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Exhibition : School of Fashion Futures

バイオレザー & Houdini 作品展示

  • #開催終了
  • #入場無料

持続可能な未来のデザインを実践的に学ぶサマースクール「School of Fashion Futures」におけるバイオレザー & Houdini 演習で受講者が制作した作品をFabCafe Kyotoにて展示します。

2021.10.12 (火) – 2021.10.30 (土)  UTC+09:00

*FabCafe Kyotoの営業日時に準じます。[営業カレンダー]

FabCafe Kyoto (MTRL KYOTO) | Google mapで開く

観覧無料 (*座席を使用される場合はカフェメニューのご注文をお願いいたします。)

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開催終了

バイオマテリアル & アルゴリズミックデザインによる、新時代のファッションに向けたプロトタイプを展示

2021年8月、持続可能な未来のデザインを実践的に学ぶサマースクール「School of Fashion Futures」が京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab[D-lab]主催のもと開講されました。ファッションを軸にバイオマテリアル / アルゴリズミックデザイン / サーキュラーデザインを横断的に学ぶ、日本初となる意欲的な試みとして、実地での演習(オフラインワークショップ)と、オンラインレクチャーの二本立てで開催された8日間のサマースクール。FabCafe Kyoto では、「菌や微生物由来のバイオレザー(SCOBYレザー)」「ソフトウェア『Houdini』でのアルゴリズミックデザイン」をテーマにした各演習を通じて受講者たちが制作した作品を期間限定で展示します。

「School of Fashion Futures」での演習内容とその過程のフォトレポートを公開中です。
バイオレザー・Houdiniの各演習の詳しい内容はリンク先をご参照ください。

■「School of Fashion Futures」レポート

吉積 英子 | Eiko Yoshizumi(ファッションデザイナー、現代美術家)

作品タイトル:「Corals on Honeycomb Tower」

▼ コンセプト
自然現象をモチーフにした異なる2つのアルゴリズムを組み合わせ、現実の自然界には存在しない有機的な形状を設計した。今回モチーフに選出した珊瑚と蜂の巣はいずれも今後100年以内の絶滅が危惧される種で、減少することは自然環境だけでなく産業界を含め我々の生活への影響も大きい。もし海ではない場所で珊瑚が自由に成長すればどのような場所があるか、ハニカム構造(蜂の巣)の塔の上を探索するように這い回り増殖する珊瑚を腕に装着するバングルのデザインに落とし込んだ。
J.G.バラッドのSF短編「ヴァーミリオンサンズ」に登場する珊瑚の塔、コーラルDも着想の一部であり、SFにおけるシュルレアリスムの世界を3DCGでシミュレーションした。サーキュラーデザインにおいて自然界から学ぶことは依然として多く、異種闘争ではなく異種共生社会の実践のために、通常にはない融合を提案した。

▼ 制作してみての気づき・所感
3DCGとデジタルファブリケーションに初めて挑戦したため苦戦した。今回の制作は講師の堀川淳一郎氏の多大な協力によってデータ作成が実現した。「Algorithmic Design with Houdini – Houdiniではじめる自然現象のデザイン」に収録されていた分化成長アルゴリズムを利用し、珊瑚が生成され増殖していくモデルを設計、ハニカム構造の上を迷路探索のように走らせるアルゴリズムを利用し、出力データは珊瑚が増殖している途中経過を採用している。3Dプリンターの利用も今回が初めてで、今後は素材特性を十分に理解した制作を取り組んでみたいと思った。
手のマネキンはデータ作成の最初にボディスキャンをしたデータを積層型プリンターで出力したものにジェスモナイトを塗布しており、バングルのデータは手のサイズにフィットしている。フィット感を維持するためにバングル本体はゴムレジンを利用している。メッシュ化したデータの出力は光造形のプリンターで高精細に再現されるため、繊細な造形手法に可能性を感じる。

 

