コントロールできない生態系のメカニズムを探究し、創造的な共創関係を探究するコミュニティ。異なるフィールドの講師とのワークショップ、個人/団体の実験的なプロジェクトなど、自然科学、デザイン、アート、エンジニアリング、文化などが複合的に混ざり合った活動が展開中。
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https://www.instagram.com/spcs_fabcafekyoto/
マイクロバイオーム、放射線、ウィルス、細菌。コントロールできない自然の力は、厄介者やエラーと扱われることも多く、多くの排除や操作がおこなわれてきました。一方で、マイクロバイオームや発酵ブームにも見られるように、細菌やカビなどの微生物は昔から私たちの一番身近なものであるにもかかわらず、まだ科学で解明されていないことも多く、私たちを魅了し続けています。また、私たち人間は、「操作できない」力に畏れを感じながら、同時に執着を感じるものでもあります。
ますます、人間が操作できない生物のパワーをいかにポジティブに捉え直し、遊び、クリエイティブに生かす器をデザインできるかが、これからの活動のポイントとなってくるでしょう。(たとえば、ムラサキ貝の開閉がどんな最新センサーよりも水質汚染の状態を検知できるという性質を生かして作られたニューヨークの浮き桟橋や、蚕の遺伝子にインプットされた動きによって作られたパビリオンのように、自然を観察し積極的に関わることで、新たなクリエイションを生み出し得るのです。)
SPCS(スピーシーズ)は、プロトタイピングしながら自然のアンコントローラビリティを探究する活動体です。自身の好奇心や課題感と自然のメカニズムをリンク・身体化させ、価値観や手法をアップデートさせるべく、領域横断の実験を行っています。
環境のバランスを保っている生物多様性。しかし、生物の絶滅スピードは1970年代から加速し、たった30年間で全生物の68%が絶滅。今も1日100種類以上の生物が絶滅しつづけているといいます。
地球環境の問題の中で、温暖化と並んで生物多様性の問題は年々深刻になっており、人間以外の生物との共生という観点から、経済活動を再構築していく必要が急速に高まっています。
一方で、自然保護が目的では人間の行動は変わりません。人間のニーズを充足させながら、いかに生物多様性を再構築するか?そのためには、それまでの経済活動では不具合やエラーとして捉えられていたことを肯定的に受け入れ、人間活動にとっても気持ちの良い状態をデザインする必要があり、領域横断で創造的に試行錯誤できる場が必要です。
FabCafe Kyotoは、イノベーションと未来のエコシステムをプロトタイプする場です。生物多様性の課題に取り組むべく、2022年9月にSPCS(スピーシーズ)という領域横断型コミュニティを立ち上げ、「自然のアンコントローラビリティ(操作不可能性)」を探るアプローチをはじめました。
”Multispecies Sustainability”(2020)
「Multispecies(マルチスピーシーズ)」とは、近年、人間中心的な経済活動による地球環境の悪化と再構築の必要性が、デザイン・文化人類学・生物学・経済学など、あらゆる分野から指摘されており、そのひとつとして「マルチスピーシーズ」という考え方で主張され始めています。
たとえば、総合地球環境学研究所のChristoph Rupprecht 元・総合地球環境学研究所上級研究員(現・愛媛大学社会共創学部環境デザイン学科准教授)らによる19人の研究者からなる地球研を中心とした学際的チームが「グローバル・サステナビリティ」誌に掲載した論文”Multispecies Sustainability”では、人類のためのウェル・ビーイング(well-being、幸福・良き生)の課題を指摘したうえで、マルチスピーシーズに基づく持続可能性の新しい概念を提言しています。
”Multispecies Sustainability”詳細はこちら>>
インスピレーション1|
デビッド・ベンジャミンが主催する、ニューヨークを拠点に生物システムと建築材料の建築的応用を研究テーマとしているデザイン事務所、The Livingのプロジェクト「Pier 35 EcoPark」。ムラサキ貝の性質を活用することで、水質を可視化し、水辺の生態系をリサーチ・再生させることに寄与した。
インスピレーション2|
たとえば、ポジティブエラーを制作手法に取り入れたデザインワークを行なっている吉田勝信。採集、デザイン、超特殊印刷を活動の領域とし「色を選ぶ→色を作る」プロジェクト「Foraged Colors」を行なっている。採集物から印刷インクを作り、現行の印刷機へのインストールを目指す。(現段階では活版印刷機まで通過。)また、福祉事業所とコラボレーションし表紙が全て手描きの冊子(1000部)など。豪雪地における雪掻きをいかに楽しむかといったように産業技術におけるアンコントローラブルな条件をいかに好意的に解釈するかが、これからのクリエイションのポイントになってくるはず。
- シーズン毎に異なる講師とテーマのもと、プロトタイピングを通して、自然と人間の関係や、非人間主義デザインのアプローチを実践する。
- シーズンごとの活動期間は1~3カ月で、頻度もテーマに応じて可変。
