Workshop

新しいモビリティをつくるオープンラボ – 地域コミュニティで育てるモビリティ

  • #開催終了

2019.2.21 (木)  UTC+09:00

19:00 – 21:00

FabCafe Kyoto (MTRL KYOTO) | Google mapで開く

15名

無料 (別途、カフェにて1オーダーをお願いしております。)

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開催終了

 
MTRL KYOTOより
本イベントは、大学・専攻の垣根を越えた研究者のチームが主催する、「新しいモビリティ」について考えるオープンなディスカッションの場です。

企画趣旨

新しいモビリティを作る研究を、大学や企業だけでやるのではなくて、市民参加でやろうと思います。モビリティというのは、移動できることですが、まあ、交通です。特にここでは、バス、乗り合いの乗り物を想定しています。今回は実際に何かモノを作ったりはしませんが、新しいモビリティのアイデアをいくつか考えて、できれば今後、実際にプロトタイプを一緒に作って行けたらと思っています。どんなモビリティを作りたいのか、詳しい説明は下にあります。いろいろな人の意見を聞きたいと思って公開のイベントにしました。誰でも参加できます。ぜひ!

メンバー紹介

山口 純
京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程修了。建築設計方法論の研究とモノ作り(建築、洋裁、鍛冶、木工、製靴、レザークラフト、革鞣し、古い自転車の修理)の実践をしている。著書に「お金のために働く必要がなくなったら、何をしますか?」(エノ・シュミット、山森亮 、堅田香緒里との共著、光文社新書)。博士(工学)。博士論文のタイトルは「C.S.パースの記号論に基づく探究としての設計プロセスに関する研究」。2014年〜2016年、立命館大学R-GIRO専門研究員。2018年〜、横浜国立大学Y-GSA産学連携研究員。2012年〜、大見新村プロジェクト(無住化集落の再生)参画。2014年〜、本町エスコーラ参画。2015年〜、スクラップ装飾社(廃材を用いたデザイン)参画。2016年〜、カサルーデンス(DIYの実践と研究)参画。

益山 詠夢
英国AAスクールを卒業後、ロンドンで幾つかの建築事務所勤務を経てデジタルファブリケーションワークショップ、MESA Studioを2009年に共同設立。家具からパビリオン、ランドスケープまで様々なスケールのファブリケーションプロジェクトを2011年よりデジタルファブリケーショの知識を活かし大学の建築教育に携わり、ロンドンの芸術大学セントラルセントマーチンズとオックスフォードブルックス大学で2015年6月まで自らのデザイン研究室を持つ。2015年に日本に帰国後、慶應義塾大学SFC研究所、ソーシャル・ファブリケーションラボでデザインリサーチャーとして働くと共に、現在2018年9月に設立した会社MESA Design and Make を通じて「設計すること」と「作ること」を融合させたアプローチでデザイン活動を行っている。

松村 耕平
2010年北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科博士課程修了。博士(知識科学)。2014年より立命館大学情報理工学部 助教。2018年より同講師。専門は身体性認知科学、ヒューマンコンピュータインタラクション、アーバンコンピューティング。

甲斐 洋行
1984年生まれ。2015年カリフォルニア大学バークレー校化学科博士課程修了。博士(化学)。2015年より東北大学工学研究科ファインメカニクス専攻 特任助教。研究テーマは、有機材料化学・電気化学を基盤とした、皮膚貼り付け型センサ・治療材料・デバイスの開発

プログラム

・趣旨説明
・研究内容のプレゼン:モビリティ(山口 純)/デジタルファブリケーション(益山 詠夢)/ヒューマンコンピューターインタラクション(松村 耕平)/甲斐 洋行(センシング技術)
・ワークショップ(ブレインストーミング)

主催メンバー 山口 純より

「地域コミュニティで育てるモビリティ」というのを考えています。バスやバス停を、地域住民の参加でデザインし、製造し、運営する。建築や都市計画だと、住民参加のデザインというのは良くあります。また、DIYリノベーションなんかも近年注目をあびています。主催者の1人の山口も、京都で空き家をまとめて借りて住民でリノベーションして運営するプロジェクトに関わっています。本町エスコーラという名前で、三十三間堂の南あたりにあります。一方で、交通の分野では住民参加のデザインといのはあまり聞かない。そこで、バスやバス停を住民参加でデザインしてみたい、そう思っています。

この研究をいっしょにやっているメンバーは益山さん、松村さん、甲斐さんです。益山さんは建築家で、慶応大学でデジタルファブリケーションの研究をしています。松村さんは立命館大学でヒューマン・コンピューターインタラクションの研究をしています。甲斐さんは東北大学でセンサーの研究をしています。この座組にも表れているのですが、今回のプロジェクトは、単に住民参加のワークショップでモビリティをデザインしようというだけではなく、センシングやデジタルファブリケーションといったデジタル技術をそこにどう使うかというのを含めています。

