Event report
2025.6.17
東 芽以子 / Meiko Higashi
FabCafe Nagoya PR
それぞれが、それぞれの目的地を目指す、それぞれの物語
「未来」を、創り手の視点から表現すると
そう、言い換えられるんじゃないでしょうか?
そんな自律的な、誰かの物語と情熱に魅せられて
ひとり、またひとりと集う『あいちフューチャーフェス』
フェアに、自由に、仲間を鏡に
自分の本心を見つめ直す場所
未来を創るための自己探索に、どうやら終わりはないようです
無限の未来に出会える『あいちフューチャーフェス』レポート後編では
2日間を通して生まれた様々な感情や、それぞれの想いにフォーカスします
シバフヒロバでは、大人子供関係なく綱引きや椅子取りゲームなどに興じる姿が。遊びの中には“勝ち負け”があり、喜怒哀楽が生まれて誰もが素直なリアクションを返してしまいます。その声の、明るくて大きくて、楽しそうなこと!
2025年の『あいちフューチャーフェス』。2日目は午前から、FabCafe Nagoya目の前のシバフヒロバで、様々な遊び道具が設置されたプレーパークが賑わいを見せました。実は今回、金城学院大学国際情報学部の学生やOGたちと小さな共創が生まれたんです。大人に、普段なかなかできない“外遊び”を通してバイアス(先入観)について考えてもらったり、単純にリラックスしてもらいたい!という目的を持つ彼女らと意気投合したフェスメンバー。金城学院大とのコラボ企画として、ハンモックの設置や椅子取りゲームなどを実施しました。
「フューチャースクール」では“どう立ち直るか”が話題に。紆余曲折の人生を乗り越えてきたイノベーターから、自分自身で人生を“正解”にしていくという金言が。「人生の物語は学校では学べない。前向きになれるヒントをインプットできた」といった高校生からの感想も聞かれました。
2日目のプログラムは、愛知県出身のイノベーターとキャリアパスを考える「フューチャースクール」、参加者が未来に向けて行動していることや、その想いをシェアする「クロスピッチ」がメインイベント。それ以外にも、高校生たちによる陶芸体験や大学生による動画制作体験、そして、初日のディスカッション(防災)で得た知識を“噺”に仕立て落語でPRするという試みも。様々なインプット・アウトプットが同時進行。そして、それぞれが、それぞれの興味の赴くままに行動するというダイナミズムに、多くの人が「主催者が誰かわからない(くらい全員が積極的に動いている)」と口にするほどでした。
そんな空気感は、どうやって生まれたのでしょう…?
それぞれが、それぞれらしく、自律的に動く。その言葉を体現したかのような出来事がありました。イベントの傍らで、最初はなんとなく雑談していた参加者が、1人また1人と声をかけ合って、予定にないディスカッションを始めたんです。「大切にしている価値観」がテーマのディスカッションを覗くと、参加者の飾らない本音を聞くことができました。
名刺を渡して自己紹介するのに腹が立ってきて。みんなが何をやってきたかの実績を語り合うんじゃなくて、私は肩書き抜きで目の前の相手と話したい。そんな“キラキラ”した繋がりはウザい!と感じてしまった(笑)。
怒るとか哀しいという感情はネガティブに捉えられるけど、それも自分のその時の状態。こういう場でも、もっと共有していいと思う。
属性を問わず多様な人が集まる空間。多様性を歓迎し互いに尊重しあう中で、自然と心理的安全性(安心して発言できる状態)が確立する。だから、相手を鏡に自分らしくいられ、自己探索が深まる。そんな好循環が、フェスのダイナミックな自律性をつくり出していたように感じました。
フェスの場で自己探索を繰り返す。そんな姿はこんなところでも見られました。毎年参加してくれている東海高校ビジネス愛好会。今回は、愛知商業高校ユネスコクラブ、瀬戸工科高校と連携して、継承が困難な伝統工芸・瀬戸物の魅力をPRすることに。企画した陶芸体験は予定枠を完売し大盛況となりました。ですが、高校生メンバーたちは少しだけ物足りない様子。大人の期待に応えること。自分たちの本当にやりたいこと。本業と時間的制約。イベント企画に真剣に向き合った中で、様々な感情が湧いてきたのではないのでしょうか。そんな想いと、また来年も向き合っていく。フェス終了後、それぞれの決心をこんな風に話してくれました。
今回は、反省も含めて学びがありました。来年に向けていろんな人と交流できたことはよかった。新たに挑戦したいこともできたし、次に繋げていきたいです。
陶芸体験が完売したのが嬉しかったです。その分だけ、瀬戸の伝統工芸を知ってくれる人が増えたんだ、と実感しています。
今回の企画は初めての試みだったので、意図をどう伝えるのかや各方面との調整が大変でしたが、当日、企画をまとめ上げ運営できたことに達成感を感じています。次回の企画は、活動目的をもっと明確にして、それぞれが本当にやりたいことを縛り込めたらいいなと思います。
日本の食料自給率を案じ天然塩づくりを始めた人。オリジナルアニメの制作支援プラットフォームを立ち上げた人。ギフテッド傾向の子供と親を支援する人…。フェスを振り返ると、確かに、ユニークに未来を描く創り手の物語は印象的でした。一方で、同じくらい印象深かったのは、“等身大”をありのまま話してくれた参加者の言葉の尊さ!