作品タイトル:「Couture Millinery for SCOBY Leather」

▼ コンセプト
生分解性のバイオマテリアルであるSCOBY レザーを使ったファッションアイテム制作を行った。
イギリスで3年間、オートクチュール技術を使ったラグジュアリーブランド向け帽子制作(couture millinery) アトリエに修行及び従事した経験から、この素材の伸縮性が曲面に沿った成型に対応できるのではないかと考え、伝統的製帽技術で用いる木型を利用してSCOBYレザーの型入れを試みた。オートクチュールにおいても、素材は100%天然素材であることが求められ、少しでも化学繊維が入るとひきつれ等の原因になり成型が難しくなる。
工場の大量生産が始まる前の時代の機材を用いているため、電気の使用も乾燥に使ったインキュベーターのみである。
大量生産、大量消費の時代において、ゆっくり作ったものがやがて土に還っていくことが消費行動の見直しになればと思い、この技法を選んだ。

▼ 制作してみての気づき・所感
ワークショップ期間中に素材特性を把握するために試作し、木型からの離型前に硬化剤の代わりになるものが必要と考えた。今回は木型に型入れして乾燥させた後、膠を溶かしたものを薄く塗布して硬化剤の代用品にした。膠は厚く塗りすぎると硬化してカラメル状になり、後で割れやすくなり、かえって素材としては脆くなってしまうことがわかった。また、インキュベーターで乾燥させたものを常温に戻すと、一晩程度で空気中の湿気を含んで軟化してしまう。以上の素材特性から、膠で硬化させても一枚では形の維持が難しいと判断し、今回の制作では麦わら帽子の素材を下地に入れ、SCOBYレザーを表面に被せるという手法に至った。
ブリムの端の処理にも膠を糊として使用し、飾りのリボンも同様に仕上げている。膠を利用すれば無縫製でのアイテム制作は発展の可能性があると考えられる。

浜田 卓之 | Takayuki Hamada

作品タイトル:「grayscott vest」

▼ コンセプト
参照し、模倣しあう物理空間と情報空間の間に介在する身体を利用して、二つの空間を行き来すること考え、制作を行った。
ワークショップは10日間行われ、私は間の休みに京都の街を探索した。歩いてみると、京都の二条から五条は格子状に道が構成されていることに気づき、調べてみると「碁盤の目」と呼ばれるほどのグリッド形状であることを知った。古都でありながら、システマティックな形状をしていることに面白さを感じ、それをソフトウェアに読み込みパターンの生成に利用した。パターンは、ソフトウェア上の京都の街の形状を基としてgrayscottモデルから生成する。このモデルは情報空間内のパラメータに沿った空間分布であり、京都の地形と相互作用したパターンとなる。このパターンを身体をスキャンした3Dデータに合わせて3D、2Dで出力し、3Dプリンタ、レーザーカッターを利用して形状を制作した。形状制作の素材となったスコビーレザーについても、コンピュータを利用して設計する生分解ベストとした。

▼ 制作してみての気づき・所感
3Dデータの扱いに向いたHoudiniから二次元の線データを出力することは、コンピューターグラフィックスの中でまたがる次元を行き来することであって、デジタルファブリケーションツールを利用して物理的に書き出すことで、物理的な次元においてもスムーズに思考できる。形を与えるデザインをする際に新鮮な手法の中での実践だった。物理的な身体を介した経験とコンピュータを扱い表れるディスプレイ空間、身体形状のデータ化からパターンの生成、次元を超えた出力など、物理空間と情報空間をよりシームレスな状態で行き来することを、ここまで多くの方法での実践は初めての体験だった。

竹村 真人 | Masato Takemura(ファブラボ浜松/テイクスペース 運営)

Beeスーツ

▼ コンセプト
長野に、「はちひげおじさん」と呼ばれるミツバチを自らの体に纏うことで有名な養蜂家がいらっしゃいます。それを見た時に、ミツバチ一匹一匹を一つの機能を持ったモジュールと見立てて、モジュール化されたマテリアルでできた衣服として考えられるのではないかと発想しました。ミツバチは外敵であるスズメバチに巣を襲われたとき、集団でスズメバチを覆い込み羽の摩擦熱で熱殺する行動をとります。例えば纏った蜂が発熱することで、人間は体温を調整できるかもしれません。ミツバチだけでなく、例えばカメムシを纏うことで匂いを放つ機能を追加する、蛍を纏うことで光る機能を追加する、甲殻類を纏うことで防御機能を追加する等。人間はモジュール化された機能を組み合わせることで、さまざまな機能を負荷することができるのではないでしょうか。
今回は、CG作成用のソフトウェアであるHoudiniを使ってその様子をCGで再現し、さらに3DプリントすることでBeeスーツのコンセプトモデルを試作しました。

