Event report

2025.6.15

櫓(やぐら)を囲み自律的に繋がるカルチャーとは?

前編:『あいちフューチャーフェス’25』開催リポート

どんな未来を生きたいですか?

そのために、あなたにはどんな可能性がありますか?

…では、今からしたいことは?

ひとりひとりが、こんな問いを頭の片隅に置き

隣“同志”と繋がってフェアな対話を始めたら

それぞれの「今、思うこと」がパッと咲き始めました

さあ、何からとりかかろう?

無限の未来に出会える『あいちフューチャーフェス』

2025年は、新時代らしいユニークなカルチャーが定着し始め

たくさんの参加者が自分の現在地について考えるキッカケを得ました

世代・ジェンダー・国籍などに関係なく、誰の心にも響く本質を問い

自身の本心と向き合うことのできるフェスとは一体どんな場所なのか?

前・後編のレポートで、その秘密に迫ります!

好きなドリンクを片手に、相手とフラットに対話できるカフェならではの雰囲気からか、会場のそこここでは初対面の参加者同士が自然と繋がり、会話の生まれる様子が見られました。

「あいちに世界と繋がる未来体験と未来創造の場を創り出す」をコンセプトに、FabCafe Nagoyaで、毎年5月末に2日間の日程で開催され、今回で5回目を迎えた『あいちフューチャーフェス』。初日のオープニングは立ち見も出る賑わいで、聞けば、その半数は初参加。コロナ禍に、オンラインでわずか数名が集まりスタートしたフェス。共感の輪が着実に広がっている背景を探ると、SNSでフェスを知ったという参加者からはこんな声が。

自分と未来の可能性を考えるという本質的なテーマに興味を持ちました。でも、知り合いがいなくて。今日参加できたのは、ふらりと立ち寄れるカフェが会場だったことも大きいです

フェスのプログラムは、テーマ別(教育・まちづくり・防災)のディスカッションに加え、愛知県出身のイノベーターとキャリアパスを考えるセッションがメイン(プログラムの詳細は、2024年のレポート前編後編を是非ご参照ください)。

今年は新たに、参加者が未来に向き合う想いをシェアするクロスピッチが加わって、ダイナミックな2日間がスタートしました。

「初参加なので、まずは様子を見てみたい。」そんな参加者にも気兼ねなく楽しんでもらえるよう、フェスでは全てのプログラムへの出入りが自由。いつ立ち寄っても帰っても、発言してもしなくても、もちろんOK。本当のお祭りでは、踊り出す人、様子見の人…人の気分は様々だけれど、櫓(やぐら)の周りに火が灯り注目を集める。そんな雰囲気を模して、中心で話したい人、外側から聞いていたい人等々が同じ空間を共有できる、何重かの輪の車座がつくられました。話題提供者としてのゲストスピーカーはいれど演壇はなく、全ての参加者の目線が揃ったところでディスカッションがスタートします。

フェスの第二会場となった高層ビル・アーバンネット名古屋ネクスタからは、名古屋市中心部の街並みが一望できました。開放感ある空間で、未来のまちづくりについてのディスカッションにもリアリティがありました。

祭りの“櫓(やぐら)”に人が集まると、どんな化学反応が生まれるのでしょう。

「まちづくり」をテーマとしたディスカッションで様子を伺うと…まず、ゲストスピーカーである、デンマーク・ロスキレ大学でスマートシティについて研究する安岡 美佳さん、名古屋鉄道株式会社で名駅スーパーモビリティハブ構想の実現を推進する加藤 祐司さん、そして、名古屋市内外のプレイヤーを巻き込み産業面でのコミュニティづくりを支援する名古屋商工会議所の榊原 拓馬さんが議論をリード。一方、ビジネスパーソン、教員、主婦、起業家、自治体職員etc、様々な肩書きを持つ参加者は、旅先で見た理想的な街並みについて語り出したり、子供たちの可能性を最大限に引き出せる仕組みを模索したり。「未来のまちづくりとは?」という正解のない問いだからこそ、ディスカッションの筋書きや、意見の正否・評価は一切なし。目線が重なり合う“櫓(やぐら)”を囲み、わずか1時間程度で醸成されたフランクかつ自由な雰囲気の中、論点は発言者の引力に応じて次々と入れ替わっていきます。そして、結論はないままタイムアップ。参加者から聞こえた声は…

正解や解決方法が見つからず、ディスカッションに決着がつかないのは“気持ち悪い”。それでも、誰かの発言からヒントがもらえたり自分の考えを問い直すキッカケになりました。むしろ、それが目的だったのかも!

