Interview

2022.6.20

曲がり木を求めて訪れた飛騨で、南さんが出会えたもの

伊藤 優子

FabCafe Hida/Hidakuma 森のコミュニケーター

こんにちは。FabCafe Hidaで宿泊を担当している優子です。FabCafe Hidaでは、これまで飛騨の魅力や暮らし方、自然との関わり方を、飛騨に住む方々からお話を通じて発信してきました。今回は、宿でもあるFabCafe Hidaに実際に宿泊していただいたお客さまからお話を聞き、滞在のきっかけや過ごし方などをご紹介します。これから飛騨に行きたい!と考えている方や興味ある方に、飛騨での楽しい時間のイメージをお届けできるのではないかと考えています。記念すべき第1回目は、昨年から3回の滞在をしてくれた、南あさぎさんにお話をうかがいました。

南 あさぎ|Asagi Minami
千葉県浦安市生まれ。東京理科大学大学院 理工学研究科 建築学専攻修了。在学中フィンランドのアアルト大学(WoodProgram)に1年間留学し、森や木に直接触れていく中で木の素材としての特性や個体差に興味をもつ。修士研究/設計では、飛騨のような豪雪地帯特有の、雪の重みによって木の根っこ部分が曲がる「根曲り」に興味を持ち、根曲りを類型化した後、建築へ活かすことを試みた。現在都内の建築設計事務所で、家具、内装、建築設計に取り組んでいる。

森が好き。

自己紹介をお願いします。

南あさぎです。今年の春、東京理科大学の建築学科の大学院を卒業しました。森や木に興味があってすごく好きなんですけど、普段は東京に住んでいて触れる機会がなかったです。

ー森に興味を持ったきっかけは何かありますか?

大学四年生の時にワークショップに参加するために、フィンランドに初めて行って、すごく綺麗で。湖が多かったり、暮らす人たちの楽しみ方も好きで、興味を持って、大学院一年生の時にフィンランドに留学しました。その時に森や自然と近い暮らしをしていて、そこからより森とか木に対する興味が出てきました。もともと北欧は好きで、建築を勉強してるんですけど、大きな建物というより、北欧の内装や、家具、照明などに興味があります。好きなデザイナーは、アルヴァ・アアルトさん。

「森 広葉樹 活用 曲がり木」で検索して見つけた。

ーFabCafe Hidaを知ったきっかけは何でしたか?

ヒダクマのWebサイトでした。修士設計のテーマを何にしようかと悩んでいた時、広葉樹に着目していて、「森 広葉樹 活用」というワードで調べたら、ヒダクマさんを見つけました。最初は、FabCafe Hidaも知らなかったし、泊まれるとは知りませんでした。

ー最初に滞在したきっかけは、何でしたか?

飛騨の曲がり木が多いというのを聞いて、飛騨の曲がり木の実態を実際に自分の目で見て、森にも入りたいというのが一番の目的でした。「飛騨市・広葉樹まちづくりツアー」に参加させてもらったのが最初で、それでFabCafe Hidaにも滞在させてもらいました。

まちづくりツアーを通して、飛騨の森林とか木材産業の実態というのを一通り教えていただきました。その後一回持ち帰って、自分なりにどういう点で進めていきたいかを考えて、再度おじゃまさせていただくことにしました。

まちづくりツアーで、FabCafe Hidaの木工房で活動の説明をするヒダクマの松山と南さん。

再び飛騨へ。意外な発見も。

ー再度飛騨に来るとなった際に、またFabCafe Hidaに泊まろうと思ったのはなぜですか?

私の場合は、1回目の滞在後も、ヒダクマの方々と連絡とりながら、一緒に進めてくださる感じだったので、自然の流れでFabCafe Hidaに泊まることにしました。

ー実際に滞在してみて印象に残っていることはありますか?

共有スペースが広くて、古い建物だけどちゃんと整えられていて、素敵だなあと思いました。それに、FabCafe Hidaって、毎日いろんな人が来るじゃないですか?cafeのお客さん以外にも、時々イベントもあったり。滞在中は、イベントに参加させてもらいました。印象的だったのが、石棒クラブ。

ー滞在期間に、石棒クラブのイベントや、薬草フェスティバルがありましたよね。南さんから自主的に参加されたんですか?

いえ。ヒダクマの松本さんから「夜、こんなのあるからよかったら参加してみない?」とお声がけいただきました。未知な領域だけど、自分とは繋がっていないようで実は繋がっているっていう。題材は違うけど、3D計測を通して、文化財をどう残していくかみたいなこともされていて、私も曲がり木を3D計測して、なんとか活用していくことを考えていたから、学びも多くて面白いし、石棒クラブの方たちとの集まりは本当に楽しくって。参加して本当によかったです。

滞在中参加した薬草フェスティバルの様子。

南さん流 飛騨での過ごし方。

ーFabCafe Hidaの好きなところはありますか?

たくさんありますよ。共有スペースが広いから、自分で好きな場所を見つけて作業ができるところがよかったです。「基本どこでも自由にいていいよー。」とか、そういうゆるさがよかったんです。笑
Fabコーナーの席が好きでした。作業するのにストーブを独り占めしてましたね。中庭も好きです。私が滞在した時は、ヒダクマメンバーが石とか木とか並べて「これいいよね」と言って楽しんでるのを見て、なごみました。なので、私も曲がり木を森で採ってきて、中庭に並べたりしました。

ー古川の町やFabCafe Hidaでは、どのように過ごされましたか?

