Event report

2026.2.27

多様な関係性の中でつながっていく岐阜の未来

「GIFT NIGHT Part.2」を振り返る

“岐阜とのギフトを考える夜”を再び

岐阜には、長い時間をかけて育まれてきた歴史や文化、そしてそこで暮らす人々が時間をかけて育んできた数々の「ギフト」があります。それらは岐阜ならではの個性となり、これまで岐阜という地、そしてそこに息づく産業や生活を発展させてきました。

昨年、大盛況のうちに幕を閉じた「GIFT NIGHT」の第二夜「GIFT NIGHT Part.2 岐阜とのギフトを考える夜」は、そんな岐阜のこれまでの営みをあらためて見つめ直し、これからの岐阜と自分なりの関わり方に思いを巡らせる場として、2026年1月27日、名古屋・FabCafe Nagoyaで再び開催されました。今年も120名以上もの人が集まった「GIFT NIGHT」。その模様をレポートします。

岐阜の話を、あえて岐阜の外で

乾杯のオープニングトークでは、三星グループ代表の岩田真吾さんと、FabCafe Nagoya代表の矢橋友宏が、この夜のテーマについて語りました。

話題にあがったのは、岐阜の地理的な特徴です。
日本海と太平洋のあいだに位置し、東西南北をつなぐ場所として発展してきた岐阜。古くから人やモノ、文化が行き交う“結節点”としての役割を担ってきました。

だからこそ、岐阜のことを岐阜の中だけで語るのではなく、あえて岐阜の外で語ってみる。
岐阜をよく知る人も、これから関わる人も交わることで、内側だけでは見えにくかった視点や関係性が立ち上がっていく。
そんな想いが、この夜のはじまりに共有されました。

「住む」「食べる」「働く」それぞれの視点から

「ぎふとラジオ」と題したトークセッションのコーナーでは「住む」「食べる」「働く」それぞれの視点から岐阜の過去から現在、そして未来について紐解かれました。

住むこと|地理と多様性が重なり合う場所としての岐阜

ナビゲーター / 長縄尚史さん(岐阜株式会社 代表取締役)

スピーカー / 出村嘉史さん(岐阜大学 社会システム経営学環 教授)、大山徹さん(中津川市 リニア都市政策部 都市計画課 主査)、井上彩さん(株式会社飛騨の森でクマは踊る 取締役)

「住むこと」のセッションでは、岐阜という土地がどのように成り立ち、どんな役割を担ってきたのか、そしてそんな中でどんな産業が育まれてきたのかが語られました。
一つの「岐阜」という言葉では括りきれない、多様な地域性や背景が共存していること。
その重なり合いこそが、岐阜の面白さであり、これからの可能性でもあることが共有されました。

食べること|文化と誇りが循環する「食」

ナビゲーター / 新井みなみさん(白川ワークドット協同組合 事務局長) 

スピーカー / 興膳健太さん(猪鹿庁 長官) 、伊藤和徳さん(和ごころ農園 代表)、杉本稜太さん(Umai Japan株式会社 代表取締役)

「食べること」のセッションでは、農や狩猟、地域の食文化を通して、食が単なる消費ではなく、文化や誇り、関係性の循環として存在していることが語られました。
数字や効率だけでは測れない価値が、日々の営みの中に息づいていることを感じさせる時間でした。

働くこと|産業を守るだけでなく、続けていくために

ナビゲーター / 秋元祥治さん(岐阜市活性化研究所 所長 / 武蔵野大学 教授) 

スピーカー / 伊藤祐輝さん (株式会社カネコ小兵製陶所 代表取締役社長)、寺田幸代さん(テラダ和紙工房 手すき和紙職人)、熊田征純さん(ニッケンかみそり株式会社 常務取締役)

「働くこと」セッションでは、伝統産業やものづくりの現場から、産業をどう続けていくかという実践例が紹介されました。
変えるものと、変えないもの。効率や規模だけではなく、自分たちなりのやり方で価値を届け続ける姿勢が印象に残ります。

ぎふスタートアップMeetUp|岐阜から広がる挑戦

スピーカー / 夏目一輝さん(株式会社artkake CEO)、大森美紀さん(株式会社Nocnum 代表取締役)、小池雄大さん(ALTERNATIVE ENERGY JAPAN株式会社 代表取締役)

