Talk Event

「空想メディア」れありざしをん

シャルル・クロ再生計画 キックオフカンファレンス

  • #参加受付中
  • #誰でもウェルカム

「過去に実在した(けれども廃れてしまった)技術の復刻・再生」ではなく、「過去に構想されはしたけれども、実際に作られることのなかった発明を具現化する」ことに挑戦するプロジェクトのキックオフカンファレンスをFabCafe Kyoto にて実施します。第一目標は、すんでのところでエジソンに敗れてしまった知られざるパイオニア、シャルル・クロが思い描いていた録音技術構想。どなたでもお気軽にお越しください。

2024.10.10 (木)  UTC+09:00

19:00 – 21:00

FabCafe Kyoto (MTRL KYOTO) | Google mapで開く

20名

参加無料(会場にて1ドリンクご注文ください。500円〜)

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活動主旨(主催者より)

私たちのグループが見据える究極的な目標は、十九世紀フランスの詩人・科学者であったシャルル・クロによって構想された史上初の録音技術論を、現代においてあらためて”もの” として具現化・実体化することです。

1877年4月、クロは「聴覚によって記録された諸現象の記録と再生の方法」という小文を執筆し、これをフランスの科学アカデミーに投稿しました。けれども、在野のいち科学愛好家に過ぎなかったクロには、このアイデアを現実のかたちに変えるための資金もノウハウもなく、残念ながらこの技術のパイオニアとしての栄誉は、クロよりもおよそ半年後に同種のアイデアで特許を取得したあのトーマス・エジソンの手に落ちることになります。

このグループの代表者である私〔福田〕は、大学院博士課程でこの知られざる人物についての研究を行い、その成果を2014年に『シャルル・クロ 詩人にして科学者』(水声社)として刊行しました。従来の録音技術史がまったく研究してこなかったクロの録音技術構想の実態を初めて明らかにし、さらにはその制作工程を図説化することに成功した点において、同書は非常に重要な一歩であったとの自負があります。ところで、テクノロジーの歴史のうえには、せっかく構想されたのに時代の評価を受けることができなかったり、後の世の歴史の語りからこぼれ落ちてしまったりしたために、忘れ去られてしまったものが少なからずあります。まさにクロの録音技術がその典型であるわけですが、上記の書籍からいまに至るまでさらなる研究を重ねてきた人間の実感として、そうした「忘れ去られてしまったメディア」のなかには、むしろ歴史がずっと進んだ「いま」だからこそ感じ取れるような「すごさ」や「新しさ」が隠されていることが頻繁にあります。

そうした意味での「すごさ」や「新しさ」をサルベージし、そこに秘められたポテンシャルを、まさに「いま」ならではのコンテクストのもとで再発見する――。このような「メディア考古学」的な価値創造の実践に私たちはチャレンジしたいと感じており、そのための最初の挑戦として、自分がこれまで最も深く研究してきたシャルル・クロの録音技術構想を再生する、という大目標を設定することとしました。その際に私たちのプロジェクトの特徴をなすのは、「過去に実在した(けれども忘れ去られてしまった)技術の復刻・再生」を目指すのではなく、「過去に構想されはしたけれども、実際に作られることのなかった発明を(時を超えて)実現する」ことに挑戦しようとしているところにあります。プロジェクト名にもちいた「れありざしをん」(フランス語の《réalisation》)の語に託しているのは、そうした類例のない創造のあり方です。

こうした価値創造を実現するためには、「学術」であれ「アート」であれ「ビジネス」であれ、いずれかひとつの世界に閉じこもってしまっては絶対にダメで、そうした複数の世界を相互につなぎあわせ、それぞれのあいだを自由に行き来できるような場所が必要です。けれどもそうした場所がなかなか見つからなくて、ひと頃はそれを自分自身で作るところから始めなければならないのかと思い、私自身途方に暮れかけていたのですが、幾重にも重なった偶然の先で訪れることになったFabCafeは、果たして私自身が夢見ていた「つながりの場所」そのものだったのでした。この幸運、このご縁を絶対に逃してはならないと考え、思い切って踏み出してみたのが今回のプロジェクトです。

