Event report

2020.2.3

「フレキシブルな空間のための建築と素材」Material Meetup KYOTO vol.7 レポート

本記事は、2020年1月23日に開催された『Material Meetup KYOTO vol.7』のレポートです。(text : 南 歩実 [Loftwork])

こんにちは!ロフトワーク京都の南です!
2020年1月24日(木)、FabCafe Kyotoで『Material Meetup KYOTO vol.7』が開催されました!

テーマは「フレキシブルな空間のための建築と素材」。

たとえば、コミュニケーションのスタイルや人の動線に応じて、自由自在にかたちを変える。あるいは、繰り返し使える機能や耐久性に加えて、その仕組みもデザインされている。そんな 「フレキシブル(柔軟) な空間」について、素材を中心にした視点から考えることで、既存の発想に囚われないアイデアや手法を探すこと試みました。

当日は、休憩時間中もネットワーキングタイムも活発な交流が行われていて、「こんな使い方したら面白いのかも!」といった具体的な話が出て来ていました。あまりに盛り上がっていたので、休憩時間を延長したほど!

そんな大盛り上がりだった当時の様子をレポートします!

開催概要:Material Meetup KYOTO vol.07「フレキシブルな空間のための建築と素材」

デザイン、仮設、素材、様々な視点から「柔軟な空間」とは何かを考える

今回は「空間デザイン」と「素材」の2つの切り口から、4名の方をプレゼンターとしてお迎えしました!
「空間デザイン」サイドからは、下寺 孝典さん(屋台研究家・デザイナー、TAIYA代表)と、小野 真さん(株式会社ASNOVA 事業企画室 室長)。
「素材」サイドでは、西口 将平さん(コバヤシ産業株式会社 海外事業準備室)、林 留美奈さん(アサダメッシュ株式会社・デザインメッシュ推進部)にご登壇いただきました。

「場が生まれる状況をデザインする」東南アジアで見つけた屋台の魅力

トップバッターは下寺孝典さん。
京都造形芸術大学大学院建築・ランドスケープ領域修士課程を卒業し、建築デザイン事務所・TAIYAを立ち上げ、屋台研究家・デザイナーとして活動を行なっています。活動範囲は、建築設計だけに留まらず、現場施工、アートプロジェクト、さまざまな企画にも関わっている下寺さん。今回は「屋台」の話を中心にお話いただきました。

小さい頃から物作りが好きだった下寺さん。大学で最初に作った作品は、校内敷地に建てた小屋でした。ある時、大学が実施している児童向けプログラムに訪れているこどもたちが、その小屋を秘密基地として使っていたそうです。

秘密基地のように、自分で場所を選んで作る。場所は自ら選びとるものであってほしいと語る下寺さん。

「こんなことができたら……!」「こんなものが作れたら……!」という理想はあるけど、現実的ではない場合や、うまくいかないこともあります。下寺さんは自分に一体何ができるんだろう?ということを考え始めました。

そんな中、東南アジアを訪れた際に、今の活動のヒントになる光景を目の当たりにします。

東南アジアでは、線路沿いに市場があったり、側壁にお店を出していたり、路上で絵を描いていたり、外で美容院をやっていたり……日本では見ることができない光景がありました。

下寺さんは、東南アジアを回る中で様々な物を目にしますが、その中でも「屋台」に着目。
日本ではあまり目にすることがない屋台ですが、東南アジアでは屋台が日常的にそばにあり、人々の生活を支えています。

その光景を見た時に、下寺さんは自分にできることは、「場」が生まれる状況をデザインすることだと感じたそう。

東南アジアでは、屋台のそばに屋台のメンテナンスができる場所があります。下寺さんは自分で屋台を作れるようになりたいと思い、屋台工場で修行した経験もあります。

屋台を通してコミュニティが生まれ、生活に溶け込んでいる風景を日本でも作りたいと語る下寺さん。参加者の方からも「屋台は避難する時に役立ちそう」などの意見があったり、屋台の「移動性」に着目することで、異なるアイデアにも繋がりそうです。

ミライをカセツする。新しい足場の可能性

(左) 株式会社ASNOVA 事業企画室 室長 小野 真さん / (右) 株式会社ロフトワーク プロデューサー 小島 和人

続いてのプレゼンテーションは株式会社ASNOVAの小野さん。現在ASNOVAさんの様々なプロジェクトをプロデュースしている弊社の小島を交えたクロストークという形で、「仮設性」をテーマに、足場材についてや、これから始まるプロジェクトについてお話していただきました。

株式会社ASNOVAは、建設現場などで使われる足場材のレンタルや販売を行なっている会社です。足場材の中にもいくつか種類があり、株式会社ASNOVAで取り扱っているのは「クサビ式足場」という、ハンマー一本で組み立てることができる足場材。すぐに組み立てることができるので、作業効率もよく、バラしやすいといった特徴があります。

足場材のクライアントは高所で作業する職人さんたち。小野さんは、このままいけば将来、職人さんが不足していく可能性が高いと懸念しているそうです。

そこで、株式会社ASNOVAで取り扱っているクサビ式足場の「仮設性」からヒントを得て、「ミライをカセツする。」をテーマにした記事シリーズをロフトワークとともに企画することになりました*。(*注:本レポート公開の2020年1月時点では制作中のため、詳細未公開)

仮設×宇宙、仮設×サブカルなど、新しいことを掛け合わせた違ったジャンルから仮設について考えることで、仮設業界に新しい文脈を持ち込むプレイヤーや、興味を持つ人を増やしたいという思いがあります。

