Column
2020.3.24
FabCafe Hida 編集部
飛騨の暮らしや森の風景が商品を通して感じることができる「HIDA HOUBA CUTTING BOARD」が完成。
デザインは飛騨在住のイラストレーター・OK PAPERSさん、ディレクションをHidakuma/FabCafe Hidaが担当しました。
きっかけは、2019年5月に飛騨地域観光協議会として飛騨市役所観光課 横山理恵さんから飛騨ならではのノベルティを作成したいとご依頼をいただいたこと。飛騨の人には馴染み深い“朴葉(ほうば)”をモチーフにした可愛らしくて機能性のあるカッティングボードです。
このブログではイメージの元になった朴葉の話や、「HIDA HOUBA CUTTING BOARD」の製作プロセスを、FabCafe Hidaものづくりディレクターの堀之内がご紹介します。
「飛騨らしい」ストーリーを渡す人も使う人も感じるノベルティを作ろう。
私もストラップや、ボールペンといったノベルティを頻繁にいただくことが多く、箪笥の肥やしにしてしまったり、断捨離の際に悲しくも手元に残らないモノとなってしまうことがあります。せっかく作るなら、地域の文化を感じられて、さらに実用的でデザイン性のあるものにしたいという思いがありました。今回はご依頼をいただいたように、飛騨地域の特性である森の豊かさを知ることができたり、森に興味がある山ガールや、薬草ファンの方はもちろんのこと、どんな人でも使いやすい、貰って嬉しいノベルティを目指しました。試行錯誤を繰り返して出来上がったのは、飛騨の食文化や暮らしに馴染み深い、朴葉の形の朴の木で作ったカッティングボードです。
飛騨の暮らしに馴染み深い“朴葉”
飛騨では昔から食べ物を乗せたり、包んだり、簡単な調理の際に器として使われる“朴葉”。
現代でも郷土料理の「朴葉寿司」や「朴葉味噌」などに使われ、飛騨では馴染み深い植物です。
朴葉は知っていても、飛騨の人も意外に知らない“朴の木”の色や特徴
木の色といえば、茶色や肌色をイメージしますが、
朴の木が持つ緑色の美しさを地元の人も意外に知らない方が多いのではないでしょうか。
丸太の芯部分(赤太)と皮に近い部分(白太)とでは色味が違い、
赤太に近いほど緑色が強く、白太に近いほど白色をした、色のコントラストが綺麗な木です。一本一本緑色の濃淡が全然違うため、お刺身のマグロのように好きな部位を選ぶ楽しさもあります。
また、切り取る部分によっては杢(もく)と呼ばれる美しい光沢をした模様が現れることも。
さらに抗菌・殺菌作用のある木なので、水洗いしてもカビたり、腐りにくい特徴があります。
程よい柔らかさを持った朴の木は刃物道具を傷めないことからまな板や、下駄、有道杓子などの素材として使用されています。
「HIDA HOUBA CUTTING BOARD」の製作プロセス
カッティングボードのデザイン
森で使えるカッティングボードとして実用的に使用できるだけではなく、お茶をする時にちょっとお洒落な器として使える朴葉の形をした程よい大きさのカッティングボード。
デザインは、実際に朴葉をスキャンした形を用いて試作。
リアルな葉っぱに寄せたデザインより、ちょっと可愛らしくて、誰もが手に取りやすいデザインを目指してデフォルメし、何度も試作を重ねました。
カッティングボードの大きさは直径20㎝ほどある小ぶりな朴葉と同じ大きさです。森の中では直径40㎝ほどのもっと大きな朴葉もあります。
パッケージデザイン
試作を続ける中で、「朴葉を初めて見る人は魚の骨のようにも見えるのではないか」という形についての意見や「朴葉はどんな植物でどのような使われ方をしているのかなどを入れると貰った人がわかりやすいのではないか」という意見が上がりました。
私たちはパッケージを含めたアドバイスをいただき、パッケージデザインからも朴葉であるということが伝わる様にデザインのプロの力が必要だと考え、飛騨在中のイラストレーターの、OK PAPERSさんにお願いをし、リデザインしていただきました。
表Aの「朴葉寿司」に使われる若い朴葉をイメージさせるデザインと、裏Eの「朴葉味噌」用に塩漬けされたり、枯れた朴葉をイメージさせるデザインが選ばれました。
