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2025.2.24

crQlr Awards 2024 受賞者発表 — 循環型デザインの限界に挑む29のプロジェクト

FabCafe編集部

Tokyo

株式会社ロフトワーク(本社:東京・渋谷、代表取締役:諏訪光洋)とグローバルクリエイティブコミュニティFabCafe Globalは、「crQlr Awards Exhibition Tokyo – Living Loops」と題し、crQlr Awards 2024の受賞プロジェクトの一部を展示するエキシビションを開催します。本展示は、2025年3月6日(木)から3月26日(水)までFabCafe Tokyoにて開催されます。

crQlr Awards(サーキュラー・アワード)は、循環型経済を推進するプロジェクトやアイデアを募る国際的なアワードプログラムです。このアワードは、優れたプロジェクトやアイデアを表彰するだけでなく、社会・企業・クリエイターの新たな関係性を育みながら、共創による持続可能な未来を探求するプラットフォームとして進化し続けています。

4回目の開催となるcrQlr Awards 2024には、47カ国から143のプロジェクトの応募がありました。選出された各プロジェクトには、審査員10名による独自の賞とコメントが贈られ、さらに公式のcrQlr認証ロゴを使用する権利が与えられます。

今年のテーマは、自然とテクノロジーの力を活かした革新的なアプローチ。生物学的プロセスを活用し、資源循環や環境保全の新たな形を模索するプロジェクトが多く集まりました。特別賞「Towards a Circular Bioeconomy(「サーキュラーバイオエコノミー」の実現に向けて)」は、自然と人間が共生しながらその能力を拡張し、再生可能なサイクルを生み出す可能性に着目したものです。選ばれたプロジェクトは、資源回収や環境保全における新たな道を切り拓き、循環型経済の実現に向けたビジョンを提示しています。

「crQlr Awards Exhibition Tokyo – Living Loops 生きている環」では、「サーキュラーバイオエコノミー」をテーマにした受賞プロジェクトを中心に展示を行い、2021年のアワード創設以来のバイオエコノミー関連の取り組みを振り返ります。過去の受賞プロジェクトやその発展も紹介し、持続可能性に向けた取り組みの進化を探ります。

本展は、コミュニティと対話を育む場であるFabCafe Tokyoで開催されます。現代社会の課題に創造的なアプローチで挑むプロジェクトを紹介し、持続可能な未来を築くための新たなビジョンやインスピレーションを訪問者に提供します。

オフィシャルサイト: https://crqlr.com

crQlr Awards 2024 結果発表ページ: https://crqlr.com/crqlr-awards/2024/results/


crQlr Awards 2024に関わったすべての応募者、プロジェクト参加者、そして審査員の皆さまに心から感謝を捧げます。今年、特別賞審査員を務められたことは、感動と発見の連続でした。このアワードが、創造性と革新を導く光のような存在であることを今、改めて感じています。

今年のテーマは「循環型バイオエコノミーに向けて」。自然とテクノロジーの力を組み合わせ、人間社会の負の遺産である廃棄物を価値ある資源へと変える。そんな大胆で希望に満ちた未来をどのように描き、実際に行動できるかが問われたテーマでした。

そして私たちは、生物学的プロセスを活用することによって、資源回収の新たな可能性、グリーンイノベーション、環境保全へのまったく新しいアイデアが生み出される瞬間を目の当たりにすることができました。最小の微生物から地球規模の課題に至るまで、自然の力を活用することで、調和のとれた持続可能な未来を構築する。このテーマが持つ可能性に、終始心が震えました。

バイオテクノロジーは今、私たちの未来を形づくる上で重要な鍵となっています。大気汚染を高効率エタノールに変えるAir Companyのような驚きに満ちたイノベーションや、人々と地球に利益をもたらしながら環境への負担を最小化するソリューションを通し、バイオエコノミーは産業を再構成し、私たちの常識では考えられない未来を提示しています。

これらの進歩は、自然のプロセスを活用し、持続可能な形で必要不可欠な資源を生み出すものです。それは地球を傷つけることなく、イノベーションが可能であることを証明していると言えます。私たちは今、科学、テクノロジー、そして生態系が調和することで、人類と自然がともに繁栄する未来への扉を開こうとしているのです。

今年の応募作品は、まさにその未来を体現するものでした。廃棄物を最小限に抑え、自然の輝きを最大限に引き出すための驚くべき方法を示しました。人間の排泄物を石鹸に変えることから、持続可能な照明のための生物発光バクテリアの培養までを通し、応募作品は人類に何が可能かを再定義してみせました。そしてあらゆる課題が革新と再生のチャンスであることを私たちに教えてくれました。

特別賞では、自然を生かし新たな循環を生み出し、生態系を再生させ、人々の心に響くストーリーを届けたプロジェクトを称えます。今年選ばれた3つのプロジェクトをご紹介します。

  • 『Return to the Soil』循環型センサー(Takaaki Kasuga):植物繊維を使った生分解性センサーで、エレクトロニクスにおける新しい持続可能性のスタンダードを提案。
  • 『Piss Soap』(アーサー・ギルミノ):人間の廃棄物を実用的な資源である石けんに変えることを通し、都市の持続可能性に新たな対話を生み出す。
  • 『Bio-Moon Lab』(ローラ・ベネットン):アートと科学を融合させた生物発光を照明に応用。持続可能な照明デザインという、新たな可能性を探求。