また、台湾にあるロフトワーク台北のオフィスを舞台に、足場材を効果的に用いた空間デザイン実践しています。このロフトワーク台北の新オフィスは歴史的な建造物のため、大きな改造が難しかったり、様々な規制があります。しかし、足場材なら建物に負荷をかけずに使用することができます。その特性を活かして、本来存在しなかった2階部分を足場材を使って作っています。

仮設だからこそ、実験や検証もできる。そんな足場材の特徴を活かして、海外では浅瀬に建物を作ったり、他の素材と組み合わせるなど、新たな取り組みも始まっています。

環境にも良く、デザイン性もある革新的な仕上材『OLTREMATERIA』

コバヤシ産業株式会社 海外事業準備室 西口 将平さん

 

製品のための素材開発から設計、加工、実装、組立の全工程をワンストップで手掛けるコバヤシ産業株式会社 西口 将平さんに仕上材『OLTREMATERIA(オルトレマテリア)』について語っていただきました。

『OLTREMATERIA』はイタリア語で「今までにない材料」「革新的な材料」という意味の言葉です。イタリアの会社が開発した塗材で、コバヤシ産業株式会社が輸入して日本で販売をしています。

OLTREMATERIAは、石英、大理石などのリサイクル鉱物を再利用することで、天然資源の浪費を削減。また、エポキシ樹脂など人体に悪影響を与える成分を含んでおらず、環境にも人にも優しい塗材です。

金属・ガラス・木材、どんな素材や場所にも塗ることができることがOLTREMATERIAの魅力の1つです。

曲面にも塗ることができたり、耐熱性もあり、床や外壁にも塗ることができます。
会場でサンプルを手にした人から、伸縮性の高さや質感表現の豊かさに驚きの声をあげる人も。

会場には建築に携わる方も多く、実際に使用することを踏まえた専門的な質問が多く出ていたのも印象的でした。

髪の毛よりも細い、独特の質感を持つステンレスメッシュ

アサダメッシュ株式会社 デザインメッシュ推進部 林 留美奈さん

最後は、アサダメッシュ株式会社 林 留美奈さんのプレゼンテーション。
アサダメッシュ株式会社では、ステンレスメッシュを製造しています。金属製のメッシュ(網)と聞くと、硬い「金網」を想像してしまいますが、アサダメッシュ株式会社で作っているのは、極細のステンレスで織った、透けてきらめくとても柔らかい金属布。糸の細さや織り方の種類によって様々な表情をもち、通電性や不燃性など、機能面でも独特な性質を備えています。

80年前からある素材ですが、なかなか人目に触れる場所で使われることは多くなく、ロケットや船のフィルターなどで使われていることが多いステンレスメッシュ。

「この質感を活かして、もっと色んなことに使えるんじゃないかな?」という思いから、様々な業界にステンレスメッシュを紹介をしているそうです。

ステンレスメッシュは、とにかく自由自在!!!
展示会などで、天井の配管隠しに使用したり(通気性があるので空調も問題無し!)、ステンレスメッシュで衣装を作ったり……照明を当てたり、カーテンのように風を当ててみたり、形を変えることでも表情が変わります。

また、光を通すと、ステンレスメッシュは独特の形状のとても綺麗なプリズムが出ます。とってもキラキラしていて、まるで万華鏡のよう。

「足場材と何かコラボできそう!」など、その場で色んなアイデアが飛び交っていました。

林さんはステンレスメッシュが大好きで、自宅にも飾っているほど。生き生きした表情でステンレスメッシュについて語ってくださり、新しいメッシュの使い方を妄想したくなるプレゼンテーションでした。

「これを掛け合わせたら面白いかも!」大盛り上がりのネットワーキングタイム

プレゼンテーションが終わった後は、来場された方同士での交流や、プレゼンターとの交流が活発に行われました。
今回、プレゼンテーションの段階から様々なアイデアが飛び交っており、建築と素材の掛け合わせには何も制約はないんだなと感じました。

どんな素材でも、何かと掛け合わせることで、いつもとは違う側面からその素材を見つめることができ、新たな魅力を発見することができたり、本来の用途とは違う使い方が見つかることがあります。
MTRLは、今回のようなイベントだけでなく、素材の可能性を広げ既存の枠の外に価値を創り出すリサーチや用途開発、コミュニケーション設計などのプロジェクトも行っています。ご相談もお待ちしていますので、お気軽にお問い合わせください!

 

 

Material Meetup とは

Material Meetup は、「素材」をテーマに、ものづくりに携わるメーカー、職人、クリエイターが集まるミートアップ。

  • 新しい領域でのニーズや可能性を探している、「素材を開発する」人
  • オンリーワンの加工技術をもつ、「素材を加工する」人
  • 持続可能な社会を目指して、「素材を研究する」人
  • 機能や質感、意匠性など、複合的なデザインを行ううえで様々なマテリアルを求めている、「素材からデザインする」人

…そんな人々が「デザインとテクノロジー」そして「社会とマテリアル」の観点から、業界の垣根を超えてオープンに交流し、新たなプロジェクトの発火点をつくりだす機会を継続的に開催しています。

カタログスペックだけではわからない素材の特性や魅力を知り、その素材が活用されうる新たな場面(シーン)を皆で考える。「素材」を核に、領域横断のコラボレーションやプロジェクトの種が同時多発する場。それが Material Meetup です。

2018年のスタート以降、東京・京都の各拠点ごとに、それぞれ異なるテーマを設け継続開催しています。

■ Material Meetup 過去開催情報:https://mtrl.com/projects/material-meetup/

Author

  • FabCafe Kyoto編集部

    FabCafe Kyotoが作成した記事です。

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