続くぎふスタートアップMeetUpでは、岐阜を起点に事業を展開するスタートアップ企業から取り組んでいる事業が紹介されました。

アートの価値を新しいかたちで社会に届ける取り組み、
地域のインフラや資源循環を支える技術、
畜産や廃棄物といった課題をエネルギーへと転換する挑戦。

分野は異なりますが、いずれも岐阜という文脈を足場にしながら、県内外、さらにはその先へとつながっていく可能性が開かれていました。

会場に広がる、岐阜の空気

ぎふとラジオと並行して、会場では岐阜の食材を使ったパーティフード、そして各地の酒蔵から集まったお酒たちも。
岐阜の日本酒やクラフトビールにクラフトジン、鹿肉や岩魚や果物を使った料理がテーブルに並び、参加者同士の会話も自然と弾みます。

登壇者と参加者、初めて会う人と久しぶりに再会した人。
肩書や立場、所属を超えて、「岐阜」というキーワードを囲みながら言葉を交わす光景は、このイベントならではのものです。

トークを聞くだけでなく、味わい、話し、場を共有する。
そんな時間の積み重ねが、今年もGIFT NIGHTの空気をつくっていました。

挑戦する人、支える人。それぞれの関わり方がつくる岐阜の未来

ナビゲーター / 矢橋友宏(株式会社FabCafe Nagoya 代表取締役) 

スピーカー / 長縄尚史さん(岐阜株式会社 代表取締役)、新井みなみさん(白川ワークドット協同組合 事務局長)、秋元祥治さん(岐阜市活性化研究所 所長 / 武蔵野大学 教授)

最後のセッションでは、ナビゲーターの皆さんがこれまでの話題を振り返りながら、「岐阜の未来」について語り合いました。

ここで繰り返し語られたのは、前に立つ人だけでなく、それを支える人の存在です。
挑戦する人、応援する人、現場を支える人。
お互いの存在を尊重し、違いをパワーに変え、顔の見える関係を丁寧に紡いでいく。
そうして多くの役割が重なり合うことで、産業や地域は持続していきます。

また、岐阜との関わり方は一通りではなく、移住するだけがゴールではない捉え方も共有されました。行き来すること、関わり続けること。
それぞれの距離感でつながりが続いていくということ自体が、大きな意味を持つのかもしれません。

岐阜とのギフトは、今日も続いていく

この夜、「岐阜とのギフトとは何か」という問いに、明確な答えが示されたわけではありません。けれど、参加した一人ひとりが、岐阜との関わり方を少し立ち止まって考える時間になったのではないでしょうか。

これまでのつながり。
これから生まれるかもしれない関係性。
自分にできる小さな関わり方。

そうした一つひとつ異なる関係性を丁寧に積み重ねていく地道な実践の先で、結果として岐阜への「ギフト」になっていく。
GIFT NIGHTは、そんなことを静かに感じさせてくれる一夜でした。


編集後記|日常に戻った先で静かに動き出すもの

今年のGIFT NIGHTの参加者の方々とお話しする中で、「昨年のイベントをきっかけに、後からプロジェクトが立ち上がったんです」という声を聞きました。

お酒も入り、リラックスした雰囲気の中で岐阜について語り合うGIFT NIGHT。
その場ですぐに形になるようなマッチングは、決して多くないかもしれません。

けれど、何気ない会話や共感の余韻が、時間をかけて育ち、イベントが終わったあとに、ふと再び動き出す。そんな関係性が、このハレの夜から帰ったケの中で生まれていることを知りました。

この夜に交わされた言葉や感覚が、それぞれの場所で芽吹き、やがて岐阜の産業や未来へとつながっていく。今年のGIFT NIGHTもまた、そんな遅効性の “Gift” を残してくれたのではないでしょうか。

+ 共催 +

ぎふスタートアップ支援コンソーシアム(公益財団法人岐阜県産業経済振興センター)

株式会社FabCafe Nagoya

+ 協力 +

食材:family農園watanabe, 猪鹿庁, 川の家おさか, ノリタケ株式会社, 和ごころ農園

お酒:奥飛騨酒造, 武内酒造, 日本泉酒造, はざま酒造, 船坂酒造, 農LAND BEER, MAWSIM((株)サンウエスパ)

グラフィック:株式会社GOCCO.

写真:野村優(NOMY)

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