Workshop
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本イベントは、日常の『テクノロジー』とそれがもたらす『社会的影響』を題材に、カードを用いた対話型アセスメント活動を通して、技術の仕組みや社会・文化への波及効果、そして私たちと技術の望ましい関係性を多角的に考察することで、テクノロジーへの新たな視点と責任ある思考を広げる学びと発見のワークショップです。(主催:松井 光寿 / 協力:FabCafe Kyoto)
2025.10.4 (土) – 2025.10.18 (土) UTC+09:00
14:00 – 18:00 *10/4(土), 10/18(土) の全2回開催です。
「参加する」ボタンをクリックすると、申込フォーム(googleフォーム)へ移動します。
企画趣旨
私たちの日常は、デジタル技術によって根本から変容し続けています。スマートフォンでの情報検索、SNSでのコミュニケーション、AIによる推薦システム、オンライン決済など、私たちは日々、高度な技術システムの恩恵を享受し、その利便性を当然のように受け入れています。しかし、これらの技術が私たちの行動パターン、思考プロセス、人間関係、さらには社会構造そのものに与える影響について、立ち止まって深く考察する機会はほとんどありません。私たちは往々にして、テクノロジーを透明な「便利な道具」として、あるいは複雑すぎて理解困難な「ブラックボックス」として受動的に受け入れているのが現状ではないでしょうか。
しかし、テクノロジーは決して中立的な存在ではありません。それぞれの技術には、開発者の意図や価値観が埋め込まれ、利用される文脈によって多様な社会的影響を生み出します。プライバシーの境界線の変化、アルゴリズムによる意思決定への依存、デジタル格差の拡大、自動化による労働環境の変容など、技術革新は常に光と影の両面を併せ持っています。こうした複層的な影響を理解し、技術と社会の関係性を主体的に捉え直すことは、急速に変化する現代社会において、より良い未来を創造するための重要な能力と言えるでしょう。
本ワークショップでは、この「テクノロジーの社会的影響を多角的に検討する試み」を、実践的なアセスメントツールを用いて体験していきます。具体的には、大阪大学で開発された「モラルITデッキ」というカードベースのインパクトアセスメントツールを活用し、参加者同士の対話を通じて、特定の技術が社会にもたらす倫理的、法的、社会的課題(ELSI)を多面的に探究します。このアプローチにより、私たちは技術を単なる利用者としてではなく、その影響を批判的に評価し、より責任ある技術利用のあり方を模索する「能動的な参加者」として、テクノロジーと向き合う新たな視点を獲得することができるのです。
モラルITデッキについて
この『テクノロジーの影響評価』の中心的な手法として取り上げるのが、『モラルITデッキ』です。モラルITデッキは、科学技術が社会にもたらす様々な影響を、人々が対話を通じて検討・評価するために開発されたインパクトアセスメントツールであり、プライバシー(P)、倫理(E)、法(L)、セキュリティ(S)の4つのカテゴリーに分類された52枚のカードセットを活用します(鹿野ほか, 2023)。例えば、「バイアス・先入観」のカードで技術の公平性を問い直したり、「消費者の保護」のカードで利用者の権利を検討したり、あるいは「透明性」のカードでシステムの説明責任を考察するなど、日常では見過ごしがちな技術の側面が、創意工夫によって多面的な「問い」へと生まれ変わります。これは、技術の社会的特性と、それが喚起する課題やリスクを深く考察して緻密に検討する、対話型の創造です。
倫理・法・プライバシー・セキュリティに対応したカードセット
そして、このモラルITデッキで培った『技術の解釈と評価』という考え方を、本ワークショップの大きな見どころである『ステークホルダー・ロールプレイ・シミュレーション』へと発展させます。これは、一般的な技術評価のように単一の視点で判断するものではありません。参加者各自が異なるステークホルダー(利害関係者)の立場に立ち、技術の影響や対策の可能性を深く考え抜き、計画的に評価の『視点』を編み出すグループワーク形式です。
ステークホルダー・ロールプレイとは
この『ロールプレイ』の成否を分けるのは、高度な専門知識ではありません。いかに技術への豊かな想像力を働かせられるか、いかに多様な立場の人々の視点を理解し、その技術がもたらすであろう影響を創造できるか、その発想力が問われます。例えば、『AI面接システム』というテーマであれば、参加者は企業の人事担当者、求職者、システム開発者、社会全体などの視点を想像し、それぞれが感じるであろうリスクや期待を検討し、アセスメントボードに記録します。そして、多様な視点からの評価を通じて、技術が持つ複層的な影響を浮き彫りにし、より包括的な理解へと繋げていくのです。
アセスメントボードを使用した活動の様子
これらの活動を通して、参加者の皆さんは、科学技術、ひいてはイノベーション全般に対する深い評価力を培う機会を得るでしょう。そして、そうして培った技術や社会への解釈力を、様々な新興技術にも応用し、私たちの世界を取り巻く技術全般に対する新たな視点を獲得することを目指します。
それは、単に技術を『利用する』だけでなく、その背景にある仕組みや社会的意図を読み解き、自ら『評価し、関与する』視点、あるいは技術開発から社会実装、そして私たち自身の生活のあり方までも俯瞰する視点となり得るでしょう。身近な技術という入口から、イノベーションの奥深さ、そしてそれが持つ社会的責任を体験し、責任ある研究開発とイノベーション創出(RRI:Responsible Research and Innovation)を自ら実践するための思考力を養う、そんな特別な学びの場となることを期待しています。
