Event report

2021.1.20

バンコクで国産材について考える。FabCafe Bangkok デザイン思考ワークショップレポート

スチュワート ケルシー|Kelsie Stewart

FabCafe Tokyo CCO (チーフコミュニティオフィサー)

森林の持続的なサイクルを保つためには、成長した木をタイミング良く伐って、使って、植えて、育てる必要があります。

これまで、建設や建築、製品など、専門的なアプローチで、国産材の価値を再考し活用を促進する取り組みは行われていましたが、まだまだその価値を「チェンジ」する余地はある、との考えから、国産材の需要創出・利用拡大を支援するプロジェクト「WOOD CHANGE CHALLENGE(ウッド チェンジ チャレンジ)」が始動しています。

このプロジェクトの一環として、タイのFabCafe Bankokでは、2020年12月23日にアイデアソンイベント「Would Change Challenge」を開催しました。本記事では、このイベントの様子をレポートします。

→ 本記事は英語で執筆された記事を翻訳したものです。原文(英語)を読む

作品募集中!

FabCafeは「WOOD CHANGE CHALLENGE」をサポートしています。現在、プロジェクトの一環としてアワード「WOOD CHANGE AWARD(英語表記では「Would Change Award」)」を開催中。国産材を用いた体験やコミュニケーションツール、使い方などのアイデアを幅広く募集しています。アイデアスケッチの画像や動画、プロトタイプはもちろん、市場に出ていない商品やサービス、コミュニティ活動などでも応募可能です。

募集期間: 2020/11/18 – 2021/02/15
詳細を見る

 

日本の「一般社団法人全国木材組合連合会」が後援するこのアイデアソンでは、タイ独特の文化や最近のトレンドを通して、国産材や木を活用した新しいアイデアを考えることを目指しました。

アイデア創出にあたって軸としたのは、現在作品を募集中のアワード「WOOD CHANGE AWARD」の3つのテーマである「木の特性を活かし方をチェンジする」「木と人との関係をチェンジする」「木を使うことのイメージをチェンジする」です。1日という短い時間にも関わらず、想像もしなかった魅力的なアイデアが生まれました。

当日の様子は動画でもご覧いただけます。

このイベントは、FabCafe共同創設者のSamustpon Tanapant、およびFabCafe BangkokメンバーのFakram Buasaiによって企画、実施されました。

Samustponは、Thammasat大学の建築設計の講師であり、FabCafeのCOOを6年以上歴任。また、SamustponとFakramの2人は、バンコクデザインウィーク2020において、ソーラーパネルとBluetoothを内蔵したスマートヘルメット「Foresee」や、ソーラー電力を利用してエネルギーを集め、水を加熱してワンストップコーヒーを提供する「Cactus」などのプロトタイプを展示しました。
この2人を中心に、これまでに新しいアイデアがたくさん生み出されてきました。

アイデアソンの参加者は、アートディレクター、研究者、デザイナーなどさまざまなバックグラウンドを持つ方々や、Silapakorn大学、Chulalongkorn大学、Thammasat大学の学生と教員です。すでに長い歴史を持つ素材である木材について、まだ探求されていない新しい視点を創りだすべく、多彩なメンバーが集結しました。

「愛とは何か?」からはじまるアイディエーション


デザイン思考プロセスの中心にあるのは「アイディエーション」です。参加者はいきなりソリューションから考えるのではなく、まずは参加者自身の人間中心な側面について考えました。

最初のアイスブレイクで、「愛とは何か?」、次に「木とは何か?」、そして最後に、「これらの非常に広範でありながら深いテーマをどのように融合させてまとめるか?」、という3つのワークをファシリテーターであるFakramの主導で行いました。

このロマンチックでありながら示唆に富む視点からアイデアソンをスタートしたことで、プロセスのはじめの時点から、さわやかで非常に人間的な瞬間が数多く生まれました。

その後、各チームのトピックを定義するため、参加者は「タイの文化に特有な点は何か」、「現在のトレンドに関連している人々の行動は何か」を考え出すことで課題を分析。これらのタイ特有の文化的なポイントや行動と、現在のトレンドや感情的な側面を掛け合わせることで、新たなアイデアを導いていきました。

