Event report
2023.1.24
FabCafe Nagoya 編集部
”宿題やったかフェス”の裏側に密着
9/3にFabCafe Nagoyaにて多くの方に気軽に「音楽を体験する/触れる、を思い出す場」として即興、インド古典音楽からDJのような現代の演奏スタイルまで、幅広いパフォーマンスが行われました。第2部では、空間に身体を没入させ映像演出を取り入れていくことで、第1部とは違う表情へ。
今回は、第2部の空間演出の裏側について取り上げます。プロジェクションマッピングを使ったアートディレクション/コンテンツデザインを得意とする松岡修平氏による空間演出でシームレスな映像空間へと変化したFabCafe Nagoya 。その空間がどのように生み出されたのか、裏側を松岡氏と共に解剖していきます。
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松岡 修平 | Shuhei Matsuoka
空間演出家 / Director
建築学科卒業後、映像制作/空間演出会社へ入社
現在はフリーで、展示場や店舗/イベントの空間演出のディレクター、映像・ CGクリエイターを務める。
プロジェクションマッピングを用いた空間演出を得意とし、見るほどに引き込まれる圧倒的なビジュアルと 川のせせらぎの様に心地が良く五感が研ぎ澄まされる様な空間を作り出す。また、フォトグラファーやVJなどの活動も行っている。
建築学科卒業後、映像制作/空間演出会社へ入社
現在はフリーで、展示場や店舗/イベントの空間演出のディレクター、映像・ CGクリエイターを務める。
プロジェクションマッピングを用いた空間演出を得意とし、見るほどに引き込まれる圧倒的なビジュアルと 川のせせらぎの様に心地が良く五感が研ぎ澄まされる様な空間を作り出す。また、フォトグラファーやVJなどの活動も行っている。
夜に魅せる新たなFabCafe Nagoyaへ
第1部は挑戦的であったり普段の生活では触れる機会の少ない音楽に生で触れられる機会を作り、第2部ではクラブカルチャーに根ざしたプレイヤーをビートメイカーという視点からキュレーションをおこないました。中でも、第2部のステージでは、スクリーンをバックに映像を空間に溶け込ませるインスタレーションを展開しました。DJやパフォーマンスを行うステージの前後にレイヤー状に重なり合うスクリーンを配置。プロジェクターによって投影された映像により、イマーシブな空間に身体が漂う体験が生み出され、普段のFabCafe Nagoyaとは全く違う表情に。会場はサウンドと映像空間によって心と身体が会場と一体となって自然と揺れ動く演出となりました
松岡さんの空間演出にかける思いとは
プロジェクションマッピングを中心としたアートディレクションやコンテンツデザインをおこなっている松岡修平氏に空間演出をプロデュースしていただきました。
1部から2部へのシームレスさを基調としたイメージ、特に2部ステージではFabCafe Nagoyaをクラブへと変化する演出を取り入れたいといったお話しをいただきました。今回はそんな松岡氏にインタビューし、より深くイベントについての思いを語っていただきました。
今回の構想にあたった経緯
松岡氏:今回のお話しと『宿題やったかフェス』のタイトルを聞いた時、まずイメージしたのは、学校で夏休みに出される『自由研究』でした。僕は夏休みの課題については、毎日やる計画をたてるものの、数日でほっぽりだし結局最終日にかけ込んで終わらせるタイプでした。僕以外にも同じような経験をしていた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで思いついたのが『駆け込み!夏の自由研究』というコンセプトです。
夏の終りに行われるイベントでもあり、皆で持ち寄ってなんとか宿題を終わらせようとする何故か楽しいあのなんとも言えないお祭り感。そして、みんなで自由研究を終わらせちゃおう!という一体感。全てがきれいに完成してなくてもいい、なんかしてるなという実験的なコンテンツと空間であると面白いだろうと思い今回の構想に至りました。
最初の構想
演出上のこだわりはありますか?
