Event report
2023.1.19
東 芽以子 / Meiko Higashi
FabCafe Nagoya PR
名曲は、なぜ“カッコいい”?
聞いた瞬間に耳に残るリズムや、ふと口ずさんでしまうメロディー…そんな強い記憶となって私たちを魅了する“神なる”名曲は、どうして“カッコいい”んだろう?
FabCafe Nagoya 2023年最初のイベントは、そんな疑問を音楽のプロフェッショナルが目の前で演奏しながら解説 & 解決してくれるという、贅沢な機会となりました。
スピーカーとして登壇したのは、数々の有名ミュージシャンの楽曲・ツアーに参加するジャズ・ピアニスト&シンセシスト、坪口昌恭さん。坪口さんの著書『神曲のツボ!「カッコいい」の構造分析』が出版されたことを記念して開かれた本イベントには、坪口さんのファンや音楽クリエイターなどが駆けつけ、会場はいつも以上に熱気に包まれました。
ジャズ・ピアニスト&シンセシスト 坪口昌恭さん
坪口さんが解説してくれたのは著書で紹介されている4曲に加えて、本イベントのためだけのスペシャル解説2曲も合わせた6曲のラインナップ。
- チャーリー・パーカー「Confirmation」 ジャズ、クラシック、J-POPの驚きの関係
- きゃりーぱみゅぱみゅ「ファッションモンスター」 巧みなコードチェンジの魅力
- SMAP「Battery」 八分のズレが成すトリック
- マイルス・デイヴィス「Blue in Green」 オペラに着想を探る
- 【スペシャル①】 ビョーク「Human Behavior」 メジャーコードとマイナーコードの衝突
- 【スペシャル②】 ハービー・ハンコック「Succotash」 アフリカン・リズムで遊ぶジャズ
DJ・作曲機材などを販売し音楽全般に精通するOTAI RECORDの「ようすけ管理人」さんを聞き手に、例えば、一音ずつ下がるコード進行が聞き心地のよさを必ず生む「カノン進行」は、クラシックのみならずジャズやJ-POPのヒット曲にも多用されていることなど、実際の演奏を通して、音楽理論を分かりやすく深掘りしていきました。
思わず立ち上がってリズム解説をする坪口さん(写真右)と、聞き手のようすけさん(写真左)
中でも、坪口さんの熱弁がMAXとなったのが、ご自身の音楽人生で一番影響を受けたと話す ハービー・ハンコックの、名曲「Succotash」についての解説。
この曲は、拍の一致しない複数の異なるリズムが整合性を成す“ポリリズム”が特徴。4拍のうちに3つの音符を均等に入れる「4拍3連」のリズムで演奏されています。ポリリズムはアフリカの民族音楽に多く使われているため「これ以上アフリカの音楽で遊んでいるジャズを知らない」と坪口さんが力説するほど、大陸的なベースリズムにスタイリッシュなピアノの旋律が“効く”一曲。
そもそも、裸足で大地をジャンプしながらリズムを刻むアフリカでは、着地してすぐに音がしないことから、リズムのアクセントが拍頭の半拍後(裏拍)になるのでは…という考察を繰り広げた坪口さん。参加した皆さんは理解の“ツボ”がぐいぐい押され、納得に至ったのでした。
イベント終了後も、参加者からの質問に熱心に答えてくださった坪口さん。「音楽は音色が大切」で、聞いた時のフィーリングをまずは温めつつ、チャンスがあれば隠されたロジックにも興味・理解を持つことで音楽がより楽しくなるのでは…と話してくれました。
今年春には、ご自身のグループ、Ortance(オルタンス)のセカンド・アルバムもリリースされるとのこと。どんなトリックが散りばめられているのか…皆さん、チェックしてみてくださいね。
今回のイベントの様子を、聞き手の「ようすけ管理人」さんもレポートしてくれました。こちらもお楽しみください。
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坪口昌恭
ジャズ・ピアニスト&シンセシスト
ジャズとエレクトロニクスを共存させ、伝統と先鋭を股にかけ独自のキャラクターを放つピアニスト&シンセシスト、クリエイター。福井大学工学部応用物理学科卒業後87年に上京。
ミクスチャー・バンド〈Ortance〉(2023年6月に2nd Album「SCENERY」リリース)、エレクトロ・ジャズユニット〈東京ザヴィヌルバッハ〉、電化ピアノトリオ〈Radio-Acoustique〉主宰。キューバ勢ジャズメンとのNY録音リーダー作、ソロピアノ作、モジュラーシンセ作、ピアノトリオ・リミックス等自己名義のアルバムを20枚発表。映画『Lily』、アニメ『ReLIFE』の劇中音楽を担当。菊地成孔、原田知世、伊藤ゴロー、JUJU、小泉今日子、宇多田ヒカル、UA、大友良英ほか90枚以上のCDやツアーに参加。〈ex.DC/PRG〉〈akiko×坪口昌恭〉他で現在進行形のジャズやインプロヴィゼーションをアピールする一方、Barry Harrisメソッドの継承者としても後進の指導にあたっている。intoxicate他音楽誌への執筆多数。尚美学園大学/大学院ジャズ専攻主任教授。
