Event Report

飛騨の木工職人の技で古家具をリペア・リメイク!家具の新たな可能性を探る「古家具祭り」

飛騨地域特有のデザインである「飛騨箪笥」をはじめ、10種類以上の箪笥などの古家具の展示販売・リペア受注会を行う「古家具祭り」を2019年4月29日〜5月6日に開催しました。
この企画は、FabCafe Hidaと古家具のリペア・リメイク・リノベを行う飛騨の家具職人集団『家具々鹿々(かぐかぐしかじか)』との共同企画・運営、
さらに富山を拠点に箪笥のリメイクなどの事業を行う「家’s(イエス)」とコラボレーションにより実現しました。
会期中は来られたお客様が職人から木の特性・木工技術・木材調達などのリペア・リメイクに関するノウハウを聞いたり、アイデアを実現するためにどんな方法があるのかを相談できる貴重な機会となりました。
また、関連イベントとしてトークやワークショップも開催。
地元の職人との対話により古家具の新しい可能性を発見することを目指して行われた本イベントの当日の様子をFabCafe Hida ものづくりディレクター堀之内がレポートします。

「眠ったままの飛騨箪笥が生まれ変わるために」

飛騨や近隣の地域の古民家からは、“古”家具が見つけられることがあります。
FabCafe Hidaの建物・旧熊崎邸だけでも数十個の古い箪笥が蔵に眠っていました。
それらの箪笥はここにお嫁に来た女性たちが代々使用していたもので、この地域では「飛騨箪笥」と呼ばれます。
この地域ではどの家にも当たり前のようにある飛騨箪笥は、よく耳にする桐ダンスに加えて、随所に広葉樹のクリなどを混ぜて製作された物も見られ、飛騨の職人が建築材の端材で作り始めたという謂れがあります。

FabCafe Hidaとしては、

「蔵にある古家具を、蔵の中に眠り続けるよりは、必要とする方のところで使っていただきたい」

という思いから、
「家具々鹿々」、「 家’s」という2組の古家具スペシャリストに相談したことがきっかけでこの企画が生まれました。

メンバー紹介

「家具々鹿々」

古家具の『REPAIR(修理)』『REMAKE(再生)』『RESCUE(レスキュー)』 3つのサービスを提供する飛騨の木工作家チーム。

古家具の魅力は、家具の持っている物語そのもの。記憶を繋ぎ、残していく。それが修理という仕事です。

「家’s(イエス)」

遊休資産に付加価値をつける事業を展開し、現在は、築100年の古民家を改装した宿”Samurai’s house”の運営や古民家アンティークとして、古い家具の再生を行っている。

100年の眠りから古箪笥をレスキュー

△蔵から眠っていた箪笥を店内に運び込みます。

△赤、黒、オレンジなど12台の「飛騨箪笥」が並びます。
取っ手のデザインや、木材の種類、塗りなどしつらえが全て違いどれも同じものはありません。

「古家具祭り」では、古家具をそのままの姿でお引き取りいただけるのはもちろん、『REPAIR(修理)』『REMAKE(再生)』『RESCUE(レスキュー)』の3つのサービスを提供。ご希望のデザインを職人さんにお願いして製作していただくだけでなく、近隣にお住いの方は職人さんとスケジュールを合わせて一緒にリペア&リメイクをすることもできます。

△職人さんとお話されている様子

△会場には、「家’s(イエス)」さんの古家具リメイクのアイデアを展示、販売コーナーを設置。(写真はその一部)

伊藤さんご自身がディレクションし、デザイナーとコラボレーションした新しい古家具の価値や魅力を感じてもらえる展示。
普段使いにぴったりな勉強机から、よりデザイン的なものまで。どんなリメイクを施すか、アイデアが膨らみます。

△ドライフラワーを用いて様々なプロジェクトを行っている「謳花」とコラボした、箪笥ドライフラワーモニュメント。

 

「360度の視点から見る古家具」

古家具のリメイク&リペアのサポートを行う家具職人集団「家具々鹿々」鈴木さん、天野さん。
そしてデザイナーと古箪笥を繋ぐ箪笥プロデューサー「家’s(イエス)」の伊藤さんを交えて、古家具の新たな可能性を探るトークイベントを開催しました。

