Members
Concept
2017年、MUTEK Japanの会場でいたく感心したパフォーマンスがあった。「Myriam Bleau / Soft Revolvers」この作品は、コマのような形状をしたデバイスを回転させると、保存された短い音源が再生される、というシンプルな仕組みのデバイスを使用したパフォーマンスで、音源はループしながら回転速度に合わせて再生速度が変化、音程も変化する。このパフォーマンスで、Myriam Bleau は、複数の同じデバイスを回転させながら、それぞれの音源の同期をとり、楽曲を構築していく。
Myriam Bleau ‘Soft Revolvers’ (short) | General Rehearsal, Act II.
このような作品が生まれるためには何を考え、何を学ぶ必要があるだろうか?
様々な芸術様式の中で、人類の祖先がまだ言葉を持つ前に、どこかの洞穴で何かのコミュニケーションを行おうとしたことにまで遡れば最古の様式であるとも言える音楽は、20世期には世界最大のマーケットをラジオやテレビ、レコードやCDと言ったメディアと癒着して獲得した「最も多くの人々に影響を与えた(それが自覚的/無自覚的、どちらにしても)芸術様式」だと言えるだろう。21世紀になりそのメディアのあり様が代わりまた音楽の形式も替わろうとしている。コンピューター、AIなどの道具立てはもちろん今現在進行形で人類が経験してる「疫病による災害」による生活様式の変容、こう言った物事が音楽のあり様を変えていくのは歴史が証明している。また、西洋音楽史(所謂クラシック音楽)とポピュラー音楽のその歴史は、どちらも「様式の確立、発展、拡張、逸脱」という形を取っていると考えた時に、21世期の1/5が過ぎようとしてる今、まさに「新しい様式の確立」が音楽に起こっている。
上記のパフォーマンスを要素として分解すると、音楽というものが音の繰り返しと変化によって作られること、ある一定の規則の中で複数の音源が同期またはズレていくこと、抽象に閉じることなく物理の運動によって成り立っていること、そしてそれらの要素が人の手によりコントロール可能であること、などが挙げられる。加えるならば、それらを成立させるためのエンジニアリングスキルを持っていること。そして、最も重要なことは、このパフォーマンスで生まれている音楽がレコードなどのメディアや、音楽を表現するにあたって必要な身体を思い起こさせる「演奏」であること。
この様に、誰もが親しめる芸術様式でありながら常に変容の先端を走る音楽から「これからのリベラルアート」を考えるには、音楽家だけではない「クリエーター」のための開かれた議論や学びの場が必要だ。
私たちの「これから」のことを、音楽のテーマとしてだけでなく、またはエンジニアリングのテーマとしてでもなく、あるいは学術的なテーマとしてでもなく、統合された「これからの音楽/アートの作り方」として、学び、議論し、実践する場を広く人々に開くこと、が私たちの目指していることである。
Overview
音楽やエンジニアリングのノウハウの提供としてSignal compose、場所の提供や場のオーガナイズとしてFabCafe、二つのチームが一緒になり、新しい音楽の作り方を学び、共に探究し合う場を作っていくことが、この企画の趣旨となります。
「School」として音楽とエンジニアリングを並行して学ぶカリキュラム、「Lab」として参加者それぞれの動機に基づく発表や教え合いの場、「Live」としてそれらの成果を外に披露する場を作ります。またそれらのことが、どのように社会的な役割を果たすのかをブログや公開イベントを通して発信し、音楽外の領域とも関係を作ることで、サスティナブルな活動として運営します。
音楽とその構造・ツール
同様の趣旨のスクールやハッカソン、イベントなどは、これまでも多数行われてきましたが、いずれも単発的な活動として、点で見えている印象を持ちます。長期的に線で見えてくる活動の場を作ることが、この企画の目指しているところです。
Signal composeについて
2018年に、情報科学芸術大学院大学に学ぶ有志によって設立される。2019年4月にはシグナル・コンポーズ株式会社として法人化。社内外の専門的技術・知識・独創性を持つメンバーによって駆動するクリエイティブチームとして、音楽・映像・ソフトウェア・ハードウェアといった各々の感興から、様々な取り組みを行っている。2020年7月からは大石桂誉、森田了を取締役に迎える。
FabCafeについて
「Fab」という言葉には、大量生産やマーケットの論理に制約されない「FABrication(ものづくり)」と「FABulous(愉快な、素晴らしい)」の2つの意味が込められて います。FabCafeは、その”Fab”スピリットをおいしく、楽しく、わかりやすく伝え、そして広めていく場所です。カフェとしてだけでなく、様々な異分野のクリエーターが集まるコミュニティとしても、多くの方に利用されており、その繋がりを生かした企業との商品開発など、FabCafeを中心とする様々なプロジェクトが生まれています。
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名称
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ALMF:これからのリベラルな音楽のためのアカデミー