- Design with Natureの実践の場として、必ず自然科学に関わるテーマを扱う。
- 自然や環境と人間の関わり方をクリエイティブな方法で探ることに興味のある方
- 自然と人間の関係をデザインしている、建築やメーカーの方
- 自然現象から新たなインスピレーションを得たり、表現手法を開拓したいデザイナー、クリエイター
- サーキュラーデザインに取り組んでいる企業の企画およびR&D担当の方
- 生物学やバイオロジカルデザインに興味があるが、探求の仕方や一時情報の収集方法を学びたい方
ロゴデザイン
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名称
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コントロールできない生態系のメカニズムを探究し、創造的な共創関係を探究するコミュニティ。異なるフィールドの講師とのワークショップ、個人/団体の実験的なプロジェクトなど、自然科学、デザイン、アート、エンジニアリング、文化などが複合的に混ざり合った活動が展開中。
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概要
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SPCS|スピーシーズ 自然のアンコントローラビリティを探究するコミュニティ
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主な拠点
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FabCafe Kyoto
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Georg Tremmel
アーティスト、BioClub Tokyoディレクター、東京芸術大学客員教授
オーストリア出身のアーティストで、東京を拠点に活動。ウィーンとロンドンで生物学、情報学、メディアアートを学ぶ。2001年より、生物学、文化、倫理、社会の規範をテーマに、アーティスティック・リサーチ・フレームワークBCLを福原志保とともに結成。議論可能なオブジェ、インスタレーション、シチュエーションを制作している。
現在、ウィーン応用芸術大学の博士課程に在籍し、「Ludic Cultures, Biologial Interfaces and Non-Human Agencies」をテーマに研究している。また、早稲田大学岩崎秀雄研究室の生命をめぐる科学・思想・芸術に関わる表現・研究のプラットフォーム「metaPhorest」の客員研究員、東京藝術大学の客員教授でもある。
日本初のオープン・バイオラボ&バイオハッカースペースであるBioClub Tokyoの共同設立者であり、ディレクターを務めている。オーストリア出身のアーティストで、東京を拠点に活動。ウィーンとロンドンで生物学、情報学、メディアアートを学ぶ。2001年より、生物学、文化、倫理、社会の規範をテーマに、アーティスティック・リサーチ・フレームワークBCLを福原志保とともに結成。議論可能なオブジェ、インスタレーション、シチュエーションを制作している。
現在、ウィーン応用芸術大学の博士課程に在籍し、「Ludic Cultures, Biologial Interfaces and Non-Human Agencies」をテーマに研究している。また、早稲田大学岩崎秀雄研究室の生命をめぐる科学・思想・芸術に関わる表現・研究のプラットフォーム「metaPhorest」の客員研究員、東京藝術大学の客員教授でもある。
日本初のオープン・バイオラボ&バイオハッカースペースであるBioClub Tokyoの共同設立者であり、ディレクターを務めている。 -
太田 陽介
植彌加藤造園株式会社
東本願寺・渉成園の担当を務める。渉成園内に息づく生物多様性を守るため、創意工夫を凝らしながら育成管理に励む傍らで、京都の景色に欠かせない東山の林相改善事業の整備や研究にも勤しむ。いきもの全般に愛着を持ち、生物の視点から庭を見ることに重きを置いて渉成園に携わる。自然界にあるものは「とりあえず何でも食べてみる」主義。
東本願寺・渉成園の担当を務める。渉成園内に息づく生物多様性を守るため、創意工夫を凝らしながら育成管理に励む傍らで、京都の景色に欠かせない東山の林相改善事業の整備や研究にも勤しむ。いきもの全般に愛着を持ち、生物の視点から庭を見ることに重きを置いて渉成園に携わる。自然界にあるものは「とりあえず何でも食べてみる」主義。
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鷲田 悟志
植彌加藤造園株式会社
東本願寺・渉成園の担当を務める。理性を超えた芸術作品としての日本庭園の魅力に惹かれ、庭づくりに携わる職人。学びを深めた現代美術をバックボーンに、日本庭園と芸術・文人文化をより密につなげていくことを目標として日々の手入れに勤しんでいる。渉成園では、「五感を楽しむ庭ガイド」や「煎茶講座」の企画も担当している。
