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SPCS Talks vol. 10 |
生物多様性ビクトリー・ガーデン・プロジェクト

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ビクトリーガーデンとは、戦時中、アメリカとイギリスの市民が、国の食糧システムの負担を軽減するために、自分たちの食料を家庭で栽培するために作られた家庭菜園のことで、1944年にはアメリカの農産物の40%が家庭農家によって栽培されていたとのこと。「生物多様性ビクトリー・ガーデン・プロジェクト」を立ち上げたベッツィー・ピーターソンは、この歴史的な運動を生物多様性の損失に向き合うためのものとして再解釈し、人々が小さな庭を地域の動植物の生息地に変えられるべく、活動を展開しています。イベントでは彼女の研究内容や取り組みを紹介いただきます。

2024.8.6 (火)  UTC+09:00

18:00 – 19:00

オンライン

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開催終了

ほんの数種類の植物を植えるだけで、地域の野生動物は大きく変わるという。(写真提供:ベッツィー・ピーターソン)

何十年もの間、世界中の昆虫の個体数は減少の一途をたどっています。参考データの少なさや現在進行中の調査など、さまざまな理由から、昆虫の個体数がどの程度急速に減少しているのかを正確に知ることは難しいといいます。一方で、昆虫全体の種の豊かさは、年平均で最大2%減少している可能性があるという研究結果があります。これほど多くの昆虫が急速に失われることは、食物網全体に波及し、最も小さな植物から頂点捕食者にまで影響を及ぼします。

生物多様性の損失を軽減するために、さまざまなレベルで解決策が生まれています。政府レベルでは、たとえば、生息地の破壊を食い止め、農薬の使用を制限する政策があり、農家レベルでは、生物多様性をサポートするために、単作の畑と野草の生い茂るエリアを分断するなどができるでしょう。そして、博物館や公園、個人の園芸家は、蝶や蜂、その他の昆虫を呼び寄せるために、野生生物園や花粉媒介者園を作ることができます。第10回目のSPCSトークでは、ベッツィー・ピーターソンさんが生物多様性ビクトリーガーデン・プロジェクトについて話してくれます。

A black-and-white photograph of six smiling people. One person in overalls stands behind the other five, holding a gardening tool. Four adults and one child sit in the front, holding vegetables.

第二次世界大戦中の食糧難に立ち向かうため、家庭菜園家たちが植えたビクトリーガーデン(米国議会図書館のアーカイブ写真より)

2023年、ベッツィー・ピーターソンは、第二次世界大戦のビクトリーガーデン(戦勝庭園)について学んだ後、生物多様性庭園に関する研究を行うため、ランドスケープ・アーキテクチャー財団のフェローシップに応募した。ビクトリーガーデンとは、戦時中、アメリカとイギリスの市民が、国の食糧システムの負担を軽減するために、自分たちの食料を家庭で栽培するために作られた家庭菜園のこと。呼びかけはラジオ、パンフレット、ポスター、対面イベントなどを通じて広く伝えられ、この運動は大成功を収め、1944年にはアメリカの農産物の40%が家庭農家によって栽培されるようになったのです。

生物多様性の減少という危機に取り組むために、このレベルの動員や協力を再現する方法はあるのでしょうか?ピーターソンさんは、その鍵はアクセス可能な知識を広く普及させることにあると考えています。彼女は1年間のフェローシップ期間中、昆虫の生物多様性に関する一般市民の意識と行動の現状を調査し、地元の生息地に関する知識は入手可能であるにもかかわらず、書籍や学術研究の中にとどまり、アクセスできないことが多いことを発見しました。

Two images. On the left is a graphic of text reading "The BVG Project" surrounded by a circle border divided into four quarters: pink, blue, red, and yellow. Text beside it reads, in yellow: "1. study: awareness; learn something new about biodiversity." in blue: "2. sweat: action informed by context + indigenous knowledge." in red: "3. monitor: citizen science efforts." in pink: "4. share: communicate lessons learned." On the right is a photo of a wildlife garden in a forest. In the foreground are flowers and bushes. Behind them is a wall of panels: two hold stacked wooden logs turned horizontally. Interspersed are panels of log cross sections of various sizes.

生物多様性ビクトリーガーデン(BVG)プロジェクトは、生物多様性を促進し、監視するために、知識を共有し、行動を起こすことを目的としている。このような庭園は、在来の動植物に栄養と生息地を提供する。(グラフィックと写真提供:ベッツィー・ピーターソン)

この問題に取り組むため、ピーターソンさんは生物多様性ビクトリー・ガーデン・プロジェクトを設立しました。このプロジェクトは現在初期段階にあり、さまざまな生物が好む植物の種類や色をわかりやすく解説したポスターを作成しようとしています。家庭菜園家にとって簡単な説明書があれば、野生生物にやさしい植物を庭に植えることが容易になります。

イベントでは、ピーターソンさんの研究、生物多様性ビクトリーガーデンプロジェクトにおける彼女の仕事、そして地元の生物種を支えるための一人一人の重要性についてお話をお聞きします。

世界の片隅を人間以外の隣人にとってもう少し優しい場所にするために、プロフェッショナルとしてランドスケープに携わっている方でも、自宅で鉢植えを育てている方でも、私たち全員が何らかの方法で関われるはずです。

A photo of a field of grasses, taken close to the ground. Close to the camera is a tuft of dry, brown stems and some white bell-shaped flowers. In the distant background is the a blurry city skyline.