公務員ですが、プライベートでは“カタく”ないことがしたくて、ガチャガチャを製作したり、有機野菜のイベントを開いたり、バイオリンにチャレンジしています。人生の迷子で、フェスに辿り着きました。
才能溢れる方や、未来に向けて既に動き出している方が多くて、自分って何が言えるの?とモジモジして自己紹介できなかったんです。でも、そのうちに、私も一緒に何かできるかもと思わせてくれる心理的安全性があって。誰かすごい人に憧れて終わりではなく、自分も何かできるかもと思わせてくれた場でした。
今はまだ、明確な未来を描けないかもしれない。それでも、誰かの話しに耳を傾けたり、フェスという場所に参加してみることは、未来への着実な一歩。そんな自分の小さな意志や選択が、この先の出会いや、ひらめきをもたらしてくれるかもしれない。
どんな未来を生きたいですか?
そのために、あなたにはどんな可能性があるんだろう?
では、今からしたいことは…?
まずは、自問してみる。『あいちフューチャーフェス』は、そんな人たちを歓迎します。
Photo © 2025 Kana Kurata
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一般社団法人あいちフューチャーフェス
あいちフューチャーフェスは、「あいちに世界とつながる未来体験&未来想像の場を創り出す挑戦 -無限の未来に出会える、新しいお祭り-」をコンセプトとして2020年にスタートしました。現実世界の忙しさの中で失いつつある「未来への大切な問いに向き合う場」を目指す、誰もが楽しく参加できるお祭りです。毎年毎年、世界中・日本中の未来への挑戦者が愛知県に集結します。国境・地域・業界・会社の垣根を超えた社会的イニシアチブとして運営しており、誰もが運営にも参加でき、みんなで共に創っていく、未来型のお祭りです。
あいちフューチャーフェスは、「あいちに世界とつながる未来体験&未来想像の場を創り出す挑戦 -無限の未来に出会える、新しいお祭り-」をコンセプトとして2020年にスタートしました。現実世界の忙しさの中で失いつつある「未来への大切な問いに向き合う場」を目指す、誰もが楽しく参加できるお祭りです。毎年毎年、世界中・日本中の未来への挑戦者が愛知県に集結します。国境・地域・業界・会社の垣根を超えた社会的イニシアチブとして運営しており、誰もが運営にも参加でき、みんなで共に創っていく、未来型のお祭りです。
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東 芽以子 / Meiko Higashi
FabCafe Nagoya PR
新潟県出身、北海道育ち。仙台と名古屋のテレビ局でニュース番組の報道記者として働く。司法、行政、経済など幅広い分野で、取材、撮影、編集、リポートを担い、情報を「正しく」「迅速に」伝える技術を磨く。
「美しい宇宙」という言葉から名付けた愛娘を教育する中で、環境問題に自ら一歩踏み出す必要性を感じ、FabCafeNagoyaにジョイン。「本質的×クリエイティブ」をテーマに、情報をローカライズして正しく言語化することの付加価値を追求していく。
趣味はキャンプ、メディテーション、ボーダーコリーとの戯れ。
新潟県出身、北海道育ち。仙台と名古屋のテレビ局でニュース番組の報道記者として働く。司法、行政、経済など幅広い分野で、取材、撮影、編集、リポートを担い、情報を「正しく」「迅速に」伝える技術を磨く。
「美しい宇宙」という言葉から名付けた愛娘を教育する中で、環境問題に自ら一歩踏み出す必要性を感じ、FabCafeNagoyaにジョイン。「本質的×クリエイティブ」をテーマに、情報をローカライズして正しく言語化することの付加価値を追求していく。
趣味はキャンプ、メディテーション、ボーダーコリーとの戯れ。