Column
2016.11.12
FabCafe Kyoto編集部
2016年10月23日 MTRL KYOTO(マテリアル京都)にて、Safecast によるワークショップ「知る・つくる・測る。放射線との正しいつきあい方を学ぼう」が行われました。
Safecast(セーフキャスト)は、2011年3月11日に起きた福島第一原発事故の1週間後に世界中から集まったエンジニアを中心に結成されたボランティア集団。GPS機能の付いたモバイルガイガーカウンター(放射線測量機)を開発し、これを持ち歩くことで常に計測データをオンラインにアップロードし、放射線の状況が可視化できるシステムを作りました。結成から5年以上が経つ今では世界中に活動が広がっています。
このプログラムは 東京を拠点に活動するSafecastが 夏に六本木ヒルズで開催されて好評を博したキッズワークショップを大人向けにアレンジ。「知る」「作る」「測る(アクションする)」セッションの3つから成るワークショップです。
初めてMTRL KYOTO に来てくださった Safecast の Rob さん、Joe さん、Pieter さん。
写真)左から Robさん、Connor(MTRL KYOTO)、Joeさん、Pieterさん
オランダ出身の Pieter Franken さんは日本で大手銀行のCTO、アメリカ出身のJoe Morros さんはものづくりに精通したセンサーエンジニア、オランダ出身のRob Oudendijk さんは奈良県の山中で自作の家に住んでオフグリッドの生活を送っているITコンサルタント。それぞれの本業を持ちながらSafecastの活動を精力的に行っています。
首都圏在住のピーターとジョーは前日からSafecastカーにて京都入り。
車外に取り付けられたモバイルガイガーカウンター bGeigie Nano で東京から京都まで放射線量を測定しながらの移動でした。
イベント当日はMTRL KYOTO に宿泊して早起きのピーターとジョーのおかげで準備も万端。大学の研究者やメーカーのエンジニア、クリエイティブディレクター、芸術大の学生さんなど、約20人が参加するワークショップとなりました。
最初に司会からこのワークショップに参加した動機を聞いてみたところ、「電子工作に興味がある」「放射線の正しい知識に興味がある」「オープンサイエンス・市民活動に興味がある」「Safecast のメンバーに興味がある」「自分でもセンサーを作っている」など、それぞれ異なるきっかけでSafecastのワークショップに集まってくださったことがわかりました。
それでは、参加者が3チームに分かれて順に受講した各90分のセッションをレポートします。
放射線のことを正しく「知る」セッション
“放射線”とひとことで言ってもさまざまな見方があります。自然放射線とは何か?身近にある物にどんな放射線が含まれているのか?放射線の種類がα線か、β線か、γ線かで何が違うのか? 庭が見える窓際のテーブルで繰り広げられたのは、センサーエンジニアの Joeさんによる放射線のことを正しく知るためのセッションです。
このセッションでは、Joe さんが持ってきた様々なサンプルを参加者が実際に測って体感することができました。α線・β線・γ線の違い、身近にある放射線を発するもの、放射線を遮るもの遮らないもの、などをガイガーカウンターで測って理解をした上で、放射線に関するクイズにチャレンジしたりJoe さんとディスカッションをしたり。行動派のJoeさんが国内の様々な場所で行った活動をおさめた写真や動画にはどのチームの参加者も目が釘付けになっていました。
日本語はあまり得意ではない Joe さんでしたが、どの回の授業も持ち時間の90分をオーバーする程のパッションでディスカッションを繰り広げている姿が印象的でした。
自分の手でガイガーカウンターを「作る」セッション
入り口側の作業テーブルは、ブレッドボードやラジエーターなどの部品が散らばる電子工作のセッション。エンジニアのRob さん(と彼の愛猫 Kittyちゃん)のヘルプを受けながら、参加者がひとりひとつ簡易型ガイガーカウンター “kGaigie(いつもは kit Gaigie 今日だけは kyoto,kimono Gaigie)”を組み立てました。
kGaigie は半田づけなどの作業はなく説明書通りに接続をすれば完成するビギナー向けのキットですが、スマートフォンと接続すると Safecast アプリで測定している放射線量をグラフィカルに確認することができます。
ワークショップでは参加者全員が無事にガイガーカウンターを組み立てることができました。組立てが終わった後は参加者のみなさんはちょっと休憩。RobさんやKittyちゃん、参加者同士のコミュニケーションタイムとなっていました。
簡易型キット k Gaigie に対して、Safecast の最新のモバイルガイガーカウンター bGaigie Nano はキットの形で販売されており、これを組み立てて各地で放射線量を測定することで、誰でも Safecast の市民活動に参加することができるようになっています。
bGeigie Nano はMTRL KYOTO の「特別なマテリアル」として常設展示中ですのでぜひご覧ください。
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