東本願寺・渉成園の担当を務める。理性を超えた芸術作品としての日本庭園の魅力に惹かれ、庭づくりに携わる職人。学びを深めた現代美術をバックボーンに、日本庭園と芸術・文人文化をより密につなげていくことを目標として日々の手入れに勤しんでいる。渉成園では、「五感を楽しむ庭ガイド」や「煎茶講座」の企画も担当している。
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近藤 倫生
東北大学大学院生命科学研究科 教授
京都大学大学院理学研究科にて生態学を専攻。理論生態学分野での研究を推進。2018年、環境DNA学会を設立し初代学会長に着任。2019年、全国の産官学民の参加する環境DNAを利用した生物多様性観測網ANEMONEを立ち上げ主催。2022年、ANEMONE観測情報の公開データベースANEMONE DBを発表するとともに、データ活用と観測の発展を目指す産官学のANEMONEコンソーシアムを設立し代表に就任。あらゆる人々の参加する自然の自治管理システムのあり方を探っている。感情や共感の湧き上がる豊かな「パーソナルな世界」と客観性と批判精神で進むパワフルな「科学の世界」をどう結びつけるかが長年の課題。
京都大学大学院理学研究科にて生態学を専攻。理論生態学分野での研究を推進。2018年、環境DNA学会を設立し初代学会長に着任。2019年、全国の産官学民の参加する環境DNAを利用した生物多様性観測網ANEMONEを立ち上げ主催。2022年、ANEMONE観測情報の公開データベースANEMONE DBを発表するとともに、データ活用と観測の発展を目指す産官学のANEMONEコンソーシアムを設立し代表に就任。あらゆる人々の参加する自然の自治管理システムのあり方を探っている。感情や共感の湧き上がる豊かな「パーソナルな世界」と客観性と批判精神で進むパワフルな「科学の世界」をどう結びつけるかが長年の課題。
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はが みちこ
アート・メディエーター
1985年岡山県生まれ。2011年京都大学大学院修士課程修了(人間・環境学)。『美術手帖』第16回芸術評論募集にて「『二人の耕平』における愛」が佳作入選。主な企画・コーディネーションとして「THE BOX OF MEMORY-Yukio Fujimoto」(kumagusuku、2015)、「國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト」(2017〜)、菅かおる個展「光と海」(長性院、Gallery PARC、2019)など。京都市立芸術大学芸術資源研究センター非常勤研究員。浄土複合ライティング・スクール講師。
1985年岡山県生まれ。2011年京都大学大学院修士課程修了(人間・環境学)。『美術手帖』第16回芸術評論募集にて「『二人の耕平』における愛」が佳作入選。主な企画・コーディネーションとして「THE BOX OF MEMORY-Yukio Fujimoto」(kumagusuku、2015)、「國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト」(2017〜)、菅かおる個展「光と海」(長性院、Gallery PARC、2019)など。京都市立芸術大学芸術資源研究センター非常勤研究員。浄土複合ライティング・スクール講師。
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吉田勝信
グラフィックデザイナー
採集者・デザイナー・プリンター。山形県を拠点にフィールドワークやプロトタイピングを取り入れた制作を行なう。近年の事例に海や山から採集した素材で「色」をつくり、現代社会に実装することを目的とした開発研究「Foraged Colors」や超特殊印刷がある。趣味はキノコの採集および同定。
WEB : https://www.ysdktnb.com/about
Foraged Colors : https://foragedcolors.com/
Instagram : https://www.instagram.com/yoshida.katsunobu/
Twitter : https://twitter.com/ysdktnb
Portrate photography by Ryohei Sawaki採集者・デザイナー・プリンター。山形県を拠点にフィールドワークやプロトタイピングを取り入れた制作を行なう。近年の事例に海や山から採集した素材で「色」をつくり、現代社会に実装することを目的とした開発研究「Foraged Colors」や超特殊印刷がある。趣味はキノコの採集および同定。
WEB : https://www.ysdktnb.com/about
Foraged Colors : https://foragedcolors.com/
Instagram : https://www.instagram.com/yoshida.katsunobu/
Twitter : https://twitter.com/ysdktnb
Portrate photography by Ryohei Sawaki -
浦野 奈美
SPCS / FabCafe Kyoto
