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シリーズ|生物多様性と経済 Vol.4 生物多様性のデータ収集と価値化 久保田 康裕(シンク・ネイチャー代表/琉球大理学部教授)

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多種共生のデザインがどのように経済活動と結びつき、どのように評価しうるのか、今後の可能性を探るトークシリーズ。最終回、第4回のゲストは琉球大学理学部教授で、株式会社シンク・ネイチャー代表取締役の久保田康裕さん。シンク・ネイチャーは、生物多様性のビッグデータ収集・解析のプロ集団として、積水ハウスの「5本の樹」プロジェクトやサントリー「天然水の森」プロジェクトの事業評価支援などを手がけています。難しいと言われる生物多様性に関するデータ収集と可視化、さらにそれをどう評価/価値化できる形にしうるか、課題や展望をお話しいただきます。

2023.12.12 (火)  UTC+09:00

19:00 – 20:00

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開催終了

お申し込みは、FabCafeの運営会社であるロフトワークのウェブサイトに遷移します。

環境問題において、脱炭素を進めて温室効果ガスの排出を削減することで、温暖化を防止しようという動きは加速しているものの、生物多様性の課題についてはプラネタリーバウンダリー(※1)でも指摘されているように、最も深刻な問題のひとつ(1970年代から30年間で全生物の68%が絶滅、今も1日100種類以上の生物が絶滅しつづけている)であるにも関わらず、数値目標が設定しずらく、経済活動に結びつきにくい現状があります。

一方で、国際社会においては自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD ※2)の設立や30by30(※3)などの目標達成に向けたより実践的な動きが、また経済界では自然資本という考え方の広がりや、インパクト投資市場の拡大などが進みつつあります。

SPCSは、これまでのような、自然を一方的にコントロールしようとしないデザインにこそ、クリエイティブな余白が広がっており、かつ、多種共生で需要性の高い社会につながると信じて活動しており、生物多様性と経済活動を結びつけた活動が評価されていくという流れが世界的に生まれていくと予想しています。そこで、この「生物多様性と経済」のシリーズでは、社会背景を踏まえて、多種共生のデザインがどのように経済活動と結びついていくのか、また、どのように評価しうるのか、今後の可能性を探ります

※1:ストックホルム・レジリエンス・センターの環境学者ヨハン・ロックストロームらによって2009年に提唱された人類が生存できる安全な活動領域とその限界点を定義する概念。この中で、生物多様性については既に限界値を超えていると指摘された。
※2:自然に関する企業のリスク管理と開示の枠組みを構築するために設立され、各国の大手事業会社や金融機関を中心とした企業・機関・団体等が参加する国際組織
※3:2030年までに国土の30%以上を 自然環境エリアとして保全するという、2021年G7サミットで約束された目標。日本では環境省を中心に具体施策が進められている。

第3回のゲストは琉球大学理学部教授で、株式会社シンク・ネイチャー代表取締役の久保田康裕さんです。シンク・ネイチャーは、生物多様性のビッグデータ収集・解析のプロ集団として、積水ハウスの「5本の樹」プロジェクトやサントリー「天然水の森」事業の事業評価支援などを手がけており、生物多様性に関するインパクト開示のための支援や、ネイチャーポジティブのための事業評価支援などにいち早く取り組んでいます。

本シリーズのVol.3では、投資家や銀行の視点を通して、投資や企業活動の評価がどう変わっていくのか考えました。イベントでは、企業活動の生物多様性や生態系への影響を適正に把握しレポート・評価することが、国際社会の流れの中でも一層重要になっていくだろうという方向性を共有しました。一方で、炭素とは異なり、数値目標が立てにくいと言われる生物多様性へのインパクト。評価のためのデータの収集と活用はどのようにしていけばいいのでしょうか。Vol.3のイベントの最後に、ゲストのおふたり(インパクト投資家のパティ・チューさんと三井住友フィナンシャルグループの島健治さん)より、以下の問いかけが提示されました。

生物多様性に関するデータ収集・価値化に向けた問いかけ

  • どのような規模/リソース/透明性/正確性で生物多様性を測り得るのか?
  • 専門家でなくても容易に測定できるにはどうしたらいいか?
  • 生物多様性に関連するデータ収集は長期にわたり継続的な測定が必要だと思うが、管理者が変わっても容易に活動を引き継ぐ方法はあるか?
  • 管理する保護区の自然が改善し、それが数値に現れることで管理者のインセンティブにつながるためにはどうしたらいいか?