ワークから生まれた3つのアイデア

ラフなアイデアを「コンセプトスケッチ」としてまとめるためには、リサーチ力、創造力、コミュニケーション力が必要となります。コンセプトスケッチはアイデアの本質を捉え、デザインの核となる特徴やデザインの機能など、さまざまな要素を一枚のスケッチにまとめて表現します。
アイデアソンでは、どのようなアイデアが実現可能なコンセプトへと発展したのでしょうか。幅広いインスピレーションに満ちたコンセプトスケッチの中から、以下の3つのアイデアソンのアウトプットを紹介します。


その1:LUCKY AROMA

  • LUCKY AROMAは、人間の行動と人々が持つ信条を同時に捉えたアイデア。化学反応によって発生した色を混ぜることで、塩化銅からは青、塩化ストロンチウムからは赤といったように、コーティング(カプセル化)によって煙の色を変えることができます。LUCKY AROMAは、その日のラッキーカラーを確認しながら、アロマで朝のリラックスタイムを過ごすこともできます。

    By: Nutcha Shamasoonthorn x FabCafe Bangkok


その2:XYCOAL

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  • XYCOALは、山からのミネラルウォーターの時代に終止符を打ち、木からのミネラルウォーターの時代の幕開けを象徴するようなアイデアです。ザイレム(木材)は、圧力を加えると、特殊なミネラル、特性、香りを持つ天然の浄水器に変化します。このXYCOALというアイデアは、飲料水の新次元を創造するかもしれません。

    By: Jetsada Wongwanjaroen x FabCafe Bangkok


その3:Keen to eat CLEAN

  • KEEN to eat CLEANは、食品の包装に使われる紙を加工して余分な油分を吸収する実験的なアイデアです。このアイデアは、リグニンとヘミセルロースを除去する「木のスポンジ」と同じ原理を用いています。セルロースの骨格を取り除き、疎水性コーティングにより素材構造の空隙率を高め、食品に含まれる油分を紙に吸い込ませます。そうすることで、カロリーを抑え、健康志向の高い食品に生まれ変わるのです!

    By: Nawapon Sojaiwong x FabCafe Bangkok

アワード「WOOD CHANGE AWARD」の募集は2021年2月15日までです。引き続き、みなさんからのアイデアの応募お待ちしています!

また、2月2日には、FabCafe Bangkokが主催するオンラインのWould Change Challenge Meetupが開催予定です。国産材、木を中心としたデザインの革新、デザイナーがこれまでにない新しい視点から木材をどのように見ているのか、これらの専門家の話を聞いてみたいという方はぜひ、下記から詳細をご覧ください。

  • 国産材の特徴や木をどのように活用するか?、またデザイナーやアーティストがどのように木の可能性を広げる挑戦ができるかについて、様々な専門家のトークをオンラインで視聴可能なイベントです。

    日程 : 2021年2月2日16:00-19:00(バンコク時間)
    形式 : ZOOMを使用したオンラインイベント
    申し込み:FabCafe Bangkok Facebookページ

Author

  • スチュワート ケルシー|Kelsie Stewart

    FabCafe Tokyo CCO (チーフコミュニティオフィサー)

    入社以来、バリスタ、カフェアドバイザー、FabCafeグローバルネットワークのコミュニケーションコーディネーター、FabCafe ウェブサイトライター、デザイン思考ワークショップのファシリテーターと幅広く、業務を務める。また、FabCafe CCOとして、FabCafe Global Networkのまとめ役を務め、世界各地のFabCafeのローカルクリエイティブコミュニティの育成と、それらのコミュニティとグローバルネットワークを繋ぐことを行っている。 加えて、持続可能な開発目標の短期的な解決策を作成することを目的とした2日間のデザインソンであるGlobal Goals Jam(GGJ)の東京開催の主催者でもあり、本イベントを過去に東京、バンコク、香港の複数都市で企画・実施した。

    入社以来、バリスタ、カフェアドバイザー、FabCafeグローバルネットワークのコミュニケーションコーディネーター、FabCafe ウェブサイトライター、デザイン思考ワークショップのファシリテーターと幅広く、業務を務める。また、FabCafe CCOとして、FabCafe Global Networkのまとめ役を務め、世界各地のFabCafeのローカルクリエイティブコミュニティの育成と、それらのコミュニティとグローバルネットワークを繋ぐことを行っている。 加えて、持続可能な開発目標の短期的な解決策を作成することを目的とした2日間のデザインソンであるGlobal Goals Jam(GGJ)の東京開催の主催者でもあり、本イベントを過去に東京、バンコク、香港の複数都市で企画・実施した。

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