大学卒業後ロフトワークに入社。渋谷オフィスにてビジネスイベントの企画運営や日本企業と海外大学の産学連携のコミュニティ運営を担当。2020年にはFabCafe Kyotoのレジデンスプログラム「COUNTERPOINT」の立ち上げと運営に従事。また、FabCafeのグローバルネットワークの活動の言語化や他拠点連携の土壌醸成にも奔走中。2022年からは、自然のアンコントローラビリティを探究するコミュニティ「SPCS」の立ち上げと企画運営を担当。大学で学んだ社会保障やデンマークのフォルケホイスコーレ、イスラエルのキブツでの生活、そして、かつて料理家の森本桃世さんと共催していた発酵部活などが原体験となって、場の中にカオスをつくることに興味がある。
大学卒業後ロフトワークに入社。渋谷オフィスにてビジネスイベントの企画運営や日本企業と海外大学の産学連携のコミュニティ運営を担当。2020年にはFabCafe Kyotoのレジデンスプログラム「COUNTERPOINT」の立ち上げと運営に従事。また、FabCafeのグローバルネットワークの活動の言語化や他拠点連携の土壌醸成にも奔走中。2022年からは、自然のアンコントローラビリティを探究するコミュニティ「SPCS」の立ち上げと企画運営を担当。大学で学んだ社会保障やデンマークのフォルケホイスコーレ、イスラエルのキブツでの生活、そして、かつて料理家の森本桃世さんと共催していた発酵部活などが原体験となって、場の中にカオスをつくることに興味がある。
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寺井 翔茉|Shoma Terai
ロフトワーク京都ブランチ事業責任者
2008年立命館大学経済学部卒、ロフトワークへ新卒入社。石垣島の魅力を世界のクリエイターと再発見する「USIO Design Project / ISHIGAKI NOW」や、大学Webサイトの存在意義を問い直すことをテーマにした立教大学公式Webサイトのリニューアル、100年先に向けた100のプロジェクトを生みだす実験区「100BANCH」の立ち上げなど、幅広い分野のプロジェクトマネジメントとクリエイティブディレクションを担当。
素材とクリエイティブの出会いで新しいビジネスを生む「MTRL KYOTO」、テクノロジーとクリエイティブが交差する場「FabCafe Kyoto」を含めた「Loftwork Kyoto Branch」の事業責任者に2017年より就任。
https://loftwork.com/jp/2008年立命館大学経済学部卒、ロフトワークへ新卒入社。石垣島の魅力を世界のクリエイターと再発見する「USIO Design Project / ISHIGAKI NOW」や、大学Webサイトの存在意義を問い直すことをテーマにした立教大学公式Webサイトのリニューアル、100年先に向けた100のプロジェクトを生みだす実験区「100BANCH」の立ち上げなど、幅広い分野のプロジェクトマネジメントとクリエイティブディレクションを担当。
素材とクリエイティブの出会いで新しいビジネスを生む「MTRL KYOTO」、テクノロジーとクリエイティブが交差する場「FabCafe Kyoto」を含めた「Loftwork Kyoto Branch」の事業責任者に2017年より就任。
https://loftwork.com/jp/ -
木下 浩佑
株式会社ロフトワーク / MTRL・FabCafe Kyoto
マーケティング & プロデュース京都府立大学福祉社会学部福祉社会学科卒業後、カフェ「neutron」およびアートギャラリー「neutron tokyo」のマネージャー職、廃校活用施設「IID 世田谷ものづくり学校」の企画職を経て、2015年ロフトワーク入社。素材を起点にものづくり企業の共創とイノベーションを支援する「MTRL(マテリアル)」と、テクノロジーとクリエイションをキーワードにクリエイター・研究者・企業など多様な人々が集うコミュニティハブ「FabCafe Kyoto」に立ち上げから参画。ワークショップ運営やトークのモデレーション、展示企画のプロデュースなどを通じて「化学反応が起きる場づくり」「異分野の物事を接続させるコンテクスト設計」を実践中。社会福祉士。2023年、京都精華大学メディア表現学部 非常勤講師に就任。
https://loftwork.com/jp/people/kousuke_kinoshita京都府立大学福祉社会学部福祉社会学科卒業後、カフェ「neutron」およびアートギャラリー「neutron tokyo」のマネージャー職、廃校活用施設「IID 世田谷ものづくり学校」の企画職を経て、2015年ロフトワーク入社。素材を起点にものづくり企業の共創とイノベーションを支援する「MTRL(マテリアル)」と、テクノロジーとクリエイションをキーワードにクリエイター・研究者・企業など多様な人々が集うコミュニティハブ「FabCafe Kyoto」に立ち上げから参画。ワークショップ運営やトークのモデレーション、展示企画のプロデュースなどを通じて「化学反応が起きる場づくり」「異分野の物事を接続させるコンテクスト設計」を実践中。社会福祉士。2023年、京都精華大学メディア表現学部 非常勤講師に就任。
https://loftwork.com/jp/people/kousuke_kinoshita