組み木が学べる飛騨の匠文化館に行ったり、川辺を散歩したり、モーニングで喫茶店のつくしに行きました。常連さんがたくさんいらっしゃる素敵な喫茶店です。あと、町の建物の軒にある大工さんのサインの「雲」が印象的だったので、ひとりで雲集めを楽しみました。

雲とは

FabCafe Hidaでは、9時からはじまるヒダクマさんの朝礼にも参加させてもらい、「自分は、1日こういうスケジュールで動きます。」というのをシェアしました。スタッフの方に、ランチに「喫茶ナヌク」にも連れて行ってもらいました。。薬草フェスティバルの時は、薬草の料理が食べられる、 OHAKOさんにも行きました。FabCafe Hidaのインスタではよく見てた、りんちゃんには、会えなくて残念でした。

モーニングで行った、喫茶つくし。

日本で初めて入った森が「岡田さんの森」

ー滞在中にどのような人と関わりましたか?

ヒダクマメンバーで言うと、松本さんと松山さんとは森に行ったりよくお話をさせていただきました。私の印象では、松本さんも松山さんも自分の個性を主張するっていうより、柔軟に合わせてくれる感じ。意見をまとめてくださって本当に助けられました。黒田さんは面白い人でした。悩んでいると相談したとき、「これ参考になるかも」と本を貸してくださったり、話す機会が多くなかったのに気にかけてくださいました。浅岡さんも、3D計測のアプリとか親身に教えてくださったり、よく「お茶のむ?」って声をかけてくれました。笑

岡田さんの森の岡田さんにも会いました。

ー日本で初めて入った森が岡田さんの森と聞きました。

そうです!すごくいい所でした。岡田さんとヒダクマの皆さんとの関係性って、特殊だし面白くていいなあって。同じ会社の人じゃないけど、ある意味同士っていう感じで。岡田さんの森の、小屋の雪囲いや、道を整えるための落ち葉拾いにも行きました。

ー初めてで、そんなことまで。すごい。笑あとクマの研究をされている安江さんは、曲がり木の計測で本当にお世話になりました。安江さんと森を歩くとすごい楽しくて。森についてたくさんの知識を持っておられて「これは、こういうあれなんだよー」と、豆知識を教えてくれ、解説まで丁寧にしてくれました。

あと、田中建築さんにもお会いしましたし、お家にも連れてっていただきました。

ーフルコースですね!笑

そうなんですよ。滞在中は、私が「こういうことに興味あるんですよ」とか言うと、ヒダクマの皆さんが、一生懸命手配してくださって、「それなら〇〇さんに会うといいよー」とか、いろんな人とすぐ繋げてくださる。それがありがたくて、だからいろんな人とお会いできたなーと感じています。

ーそれは、こちらも楽しんでいるんですよ。紹介したい場所や人がたくさんいるので。

ー来る前に、飛騨やFabCafe Hidaに求めていたことはありますか?

森に行って、曲がり木の調査がしたかったので、森に入りたいという気持ちはありましたが、11月が2回目の訪問だったので、飛騨におじゃました時は雪があって。行けるところまでという感じでした。

三度滞在してわかった。私の飛騨との関わり方。

ー今後、FabCafe Hidaやヒダクマとこんなことをしたい!というのはありますか?

先の話だけど、いつか一緒に仕事ができたらいいなと思っています。
いつも飛騨の人たちのことを思い出して頑張ろう!って思うんです。それくらい飛騨が好きになりました。

ー南さん、ありがとうございました。またのお越しをお待ちしてますね。

ご宿泊のご案内

ゲストハウスもあるFabCafe Hidaで、森カフェだけでなく、町歩き、木のものづくりなど、飛騨を満喫しませんか?

・FabCafe Hidaへのご宿泊のご予約希望は、こちらの予約フォームからお申し込みを承っております。

料金:お一人様ご一泊7,700円(税込み) 素泊まり(夕・朝食なし)/限定3組)
アメニティやハウスルールは以下のリンク先にてご紹介をしています。
https://fabcafe.com/jp/hida/experienceandstay/

その他の飛騨市古川町の宿泊は飛騨市公式観光サイトをご覧くださいませ。
https://www.hida-kankou.jp/reserve/scid_38/type_side/d.html

【関連コンテンツ】

◯南さんの滞在の詳しい話が聴ける。森のレッスン/ラジオはこちら

◯南さんも滞在のきっかけとなった、「飛騨市・広葉樹まちづくりツアー」は今年も開催中!詳しくはこちら

Author

  • 伊藤 優子

    FabCafe Hida/Hidakuma 森のコミュニケーター

    1986年生まれ。東濃ヒノキの産地・加子母出身。インテリア科の高校・専門学校卒業後、下呂温泉の仲居として9年間働く。2017年にFabCafe Hidaにジョインし、飛騨のまちで永く愛されるお店づくりをモットーに、cafeでのメニュー開発やイベント企画運営・宿泊を担当。定番メニューのカヌレなどを考案。地元の針葉樹の森と飛騨の広葉樹の森を繋げる架け橋になるのが夢。朝が好き。

    1986年生まれ。東濃ヒノキの産地・加子母出身。インテリア科の高校・専門学校卒業後、下呂温泉の仲居として9年間働く。2017年にFabCafe Hidaにジョインし、飛騨のまちで永く愛されるお店づくりをモットーに、cafeでのメニュー開発やイベント企画運営・宿泊を担当。定番メニューのカヌレなどを考案。地元の針葉樹の森と飛騨の広葉樹の森を繋げる架け橋になるのが夢。朝が好き。

FabCafe Newsletter

新しいTechとクリエイティブのトレンド、
FabCafeで開催されるイベントの情報をお伝えします。

FabCafeのビジネスサービス

企業の枠をこえて商品・サービスをともに作り上げていく
FabCafeのオープンイノベーション