松岡氏:今回メインのエリアには網戸を使ったメッシュスクリーンを15枚天井の造作から垂らし、そこにマッピングによるVJ 演出を投影する手法で制作しました。 どの位置から見ても映像越しにパフォ ーマンスが見える様に、また隙間からスムーズに中に入っていける様な導線を確認しながら、スクリーンの配置を調整しました。実験的でありつつ、その場が一体的になっていくような空間になるようにしています。
疎に配置されたメッシュスクリーン
カフェからクラブへ姿を変える
DJブースでは映像と音楽に没入していく空間にしていくため、スクリーンが暖簾のように垂れ下がったスクリーンを何層にも重ねることでより没入感のある空間へと昇華しました。今回はアミッドスクリーンという灰色の張り替え用の網戸を使用することで、夜には暗さがマッチするため、映像のみが浮かんで見えるような空間を演出することができます。
また、疎にスクリーンを配置することでどの位置でも違った映像の広がりを体験することができます。
スクリーンに映し出された映像と空間によって、クラブカルチャーに扮した新たなFabCafeの表情を醸し出していました。
アミッドスクリーンを透過した映像が何重にも重なり、空間に浮いているように見える
実際にやってみてどうでしたか?
まずはこの度お話と機会をくださったFabcafe Nagoyaさん、ALMFの大和さん。準備から設営を手伝ってくれた斎藤さん、小沼さんありがとうございました。とても実験的なコンセプトをそのまま実行した様な空間とコンテンツでしたが、その中でも来てくださった皆さんが音楽と空間を楽しんでくださっていた様でよかったです。
今後の展望はありますか?
まず演出の面を言いますと、FabCafe内の空間の演出をもっと全体に広げつつ、どの位置でいてもメインの演出を始め、様々なコンテンツを楽しむことができ、それがFabCafe内の空間を自然と繋ぐ様な演出設計ができたらと思います。
また音楽フェスの展望としては、さらにはFabCafeの外の久屋大通を巻き込んだフェスができたらと。
特にFabCafeは目の前に陽の当たる大きな広場があるので昼は外で陽を浴びながら、夜は演出が加わり中と外で盛り上がると言った様なDayイベントなどとてもいいなと思います。
導線自体もワクワクを呼び込む演出に
FabCafe Nagoyaの機材スペースの前には飲み物がおける程度の小さなカウンターがあります、そこにドリンクが置かれ、機材を破損することが懸念材料としてありました。ですが、折角のイベントで”置いてはいけない”という制約をいれることは無粋なものとして、うまく演出に組み込む工夫をしました。スクリーンを設置し映像を投影することで、宿題やったかフェスのバナーを取り入れることでワクワクさせつつ、フェスへの没入感が生まれました。機材が壊れないようにする対策自体に映像を投影することで、安全面を確保しつつ、で尚且つ楽しめる導線に繋げる演出をおこないました。
また、投影スクリーンには、端材となった透明のビニールシートを用いることで、新たな付加価値を与えるFabCafeらしい試みとなりました。
カウンターのスクリーンをマッピングする様子
宿題やったかフェスのバナーにいる二人のキャラクターがアニメーションとしてマッピングされるようにワクワクした演出となりました。
オルタナティブスペースが持つ新たな可能性
宿題やったかフェスでは映像とサウンドが混ざり合う空間演出によってFabCafe Nagoyaの新たな一面を魅せる機会となりました。
こうしたカフェで、音楽やダンスのクラブカルチャーに触れる機会を設けることは、私たちに文化の営みを親しみやすくし、名古屋の土地のカルチャーを醸成していく上で必要になっていきます。特に名古屋では、「名古屋飛ばし」という言葉があるように、音楽を聴く機会が少ないと言われていることもしばしばあります。定期的に触れられる機会を増やしていくことで関係人口を増やし、名古屋におけるクリエイティブを寛容する土壌を育んでいきます。今回はそういった点でオルタナティブなスペースとして挑戦的且つ、新鮮な試みになったのではないでしょうか。松岡さんがお話されていたようにFabCafe Nagoya内だけでなく、外へと展開することでよりオープンにクラブカルチャーに触れる機会を持つ場として、今後もFabCafe Nagoyaはオルタナティブスペースとしての可能性を更にアップデートしていきます。
イベント概要
2022.9.3 (土) 12:00 – 22:00 1部:12:00-17:00、2部:18:00-22:00
会場:FabCafe Nagoya
オーガナイザー
主催: シグナルコンポーズ株式会社, ALMF:これからのリベラルな音楽のためのアカデミー
共催: オタイレコード, 専門学校名古屋ビジュアルアーツ, FabCafe Nagoya
空間演出: 松岡 修平 | Shuhei Matsuoka
STILL ALIVE 国際芸術祭「あいち2022」パートナーシップ事業
https://fabcafe.com/jp/events/nagoya/shukudai2022/
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FabCafe Nagoya 編集部
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