ジャズとエレクトロニクスを共存させ、伝統と先鋭を股にかけ独自のキャラクターを放つピアニスト&シンセシスト、クリエイター。福井大学工学部応用物理学科卒業後87年に上京。
ミクスチャー・バンド〈Ortance〉(2023年6月に2nd Album「SCENERY」リリース)、エレクトロ・ジャズユニット〈東京ザヴィヌルバッハ〉、電化ピアノトリオ〈Radio-Acoustique〉主宰。キューバ勢ジャズメンとのNY録音リーダー作、ソロピアノ作、モジュラーシンセ作、ピアノトリオ・リミックス等自己名義のアルバムを20枚発表。映画『Lily』、アニメ『ReLIFE』の劇中音楽を担当。菊地成孔、原田知世、伊藤ゴロー、JUJU、小泉今日子、宇多田ヒカル、UA、大友良英ほか90枚以上のCDやツアーに参加。〈ex.DC/PRG〉〈akiko×坪口昌恭〉他で現在進行形のジャズやインプロヴィゼーションをアピールする一方、Barry Harrisメソッドの継承者としても後進の指導にあたっている。intoxicate他音楽誌への執筆多数。尚美学園大学/大学院ジャズ専攻主任教授。
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ようすけ管理人
OTAIRECORD OTAIAUDIO 代表取締役社長兼CEO、DMC JAPAN SUPER VISOR、IDA JAPAN SUPER VISOR、BEAT GRAND PRIX organizer
1975/11/15愛知県生まれ。A型。
愛知県北名古屋市にあるDJ機材作曲機材アナログレコードショップOTAIRECORDのCEO。自身が展開するYouTubeは計1,500万回を突破。更にはピュアオーディオショップOTAIAUDIOの責任者も務め、そして、2016年からOTAIRECORD MUISC SCHOOLを渋谷に開設。また2017年には名古屋大須にDJ SHOP LEBEN BY OTAIRECORDを出店。
イベンターとしては、世界最大の歴史を誇るDJ大会、DMC JAPANを2013年復活させ、それ以降SUPER VISOR運営に携わっている。2015年日本最大の作曲トラックメイクの大会BEAT GRAND PRIXを立ち上げ、また2017年には欧州を中心に人気を博しているIDA JAPANのSUPER VISORにも就任。
2021/7/1に鍵盤専門店/ピアノ教室ottoを秋葉原にオープン。2022/1には日本最大級のオンラインのピアノコンクール otto piano Concoursを設立した。
1975/11/15愛知県生まれ。A型。
愛知県北名古屋市にあるDJ機材作曲機材アナログレコードショップOTAIRECORDのCEO。自身が展開するYouTubeは計1,500万回を突破。更にはピュアオーディオショップOTAIAUDIOの責任者も務め、そして、2016年からOTAIRECORD MUISC SCHOOLを渋谷に開設。また2017年には名古屋大須にDJ SHOP LEBEN BY OTAIRECORDを出店。
イベンターとしては、世界最大の歴史を誇るDJ大会、DMC JAPANを2013年復活させ、それ以降SUPER VISOR運営に携わっている。2015年日本最大の作曲トラックメイクの大会BEAT GRAND PRIXを立ち上げ、また2017年には欧州を中心に人気を博しているIDA JAPANのSUPER VISORにも就任。
2021/7/1に鍵盤専門店/ピアノ教室ottoを秋葉原にオープン。2022/1には日本最大級のオンラインのピアノコンクール otto piano Concoursを設立した。
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東 芽以子 / Meiko Higashi
FabCafe Nagoya PR
新潟県出身、北海道育ち。仙台と名古屋のテレビ局でニュース番組の報道記者として働く。司法、行政、経済など幅広い分野で、取材、撮影、編集、リポートを担い、情報を「正しく」「迅速に」伝える技術を磨く。
「美しい宇宙」という言葉から名付けた愛娘を教育する中で、環境問題に自ら一歩踏み出す必要性を感じ、FabCafeNagoyaにジョイン。「本質的×クリエイティブ」をテーマに、情報をローカライズして正しく言語化することの付加価値を追求していく。
趣味はキャンプ、メディテーション、ボーダーコリーとの戯れ。
新潟県出身、北海道育ち。仙台と名古屋のテレビ局でニュース番組の報道記者として働く。司法、行政、経済など幅広い分野で、取材、撮影、編集、リポートを担い、情報を「正しく」「迅速に」伝える技術を磨く。
「美しい宇宙」という言葉から名付けた愛娘を教育する中で、環境問題に自ら一歩踏み出す必要性を感じ、FabCafeNagoyaにジョイン。「本質的×クリエイティブ」をテーマに、情報をローカライズして正しく言語化することの付加価値を追求していく。
趣味はキャンプ、メディテーション、ボーダーコリーとの戯れ。