Column

2022.2.2

たにぐち研 グラレコ日記 / 11月20日(土)

たにぐち研とは?

東海エリアの至るところに出没する、神出鬼没の谷口利典さんによる谷口研究室、通称”たにぐち研”では、愉快な仲間たちが集い、思いのままに遠足していきます。

地域、食笑いと学び、ときどき涙。若者や面白い活動家たちを求め日々多様な土地へ足を運ぶ谷口さん、そして研究員の活動を、日記のようにゆるっとレポーティングしていきます。地域と人づくりが気になる皆さま、ぜひご参加くださいませ。
今回は、たにぐち研研究員が夢中になってしまった”グラフィックレコーディング”をレポーティングします!

※たにぐち研シリーズは、わかりやすく、やさしい日記口調を大切にして、連載しています。


  • 白木あや

    自営業/&n(アンドン) 事務・プランナー

    2019年に参画したプロジェクトの一環でグラフィック・レコーディングに出会う。プロジェクトを遂行する過程でミーティング中の議題の「可視化」に必要性を感じ、 身近な対話から実践を重ねる。 

    地元の学校での講師や、行政と民間でつくるまちづくりの場に入り、様々なプロジェ クトの翻訳としてグラレコを活用中。「可視化」が多様になってきた今、よりよい議論・対話が生まれる場づくりを目指している。

     岐阜市長良にある商業複合施設「&n(アンドン)」運営組織内にて事務・企画を担当。

    2019年に参画したプロジェクトの一環でグラフィック・レコーディングに出会う。プロジェクトを遂行する過程でミーティング中の議題の「可視化」に必要性を感じ、 身近な対話から実践を重ねる。 

    地元の学校での講師や、行政と民間でつくるまちづくりの場に入り、様々なプロジェ クトの翻訳としてグラレコを活用中。「可視化」が多様になってきた今、よりよい議論・対話が生まれる場づくりを目指している。

     岐阜市長良にある商業複合施設「&n(アンドン)」運営組織内にて事務・企画を担当。

  • 中嶋伸恵

    まちづくりプランナー / グラフィックレコーダー

    建設コンサルタント勤務を経て、2019年に合同会社おでかけカンパニーを設立。

    まちづくり分野を中心にグラフィック・レコーディングで議論の可視化を実践。公共交通、教育、福祉など様々な分野のシンポジウムやイベントにてグラフィック・レコーディングを行うほか、学生や社会人向けの研修講師も務める。

    「グラフィックで話し合いを楽しくしたい!」という想いを胸に日々活動中。

    合同会社おでかけカンパニー

    建設コンサルタント勤務を経て、2019年に合同会社おでかけカンパニーを設立。

    まちづくり分野を中心にグラフィック・レコーディングで議論の可視化を実践。公共交通、教育、福祉など様々な分野のシンポジウムやイベントにてグラフィック・レコーディングを行うほか、学生や社会人向けの研修講師も務める。

    「グラフィックで話し合いを楽しくしたい!」という想いを胸に日々活動中。

    合同会社おでかけカンパニー


11月20日 日曜日
天気:晴れ

グラレコって何だろう?聞いたことはあるけれど、実際に見たことも、教えてもらったこともないなぁ。グラレコのグラは、「グラフィック」、レコは「レコーディング」のこと。つまり、絵の記録ってことだろうか。
「絵心ない…」「どんな時に役立つの?」そんなこと思っている人も多いのかも。私も実はそう思っていたんですよ。だけど、FabCafe Nagoyaでグラレコのワークショップを受けたら、グラレコの楽しさ、大切さを身を持って実感しました。

今回、グラレコを0から教えてくれたのは、白木あやさんと中嶋伸恵さん。
多くの場所でグラレコを活用してきたお二人。
グラレコの歴史から実践的に描く練習まで教えてもらいました。

そもそもグラレコとは

ワークのはじめは、そもそもグラフィックレコーディングとはどんなものなのか教えてもらいました。グラレコの歴史・使い方をしっかり理解した上で、グラレコに取り組んでいきたい加藤です。

ミーティングや会議などの話し合いの内容を、文字やイラスト、アイコンを使い、即興で記録する方法。

1970年代にアメリカ西海岸を中心に、まちづくりの話し合いの場で使われていた「グラフィックファシリテーション」が始まりとされている。

立場、価値観、属性、職種、文化が異なる参加者がリアルタイムで内容を共有できるよう、主にホワイトボードや模造紙など見える形式で描かれ、多様性ある議論が生み出す齟齬を解消することや、議論の活発化、スムーズなコミュニケーションに向いている記録手段。話し合い後も、内容をデータや写真で保存することができます。