都市部であっても、適切なアプローチをとれば、在来の野生生物の生息地になりうる。(写真提供:ベッツィー・ピーターソン)

  • SDGsに沿うデザインを模索している個人や不動産所有者の方
  • ネット・ポジティブな緑地のインスピレーションを探している行政や都市計画の担当者
  • 場所に配慮したガーデニングを通じた集団的なエコ・ポジティブ・アクションの事例を探している自治体の方や個人の方
  • 本プログラムは英語で行われます。(リアルタイム通訳、または自動翻訳テキストの表示を予定しておりますが、すべての講演に対応できるとは限りませんのでご了承ください)
  • 本プログラムは予告なく変更する場合があります。

ゲスト

  • ベッツィー・ピーターソン

    オーガスト・デザイン・コラボラティブ エグゼクティブ・ディレクター

    スコットランドを拠点とするランドスケープ・デザイナーで、デザインを通じて人と人、人と自然、人と地域社会をつなぐことに力を注いでいる。ルイジアナ州立大学で造園学修士号を取得し、2020年にはオルムステッド奨学生に選ばれた。ヒューストンのデザイン・ワークショップで2、3年修行した後、スコットランドのアバディーンに移り、現在はオーガスト・デザイン・コラボラティブという自身の事務所を経営し、地域やコミュニティ、住宅の庭を手掛けている。

    最近では、ベッツィーは2023-24年の「Landscape Architecture Foundation Fellowship for Innovation and Leadership(革新とリーダーシップのためのランドスケープ・アーキテクチャー財団フェローシップ)」の6人のランドスケープ・アーキテクチャー専門家のうちの1人に選ばれた。この1年間の献身的な研究により、ベッツィーは「生物多様性ビクトリー・ガーデン・プロジェクト」を立ち上げた。これは、減少しつつある生物多様性を救うために、個人が家庭でできることに焦点を当てた新しい提言活動で、庭というミクロのスケールと昆虫というミクロの種に焦点を当てている。この研究から得られた生物多様性の教訓は、あらゆる規模での彼女のデザイン実践に活かされている。

    スコットランドを拠点とするランドスケープ・デザイナーで、デザインを通じて人と人、人と自然、人と地域社会をつなぐことに力を注いでいる。ルイジアナ州立大学で造園学修士号を取得し、2020年にはオルムステッド奨学生に選ばれた。ヒューストンのデザイン・ワークショップで2、3年修行した後、スコットランドのアバディーンに移り、現在はオーガスト・デザイン・コラボラティブという自身の事務所を経営し、地域やコミュニティ、住宅の庭を手掛けている。

    最近では、ベッツィーは2023-24年の「Landscape Architecture Foundation Fellowship for Innovation and Leadership(革新とリーダーシップのためのランドスケープ・アーキテクチャー財団フェローシップ)」の6人のランドスケープ・アーキテクチャー専門家のうちの1人に選ばれた。この1年間の献身的な研究により、ベッツィーは「生物多様性ビクトリー・ガーデン・プロジェクト」を立ち上げた。これは、減少しつつある生物多様性を救うために、個人が家庭でできることに焦点を当てた新しい提言活動で、庭というミクロのスケールと昆虫というミクロの種に焦点を当てている。この研究から得られた生物多様性の教訓は、あらゆる規模での彼女のデザイン実践に活かされている。

モデレーター

  • ジーナ・グーズビー

    株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター

    アメリカ合衆国出身。ペンシルバニア州のスワスモア大学で日本言語学部とコンピューター工学部を卒業。在学時は同志社大学に留学し、在日コリアンについて研究。コロナ禍の2年間、LGBTQ+や少数民族を軸とした書籍を扱うサブスクリプションビジネスを起業。プログラミングを通じて夢をWebページなどで再現することが好き。

    アメリカ合衆国出身。ペンシルバニア州のスワスモア大学で日本言語学部とコンピューター工学部を卒業。在学時は同志社大学に留学し、在日コリアンについて研究。コロナ禍の2年間、LGBTQ+や少数民族を軸とした書籍を扱うサブスクリプションビジネスを起業。プログラミングを通じて夢をWebページなどで再現することが好き。

タイムテーブル

18:00 - 18:10

イントロダクション

18:10 - 18:30

プレゼンテーション - 生物多様性ビクトリー・ガーデン・プロジェクト(ベッツィー・ピーターソン)

18:30 - 18:55

質疑応答
- ライブストリーミング中、またはイベント前に登録フォームから質問することができます。

18:55 - 19:00

クロージング

Information

日時

2024.8.6 (火) 18:00 – 19:00 UTC+09:00

会場

オンライン

参加費

無料

オーガナイザー

主催: SPCS (Loftwork Inc.)

開催終了

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