Event report

2022.12.15

Ogaki Mini Maker Faire 2022 ー 2日間のDIY楽園にSPCSが出展

2022年12月3-4日の2日間にわたって岐阜県大垣にある情報科学芸術大学院大学(IAMAS)で開催されたOgaki Mini Maker Faireに、出展者としてSPCSが参加しました。展示内容は、DIYバイオをテーマに開催されたシーズン1の参加メンバーのプロトタイプ作品と、プロジェクトメンバーとして参加中のFungicha(菌茶)のキノコインキュベーター、そして、シーズン1で出た多様なアイデアシートの数々。熱気溢れる展示会で他のメーカーたちと交流してきた様子をレポートします。(執筆:サラ・ホー)

Ogaki Mini Maker Faire(以下、OMMF)は様々な電子工作、ロボティクス、クラフト、科学、アートやデザインのメーカーが、各自が作った作品を展示する2年に1度の祭典。情報科学芸術大学院大学 [IAMAS]を中心としたOgaki Mini Maker Faire 2022実行委員会が主催となり開催され、今年で7回目、2022年度は104グループが出展しました。出展者は、各ブースで作品を展示したりデモンストレーション、ワークショップができ、他の出展者や参加者と交流しながら、DIYの楽しさを共有するイベントです。

今回のOMMFはメタバースでも開催され、Gatherで作成した2D会場はイベント後も公開されている。現地に来られない方も楽しめるので、気になる方はぜひ覗いてみてください

関連リンク:

当日出展者リストはこちらから
Ogaki Mini Maker Faire 出展者一覧

イベント後でもオープンしているオンライン会場はこちら
Ogaki Mini Maker Faire – Metaverse

出展者のみなさんは、年齢も各プロジェクトの領域も幅広く、個人の興味や好奇心、偏愛がはっきりとプレゼンテーションされています。たとえば、家電や楽器にしたり、廃材ですごく綺麗な音が出せるスピーカーを開発したり、子ども想いのお父さんが我が子のために開発した「パりぴなトランポリン」など(笑)、なんの知識もなくフラッと見て回るだけでも、メーカーたちの熱が伝染してきます。

左上から時計回りに、ミニペンプロッター、プロジェクションマッピングのCognitive gradation (1) -イシウカス-、滑琴(かっきん)というスケートボード×エレキギター、電線管によって折れるOrimeという素材。

3階のメインエリアはほとんど電子工作やロボティクスの作品でしたが、1階ではアナログな作品やが多く展示されていました。今回、バイオプロジェクトを展示した2つのブース、BioClubSPCSも1Fエリアで展示しました。

SPCS|スピーシーズ

コントロールできない生態系のメカニズムを探究し、創造的な共創関係を探究するコミュニティ。異なるフィールドの講師とのワークショップ、個人/団体の実験的なプロジェクトなど、自然科学、デザイン、アート、エンジニアリング、文化などが複合的に混ざり合った活動が展開中。

SPCSの活動と詳しい情報はこちら: https://fabcafe.com/jp/labs/kyoto/spcs/

 

2022年9月〜10月に開催されたSPCSシーズン1のテーマは「What is Life?(生命とは何か)」。多彩な領域から参加したメンバーがバイオアーティストのゲオアグ・トレメルとDIYバイオの世界を探究しました。ファイナルプロジェクトは、ワークショップを通して得たDIYバイオのインプットと参加者それぞれの興味関心を混ぜて作品アイデアを考えること。OMMFでは、作品アイデアをベースにプロトタイプを作ったメンバーの作品と、他のメンバーのアイデアシートを展示しました。

また今回は、SPCSにプロジェクトとして参加中の「Fungicha(菌茶)」のチームも一緒に出展しました。

普段はパナソニックでSTEAM教育の開発などに関わる高田和豊さんによる「The Everlasting Cup」。紅茶キノコ(スコビー)で作られたお茶碗です。このスコビー、文字通り紅茶と砂糖で育ち、表面にナタデココのような分厚い膜を作ります。これがサステナブル素材として注目されているのですが、野点が趣味の高田さんは、お茶を入れ続けることで自己修復するお茶碗が作れるのではないかと考えました。今回はファーストプロトタイプですが、高田さんのお茶碗でお茶会ができる日が楽しみです。

