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2021.10.19

“低利用魚/未利用魚”って知っていますか? -捨てられている海の幸が、大人気のカフェメニューになるまで-

突然ですが、みなさんは海の現状を知っていますか?
地球温暖化による海面の上昇や水質汚染。なんとなくそんな環境問題を知っていても、海のレジャーは楽しいですし、近所のスーパーには旬の魚が並んでいますし、リアルな危機感を感じていないのではないでしょうか。
しかし、このままでは、いつか魚が食べられなくなる日が来てしまうかもしれません。

私たち人間にとって、必要不可欠な水産資源。今の危機的状況をどうにか改善し、これからも綺麗で豊かな海を守るために、私たちは何ができるのでしょうか。

「ポイ捨てしない」「ゴミを分別する」「エコバッグを持ち歩く」というような、今ではマナーとして当たり前になりつつある私たちのマナー認識は、生態系の変化やプラスチックによるCO2の排出などあらゆる環境問題を背景にから起こされていることをご存知でしょうか。このように、環境問題は、私たち一人ひとりの小さな行動があってこそ取り組むことができます。そのような環境問題にとって大きな改善の一歩となっている行動は『知る』ことから始められているのです。

今回は、『低利用魚/未利用魚』をテーマに、より多くの人に海の課題を考えてもらい、みなさんの行動の種になれば嬉しいです。

『低利用魚/未利用魚』とは、特定の魚を指すものではなく、水揚げしても市場に出回らない、あるいは出回りにくい魚のことを指します。名が知られていないマイナーな魚、生態系を守るために駆除された魚、食べ物として認識されていない魚などが『低利用魚/未利用魚』に該当します。
美味しく食べられるのにもかかわらず、市場で扱われることが少ないため、廃棄されてしまうこともしばしば。
『低利用魚/未利用魚』を廃棄することは漁師の方々の利益が減ってしまうことにもなります。

『低利用魚/未利用魚』のお話を最初に教えてくれたのは、「丘漁師組合」代表兼株式会社On-Coの代表取締役・水谷岳史さん

漁師さんの知り合いが多い水谷さんは、船に乗るわけでもなく、魚を捌けるわけでもないのに、海や魚の知識がどんどん増えていったと言います。そんな水谷さんを、周りは「丘サーファー」ならぬ「丘漁師」と呼ぶようになったことをきっかけに、丘から海を考える「丘漁師組合」を発足しました。

株式会社On-Co(本社:三重県桑名市)が取組む、海の課題を知り、活動する人を増やすプロジェクト。

漁業に関わっていない、いわゆる「丘」の人々が海の現状を知り、持続可能な海をどうつくっていくのか啓蒙していくことを目的としています。

 

そんな丘漁師組合に興味を抱いたのが当店FabCafe Nagoyaのカフェマネージャーの甲斐でした。
「『低利用魚/未利用魚』の課題を水谷さんから教えてもらいました。多種多様な人が来店するFabCafe Nagoyaで『低利用魚/未利用魚』を調理し、提供することで『低利用魚/未利用魚』が美味しく食べられる魚であることをメニューを通して啓蒙できれば、もったいないを減らすことができるのでは、と考えたのです。」

水谷さんは、『低利用魚/未利用魚』を理解するためには、漁業に関わっている人の言葉を聞くことが重要だと考えており、今回、私たちFabCafe Nagoyaメンバーは、三重県鳥羽市に訪れました。
鳥羽市は、伊勢海老をはじめ、あらゆる魚介類が豊富に獲れる地域ゆえに、『低利用魚/未利用魚』も増えている地域です。


鳥羽訪問で向かったのは、有限会社伊勢志摩冷凍さん。
FabCafe Nagoyaの新メニューで利用する『低利用魚』の加工も行っている企業さんです。
この日は、『低利用魚/未利用魚』の一つとして”ウツボ”を紹介してもらい、その場で捌いていただきました。
今朝水揚げされたばかりの新鮮なウツボは、工場長さんの手によって一つひとつ丁寧に捌かれていきます。
『低利用魚/未利用魚』の加工は、機械で処理されているかと思いきや、のではなく、なんと手作業で捌いていることを、ここで知ったのです。
実際に現場を見ることで、水揚げされた『低利用魚/未利用魚』をどのように加工しているのか肌で感じることができました。

私たちもウツボを捌かせていただきました。工場長さんのスマートな捌き方を見ていたので簡単そうに見えましたが、実際に捌いてみると、そもそも包丁が入らず、ウツボ自体柔らかく、支えることが難しいことに気づきました。

ウツボという魚は、地球温暖化により個体数が増え、伊勢海老やタコなどの市場に出回っている魚を食べてしまい、生態系のバランスが崩れてしまう危険性があるため、駆除という目的で水揚げされます。ウツボは骨が多く、体の構造が複雑なため、食べ物として認識はされておらず、いまも市場で扱われにくい魚の一つです。
そこで、ウツボを食べる文化をつくり、ウツボを市場に流通させるためにも、「捨てて駆除する」のではなく「食べて駆除する」ことを伊勢志摩冷凍さんの代表取締役石川隆将さんは提案しています。

「地球温暖化によって、生態系の変化が急速的に起こっています。そうした状況で、名の通っている魚だけが流通するのではなく、水揚げされたものにどうアクションするべきかを考え、この魚も美味しいんだと提案し、発信していくことが大切だと思っています。」
と石川さん。実際に捌いたウツボは、唐揚げにしていただきました。身はふわふわ、皮はコラーゲンが豊富でぷりっとしていました。美味しく、栄養価が高い食材が未利用魚だということに驚きました。

こうして、カフェでお客さまに安心安全に『低利用魚/未利用魚』を扱う上で、提供しやすい下処理をしてくださっていること、『低利用魚/未利用魚』を利用することで、環境問題に向き合えることを、改めて知ることができたのです。

【ニベ】は、今回訪れた三重県鳥羽市で水揚げされました。近年、【ニベ】は地球温暖化により生息地が北上化しており、これまで獲れなかった鳥羽市でも、近年になって水揚げされています。【ニベ】に馴染みが薄い鳥羽市にとって、低利用魚のひとつとして位置付けられています。

FabCafe Nagoyaでは、10月より【ニベ】を使った包み焼きを販売開始!
クセがなく、白身がふっくらしていてとても美味しい大人気メニューです。是非、ご賞味ください。



今回は『低利用魚/未利用魚』を通して、海の現状をお伝えしました。

海に関わる人だけでなく、海に関わりが少ない人が海の課題に向き合うことで、サスティナブルな海への小さな行動に繋がります。
FabCafe Nagoyaで『低利用魚/未利用魚』を知ってもらい、海の現状・課題を考え、より良いアイデアが「丘」から生まれればと思い、これからも環境問題と向き合うメニューを提供していきます。

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