▼ 制作してみての気づき・所感
今回はHoudiniと呼ばれる「プロシージュアル」なモデリングが可能な3DCGソフトを使いました。また、Houdiniのアニメーション機能を使って、ミツバチが体に沿ってうごめくCGアニメーションを作成しています。プロシージュアルな作成方法で作成したため、ミツバチのアニメーションを作成した後に、ミツバチの3Dモデルをセミやチョウといった異なる昆虫のモデルに変更することで、瞬時にさまざまな昆虫スーツを試すことができました。
展示用の3Dモデルは3Dスキャンした上半身モデルを、大型3Dプリンタで等身大に出力してもらっています。3Dプリントは身近になってきましたが、サイズが大きくなったことでさらにデジタルファブリケーションの可能性、おもしろさを体感することができました。

京都工芸繊維大学 学生チーム

作品タイトル:「Bio Bear 2.0」

▼ コンセプト
思い出を見直し、”捨てる”を再定義したテディベア

誰しも幼い頃、ぬいぐるみやおもちゃの友達がいたことだろう
その友達は今どこに?
知らない間に忘れ去られ、捨てられてしまった友達

大人になるとともにさよならが来てしまうその友達との別れに
新しい体験があったなら
生まれ変わらせることができたなら
次の世代に繋げることができたなら

何でも手に入る時代になった今、”捨てる”を見直す時が来た

Bio Bear 2.0は”捨てる”を問い直し、素材と記憶の循環の可能性を示す
物質は思い出の器に…
心のサーキュラーはもう始まっている

Bio Bear 2.0には2つの特徴がある。まず1つ目に100%のバイオ素材を使うこと。”捨てる”を脱し、土に帰るぬいぐるみを目指した。そしてそこから新たな命が芽生え、育ち、実をつける。2つ目に前身の1.0では汎用のテディーベアの型紙を使用したが、2.0ではHoudiniをもちいて3Dデータから平面展開用のデータを生成した。今回は前身のBio Bear 1.0のデータを3Dスキャンし、そのデータとオリジナルのデータをモーフィング(合体)させその味わいを残しつつ進化させた。物体としては残らないが本体は土に帰り、面影はデータとして残り次の世代へ受け継がれていく。

▼ 制作してみての気づき・所感
Bio Bear 2.0では単純にバイオレザーを用いるだけでなくHoudiniを用いてコンピュテーショナルにテディベアを再構築しました。しかし、Houdiniで3Dデータを平面展開しそれを人の手で縫い合わせる作業は、コンピューターに弄ばれているように苦戦しました。どのパーツがどのパーツとくっつくのか、この作業を簡略化、自動化する事は、次のBio Bear 3.0への課題です。
今回の制作を通して”捨てる”を再定義し、素材の方面から、テクノロジーの方面から、精神的な方面からものづくりについて考えることができました。School of fashion futureを経てその先を考え、サーキュラーなシステムまでデザインすることこそ次世代のデザイナーに求められていることなのだと感じます。今回学んだバイオ素材やHoudiniの技術、そしてサーキュラーエコノミーの概念など今後の制作に活かしていきたいと思います。

*展示会場では、上記各作品に加えて、実際に培養したバイオレザーや、それらを用いたスタディ・試作品等も併設しています。

Information

日時

2021.10.12 (火) – 2021.10.30 (土) *FabCafe Kyotoの営業日時に準じます。[営業カレンダー] UTC+09:00

会場

FabCafe Kyoto (MTRL KYOTO)
〒600-8119 京都府京都市下京区本塩竈町554

■電車でのアクセス
JR京都駅から徒歩20分
京都市営地下鉄烏丸線五条駅から徒歩10分
阪急電鉄京都線河原町駅から徒歩15分
京阪電鉄清水五条駅から徒歩5分

■バスでのアクセス
京都駅から4・17・205号系統 五条河原町下車徒歩3分

※駐車場はありません。近隣の施設をご利用ください。
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参加費

観覧無料 (*座席を使用される場合はカフェメニューのご注文をお願いいたします。)

開催終了

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