木材加工
ボードは、2枚の幅が狭い木を良い具合に交差させて接着しています。こうすることで、水ですすいだり、乾かしたりする際に変形しやすい特徴を持つ木ができるだけ反らない(平らなまま)ように工夫しました。
幅狭の板を使用することで、森で間引かれた細い木や、大きい家具などを作る際に余った小さな木も使用することができ、ロスを少なくすることができました。
FabCafe Hidaのレーザーカッターマシンでカット&彫刻
次は朴の木をレーザーカッターで朴葉の形にカットしたり、ロゴを彫刻する作業を行いました。
ある程度の強度がありながら、本物の葉っぱに近い印象になるよう板は4㎜の厚みに加工しています。
赤い線がカット線。朴の木の葉脈やロゴデザインが彫刻されるようにデータを作成します。
切り抜きは1枚につき約1分、彫刻は両面で約15分で加工できました。
データを作成すれば、後はレーザーカッターマシンが自動でカット&彫刻するので簡単な作業に感じますが、
火を扱って加工をするレーザーカッターマシンは加工中に材料が燃えてしまわないように気をつけたり、木材のほしい部分をカットしたり、彫刻の色味の調整や正しい位置に彫刻するためには少しだけコツが必要です。
オイル塗りと仕上げの紙やすり
手にとった時に思わず撫で回したくなるような滑らかな肌触りのカッティングボードになるように、240番〜1000番の細かい紙やすりを使用して、ツルツルとした表面に仕上げています。
カッティングボードの表面は木の乾燥やひび割れを防ぐために、オイルを塗って仕上げました。今回は食べ物が乗ることを考えて天然成分100%のオイルを使用しています。
パッケージ&完成!
最後にOK PAPERSさんに作ってもらった紙を添えて完成!ボードは持ち歩きや、洗った後引っ掛けて乾燥するのに便利な紐を付きです。
両面に使用しているパッケージの紙は、触った時に朴葉に近い感触の紙を選びました。
Member’s Voice
イラストレーター・ OK PAPERS
最近は触れる機会の減った朴葉を身近に感じて欲しいと思い
まずは普段の生活の中で使えるよう親しみのある優しいフォルムにしました。
サイズは実際の朴葉になるべく近づけ、葉脈の入り方も実物を意識しています。
パッケージは朴葉寿司等で使われる、生の状態の朴葉を表面に、
裏側には朴葉味噌に用いられる枯れた朴葉の写真をベースにデザインし
朴葉の多様性を前面に出しています。焼き菓子やおにぎり、おかずを乗せたり
カッティングボードとして活用するのは勿論、キャンプ中の火起こしや涼む用の団扇など、ラケットのように遊んでみたり、使い方は皆さんに色々見つけてもらえたらと思っています。
飛騨市役所観光課・横山理恵
今回、飛騨らしい商品が欲しいという中で、木を使ったものでの商品提案をご依頼しました。提案いただいたホオノキカッティングボードはまさに飛騨の暮らしや自然風景が商品を通して感じることのできる素敵なものに仕上がっています。今後は、関東・関西などでのイベントにおいて商品を展開し、飛騨の暮らしの魅力を伝え誘客につなげていきたいと思っています。また、日々の暮らしの中で使用いただくことで飛騨を身近に感じていただけたら嬉しいです。
「HIDA HOUBA CUTTING BOARD」を持って飛騨に、森に行こう!
飛騨の森を身近に感じながら気軽に使ってもらえるものとして、関わってくださった方々のおかげで完成度の高いノベルティをつくることができました。
カッティングボードとして使用する以外にも、暑い時や焚火の時に使う団扇の代わりなどに使っていただいたり、他にも本物の朴葉のように色んな使い方を発見していただけたらと思います。
ご家庭でお使いいただくだけでなく、このノベルティをきっかけに飛騨に興味を持ってもらい、ぜひ「HIDA HOUBA CUTTING BOARD」を持って、飛騨にお越しいただき、飛騨の森を満喫していただけたらうれしいです。
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