Column

2022.11.23

伝統的な織物の産地に生まれたコミュニティ拠点 FabCafe Fujiオープニングパーティーレポート

FabCafe編集部

2022年11月6日に、富士山麓の街、山梨県富士吉田にFabCafe Fujiがオープンしました。富士吉田は、1,000年以上前から織物の名産地として広く知られていますが、近年では各工場がオリジナルブランドを立ち上げ直販を展開するなど「ハタオリマチ」に新しい風が吹いています。オープン前日には、地域住民の方々を中心に、地元の織物産業関係者や自治体関係者などをご招待して、ささやかなオープニングパーティを催しました。トークセッションでは、移住者の奮闘劇を伺うことで、富士吉田の魅力を再発見することができました。一夜にしてさまざまなバックグラウンドを持った人が交錯し、カフェで提供されるおいしい食事に舌鼓を打ったオープニングパーティーの様子を、11月からロフトワークの広報として入社した宮崎がお届けします。

文:宮崎 真衣(株式会社ロフトワーク)
写真:松永 篤・宮崎 真衣(株式会社ロフトワーク)

FabCafeがある「本町通り」から見える富士山

FabCafe Fujiを運営する株式会社DOSOの八木毅さん

 

これまで、富士吉田でSARUYA HOSTELSARUYA Artist Residencyどを運営してきたDOSOの八木さんが、ものづくりができるカフェを運営する意義や関係者の方々への感謝を伝え、パーティーはスタートしました。

地域住民の方を中心に、地元の織物産業関係者や自治体関係者など80名を超える来場者にお越しいただきました

カフェスタッフが試行錯誤を重ねた渾身の料理

テーブルに並んだのは、卵を使わない大豆ミートのラザニアや、デンマークのポテトサラダ、スパイスカレーやキャロットケーキなど、からだに優しく口にもうれしい逸品です。今後カフェでは、地元の無農薬栽培の野菜を中心にエシカルを意識したこだわりの食材を使用した料理を提供します。

「ハタオリマチ」で知られる富士吉田ならでは!?素敵なお召し物のご婦人がたくさん

  • 都留市にあるCafe Naturalrhythm (カフェナチュラルリズム)からお祝いのパンが届きました

  • 自家製ソーセージのホットドック

ものづくりに取り組んだことがなくても、興味があればコーヒーを飲みながら気軽にやってみることができる。それがFabCafeのよいところです。

今回、デジタル工作機器としてリソグラフを導入しています。リソグラフは、理想科学工業(RISO)が、1980年に事務所用のコピー機として開発したシルクスクリーン印刷機です。RISOが開発したインクの発色の良さが特徴で、近年は欧米を中心にアジア諸国などで、事務用としてではなくクリエイティブで表現できる機材として注目を集めています。

店内でリソグラフができるスペース

「糸」で生地を織ることと「紙」に印刷することの共通点は、「糸」や「紙」という“マテリアル”を使っている点と、織り方や版の重ね方に工夫を凝らすことで、表現が幾重にも生み出される点なのかもしれません。

織物産地である富士吉田の「テキスタイル」を中心としたものづくりや、「ハタオリマチ」と「リソグラフ」の掛け算によるクリエイティブコミュニティが育んでいける場所を目指していきます。

「SARUYA HOSTEL」の開業に携わった赤松さんと地域住民の方々が談笑しながら作品を鑑賞

オープニング展の一つとして、「Don’t Pay For Me(私の分払わないでよ)」というテーマで制作されたリソグラフを展示しました。

カフェスペースの奥を活用した特別展示

SARUYA Artist Residencyに滞在したDaniel / Siranee Caulfield-Srikladさんの作品です。右は、19世紀後半〜20世紀前半に手織りされた長襦袢。ところどころ刺子により穴を修復した箇所がとても美しいです。左は、着物に着目し、彼らがテーマにしているパターン(形)を兆候(サイン)として体験することを連続写真にして表現しています。

店内で一際目立つ本棚

美術や建築といった専門書がずらっと並び、おいしい食事と飲み物をいただきながら、クリエイションが掻き立てられます。

SARUYAが目利きした絵付けの皿や漆器が並ぶ

「SARUYA HOSTEL」と地元の機織り会社「Watanabe Textile」のコラボレーションで生まれたブランケット

Watanabe Textileの特徴でもあるキュプラ100%を縦糸に、横糸にウール100%を使用。ウールのふわりとした柔らかさがなんとも言えない気持ちのよさ。店内で購入できるのでお土産にどうぞ!

オープニングパーティーでは二部構成でトークセッションをお届けしました。

第一部では、移住者と地域が手を取り合った「まちづくり」と、地元の機屋さんを中心に発足した機織りプロジェクトが同時に進んだことで、街の景観や人と人との繋がりに変化が起きたというお話が伺えました。

登壇者

八木毅 (株式会社DOSO(Saruya Hostel / FabCafe Fuji / Saruya Artist Residency) 代表取締役)/ FUJI TEXTILE WEEK 実行委員長)
赤松智志(合同会社OULO代表)
荒井慶悟(元富士吉田市役所職員/ファシリテーター)
杉原悠太(シーダ株式会社代表取締役 / FUJI TEXTILE WEEK 副実行委員長)
渡辺竜康(Watanabe Textile主宰)
※敬称略

第二部では、ハタオリ産地として「ものづくり」の遺伝子が脈々と受け継がれた富士吉田で、FabCafe Fujiで今後どんなことができるのかを探っていきました。クリエイターと共に楽しむワーケーションやゲストハウスの利用によって外部から人を呼び込んだときに、FabCafe Fujiが街と人をつなぐハブスポットのような場所になるのでは、という未来が見えてきました。

登壇者

金岡大輝(FabCafe Tokyo COO兼CTO)
武田真梨子(FabCafe Tokyo クリエイティブディレクター)
柳川雄飛(元ロフトワークシニアプロデューサー)
※敬称略

カフェで一息つきながら、作品やクリエーターとの出会いをお楽しみください

富士山につづくように延びた富士吉田の中心部を通る通称「本町通り」。その界隈に足を運ぶ理由は一つではなく、その街に住んでいる人々や、この街を外部に開いて魅力的な場所にしようと日夜奮闘する「人」に出会う楽しみがあるのかもしれません。

富士吉田市観光ガイドには、観光名所はもちろんのこと、毎月第3土曜日にひらかれるFACTORY SHOP OPEN個性豊かな飲食店が軒を連ねる西裏名店街、ワークショップやイベント情報などが盛りだくさん!ぜひ、FabCafe Fujiとあわせて足をのばしてみてはいかがでしょうか。

富士山を望む本町通りに構える店内は、カフェの他にアートや建築、テキスタイルなどの図書コーナー、リソグラフを楽しめるスペースやコワーキングスペースも併設しています。

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  • FabCafe編集部

    FabCafe PRチームを中心に作成した記事です。

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