前回までのイベントからバトンを引き継いできた問いも含め、難しいと言われる生物多様性に関するデータ収集と可視化や、さらにそれをどう評価/価値化できる形にしうるか、シンク・ネイチャーの具体的な実践例をお聞きしながら、課題や展望を考える機会としたいと思います。

こんな方におすすめ

  • 自社事業のインパクト指標や評価方法をデザインしている新規事業担当者、ESG担当者
  • 循環型の経済システム構築に関わる行政担当者
  • サステナブルなサービス/プロダクトデザインに取り組むクリエイターやデザイナー

ご注意

  • プログラムは、予告なく変更される場合があります。
  • 当日のプログラムの終了時間は内容に応じて多少前後する可能性があります。

本シリーズの過去のイベントはアーカイブ配信されています。過去回の閲覧を希望される方は以下のフォームよりお申し込みください。

Speaker

  • 久保田 康裕

    株式会社シンク・ネイチャー, 代表取締役

    北海道大学農学部卒業、帯広畜産大学大学院修士課程修了、東京都立大学理学部大学院博士課程修了 博士(理学)。専門は生態学。世界中の森を巡るフィールドワークと、ビッグデータやAIを活用したデータサイエンスによって、生物多様性の保全科学を推進する。研究チームでスタートアップ「株式会社シンク・ネイチャー」を起業し、生物多様性市場を創出することに挑戦している。理学部 海洋自然科学科 教授。

    北海道大学農学部卒業、帯広畜産大学大学院修士課程修了、東京都立大学理学部大学院博士課程修了 博士(理学)。専門は生態学。世界中の森を巡るフィールドワークと、ビッグデータやAIを活用したデータサイエンスによって、生物多様性の保全科学を推進する。研究チームでスタートアップ「株式会社シンク・ネイチャー」を起業し、生物多様性市場を創出することに挑戦している。理学部 海洋自然科学科 教授。

  • 浦野 奈美

    SPCS / FabCafe Kyoto

    大学卒業後ロフトワークに入社。渋谷オフィスにてビジネスイベントの企画運営や日本企業と海外大学の産学連携のコミュニティ運営を担当。2020年にはFabCafe Kyotoのレジデンスプログラム「COUNTERPOINT」の立ち上げと運営に従事。また、FabCafeのグローバルネットワークの活動の言語化や他拠点連携の土壌醸成にも奔走中。2022年からは、自然のアンコントローラビリティを探究するコミュニティ「SPCS」の立ち上げと企画運営を担当。大学で学んだ社会保障やデンマークのフォルケホイスコーレ、イスラエルのキブツでの生活、そして、かつて料理家の森本桃世さんと共催していた発酵部活などが原体験となって、場の中にカオスをつくることに興味がある。

    大学卒業後ロフトワークに入社。渋谷オフィスにてビジネスイベントの企画運営や日本企業と海外大学の産学連携のコミュニティ運営を担当。2020年にはFabCafe Kyotoのレジデンスプログラム「COUNTERPOINT」の立ち上げと運営に従事。また、FabCafeのグローバルネットワークの活動の言語化や他拠点連携の土壌醸成にも奔走中。2022年からは、自然のアンコントローラビリティを探究するコミュニティ「SPCS」の立ち上げと企画運営を担当。大学で学んだ社会保障やデンマークのフォルケホイスコーレ、イスラエルのキブツでの生活、そして、かつて料理家の森本桃世さんと共催していた発酵部活などが原体験となって、場の中にカオスをつくることに興味がある。

Program

19:00-19:15

イントロダクション
Vol.1-3のおさらい

19:15-19:35

プレゼンテーション
登壇

  • 久保田 康裕(シンク・ネイチャー代表/琉球大理学部教授)
  • 19:35-20:00

    質疑応答&ディスカッション
    登壇

  • 久保田 康裕(シンク・ネイチャー代表/琉球大理学部教授)

  • 浦野奈美(ロフトワーク/モデレーター)
  • Information

    日時

    2023.12.12 (火) 19:00 – 20:00 UTC+09:00

    会場

    Online(Youtube Live)

    参加費

    無料

    オーガナイザー

    Organizer: SPCS(株式会社ロフトワーク)

    開催終了

    お申し込みは、FabCafeの運営会社であるロフトワークのウェブサイトに遷移します。

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