Column
2025.7.16
FabCafe編集部
2025年6月、FabCafe Osakaにて、まったく新しいデザート体験が誕生しました。その名も「L’In parfait(アンパフェ)」。
「完全(Parfait)」の対義語としての“不完全(L’In parfait)”という概念を掲げ、既成のパフェの在り方に揺さぶりをかけるこのプロジェクトは、音楽・アート・ストリートカルチャーといった異分野との掛け合わせによって、「食」というフィールドに新たな表現の可能性を見出す挑戦です。
記念すべき第一回は、梅田サイファーのKZ氏を迎えて実施。彼の創作活動の根幹にある「歩く」という行為に着目し、その身体感覚やリズムを“BPM(Beats Per Minute)”としてパフェの層に落とし込む、かつてないアプローチがなされました。
KZ氏とFabCafe Osakaのカフェマネージャー福田が実際に街を歩き、音・光・速度・空気の変化を五感で捉えながら、都市のグルーヴを抽出。そこから着想を得たレイヤーごとのBPMが、香り、味、食感として表現されたのです。
今回提供されたパフェは、都市の景観や文化の流れ、そこを歩く一人の主人公のリアルな心情を表現した一品でした。
それぞれのレイヤーがまるで都市の風景のように展開し、食べ進めるごとに“歩く”感覚を追体験する構成に。車では気づけない「間(ま)」や「違和感」、「小さな発見」を味わいとして表現することで、まさに“食べられる都市体験”となっていました。
イベント当日は、パフェを通じて都市を旅するような体験、身体にもたらす影響など、参加者は実の体験への困惑とともに、没入した表情が見受けられました。KZ氏のトークでは、「歩く」という行為を通じた創作への哲学が丁寧に語られ、来場者の多くがメモを取りながら耳を傾けていたのが印象的でした。
来場者からは、
「味の中に物語を感じた」
「食べながら街を思い出したのは初めて」
「イヤフォンをすることで、うちへの意識が高まり音と味わいの親和性を感じた」
など、単なる味覚体験に留まらない感想が数多く寄せられました。
「L’In parfait」は、ジャンルや立場を越えた創造の交差点です。
アーティストやミュージシャン、写真家といった表現者はもちろん、空間デザイナー、建築家、研究者、さらには地域行政や企業広報のような社会的文脈を持つ存在までもが、自らの問いやテーマを「食」という手段で表現することができます。
たとえば――
- サウンドアーティストが「静寂」をテーマに香りと食感を構築する。
- 地方自治体が「その土地らしさ」や「地域の記憶」を可視化し、食への体験へと変換する。
- 企業が自社の理念や社会的メッセージを、味のレイヤーとして体験化する。
このプロジェクトの核にあるのは、決して完成された答えを提供することではなく、共に「余白を描く」姿勢です。
味覚という曖昧で感覚的な言語を通して、自身の視点や問題意識を新しいかたちで届ける。
それはきっと、誰かの記憶に残る “深い対話” となるはずです。
FabCafe Osakaは形式に縛られない美しさを追求する美術の思想「L’Informe(アンフォルム)」をコンセプトにすえています。そして、このコンセプトを具現化するツールとして“蒸留器”を導入し、香りを活用した飲食体験や、感覚を刺激するアクティビティを展開中です。
今回提案したのは「パフェ」の概念を再構築する「L’In parfait(アンパフェ)」。完全を意味する「parfait(パフェ)」に対し、「L’In parfait」は、あえて“不完全さ”や“余白”、そして“違和感”を Embrace(受け入れる)することで、今までにない感覚を刺激するパフェ体験をお届けします。既成のパフェの在り方に揺さぶりをかけるこのプロジェクトは、音楽・アート・ストリートカルチャーといった異分野との掛け合わせによって、「食」というフィールドに新たな表現の可能性を見出す挑戦です。
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KZ(from 梅田サイファー)
KZ(けーじー)は、大阪・梅田サイファー出身のラッパー。ソロアルバムを5枚リリースし、すべて完売。
UMB(ULTIMATE MC BATTLE)では、2018年・2019年・2020年の3年連続で激戦区・大阪代表の座を勝ち取り、全国大会でも大きな爪痕を残す。2019年1月にリリースした「マジでハイ」は、YouTubeで1202万回再生を突破。
「THE FIRST TAKE」への出演動画は、TikTokで3200万回再生超えを記録。TBSの人気番組『キングオブコント』では、2022年・2023年と2年連続でオープニングテーマを担当。
2023年3月には、梅田サイファーとしてソニー・ミュージックエンタテインメントからメジャー1stアルバムをリリース。
2024年8月にはメジャー2ndアルバムをリリース予定で、全国10ヶ所を巡るツアーも開催予定。ソロとしても年間50本近いライブを行い、全国各地の大小様々な会場でマイクを握っている。
また、ラッパーとしてだけでなく、映像監督やトラックメイカーとしての側面も持ち、
人気コンテンツ『ヒプノシスマイク』への作詞提供など、多方面で活動している。 -
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総造シェフパティシエ 畑谷実咲
京都生まれ 京都在住
勤務歴:2017 ヒルトン東京お台場2019 Pâtisserie sLier2021 UN GRAIN2024 MAVO bloom
2025 総造受賞歴:ジャパンケーキショー2018 ジュニア マジパン細工部門 銅賞ジャパンケーキショー2021 コンフィズリー部門 金賞ジャパンケーキショー2022 コンフィズリー部門 金賞掲載歴:
・スイーツメディアufuhttps://www.ufu-sweets.jp/patisserie/230902hatatani/
・SAVVY 3月号展示歴:・2022 食べられる写真展’総造’ at 焙煎屋 Kyoto・2023食べられる写真展’総造’ at HATO Tokyo・2023 ash×UNGRAIN ペアリングイベント produce by SGclub
・Next Generation “Sweets” 2024 at 新宿伊勢丹
・icecreamchristmas2024 at 阪神百貨店
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