なんでデジタル技術の話になるのか。一つにはあまり大きな声では言えないですが、そういう研究に研究費が降りるということがあります。最近はどこもかしこも、IoTだなんだといって、センシングでデータをとって、それを餌にAIがディープラーニングして自動で問題解決してくれます的な話が多い。そういう研究に研究費がつく。僕自身はAIがなんでもやってくれる社会は、一種の管理社会的なディストピアだと思います。人々は何も考えなくていい、あるいはAIを作る一部の人間だけが考えればいい。あとの大多数はAIに従えばいいというようになってしまうのではないか。正解はAIが出しているのだから、口を挟む必要はないというように。また、僕は3Dプリンタなどのデジタルファブリケーションにも、もともとあまり興味がなく、どちらかといえば、自分の手を使ってモノを作るという喜びを、なんで機械に手渡してしまうんだ思っていた。それなのに、なんでデジタル技術の話になるのかですが、研究費を取り易いからというのではなくて、ちゃんとした理由もあります。

僕としてはやはり、市民社会的なユートピアを求めたい。地域コミュニティでワークショップや対話をとおして公共空間や交通をデザインしていくことができたら良いと思う。しかしながら、時代の趨勢としては、どうしても、センシングでデータをとって、それを餌にAIがディープラーニングして自動で問題解決、の方向です。ほおっておいてもますます人工物にはセンサが付けられていって、データが蓄えられて行き、誰かに利用されていくようになるでしょう。誰かといいましたが、現在では、GAFAと呼ばれるような、大企業がデータを握っている。だから、そういった大企業に都合の良いように利用される。

そこで、逆説的ですが、あんまり大企業の都合の良いようにコントロールされないためにも、市民が、自分たちのデータを扱えるようになったら良いと思っています。この研究プロジェクトでは、市民参加のワークショップによるデザインと平行して、センシングをもとにしたデザインというのを行い、この両者をどう関係づけるかを考えたい。そこでは、センシングによって得られるデータというのは、AIが自動的にデザインにフィードバックするというのとは別の可能性を持ちうる。どういうことかというと、ワークショップでは、どうしても、参加者が意識で、頭で考えたことをベースにデザインしていくわけですが、センシングで得られたデータというのは、人々がデザインのために意識的に行った結果ではなく、無意識的な身体の振る舞いを反映しているわけです。その無意識的で身体的なものを可視化することができれば、頭で考えたことを話し合った以上のものを、人々はデザインすることができるのではないかと。つまり、ワークショップもセンシングも、ユーザーからデザインへのフィードバックなのですが、ワークショップは、頭あるいは意識を介したフィードバックであり、センシングは、身体あるいは無意識を介したフィードバックである。この二つのフィードバックループをどうつなげるかという話です。

図にするとこんな感じです。
まず、今のバス交通です。バス運営会社や車両のメーカーが、デザイン、製造、運営を行い、ユーザーにサービスを提供する。

image1

ここで、市民参加。バス交通のデザインや、あるいは製造や運営に、市民が関わる。しかしワークショップという方法は、大体が言葉や絵を通して話し合うものですから、意識にのぼるもの、頭で考えたこと、が話し合いのベースになります。

image2

そして、センシングの導入。意識や頭というより、無意識、身体の振る舞いのデータを取ることになります。このデータをどうデザインにフィードバックするのか。最近の流行はこのデータをもとにAIで最適化といったものでしょう。

image3

この上下の二つのフィードバックの回路をどうつなげるか。そのことを考えて行きたい。

image4

そして最後に、なんで、そういう話をこういう場所で、みなさんにしているかと。冒頭に述べたように、交通のような公共的なものを今後どうしていくのかについての研究は、研究者たちのなかで閉じて行われるべきものではなく、一般市民に対して開かれていると良いと思っています。そして、将来において地域コミュニティで地域のモビリティをデザインするようなことになるとすれば、ここのようなFabスペースがその拠点となるのではないかと考えています。そういう理由でMTRLさんに場所をかりました。

本イベントに関するお問合せ先

お申し込みはfacebookイベントページから受け付けております。 (または、hylozoicdesign@gmail.com までメールにてお願いいたします。)

企画:主催:山口純+益山詠夢+松村耕平+甲斐洋行(協力:MTRL KYOTO / FabCafe Kyoto)

お申し込みはfacebookイベントページから受け付けております。 (または、hylozoicdesign@gmail.com までメールにてお願いいたします。)

Information

日時

2019.2.21 (木) 19:00 – 21:00 UTC+09:00

会場

FabCafe Kyoto (MTRL KYOTO)
〒600-8119 京都府京都市下京区本塩竈町554

■電車でのアクセス
JR京都駅から徒歩20分
京都市営地下鉄烏丸線五条駅から徒歩10分
阪急電鉄京都線河原町駅から徒歩15分
京阪電鉄清水五条駅から徒歩5分

■バスでのアクセス
京都駅から4・17・205号系統 五条河原町下車徒歩3分

※駐車場はありません。近隣の施設をご利用ください。
Google mapで開く

参加費

無料 (別途、カフェにて1オーダーをお願いしております。)

定員

15名

開催終了

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