普段のミーティングは時間がキチキチ決まっていることが多い。アジェンダがあるようでない“ゆるい”感じのディスカッションには不慣れでしたが、それぞれの目線で話していると、案外テーマへの理解が深まっていく気がしました。意外に深掘りできたのは仕込まれた“余白”のせいだったのかな。

フェスでは、休憩中、そして、初日のプログラムを終えてもなお、会場で対話し続ける参加者が多く見られました。その様子を観察し会話に耳を傾けていると、ふと、こんなことに気がつきました。

『多くの人が、相手からの“テイク”ではなく、自身が“ギブ”できる何かを探している…?』

というのも、談笑している多くの参加者が、相手の言葉に実に丁寧に耳を傾けているんです。確かに名刺交換をし、自身のプロフェッションや経験を語るところから会話は始まっている様子。でもその後、決して表面的ではない、時間をかけた丁寧な言葉がやりとりされている。そんな印象を強く受けました。その何人かにお話を聞くと…

ゴールや目的に縛られる以外のところで、人と自律的に繋がれる面白さを感じています。それぞれの専門性を越えた人としてのシナジーがある。フェスは、ビジネスのような縦の関係でなく、横・斜めの、関係をつくることができる令和のお祭りですね。

今日知り合った誰かが、今後こんなことをしたいから相談にのって欲しいとか、こんな助けが欲しいとか、何かにチャレンジしたい時に応えられる存在でありたい。フェスでは、それぞれの想いを持った人たちが思い思いに活動していて、繋がりが自律的だからこそ継続的な付き合いになる。今日受け取ったことは宝箱にしまわず、明日からどんどんチャレンジして、成功も失敗もシェアできるような関係性を築いていきたいです。

物語がある場所に人は集まってくる。フェスは、誰かが誰かに出会って、どう変わっていくのかの物語の集合体。ビジネスができるかもしれないし、誰かと誰かが結婚するというストーリーかもしれない(笑)。いろんな物語があるからこそ、そんな場所に自分を投影したくて、もっともっと情熱が集まってくるんじゃないかな。

愛知・名古屋にできた“櫓(やぐら)”に、未来を創るたくさんの物語と、たくさんの情熱が集まった2025年の『あいちフューチャーフェス』。一体、参加者は、どんな物語を自律的に紡ぎ出していたのか?後編では、2日間を通して生まれた様々な感情や、それぞれの想いにフォーカスします!

Photo © 2025 Kana Kurata

 

 

  • 一般社団法人あいちフューチャーフェス

    あいちフューチャーフェスは、「あいちに世界とつながる未来体験&未来想像の場を創り出す挑戦 -無限の未来に出会える、新しいお祭り-」をコンセプトとして2020年にスタートしました。現実世界の忙しさの中で失いつつある「未来への大切な問いに向き合う場」を目指す、誰もが楽しく参加できるお祭りです。毎年毎年、世界中・日本中の未来への挑戦者が愛知県に集結します。国境・地域・業界・会社の垣根を超えた社会的イニシアチブとして運営しており、誰もが運営にも参加でき、みんなで共に創っていく、未来型のお祭りです。

    あいちフューチャーフェス 公式サイトを見る

    あいちフューチャーフェスは、「あいちに世界とつながる未来体験&未来想像の場を創り出す挑戦 -無限の未来に出会える、新しいお祭り-」をコンセプトとして2020年にスタートしました。現実世界の忙しさの中で失いつつある「未来への大切な問いに向き合う場」を目指す、誰もが楽しく参加できるお祭りです。毎年毎年、世界中・日本中の未来への挑戦者が愛知県に集結します。国境・地域・業界・会社の垣根を超えた社会的イニシアチブとして運営しており、誰もが運営にも参加でき、みんなで共に創っていく、未来型のお祭りです。

    あいちフューチャーフェス 公式サイトを見る

Author

  • 東 芽以子 / Meiko Higashi

    FabCafe Nagoya PR

    新潟県出身、北海道育ち。仙台と名古屋のテレビ局でニュース番組の報道記者として働く。司法、行政、経済など幅広い分野で、取材、撮影、編集、リポートを担い、情報を「正しく」「迅速に」伝える技術を磨く。

    「美しい宇宙」という言葉から名付けた愛娘を教育する中で、環境問題に自ら一歩踏み出す必要性を感じ、FabCafeNagoyaにジョイン。「本質的×クリエイティブ」をテーマに、情報をローカライズして正しく言語化することの付加価値を追求していく。

    趣味はキャンプ、メディテーション、ボーダーコリーとの戯れ。



    新潟県出身、北海道育ち。仙台と名古屋のテレビ局でニュース番組の報道記者として働く。司法、行政、経済など幅広い分野で、取材、撮影、編集、リポートを担い、情報を「正しく」「迅速に」伝える技術を磨く。

    「美しい宇宙」という言葉から名付けた愛娘を教育する中で、環境問題に自ら一歩踏み出す必要性を感じ、FabCafeNagoyaにジョイン。「本質的×クリエイティブ」をテーマに、情報をローカライズして正しく言語化することの付加価値を追求していく。

    趣味はキャンプ、メディテーション、ボーダーコリーとの戯れ。



FabCafe Newsletter

新しいTechとクリエイティブのトレンド、
FabCafeで開催されるイベントの情報をお伝えします。

FabCafeのビジネスサービス

企業の枠をこえて商品・サービスをともに作り上げていく
FabCafeのオープンイノベーション