なんと。いいことだらけ。

グラレコを活用して、議論や話し合いが見える化されることで、新たな課題や提案が生まれるかもしれません。言葉やテキストにできないような、人それぞれのニュアンスやイメージがコミュニケーションの壁をつくっていたこともあるのでは。しかしグラレコを活用したら、伝わりにくいことも伝わったり、さらに話し合えたりする。つまり、グラレコによって気持ち良いコミュニケーションができることを知りました。

また、70年代からグラレコがあったなんてびっくりです。歴史あるグラレコを現代社会にフィットしたかたちで学ぶことができてとっても嬉しかった。

実際に描いてみる

まずは自己紹介。いつも自分がどんなことをしていて、どんなことに興味をもっているのか。そしてグラレコへの意気込みを模造紙に描きました。
似顔絵や、お仕事に関するイラスト、カラフルに縁取られた文字。参加者のみなさん、グラレコのモチベーションバッチリでした。

自己紹介が終わり、参加者のみなさんの距離が縮まったところでグラレコ準備運動が始まります。

グラレコ準備運動その一、正しいペンの使い方

えっ!ペンの使い方から!!?と驚いた方もいるのではないでしょうか。
しかし、正しいペンの使い方は、グラレコのわかりやすさに直結するといってもいいほど、重要なこと。だからこそ、ペンの使い方からワークは始まりました。

ペンはプロッキーを使います。ついつい細い方で書いてしまいがちですが、グラレコでは太い方を使います。線の太さが変わってしまったり、いつも書いている感覚を掴めないことがありますよね。それ、プロッキーの正しい使い方をしていなかったからかもしれません。

真っ直ぐな線、ジグザグな線、なみ模様、回転、くるくる、まる、しかく、さんかく…。

グラレコ準備運動その二、図形を描いて、人・もの・コト・気持ちを表現する

クロッキーの使い方をマスターするために描いていた線や図形。実はこれらを組み合わせることであらゆるグラフィックに変身します。
しかくの中にしかくを描いて、スマートフォン。さんかくの中にびっくりマークを描いて「危険」な表現。
さらにはふきだしの中にくねくねされた線を描くと、「もやもや」した気分に。
描きやすいし、簡単!さらに、誰が見ても何を表現しているのか理解できます。

ますますテンションが上がってきたところで、「人」を描いていきます。

 

議論や対話が生まれる場で活用されるグラレコにおいて、「人」という存在は重要なグラフィックのひとつです。

まずは顔の表情から。
表情は、眉(4種類)×目(5種類)×口(5種類)の組み合わせることで 100種類のパターンができるんです!(エモグラフィ®というらしいです) パーツはまっすぐな眉、山型の眉、ハの字の眉、まるの目、くの字の目、3の口、O形の口など、これで喜怒哀楽どんな表情も自由自在。

さらに、からだも描くことで、あっという間に躍動感のあるかわいいグラフィックができました。これはすごい!なんだか愛着が湧いてきました。顔やからだを描けるようになると、抽象的な表現でもグラフィックを活用できます。

例えば、「ストレス」。みなさんだったらどんなグラフィックを描きますか??私は、岩を担ぎ、坂道を登る人が苦しい顔をしている様子を描きました!このように、人・ものを組み合わせることでコト・気持ちなど抽象的な表現もできるようになります。

ここで、準備運動は終了。続いて実践です。できるのかな…。不安になりながらも挑みました。

話して聞いて描いてみる

ここまでグラフィックを描く練習をしてきました。グラレコは、リアルタイムで対話や議論が生まれる中で活用するものです。そこで実際に話を聴きながら、グラフィックとテキストを用いて、グラレコを実践する場が設けられました!

