Event report
2024.2.27
FabCafe編集部
東京から高速バスで1時間半の距離にある富士吉田市。緑豊かな景観と富士山から流れ落ちる清涼な水の恵みによって、1000年以上続く織物の町として栄えてきました。現在では、クリエイターやアーティストとのコラボレーションで、新たな織物の価値創造に挑んだ機屋(はたや)展示・アート展の開催など、伝統を繋ぎ革新を続ける街としても注目を集めています。
Fuji Textile Collaborative Project(フジ テキスタイル コラボレティブ プロジェクト)は、山梨県のテキスタイルの生産者と国際的なクリエイターの協業を促進することにより、テキスタイルの表現を建築や空間デザイン、プロダクトデザインやアートなど、多岐にわたる分野においてその可能性を探る試みとしてスタートしました。地域の唯一無二のテキスタイル技術と世界中のクリエイターとのコラボレーションの枠組みを構築し、地域とグローバルをつなげることを目指しています。
3ヵ年計画の1年目として動き出した今年、オランダのデザインスタジオ、Raw Colorさんを富士吉田に迎え、トークイベントや展示、またリサーチトリップを行いました。その様子をお届けします。
Raw Colorは、デザイナーのChristoph BrachとDaniera ter Haarによって設立された、オランダ・アイントホーフェン市を拠点とするデザインスタジオです。クライアントには、AdidasやIKEA、Dutch Design Week、Nanimarquina、TextielMuseumなどの有名ブランドと機関が含まれます。色の使い方に対して独自の解釈を持ち、グラフィック、テキスタイルデザイン、そしてプロダクトデザインを融合させながら、企業の将来の方向性を決定するために必要なツールの制作支援などを行っています。
今回は、Raw Colorが初めて日本を訪れ、富士吉田市や山梨県ならではの機織り文化を調査しつつ、将来のコラボレーションを考える貴重な機会となりました。
11月23日〜12月17日の期間に開催されたFuji Textile Week 2023において、Fuji Textile Collaborative ProjectのKick Offとして、「URA-gaeshi」をテーマに展示を行いました。
「URA-gaeshi」は、普段は裏に隠れているものを前面に出し、目に見えるようにすることを意味しています。これにより、裏側を知ることで幕の裏側で働く生産者が賞賛されてほしいという願いを込めました。
本展示では、舟久保織物に協力してもらい、糸から生地になっていく様を表現したダイナミックな展示に加え、地域生産者の舟久保織物、前田源商店、株式会社オヤマダ、Watanabe Textile、渡小織物、TenjinFactoryの紹介展示、またRaw Colorによる色を大胆に使用した作品を展示した。
Raw Colorの作品では、彼らの代表的な、独特でコンセプチュアルなアプローチを披露し、テキスタイルとデザインの新しいシナジー効果をインスパイアする展示になりました。
11月24日には、本プロジェクトのアートディレクターを務めるアリエ・ロゼンと株式会社DOSOの代表・八木毅を交え、Raw Colorと共にトークセッションを行いました。
テーマは「色と素材とコンセプトワークについて考える」。
洗練されたカラーの作品を特徴とするRaw Colorの目線から見た、富士吉田の産業や、自然から生まれる色についてなどの話は、富士吉田に在住する八木と、今まで何度も富士吉田に足を運んでいるアリエの考えと混じり合い、トークイベントの参加者にとって、今後のテキスタイル産業の可能性にワクワクするものとなりました。また彼らのトークセッションを聞き、この産地での織物企業にも、商品を制作する上で、プロフェッショナルなデザインを取り入れることの重要性に対しての理解が深まりました。
展示準備やトークセッションの傍ら、計7社にもなる富士吉田の地域生産者への訪問、また山梨県産業技術センターにおいて機織りの歴史についてのレクチャーや機屋さんも交えてのトークセッションを数回にわたって開催しました。
訪問では実際に工場を行き、その繊細な仕事を近くで見学することで、より富士吉田の機屋さんを身近に感じてもらい、その時間は後のトークセッションにおいて、お互いに熱い議論を交わす大きな手助けとなりました。
リサーチの様子(© Fuji Textile Collaborative Project・photo by Noam Levinger)
Raw Colorの特徴としては、テキスタイル、プロダクトデザイン、ウェブデザイン、ブランディング、配色や模様のデザインなど、デザイン分野においての総合的な活動が著しいです。富士吉田の機屋さんを訪問するたびに、具体的なチャレンジと可能性を敏感に探求し、文化と専門分野を交差する活気ある会話が弾みました。
同時に、オランダのテキスタイル博物館「Textiel Museum」で行われたリサーチとプロジェクトの学びも共有され、お互いのインスピレーションを深める機会となりました。
展示・トークイベント・地域産業訪問と、短い期間でたくさんの要素が詰まった富士吉田の滞在になりましたが、その時間はどれも濃密で、今年からいよいよ走り出す制作に向け、Raw Colorにとっても地域の機屋さんにとっても、想像力が働く刺激的な8日間になったはずです。デザイナーと生産者の知見・経験・技術が組み合わさった時、どんなものができあがるのか、ぜひ楽しみにしていてください。
プロジェクト概要
- インターナショナルコラボレーター: Raw Color Studio、Studio Samira Boon
- ローカルコラボレーター: 舟久保織物、株式会社オヤマダ、テンジンファクトリー、前田源商店、渡小織物、渡邊織物
- プロジェクトマネジメント: FabCafe Tokyo、株式会社DOSO、FabCafe Fuji
- クリエイティブディレクター: アリエ・ロゼン
- スペシャルサンクス: 山梨県、在日本オランダ王国大使館、オランダクリエイティブインダストリーズ基金、富士技術支援センター
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Christoph Brach / Daniera ter Haar
Raw Color studio 創設者
デザインの分野を横断して色に形をあたえる。
Raw Color は、デザイナーの Christoph Brach と Daniera ter Haar によって設立されたアイントホーフェンを拠点とするデザインスタジオで、デザインにおける色の使い方に対してユニークな解釈を持っています。グラフィック、テキスタイルデザイン、プロダクトデザインを融合させながら、企業の将来的な位置づけを図るために必要なツールの制作支援などを行っています。視覚的言語であるデザインをつくるため、リサーチと実験を行い、そこから生まれる作品からは、素材に対しての洗練された扱い方が伺えます。スタジオのチームは、委託プロジェクトやスタジオ独自で行うプロジェクトを通して、複雑なアイデアをわかりやすく表現する、直感的なアプローチを取っています。デザインの分野を横断して色に形をあたえる。
Raw Color は、デザイナーの Christoph Brach と Daniera ter Haar によって設立されたアイントホーフェンを拠点とするデザインスタジオで、デザインにおける色の使い方に対してユニークな解釈を持っています。グラフィック、テキスタイルデザイン、プロダクトデザインを融合させながら、企業の将来的な位置づけを図るために必要なツールの制作支援などを行っています。視覚的言語であるデザインをつくるため、リサーチと実験を行い、そこから生まれる作品からは、素材に対しての洗練された扱い方が伺えます。スタジオのチームは、委託プロジェクトやスタジオ独自で行うプロジェクトを通して、複雑なアイデアをわかりやすく表現する、直感的なアプローチを取っています。
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