△鈴木さん(左)、天野さん(中央)、伊藤さん(右)によるトークイベントの様子

「修理の仕事は、親方の下で修理をさせてもらった時からやってきて、依頼があればやってきたが、これからは力を入れてやっていきたいと思っています。修理することで、家具の勉強ができるなど我々も日々スキルアップに繋がっています。」と天野さん。

鈴木さんさんからは「アップサイクルカルチャーを飛騨から発信したいという思いからこの家具々鹿々を始めました。すでに資源は社会のあちこちにあって、新たなものを生み出すより、資源の再利用や再発見がメインストリームになって行くのではないでしょうか。修理やリメイクは人間にしかできないことでAIやロボットでは代われないし、職人の技術が活かせる場でもあるので可能性を感じています。」とお話がありました。

伊藤さんは「私は歴史を感じられる遊休資産を価値化する活動を行っています。古い家具は本当は価値があるのに現代に合わないから捨てられる場合があります。じゃあ現代に合わせて、次の世代に残す活動をしたい。形を変える、場所を変える、ストーリーをつくる、売る人を変えれば商品は売れるようになるんじゃないかと思っています。」と語ってくださいました。

△古家具を通して出会った3人のトークショー、熱い夜となりました。

古材を有効活用したワークショップ

職人さんによる、古材を使った「シェルフづくり」「カスタネットづくり」の2つのワークショップも開催しました。

△カスタネット作りワークショップの様子

△飛騨箪笥の取っ手の穴や模様を生かした、愛らしいカスタネットが完成!

△木と皮革でできたシンプルなデザインのシェルフ。

△古材を使ったシェルフはシンプルな構造なので、設置も簡単で女性にも人気!

 

古家具祭りを終えて

12台あった古箪笥のうち6台が新しい嫁ぎ先が決まりました。

そのうち2台は飛騨の職人さんとお話し、FabCafe Hidaの新しい内装として利用することにしました。

お客様の中には
子ども部屋に設置して、まずは娘さんの洋服ダンスに使われるとのことですが
今後お子様が大きくなったら一緒にリメイクのアイデアを考えてしつらえ直したいとおっしゃられていました。

私も愛着がある熊崎邸の古箪笥が欲しくなり、1つオレンジ色のものを購入しました。
これから先の人生はわかりませんが、今はそのままの形で使用し、
結婚したり、新しい住居に写ることがあったら、また職人さんやデザイナーと相談させていただきテーブルや棚に作り替えることを検討しています。

初の試みである「古家具祭り」でしたが会期中は
FabCafe Hida、近所のお子さんや、住民の方も遊びに来てくださり、

「うちにもこまっとるんやよ〜」
「うちにはもっと面白い飛騨箪笥があるぞ」

との声をいただきました。

多くの地域の人々に使われてきた実用的な飛騨箪笥。しつらえにはそれぞれ職人のこだわりが光ります。
ですが、現在は、売値が1,000円台にまで値が下がってしまっています。
これから、飛騨箪笥などの古家具も地域の魅力や資源のひとつとして
そのデザインの由来を追求したり、リペアやリメイクを通して
現代に合った家具として新しい価値を生み出していけるきっかけをつくっていきたいと思います。
また、アイデアソンを加えたデザイナーとのコラボレーションなどを通して
次回の「古家具祭り」は新しい視点や価値をシェアする空間をプロデュースできたらとそんな想像も湧いています。
飛騨の広葉樹を活用、組み木などの匠の技術を活かしたリメイクや、FabCafeならではのデジタルファブリケーションとのコラボレーションも考えていきたいと思います。
「古家具祭り」の開催は来年を予定していますが、
木のものづくりに興味がある方はいつでもFabCafe Hidaに遊びにきてくださいね。

 

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執筆者:FabCafe Hida ものづくりディレクター

堀之内 里奈

飛騨古川出身。「FabCafe Hida」がFabや木工を知るきっかけになりました。
地元出身の目線で飛騨の魅力をおいしく、楽しく、分かりやすく知っていただくきっかけを作ることが毎日の楽しみです。