これらのプロジェクトは、循環型経済の本質を体現し、持続可能性が地球、利益、そして人々を結ぶことを証明しています。クリエイティビティと環境への責任によって、無限に広がる未来を開拓したパイオニアたちを、ここに称えたいと思います。これらの先駆的な取り組みが紡ぎ出す物語を称賛するとともに、そのビジョンが次なるインスピレーションを呼び起こすことを願ってやみません。


「土に還る」循環型センサデバイス」プロジェクトは、完全な循環型ライフサイクルを念頭に置いた新しい技術を提案しています。それは、使用後に自然に分解し、地球に還元される生分解性の土壌センサーです。このセンサーは、最先端技術と持続可能なデザインを融合させたものであり、電子デバイスがゼロウェイスト社会に適合する可能性を示しています。

Project URL: https://crqlr.com/crqlr-awards/2024/winners/return-to-the-soil-circular-sensors/

本プロジェクトは、増え続ける電子廃棄物(e-waste)問題への対応と、環境モニタリングの必要性の両面を深く考察したアプローチを示しています。セルロースナノファイバーを用いた「土へ還る」センサーというコンセプトは、持続可能性と機能性という二重の課題に対する魅力的な解決策です。植物由来の材料を用いることで、センサーが自然に生分解される仕組みを実現しており、従来の電子廃棄物を生むセンサーに代わる有意義な選択肢を提供しています。

また、環境負荷をかけずに超高密度なセンサーの展開を可能にする点は特に素晴らしく、農業・環境保全・都市管理など幅広い分野での応用の可能性を感じます。セルロースナノファイバーを基材とすることで、先端材料科学と生態学的配慮を融合した点も非常に革新的です。しかし、生産のスケーラビリティや経済的な実現可能性といった課題を克服することが今後の鍵となるでしょう。

本プロジェクトが、テクノロジーと自然生態系を調和させることを目指している点に感銘を受けました。持続可能なセンサー開発に対する、非常に刺激的な視点を提示していると思います。


「ピスソープ」は、人間が排出する廃棄物(使用済みの食用油、人尿、木灰)を原料として作られたサステナブルな石鹸です。このプロジェクトは、気候変動に取り組むための地域的かつ共同体的な取り組みであり、気候変動への移行や循環型経済の物語を転換することを目指しています。「ケア」「コミュニティ」「地域解決策」を重視し、新たな視点を提供します。

Project URL:
 https://crqlr.com/crqlr-awards/2024/winners/piss-soap/ 

Piss Soapの成功は、廃棄物の問題に取り組むと同時に、人間の排出物が現在そして未来にどのように有益となり得るかについて、意味のある対話を生み出すことにかかっています。

このプロジェクトは、私たちが日常で接する素材の成り立ちや背景、そしてそれにまつわるタブーを理解することの重要性を強調しています。この視点を通じて、Piss Soapは状況や文脈に配慮した素材やソリューションをデザインすることを目指しています。

この取り組みは、人間の排出物を再利用する方法を提供するだけでなく、私たちが身の回りの素材とどのように向き合うべきか、そしてそれに付随する偏見やスティグマを見直す貴重な機会をもたらしています。

 

「バイオムーンラボ」は、アート、持続可能性、科学的探求を融合させた革新的な学際的プロジェクトです。このプロジェクトでは、発光する細菌「ビブリオ・フィッシェリ」を培養皿や液体溶液で育成し、現代アートにおける従来の人工照明に代わる持続可能な選択肢として「バイオライト」の開発を目指しています。

Project URL: https://crqlr.com/crqlr-awards/2024/winners/bio-moon-lab/

Bio-Moon Labは、電気に代わり生物発光の儚い輝きで世界を照らすという、ビジョナリーな革命を巻き起こします。この画期的なイノベーションは、従来のエネルギーシステムの限界に挑戦し、最先端の科学と自然界をつなぐ調和の架け橋を築いています。

生物システムの力を活用することで、Bio-Moon Labは、光が単なる機能ではなく芸術の一形態となる持続可能なバイオ時代を構想しています。その取り組みは、照明を環境に配慮した、視覚的にも美しいソリューションへと変貌させ、デザイン、テクノロジー、そして自然が美しく共存する未来への希望を示しています。持続可能なイノベーションの象徴として、Bio-Moon Labは無限の可能性を照らす一筋の光となっています。


日程:2025年3月6日(木)-3月26日(水)
時間:10:00〜20:00
会場:FabCafe Tokyo(東京都渋谷区道玄坂1-22-7 道玄坂ピア1F)
主催:FabCafe Global、株式会社ロフトワーク
協賛・メディアスポンサー:IDEAS FOR GOOD、Circular Economy Hub
イベント詳細:https://fabcafe.com/jp/events/tokyo/crqlr-exhibition-2025-tokyo/


crQlr Awards (サーキュラー・アワード)は、循環型社会を目指す世界中のプレイヤーたちを、集めてつなぎ、活動を後押しするグローバルアワードです。サーキュラー・デザインを実践するプロダクト、サービス、アート、教育、システムデザイン、都市計画など、幅広いプロジェクトがアワードに集まります。国や産業を超えたコラボレーションを通じて、既存の社会的・ビジネス的規範に疑問を投げかけ、よりレジリエントで、公平かつ再生可能な未来の実現を目指します。

 

これまでのcrQlr Awardsでの取り組みについて

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