参考・引用文献
鹿野祐介ほか。「インパクトアセスメントツール”The Moral-IT Deck”の日本語化とワークショップの方法」『ELSI NOTE』37(2024年1月):1-29。
“Moral-IT Deck (Japanese version)” © 2023 by Yusuke Shikano, Eri Mizumachi, Konomi Higo & Kohei Takeda. is licensed under CC BY-NC-SA 4.0
タイムテーブル
開催日時(全2回)
第1セット:10月4日(土) 14:00〜18:00
第2セット:10月18日(土) 14:00〜18:00
注意事項
本ワークショップは、研究活動の一環として実施されます。プログラムの一部始終を記録するため、音声および映像の記録(撮影・録音) を行わせていただきます。 記録された音声・映像は、研究成果発表(論文、学会発表、ウェブサイト掲載など)および今後のワークショップ改善のために利用される可能性があります。 肖像権やプライバシー保護、その他、記録に関するご配慮が必要な場合は、事前に必ず事務局までご連絡ください。個別に対応を検討させていただきます。ご協力とご理解をお願いいたします。
こんな人におすすめ
- 技術と社会の関係について考えてみたい方
- 普段何気なく使っているテクノロジーが、実際にどのような影響を社会に与えているのかを、カードを使った直感的な手法で探ってみたい方におすすめです。
- テクノロジーに対する新たな視点を持ちたい方
- デジタル化が進む現代において、技術の本質を多角的に捉え、自分なりの解釈を深めることは重要です。本ワークショップは、そうした思考力を養うきっかけとなるはずです。
- 対話を通じて学びを深めたい方
- 異なる立場や視点を持つ参加者とともに、技術や社会について率直に意見を交わし、自分では気づかなかった課題や可能性を発見したい方に適しています。
- 「技術と社会」の関係性を探求したい方
- AI、SNS、自動運転技術など、身近な技術が社会に与える影響について関心がある方。技術がもたらす変化を、実際の事例を通じて考えてみたい方を歓迎します。
- 責任あるイノベーションに関心がある方
- 技術開発や社会実装において、どのような配慮が必要かを考えたい方。より良い技術社会の実現に向けて、自分なりの視点を養いたい方に適しています。
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松井 光寿
情報科学芸術大学院大学修士課程(メディア・アート)。メディアと身体活動を介した表現を模索しながら、固定化された技術観にとらわれることなく、あらゆる時代の技術を多義的に解釈する作品制作を探求している。
情報科学芸術大学院大学修士課程(メディア・アート)。メディアと身体活動を介した表現を模索しながら、固定化された技術観にとらわれることなく、あらゆる時代の技術を多義的に解釈する作品制作を探求している。
お問合せ先
本イベントに関するお問合せは下記までメールにてお願いいたします。
■ メールアドレス : a24@iamas.ac.jp (松井 光寿)
注意事項:あらかじめご確認のうえお申込みください
・本ワークショップは、研究活動の一環として実施されます。プログラムの一部始終を記録するため、音声および映像の記録(撮影・録音) を行わせていただきます。
・記録された音声・映像は、研究成果発表(論文、学会発表、ウェブサイト掲載など)および今後のワークショップ改善のために利用される可能性があります。
・肖像権やプライバシー保護、その他、記録に関するご配慮が必要な場合は、事前に必ず事務局までご連絡ください。個別に対応を検討させていただきます。ご協力とご理解をお願いいたします。
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日時
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2025.10.4 (土) – 2025.10.18 (土) 14:00 – 18:00 *10/4(土), 10/18(土) の全2回開催です。 UTC+09:00
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会場
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FabCafe Kyoto (MTRL KYOTO)
〒600-8119 京都府京都市下京区本塩竈町554
■電車でのアクセス
JR京都駅から徒歩20分
京都市営地下鉄烏丸線五条駅から徒歩10分
阪急電鉄京都線河原町駅から徒歩15分
京阪電鉄清水五条駅から徒歩5分
■バスでのアクセス
京都駅から4・17・205号系統 五条河原町下車徒歩3分
※駐車場はありません。近隣の施設をご利用ください。
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参加費
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無料(*別途カフェメニューのご注文をお願いいたします)
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定員
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各日程 9名(先着順)
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