「The Everlasting Cup」

2ヶ月間、息子さんとプロトタイプをしてきた高田さん。家は酸っぱい匂いに包まれているそうです(笑)

普段は医療機器のデザインを手がけるプロダクトデザイナー、長谷部臣哉さんによる粘菌の立体培地「The Playground」。知能がある菌類と言われることもある粘菌。培地の上で餌を探して動く様子はデザインや行動分析など、さまざまな領域で注目されてきました。しかし、魅力あふれる粘菌の動きの実験の多くは平面の培地で行われることが多いそうです。そこで、同じくシーズン1のメンバー、新工芸舎を主催する三田地博史さんとともに、3D造形で制作した型や網目構造の培地を作り、さらに、金網を自由な形に変形させて寒天を周囲に覆い、粘菌の遊び場を作りました。

今回のプロトタイプでは、粘菌が網目構造の中に入り込んで行ったり、思うように動いてくれなかったりもしたようでしたが…、今後のプロトタイプはどうなるのでしょうか?!

「The Playground」

  • 長谷部さんはVRの国際アワードNEWVIEW AWRDS2021でファイナリストに選ばれています。その時の作品「World's Palette」で作ってくれたSPCSブースのAR看板

野生のキノコを採集・培養し、お茶として飲むことで自然と繋がろうとする活動。イベントでは、キノコ茶をコールドブリューするための攪拌機とミニインキュベーターを現地で組み立て、デモンストレーションしました。一見ただの板なのに、磁気で攪拌され続ける様子に子供たちも目が釘付けに。

Fungichaチームの攪拌機

  • Fungichaのトマ。攪拌したキノコ茶の味見でしょうか。

イベントでは、活動を紹介するプレゼンテーションの枠もあります。SPCSもこれまでの活動と今回の展示内容をダイジェストでプレゼンテーション。こちらからご覧いただけますので、ご興味のある方はご覧ください。プレゼンを見た方からは「友達も紅茶キノコを作っているが、茶器を作るとは新しい、ぜひ友人に教えたいです」とか、「粘菌って面白そうですね!私も飼えますか?」など、たくさんの声をかけていただきました。

OMMFでのSPCSプレゼンはこちらからどうぞ↓
https://youtu.be/U21SsDDyM9U?t=1720

出展者には会場でプレゼンテーションの機会も。写真は、初日にSPCSの発表をしたFabCafe Kyotoの浦野(左)と、BioClubのプレゼンの様子(右)。ちなみに、BioClubは、2022年3月〜6月に開催されたBioHack Academyのメンバーが最終作品を展示していました。

 

ちょうどウィーンで仕事が入ってしまって当日参加できなかった、BioClubのディレクターでSPCSシーズン1の講師のGeorge Tremmel。オンラインで会場と繋いで、熱気を伝えている様子。

対面のイベントが徐々に復活しつつある今、OMMFに参加して改めて「自分で体験すること」がどんなに素晴らしくて楽しいかを実感できました。さまざまなメイカーたちとお互いの熱を交換しながら、探究心をすぐ形にしようとするDIYの尊さを改めて感じ、SPCSも引き続き、頭だけでなく作りながら試行錯誤する場でありたいと感じました。

シーズンごとにテーマを設けて活動しているSPCS。12月にスタートしたシーズン2のテーマは「庭」です。持続可能な仕組みを作るためには、人間以外の種との共犯関係を構築することがポイント。庭師は人間と自然の仲介者として他種共存の環境を作る実践者です。先進的な取り組みを展開する植彌加藤造園の太田陽介さんと鷲田悟志さんとともに、京都の名勝庭園、渉成園で4種類の手入れを実際に体験しながら、自然への介入と美意識や秩序の更新に挑戦します。

イベントの詳細はこちら:https://fabcafe.com/jp/events/kyoto/20221217_spcs_season2_garden/

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  • FabCafe編集部

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