まちの感性を、測る。語る。使いこなすリビングラボ

「なんかいいな、好きだな」「また来たくなる」「このまちには何かある」——

都市の魅力を語る言葉は、いつもそこで止まります。感覚はあるのに、言語にならない。言語にならないから、会議のテーブルに上げられない。上げられないから、設計や政策には届かない。

まち感性ラボは、その止まっている場所から始まるプログラムです。

都市には、数字に映らない価値があります。

昔から愛される商店街。いつも人で賑わう公園。思わず歩く速度を少し緩めてしまう路地。 それらは数値的な指標では測れないけれど、確かに何かが起きている大切な価値です。「まち感性ラボ」は、そうした言語化されにくい都市の魅力・価値を再発見し、観察可能な兆候として 扱うための実験の場です。

感性は一人の感覚に閉じると弱く、独りよがりになりやすい。でも、異なる立場や専門領域を持つ人たちが同じ対象を観察し、それぞれの経験を持ち寄って対話するとき、個人の主観は少しずつ社会的な知識へと変わっていきます。この考え方を、私たちはSensibility Urbanism(感性都市論)として、都市の価値を「人がその場所で何を感じ、どんな記憶や関係が立ち上がるか」という観点から捉え直しています。

まち感性ラボの位置付け

まち感性ラボのプロセスは、おおむね四つのフェーズで動きます。

まず、参加者が特定の都市・地域を実際に歩きます。ここでは分析より前に、 ただ感じることが優先されます。視線が自然に止まった場所、なぜか歩く速度が落ちた路地、声のトーンが変わった瞬間。そうした身体の反応が出発点になります。

次に、その観察を言語やスケッチ、写真で記録します。「なんかいい」という感覚を、 できるだけ具体的な観察に基づいて書き留める訓練です。感覚を言葉の形に近づけていく。

そして、参加者がそれぞれの記録を持ち寄り、共通する感覚と差異を対話します。 都市計画者が「交通量の問題」として見ていた場所を、地元の高校生が 「ここで友達と待ち合わせる、あの影が涼しいんです」と語る。専門家には見えていなかった 感性的な価値が、生活者の言葉によって現れる。その重なりが、単独では見えなかった 都市の層を浮かび上がらせます。

最後に、対話から浮かび上がった感性的価値を言語として整理し、地域の関係者・行政・ 事業者と共有します。観察したことが、次の設計や政策や対話の起点として返っていく。 これがまち感性ラボの往復です。

食体験・ものづくり・対話が同じ場所で重なるこの場所では、
大地性(土地の記憶・地形・生態)、歴史文化(積み上がった関係や職能)、 人の営み(今ここで繰り返される身体感覚)という都市の三層を日常的に観察できます。 新たな飲食体験の実践、対話を通じた都市の再解釈、五感を使ったまちあるきとの組み合わせなど、 感性的な都市体験を設計するプログラムを繰り返し実験してきました。

最初は「なんとなくいい」という言葉しかなかった人が、繰り返しを経て「滞在したくなる理由を 観察できるようになった」「この場所の歴史層が急に見えた」という変化を経験していく。その変化が、都市についての対話の質を変えます。感性都市論が目指しているのは、 巨大なシステムを一気に変えることではなく、都市の見え方を変える人と言葉を 少しずつ増やすことです。

まち感性ラボは、そのための往復の場です。

Outline

名称

まち感性ラボ

概要

まちの感性を、測る。語る。使いこなすリビングラボ

主な拠点

FabCafe Osaka

まち感性ラボへの参加・連携について

まち感性ラボは、以下のような形での参加・共同実施を受け付けています。

▷ まちあるき観察ワークショップへの参加
FabCafe Osakaを拠点に定期的に開催する公開プログラムです。都市・地域を歩き、感性的な経験を記述・対話・構造化するプロセスを体験できます。参加者は事前申込制です。

▷ エリア・プロジェクトへの導入相談
エリアマネジメント組織、都市開発事業者、公共空間の担当者、行政、研究機関など、特定のエリアや課題にまち感性ラボのプロセスを導入したい方からのご相談を受け付けています。

▷ 企業・団体との共同研究
新規事業開発、R&D、CSR、社員の感性開発など、企業・団体との共同プログラム設計も対応しています。

まずはお気軽にお問い合わせください。

Members

  • 小島 和人(ハモ)

    ロフトワーク プロデューサー/ FabCafe Osaka 事業責任者

    大阪府守口市生まれ。建築、デザイン、プランニング、アートと多分野で活動を重ね、多様な視点と未来を見立てる力を培う。アーティスト名「ハモニズム」の理念は、社会状況や人々の価値観が調和した未来を仮説し、チームで実験・実行を通じて形にすることにある。大阪では、まちづくりやエリアマネジメントに注力し、地域の文化・歴史・環境を活かした持続可能な都市モデルを提案。行政・企業によるトップダウンの構想と生活者・クリエイターによるボトムアップの活動を接続している。2025年4月オープン予定のFabCafe Osakaを拠点に、大阪・天満や南森町エリアで「アンフォルム」をコンセプトに、「都市とローカルの融合」を模索し、新たな都市の未来像を描く。

    大阪府守口市生まれ。建築、デザイン、プランニング、アートと多分野で活動を重ね、多様な視点と未来を見立てる力を培う。アーティスト名「ハモニズム」の理念は、社会状況や人々の価値観が調和した未来を仮説し、チームで実験・実行を通じて形にすることにある。大阪では、まちづくりやエリアマネジメントに注力し、地域の文化・歴史・環境を活かした持続可能な都市モデルを提案。行政・企業によるトップダウンの構想と生活者・クリエイターによるボトムアップの活動を接続している。2025年4月オープン予定のFabCafe Osakaを拠点に、大阪・天満や南森町エリアで「アンフォルム」をコンセプトに、「都市とローカルの融合」を模索し、新たな都市の未来像を描く。

  • 葉山 いつは

    株式会社ロフトワーク, マーケティング

    2001年奈良県生まれ。立命館大学経営学部経営学科を卒業後、2024年よりロフトワークに新卒入社。
    社会と個人の「ジレンマ」を解きほぐすため、ロフトワークのマーケティングを通して、領域や業種が異なる人達を巻き込み、繋げ、新たな対話が生まれる場のデザインを日々実践している。京都と大阪を往復し、呼ばれた場所には大概行く。半年に1回、アメリカンなクッキーを大量に焼く。

    2001年奈良県生まれ。立命館大学経営学部経営学科を卒業後、2024年よりロフトワークに新卒入社。
    社会と個人の「ジレンマ」を解きほぐすため、ロフトワークのマーケティングを通して、領域や業種が異なる人達を巻き込み、繋げ、新たな対話が生まれる場のデザインを日々実践している。京都と大阪を往復し、呼ばれた場所には大概行く。半年に1回、アメリカンなクッキーを大量に焼く。

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