19:15

アーロン・パーザナウスキーさん(著者)からのビデオメッセージ

19:15 – 19:35

吉田健彦さんプレゼンテーション

19:35 – 19:55

中村健太郎さんプレゼンテーション

19:55 – 20:05

ブレイク

20:05 – 20:35

クロストーク

20:35 – 21:00

交流会

Information

日時

2025.7.2 (水) 19:00 – 21:00 Open at 18:30 UTC+09:00

会場

FabCafe Tokyo
東京都渋谷区道玄坂1-22-7 道玄坂ピア1F

京王井の頭線 神泉駅 南口 徒歩3分
JR 渋谷駅 徒歩10分

03-6416-9190
Google mapで開く

参加費

2000円 ワンドリンク付

定員

40名

オーガナイザー

主催: FabCafe Tokyo
共催: 青土社

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Peatixよりお申し込みください

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