上に書いたような「大目標」をしっかりと見据えつつ、それを追求する過程で出会うであろう様々な知識やアイデアをも思いきり楽しく育んで、「過去」と「いま」とを大きくまたいだ「発見」のプロセスを多くの方と共にしたいと考えています。今回のキックオフ・カンファレンスでは、こうしたコラボレーションの可能性も含めて、私たちのやりたいことの概要をお話しさせていただくつもりです。

(福田裕大:近畿大学国際学部准教授)


タイムテーブル

18:45 開場
19:00 ご挨拶、活動主旨説明
19:30 事例・背景の紹介(19世紀のものづくりを取り巻く時代/環境/制度)
20:00 制作構想の紹介
20:30 ディスカッション
21:00 終了


登壇者(プロジェクトメンバー)

  • 福田 裕大

    近畿大学 国際学部 准教授(フランス文学・メディア史)

    「詩人にして科学者」シャルル・クロの仕事を中心にして、19世紀のフランスに生じた視聴覚メディア環境の変容を追いながら、同時代に生み出された文学・芸術の意義を再検討している。近年は、クロと同世代の作家ヴィリエ・ド・リラダンの小説『未来のイヴ』を研究するなど、文学関連の研究を続けるかたわら、「失われたメディア/忘れられたメディアをいかに記憶するか」という問題について考えを巡らせている。(参考: シンポジウム報告:「音響メディア史とサウンド・アート―歴史・創造・アーカイブの現在」

    近畿大学 教員紹介ページ

    「詩人にして科学者」シャルル・クロの仕事を中心にして、19世紀のフランスに生じた視聴覚メディア環境の変容を追いながら、同時代に生み出された文学・芸術の意義を再検討している。近年は、クロと同世代の作家ヴィリエ・ド・リラダンの小説『未来のイヴ』を研究するなど、文学関連の研究を続けるかたわら、「失われたメディア/忘れられたメディアをいかに記憶するか」という問題について考えを巡らせている。(参考: シンポジウム報告:「音響メディア史とサウンド・アート―歴史・創造・アーカイブの現在」

    近畿大学 教員紹介ページ

  • 秋吉 康晴

    京都精華大学 非常勤講師(音響メディア史研究、メディア論)

    近代の音響技術史を調査しながら、電話・録音技術・音声合成などのテクノロジーの発明が人間の本質をめぐる哲学や科学の問いといかに交差していたのかを検討している。近年は、メディアの「ごみ」に新しい価値を与えるハードウェアハッキングの研究もしている。(参考:Living Instruments: Circuit-bending toward a new materialism of technoculture in the Anthropocene

    近代の音響技術史を調査しながら、電話・録音技術・音声合成などのテクノロジーの発明が人間の本質をめぐる哲学や科学の問いといかに交差していたのかを検討している。近年は、メディアの「ごみ」に新しい価値を与えるハードウェアハッキングの研究もしている。(参考:Living Instruments: Circuit-bending toward a new materialism of technoculture in the Anthropocene

  • 松井 光寿

    情報科学芸術大学院大学修士課程(メディア・アート)。メディアと身体活動を介した表現を模索しながら、固定化された技術観にとらわれることなく、あらゆる時代の技術を多義的に解釈する作品制作を探求している。
    (参考:https://paperc.info/on-site/report_nawa

    情報科学芸術大学院大学修士課程(メディア・アート)。メディアと身体活動を介した表現を模索しながら、固定化された技術観にとらわれることなく、あらゆる時代の技術を多義的に解釈する作品制作を探求している。
    (参考:https://paperc.info/on-site/report_nawa

Information

日時

2024.10.10 (木) 19:00 – 21:00 UTC+09:00

会場

FabCafe Kyoto (MTRL KYOTO)
〒600-8119 京都府京都市下京区本塩竈町554

■電車でのアクセス
JR京都駅から徒歩20分
京都市営地下鉄烏丸線五条駅から徒歩10分
阪急電鉄京都線河原町駅から徒歩15分
京阪電鉄清水五条駅から徒歩5分

■バスでのアクセス
京都駅から4・17・205号系統 五条河原町下車徒歩3分

※駐車場はありません。近隣の施設をご利用ください。
Google mapで開く

参加費

参加無料(会場にて1ドリンクご注文ください。500円〜)

定員

20名

参加する

「参加する」をクリックすると、申込フォーム(googleフォーム)へ移動します。

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