Column

2017.11.29

コミュニティ紹介:ニコス京都 Orchest-Lab

FabCafe編集部

ニコス京都 Orchest-Lab(正式名称:「エレクトロニコス・ファンタスティコス!京都 Orchest-Lab」)は、アーティスト・和田永によるプロジェクト「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」において、MTRL KYOTOを拠点に活動する有志メンバーのコミュニティです。

「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」(通称:ニコス)は、これまでに古い電化製品を使って様々な電子楽器や音楽を産み出してきたアーティスト・和田永が、あらゆる人を巻き込みながら新たな楽器を創作し、量産し、奏法を編み出し、徐々にオーケストラを形づくっていくプロジェクトです。

2015年2月『滞在制作篇』として墨田区本所の拠点にて、役割を終えた電化製品を呼びかけ集めるところからスタート。訪れる人々との対話を通して発展の可能性を探り、文字通りの試行錯誤を重ねながら同年11月に初のコンサート『初合奏遭遇篇』を開催。それを契機にプロジェクトの協業チームが発足しました。エンジニア班はプログラミングや基板設計から木工・金工造作まで。演奏班は、奏法の探求から楽器の習得まで。たくさんの人々の手によって数々の”古家電蘇生楽器”が誕生しました。

2016年に開催された「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」への参加に際して家電の聖地・日立にもチームが発足し、爆発的に楽器が成長。コンサート『日立通電篇』では、現地で回収したブラウン管テレビや扇風機を楽器化し、茨城在住メンバーと和田とのアンサンブルが奏でられました。

2017年は全国で新たな家電楽器の研究開発、制作を展開していきます。日本中の人々と、発想と知恵と技術を交換し合う即興セッションを繰り広げ、11月には東京タワーの真下で、ニコスの祭典『本祭Ⅰ:家電雷鳴篇』を執り行います。

エレクトロニコス・ファンタスティコス!公式WEBサイトより引用)

2017年6月に、アーティスト和田永が実際に家電楽器のデモ演奏を行う体験会を実施。50人を超える方が集まりました。
▶︎開催レポート https://mtrl.com/blog/170619_electronicosfantasticos/

7月には、「実際にこのプロジェクトに参加してみたい!」と思った人たちが集まり、新しい再生家電楽器の姿を考える(=妄想する!)オープンミーティングを実施しました。

自己紹介も兼ねての大喜利大会では、「電磁盆踊り」「古家電楽器」をテーマに、「ニコスの卵」(楽器のアイディアスケッチ)を一人一枚制作。ここで生まれたアイデアの種たちが、今後の活動のひとつのベースになってゆきました。
▶︎開催レポート https://mtrl.com/blog/170727_nicos-lab/

キックオフ以降は、ラボメンバーたちが自主的に集まり、「アイデアを具現化」していく日々がはじまります。皆それぞれお仕事など忙しい中、時間をつくってはMTRL KYOTOで、あるいは自宅でこつこつと、開発実験や制作を続けました。

定期的な集まりでは、活動記録を残しながら、facebookグループでの意見交換も活用し、他拠点との情報共有・交流をはかります。定例活動の様子は、「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」公式facebookページにて、他拠点(東京・日立)のレポートとともに公開・発信されています。
https://www.facebook.com/pg/electronicosfantasticos/notes/

ニコス京都 Orchest-Labの今回の目標は、2017年11月に東京で開催される、和田永「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」~本祭Ⅰ:家電雷鳴篇~(以下、ニコス本祭) での楽器のお披露目と実演。
9月からは、ニコス本祭当日に向けて楽器を完成させるべく、開発も追い込みモードに入り、驚くべきスピードで二つの楽器が誕生し、お披露目の日を迎えました。

活動のなかで、

  • わたあめ器
  • 血圧計
  • いらなくなった家電のリモコン

…などなど、いくつかの魔改造候補が挙がってきました。

これらのうち、特にリモコンの「赤外線を感知して音に変換する」仕組みをメンバーが考案したところから、楽器の開発が加速しだしました。試行錯誤と紆余曲折を経て、もはや”楽器”を超えた『リモ銃 / リモエイラ』として、日の目を見ることになります。

あらゆる家電のリモコンは、武術の道具と成りて、鳴る!「リモ!リモ!」と囃し立てる人々の円の中で、《 リモ銃 》及びLIFEジャケットを装着したバトラーたちは、踊りながら相手のセンサーに向けて赤外線信号を発射。当たるとハート型に光る「LIFE」が減っていく。リモコンの3つのフォーマットはそれぞれの流派「NEC流」「家電製品協会流」「SONY流れ」にわかれる。お茶の間でのチャンネル争いは、新たな武術と舞踏の文化へとリサイクルする! 制作:板谷諭 & 京都 Orchest-Lab
(和田永 「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」 〜本祭 I : 家電雷鳴篇〜 当日パンフレットより引用)

また、「ニコスの卵」の妄想のなかで浮かび上がった素材として「電髪機」を探すうちに、「昔理容室などによくあったドライヤー付きの椅子」を発見。機能や構造もよくわからないままに取り寄せ、こちらも楽器化をめざすことになりました。仕組みを調べたところ、和田永さんの扇風琴(扇風機を改造した楽器)と同様の原理で音を発することが可能と判明し、こちらも「座って、かぶって音を鳴らす神輿」としての改造がスタートします。メンバーの得意分野をもちより、電飾、発音構造の製作、装飾デザインに裁縫などなど、分担しての作業が連日行われ、『釜鉾』として登場したニコス本祭で大きな注目を集めるに至りました。

かつて理髪店で活躍していた「お釜ドライヤー」は現世と冥土とを繋ぐ乗り物、神輿へと姿を変える。なぜなら、三途の川で濡れたとしても乾かせるからだ!釜先からは髪の毛のように黒い「鉾」が依り代となってそびえ立ち、乗り人は席に座ってお釜に頭を入れて電源スイッチをON。電飾が煌めき、光と回転の出航音が鳴り響くと《 釜鉾 》は天へと向かう。制作:田中秀樹 & 京都Orchest-Lab
(和田永 「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」 〜本祭 I : 家電雷鳴篇〜 当日パンフレットより引用)

 

(※ 活動に関する情報は、すべて2017年11月現在のものです。)

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