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概要
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これからの音楽の学び方と開かれた探究をするコミュニティ
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オーガナイザー
ALMFのイベント情報などを配信します。ご参加お待ちしています。
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大和 比呂志 / dropcontrol
Signal compose 代表
音楽家、エンジニア
IT会社、米国ベンンチャー企業などでの職務経験を経て、30代半ばにデザイン会社)を起業。初代CEO、テクニカルディレクターを務める。また、ジャズ理論・テナーサックスを菊地成孔に、ギター演奏を小川銀次、市野元彦に師事する。
2016年4月から情報科学芸術大学院大学[IAMAS]にて三輪眞弘に師事し、リズムに関する研究で2018年3月に修士(メディア表現)を取得。2019年4月よりシグナル・コンポーズ株式会社を主幹。同年9月から慶応義塾大学SFC後期博士課程にも所属。情報科学芸術大学院大学特別非常勤講師
音楽家、エンジニア
IT会社、米国ベンンチャー企業などでの職務経験を経て、30代半ばにデザイン会社)を起業。初代CEO、テクニカルディレクターを務める。また、ジャズ理論・テナーサックスを菊地成孔に、ギター演奏を小川銀次、市野元彦に師事する。
2016年4月から情報科学芸術大学院大学[IAMAS]にて三輪眞弘に師事し、リズムに関する研究で2018年3月に修士(メディア表現)を取得。2019年4月よりシグナル・コンポーズ株式会社を主幹。同年9月から慶応義塾大学SFC後期博士課程にも所属。情報科学芸術大学院大学特別非常勤講師
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Ryo Morita
Signal compose
1995年生まれ、東京都出身。
東京音楽大学作曲指揮専攻(作曲)卒業。同大学音楽学課程修了。情報科学芸術大学院大学[IAMAS]メディア表現専攻修了。
作曲を糀場富美子、西村朗、植田彰、喜久邦博に、指揮を三原明人に師事。
作曲のみならずコンサートのフライヤーデザイン、イラスト制作、イベント企画など多方面で活動する。
大学在学中からインドネシアの民族音楽「ガムラン」の演奏・研究も行っており、IAMASでは三輪眞弘に師事し、 ガムランから着想を得た音楽作品「Sar/on rails」を制作した。1995年生まれ、東京都出身。
東京音楽大学作曲指揮専攻(作曲)卒業。同大学音楽学課程修了。情報科学芸術大学院大学[IAMAS]メディア表現専攻修了。
作曲を糀場富美子、西村朗、植田彰、喜久邦博に、指揮を三原明人に師事。
作曲のみならずコンサートのフライヤーデザイン、イラスト制作、イベント企画など多方面で活動する。
大学在学中からインドネシアの民族音楽「ガムラン」の演奏・研究も行っており、IAMASでは三輪眞弘に師事し、 ガムランから着想を得た音楽作品「Sar/on rails」を制作した。 -
Yoshitaka Oishi
Signal compose
1990年生まれ。
情報科学芸術大学院大学卒業。メディア表現修士(専門は可聴化)。
Twitterの通信データを可聴化して鑑賞者と一緒に演奏する作品を制作。大学では作曲をカール・ストーンに師事。
ただの「道具」を作るのではなく、今まで利用されてなかった性質や特性を別の方面に応用できないか、今とは違う価値や視点を提供できないかと思考錯誤中。
一部では leico という名で知られる。1990年生まれ。
情報科学芸術大学院大学卒業。メディア表現修士(専門は可聴化)。
Twitterの通信データを可聴化して鑑賞者と一緒に演奏する作品を制作。大学では作曲をカール・ストーンに師事。
ただの「道具」を作るのではなく、今まで利用されてなかった性質や特性を別の方面に応用できないか、今とは違う価値や視点を提供できないかと思考錯誤中。
一部では leico という名で知られる。 -
藤田 健介
FabCafe テクニカルディレクター
武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科卒。
プロバイダーのシステムエンジニアとして約6年間にわたり、CMSの開発や運用、カスタマイズに関わる。
市民の手による街づくりや、デジタルファブリケーションによる、制約にとらわれない物づくりに関心を持ち、ロフトワークに入社。現在は、機械学習やAI、テクノロジーを利用した表現などに関心を持ち、FabCafeディレクターとしてプロジェクトの進行やイベント運営を行っている。
武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科卒。
プロバイダーのシステムエンジニアとして約6年間にわたり、CMSの開発や運用、カスタマイズに関わる。
市民の手による街づくりや、デジタルファブリケーションによる、制約にとらわれない物づくりに関心を持ち、ロフトワークに入社。現在は、機械学習やAI、テクノロジーを利用した表現などに関心を持ち、FabCafeディレクターとしてプロジェクトの進行やイベント運営を行っている。