こんにちは。FabCafe Hida cafeと宿泊担当の優子です。
2月25日、パタゴニア東京・吉祥寺のスタッフのみなさんがFabCafe Hidaにやってきました。みなさんの目的は、ヒダクマ がディレクションを行った、世界的アウトドアブランド・パタゴニア プロビジョンズのカッティングボードとカトラリーセットができた背景を体感すること。その目的をかなえるべくFabCafe Hidaでは、吉祥寺店のスタッフのみなさんに飛騨の製材所や工房で制作に関わってくれている地域の方と出会っていただく特別なプログラムを実施しました。その様子を今回のブログでご紹介します。
改めてご紹介。飛騨の森からできたPatagonia製品とは?
世界的なアウトドアウェアブランド「パタゴニア」が、食の分野で環境問題に対処し、地元生産者を支援することを目指してはじまった「パタゴニア プロビジョンズ」。その商品の中に、飛騨の森から生まれた商品があることをご存知でしょうか?
製品情報:パタゴニア プロビジョンズ 飛騨の森のカッティングボード
飛騨の森にあるべくたくさんの種類の木の、なるべくたくさんの部分を有効に使ったものづくりができないかと検討してできたのが、このカッティングボード。
カッティングボードであれば、サクラ、ホオノキ、クリ、ナラ、カエデ、ミズメ、トチ、クルミ等、さまざまな木を材料として使うことができます。また、それが商品のバリエーションとなってお客さまが選ぶ楽しみにもなります。かと言って無理に種類を増やしたりせずに、その時に森から出てきた木を使用しています。
パタゴニア プロビジョンズで販売されているカトラリーセットの素材は、ブナの木。加工と使用に耐えることができる粘りと、口当たりの良いなめらかな木肌をもつ樹種として、ブナの木となりました。ちなみに、飛騨市では、原生林の素晴らしさと自然の豊かさを象徴する力強い木として、ブナの木を「飛騨市の木」と定めています。
開発の背景はこちら:
「飛騨の森から生まれたパタゴニアの新商品。持続可能な森づくりとものづくりの挑戦」
FabCafe Hidaでは販売しておりませんが、店頭に見本を置かせていただいているので、cafeに来られたお客様も、よく注目されています。
ご近所の方も、
「あの有名なPatagoniaの商品!?飛騨の木でできとるの?すごい」
と、驚きと共に喜んでいただいています。
地元の方達に、直接生の声をいただけて、この商品をこの飛騨の地から生み出したことを誇りに思っています。
加工はすべて飛騨市内の製材所と木工所、木工職人さんに、仕上げは福祉事業所にお願いしています。飛騨の自然と地域のみなさんの力でこのカッティングボードは制作されているんですね。今回企画した旅はその製品の背景を体感し、作り手から販売する(魅力を伝える)人へ、最終的には使っていただく方へと想いのたすきを渡すためのツアーです。
今回の旅のきっかけ
私が以前、吉祥寺店に行かせていただいた時に、プロビジョンズを担当されているスタッフさんから、こんな質問や想いをいただきました。
「急に、コシアブラなど珍しい種類のカッティングボードが入荷したんですが、意味あるんですか?」
「もっと、お客様にそれぞれの樹種の説明ができるようになりたいです。」
ただ販売するだけではなく、熱心に、いいものをお客様にお売りしたいという想いが伝わりとても嬉しかったです。
パタゴニアの理念に寄り添った素晴らしい接客をされているんだなと勉強になりました。パタゴニアの製品の使い手になる方に作り手の思いや飛騨の森から生まれたこの商品の背景を伝えるパタゴニアスタッフのみなさんに
「それでしたら、まずは旅行気分で飛騨に一度来てみませんか?」
と提案したところ、興味を持ってくださり、飛騨での旅の話は始まりました。
早速、来てくださるとのことで、私たちヒダクマは、カッティングボードとカトラリーセットができた背景を少しでもし知っていただけるような1泊2日のプランを設計しました。
ようこそ飛騨へ!
FabCafe Hidaに到着し、ちょっとブレイク。
ツアースタート!
