Exhibition
- #開催終了
表現ジャンルの境界線を超え、デジタルとアナログを横断する次世代のイノベーションを支援する、FabCafe Tokyoのアーティストインレジデンス。プログラム第一期メンバーによる活動成果の展示を行います。
2025.9.26 (金) – 2025.10.3 (金) UTC+09:00
第一期メンバー佐野風史 、菊池虎十による活動成果を展示
FabCafe Tokyoが主催するレジデンスプログラム「FabCafe Tokyo Creative Residency」第1期メンバーによる展示を開催します。
「AI-ダダ」がテーマの第1期では、佐野風史、菊池虎十がFabCafe Tokyoのデジタルファブリケーションマシンなどを使用し、FabCafeに滞在して制作しました。レーザーカッターや3Dプリンターといったデジタルツールを駆使し、デジタルとアナログを横断することで作品が生まれました。
<AI- ダダ>
AIは私たちの日常を徐々に揺るがす存在となりました。人々の意識の中でAIは多くの産業を加速させる一方、クリエイティブ業界に限って言えば、良くも悪くも賛否両論の議論を巻き起こしています。生成AIの効率性と予測技術の容易さを主張するクリエイターがいる中で、著作権侵害や偏見の問題などで懐疑的な見方をするクリエイターもいます。テーマ「AI-ダダ」は、この状況をダダイスムの精神で捉え、AIを「創造の道具」として、「破壊の道具」として、積極的に活用することを求めます。
プロジェクト
菊池虎十 – 見えない精霊
布という素材に興味関心がある。
私は布を用いた作品を通じて、「新しい生き物のかたち」を探っている。布は飾られる場所や張力によって自在に変形し、その環境に寄り添いながら多様な姿を見せてくれる。今回の展示では、3Dプリンタで成形した立体に布をまとわせ、さらに樹脂で定着させることで、布のかたちをした立体のキャンバスをつくり出した。
そこにエアブラシで描画をすることで、目に見えない生命体を表現する作品を制作した。映画やアニメに登場するお化けや透明人間のように、不可視の存在が布をまとうことで実体を感じることができるというところから着想を得て、その瞬間を形にすることで、目に見えない生命のイメージを共有したいと考えている。
また、今回のテーマ「AI-ダダ」に対しては、AIの使用のメリットやそれで失われるかもしれないものについて、自分で思考し、人と話し、試行錯誤した結果、AIは使わずに自身の創作に集中することが最善だと判断した。AIよりも、デジタルファブリケーションで素材の可能性を探求することに重きを置いている。
佐野 風史 – 白昼夢をきくための枕
眠るための枕ではなく、起きたまま夢を見るための枕があったとしたら。むしろ、身の回りの音に対する我々の聴覚を、一度リセットし、新しい関係性で「目覚めさせる」としたら。本作は、ヘッドホンを内蔵した枕型の装置を介し、リアルタイムの環境音を音響的に再構成するデバイスのプロトタイプである。装置は、展示空間の音を常時入力し、その音響要素を内部プログラムによって再構築する。眠るように枕に頭を預け、耳が枕に包み込まれる時、その場にあった現実の環境音を、聴覚による「白昼夢」の環境音へと編集する。ノイズキャンセリングイヤホンの「外音取り込み機能」などに代表されるウェアラブル技術の進化は、「聞く」ことを受動的な行為から、能動的な編集へとシフトさせる可能性を見せつつある。今回のレジデンスでは、「自らの聴覚が持つ前提条件」と「変容の可能性」から、目の前で生まれ続ける音をリアルタイムで編集することについて考えた。キッチンの作業音も、街の環境音も、AIで作られ無限に垂れ流しにされるBGMも。あらゆる音は、ただ消費され、聞き流されるだけではない。それらは、耳元という極めて個人的な場所で、新しい響きへと生まれ変わるポテンシャルを秘めている。あらゆる音は、ただただ注意深く聴かれる、ということの先に、耳元で新たな夢へと組み替えられるのを待っている。
-
菊池虎十
1998年生まれ。東京都出身。布という素材に興味関心がある。自身の潜在意識や時間の流れをテーマに、支持体に合わせて布を独自の形に歪ませる表現を追求する。四肢を持つ生き物、地平線、光などを、伸縮性の高い生地にエアブラシを用いて描き作品制作している。平面作品やインスタレーションの制作を行いながら、近年では布を立体に巻き、360度鑑賞できる平面作品と立体作品を行き来するような制作を試みている。
1998年生まれ。東京都出身。布という素材に興味関心がある。自身の潜在意識や時間の流れをテーマに、支持体に合わせて布を独自の形に歪ませる表現を追求する。四肢を持つ生き物、地平線、光などを、伸縮性の高い生地にエアブラシを用いて描き作品制作している。平面作品やインスタレーションの制作を行いながら、近年では布を立体に巻き、360度鑑賞できる平面作品と立体作品を行き来するような制作を試みている。
-
佐野風史
2000年、京都府生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学院 政策・メディア研究科在籍。万物に気配を感じる想像力と、情報空間を生きる現代の身体感覚とを源泉に、世界の目に見えない構造を音による感覚的な体験へと変換し、両者が混淆する風景を探求する。その実践は、インタラクティブなデータソニフィケーション、マルチチャンネル音響によるサウンドインスタレーション、深層学習を用いた音響生成といった手法を用いて展開。近年では、耳介やノイズキャンセリングイヤホンに注目し、耳元で音の響きを変えることで無意識的な「聞く」行為に介入する、新たな聴覚芸術の可能性も探っている。
2000年、京都府生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学院 政策・メディア研究科在籍。万物に気配を感じる想像力と、情報空間を生きる現代の身体感覚とを源泉に、世界の目に見えない構造を音による感覚的な体験へと変換し、両者が混淆する風景を探求する。その実践は、インタラクティブなデータソニフィケーション、マルチチャンネル音響によるサウンドインスタレーション、深層学習を用いた音響生成といった手法を用いて展開。近年では、耳介やノイズキャンセリングイヤホンに注目し、耳元で音の響きを変えることで無意識的な「聞く」行為に介入する、新たな聴覚芸術の可能性も探っている。
FabCafe Tokyo Creative Residencyとは

FabCafe Tokyoが提供するアーティストインレジデンスプログラム。表現ジャンルの境界線を超え、デジタルとアナログを横断し次世代のイノベーションを創出する取り組みを支援します。 東京・渋谷を拠点とするFabCafe Tokyoの持つグローバルコミュニティや設備を介して、参加アーティストの新たな挑戦や表現方法を探究をする場を設けます。
-
日時
-
2025.9.26 (金) – 2025.10.3 (金) UTC+09:00