参加者は、グループに分かれ、話すひと、聞くひと、描くひとをランダムに回していきます。「人生で一番嬉しかったこと」について話していくのが話すひと。それを聞き、話すひとを引き出していくのが聞くひと。二人の会話を聞いて、グラフィックとテキストを用いて記録していくのが描くひとです。

描くひとは練習したグラフィックを描くだけではなく、テキストとグラフィックのバランスをとったり、複数のペンでカラフルにしたり、ストーリーの構成まで考えながら描いていかないといけません。耳を傾けながら、脳で整理して、手で描く。これが至難の技。もう手に脳と耳がついていればいいのに…。と思ってしまいました。

 

参加者のグラレコ実践が終了したところで、白木さんが中嶋さんのお話をもとに、グラレコの見本を披露してくれました。白木さんのグラレコはとにかく早い!かつ的確に情報を可視化していました。

表情や建物、グラフを用いて中嶋さんのお話を客観的に記録。ペンも3種類のみ、上から時計回りに時系列が進んでいく構成です。その場にいない人でも、どんなお話だったのか理解ができるグラレコでした。

いつか、こんな風に描いてみたい!!と会場がひとつになった瞬間でした。

感想や気づきを描いてみる

実際に話を聞きながら対話のグラレコを実践し、多くの気づきや課題が生まれました。そして最後に、グラレコワークショップの振り返りを一枚にまとめ、参加者全員と共有。

絵心が重要なのではなく、話や議論を聞いて客観的に表現することが求められるという学びを得て自信がついた人。単純にグラレコが楽しかったと思う人。会社のミーティングでグラレコを活用し実践経験を積んでいきたい人。

感想や気づき、課題は人それぞれでしたが、参加者全員がグラレコの良さにふれることができました。

コミュニケーションの壁を壊すために、グラフィックで伝えることはとても効果的です。テキスト・言葉では表現できない”考え・想いを可視化すること”で、文化・地域・職種・言語・思想の壁を乗り越えて対話や議論が生まれます。また、”考え・想いを可視化すること”は、対話や議論するひとだけではなく、描くひと自身も話の理解を深め、課題を見つけることができます。

会議や打ち合わせなどの仕事から、日常や家庭のアレコレまで議論や対話をより深みのあるものへ変化させていくグラフィックレコーディングをスキルとして今後とも身につけていきたいです。


  • &n

    &n(アンドン) は、岐阜市長良鵜飼屋エリアにある旧木材倉庫をリノベーションし、令和元年にオープンした複合商業施設。長良川漁師が店主の川魚直売店から、bar、食堂、インテリアショップ、アーティストのアトリエなど、個性あふれるお店が並んでいます。
    ”長良をもっと楽しむナガラな場所”というキャッチコピーをもとに、長良川リバースケープのメンバーで企画・運営しています。

    &n Webサイトはこちらから

    &n(アンドン) は、岐阜市長良鵜飼屋エリアにある旧木材倉庫をリノベーションし、令和元年にオープンした複合商業施設。長良川漁師が店主の川魚直売店から、bar、食堂、インテリアショップ、アーティストのアトリエなど、個性あふれるお店が並んでいます。
    ”長良をもっと楽しむナガラな場所”というキャッチコピーをもとに、長良川リバースケープのメンバーで企画・運営しています。

    &n Webサイトはこちらから

  • 合同会社おでかけカンパニー

    “おでかけ”に関する取り組みをしたいけれど、専門的な知識が足りない方や、公共交通の利用促進をしたいけれど、わかりやすい資料にならない方。そんなみなさまのお困りごと、“おでかけカンパニー”にお任せください!

    Webサイト

    “おでかけ”に関する取り組みをしたいけれど、専門的な知識が足りない方や、公共交通の利用促進をしたいけれど、わかりやすい資料にならない方。そんなみなさまのお困りごと、“おでかけカンパニー”にお任せください!

    Webサイト

Author

  • 加藤 あん

    2000年生まれ。水瓶座。

    2019年あいちトリエンナーレ育成プロジェクト参加をきっかけにアートとジェンダーについて興味を抱く。卒業論文のテーマは「身体とファッション」。鷲田清一の「モードの迷宮」がバイブル。現代の人々が衣服を着用する意味、身体本来の目的ついて深掘り中。 趣味は映画鑑賞。特に好きな映画は「SWEET SIXTEEN 」。

    2000年生まれ。水瓶座。

    2019年あいちトリエンナーレ育成プロジェクト参加をきっかけにアートとジェンダーについて興味を抱く。卒業論文のテーマは「身体とファッション」。鷲田清一の「モードの迷宮」がバイブル。現代の人々が衣服を着用する意味、身体本来の目的ついて深掘り中。 趣味は映画鑑賞。特に好きな映画は「SWEET SIXTEEN 」。

FabCafe Newsletter

新しいTechとクリエイティブのトレンド、
FabCafeで開催されるイベントの情報をお伝えします。

FabCafeのビジネスサービス

企業の枠をこえて商品・サービスをともに作り上げていく
FabCafeのオープンイノベーション