まずは、飛騨の広葉樹が豊富に揃う製材所へ向かいます。
飛騨の様々な樹種の広葉樹を製材する「西野製材所」
西野製材所は、広葉樹に特化した岐阜県内でも広葉樹の扱う量が多いの製材所です。パタゴニアの飛騨の広葉樹を使用したカッティングボードやカトラリーセットの木は、ここで製材されています。西野製材所では、丸太の皮剥き、製材加工、天然乾燥、販売などを行っています。
「製材所には、常時20〜30種類の国産材が積まれていますが、それぞれ1種類あたりの量はさほど多くはありません。樹種を1種類に絞り込んで作ろうとすると、簡単に在庫不足に陥ってしまいます。」と話すのは、西野製材所の社長・西野真徳さん。そのため、パタゴニアのカッティングボードは一種類の樹種を材料とするのではなく、その時々の在庫に合わせた樹種が使えるような商品として企画されました。
飛騨の木工職人の工房を見学「野中木工所」
西野製材所を後にし、次に向かったのは、カッティングボードの製作を行っている野中さんの工房です。
野中さんとお話している時、吉祥寺店のスタッフさんから、こんな話をされました。
「普段カッティングボードが、本部から届く際にはビニールに入っているのですが、お客様に実際に触って選んでもらいたいので、ビニールをとって販売しているんです。」
野中さんに限らず、職人さんや作り手は、実際にどのように自分たちが作ったものが販売され、どんな方が手にとってくれるのか?作った先のことを知ることは、なかなかありません。このように製作者とお客様へ魅力を伝える人が直接意見交換をすることって大事なことだと思いました。
野中さんの感想
普段は、下請けにて木製品を主に作ってます。テーブルやテーブルの脚のみとか、変わった所で、ちょうちんをぶら下げる屋形などです。パタゴニアのみなさんに来ていただけて、私も良い物を作って行こうと、改めて感じました。独自の製品が無いんで、これから日々想像力を磨き、何かにつなげたいです。
FabCafe Hidaで広葉樹のお箸とカッティングボードを作ってみよう!
2日目は、朝からお箸づくりとカッティングボード作り。
カッティングボードの製作
今回の滞在では特別に野中木工所さんでいただいてきた木材で製作しました。
木材のカットは、レーザーカッターで行います。みなさん、初めてのレーザーカッターの加工に興味津々です。
パタゴニアのカッティングボードの既存の大きさにレーザーカッターでカット。
カット後は、紙ヤスリで磨きます。磨くだけでも、みなさん好みやこだわりがわかれます。
最後に植物性のオイルで仕上げていきます。
簡単な作業ですが、磨いたり、オイルで仕上げることで木の表情の変化を楽しめます。
【ちょっとブレイクタイム】
FabCafe Hidaの近所にあるゲストハウス・マザーズハウスのマザーさんから、ベーグルの差し入れが!
お昼ご飯までに小腹すかせることなく作業ができ、みなさん大喜びでした。(マザーさん、有り難うございました)
街の人、国内外からの旅行者など様々な方と交流ができることが、FabCafe Hidaのいいところのひとつです。
飛騨の広葉樹をつかったMyお箸づくり
飛騨の広葉樹を使ったMyお箸づくりは、FabCafe Hidaで人気の体験プランのひとつ。大工道具の鉋(カンナ)をつかって、気軽に自分だけのお箸をつくることができます。使用する木材は量産品にならないものを利用し、地域資源を有効活用しています。その時々で在庫は違いますが常時約10種類の樹種から自分の好みにあった木をお選びいただくことができます。
ひとりずつ選んだ材をジグに合わせて削って行きます。
こだわりだしたら、止まらない。自分だけのカトラリー作りにみなさん夢中になっていました。
箸作りでは、自分の手に合ったサイズに製作することができます。慎重に箸をカットしていきますが、意外と細かな作業は難しいです。
完成!
カットし、自分の好みに仕上げたのがこちら。
自分たちでつくったお箸を持って、スタッフオススメのお蕎麦屋さん「お休み処 弥助」へ。
水の美味しい飛騨は、何を食べても美味しいですが、自分で作った箸で、食べるお蕎麦は格別でした。
ツアーを終えて
プロビジョンズのカトラリーセットとカッティングボードの製品ができた背景を実際に、直営店スタッフが現地に出向いて体験するのは、今回が初めてです。
「これでお客様に自信を持ってお勧めできる。」
「クオリティの高い接客ができる」
と、帰り間際におっしゃいました。関係性を築くには、お互いの理念やフィールドを知ること、実際に触れ合うことが大切だと思いました。ヒダクマがいつもご協力をいただいている製造、加工をお願いしている飛騨の街のみなさんと、一見交わることの難しいように思える人との関係を結び繋げていくのは、ヒダクマ の大事なミッションであると再認識しました。
パタゴニア東京・吉祥寺のみなさんから感想をいただきました。
- 切り出された樹が、形を整えられて材木になるところ、職人さんが形を切り出して、自分で削って製品にする。森から物になるまで、ストーリーに加われて、とても嬉しい気持ちと同時に責任も感じました。身の回りになる何気ない製品も、ストーリーがあると思うと、見る目が変わりました。少し大袈裟ですが、生活が変わりました。
- 唯一のMade in Japn製品が、こんなにも人のあたたかい、自然豊かで情緒ある場所で作られているおどろきと、感動が感じられた時間でした。むしろ、この場所だからこそ作れた最高の製品とも思います。日本の持つ豊かな財産である森から始まり、職人さんたちの手を渡り、物になるストーリーを忘れることはなく、ひとに伝えたいと振り返ります。
- 普段何気なく見たり触れたりするモノにも、必ずカタチになるまでの物語があるものです。その物語に目を向け体験する事で、何気ないモノが”宝物“になったりする。そんな機会を最高の仲間と飛騨の人々と味わえた時間までも、宝物になりました。さあ、宝探しの旅に出よう!
パタゴニア東京・吉祥寺のご紹介
実際に、どんな場所で、どんな人によって、またどんな想いで、その製品が作られたかを、今回のご滞在で学ばれた吉祥寺店のスタッフさま。
ご購入をご検討されていらっしゃる方、お近くにお住まいの方は是非、吉祥寺店で実際に商品ができた背景を体験したスタッフとお話ししてみてはいかがですか?
より大事に使いたいと思えるとっておきに出会えますよ。
パタゴニア東京・吉祥寺Webはこちら。
「飛騨の森 カトラリーセット」のご購入はこちら:
パタゴニア公式オンラインショップ
Hidakuma/FabCafe Hidaに遊びにきませんか?
FabCafe Hida は、誰でも気軽に木工やデジタルものづくりを体験できるカフェと木工房、滞在制作ができる体験型宿泊施設です。FabCafe Hidaの建物は、飛騨古川の地で100年以上の歴史を持ち、かつて酒蔵として栄えた古民家を改装し、母屋を最新の機械が揃ったFabCafeと客室、蔵を木工房として利用しています。
FabCafe Hidaでは、飛騨の広葉樹を使ったMy箸づくりや、テーブル天板づくりなど、気軽に木工体験をお楽しみいただけます。
お問い合わせはこちら。
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伊藤 優子
FabCafe Hida/Hidakuma 森のコミュニケーター
1986年生まれ。東濃ヒノキの産地・加子母出身。インテリア科の高校・専門学校卒業後、下呂温泉の仲居として9年間働く。2017年にFabCafe Hidaにジョインし、飛騨のまちで永く愛されるお店づくりをモットーに、cafeでのメニュー開発やイベント企画運営・宿泊を担当。定番メニューのカヌレなどを考案。地元の針葉樹の森と飛騨の広葉樹の森を繋げる架け橋になるのが夢。朝が好き。
1986年生まれ。東濃ヒノキの産地・加子母出身。インテリア科の高校・専門学校卒業後、下呂温泉の仲居として9年間働く。2017年にFabCafe Hidaにジョインし、飛騨のまちで永く愛されるお店づくりをモットーに、cafeでのメニュー開発やイベント企画運営・宿泊を担当。定番メニューのカヌレなどを考案。地元の針葉樹の森と飛騨の広葉樹の森を繋げる架け橋になるのが夢。朝が好き。