Project Case
2023.3.30
FabCafe編集部
2022年11月、マレーシアのセランゴール州観光省主催で「TUKANG Design & Craft Festival 2022」が開催されました。これは、地元の職人を宣伝し、先住民コミュニティの豊かな文化を紹介するためのイベントです。
首都クアラルンプールを取り囲む形で広がっているセランゴール州はマレーシアの13州の中で最も人口の多い場所であり、観光客も多く訪れます。イベントの目的はセランゴール州を訪れる観光客に魅力的な体験を提供することで、地元文化への理解を深めてもらうこと。観光省は、住民のアーティストをサポートすることによって、観光客と地域コミュニティーの文化交流の機会を創出することを目指しました。その結果、若い世代が伝統工芸の遺産に再び関心を持ち始めています。
マレーの文化遺産として、テムアン族の文化があります。
テムアン族とは、半島マレーシアで4番目に大きな先住民族で、代々口伝で受け継がれてきた豊かで多様な文化で知られています。伝統的に、テムアン族は森林に住む人々で、自然療法や材料の使用に関する知識で知られています。現在、テムアン人の多くは農業に従事し、小規模なビジネスを営んでいます。
現代に至るまで、テムアン族は言語、神話、歌、踊り、籠細工などの工芸技術、竹製の道具やユニークな魚捕り器などの日用品など、多くの文化遺産を継承してきました。しかし、こうした伝統的な知識は文書化されておらず、若い世代や他のマレー系コミュニティにはあまり伝わっていないのが現状です。
FabCafeクアラルンプールは、このイベントで、全長4メートルの万華鏡を使ったインタラクティブなアートインスタレーション「Re:Vision」を発表しました。
作品名の「Re:Vision」は、未来を改良するというRevisionと、視覚というVisionの2つの意味を表しています。作品は、デジタルとアナログの加工技術を融合させ、テムアン族の伝統的な模様やモチーフからインスピレーションを得た光と色で、夢のような空間を表現しています。このインタラクティブな体験は、現代のテクノロジーを使って伝統文化を楽しく探究できる作品として、特に家族連れや若い世代に評価されました。
デジタルファブリケーションを取り入れることで、FabCafeクアラルンプールは伝統的なアートの形を広げることを目指しました。最先端のテクノロジーと深いリサーチ、そして先住民の文化への敬意を組み合わせることで、「Re:Vision」はTUKANGフェスティバルの来場者に向けて、ユニークかつ意義深い体験を提供しました。
また、アートインスタレーションに加え、FabCafeは参加型ワークショップも開催。参加者はデジタルファブリケーションを体験しながら自分だけの小さな万華鏡を作り、持ち帰ることができました。
今回のフェスティバルでは、木工や陶芸などの伝統工芸に焦点を当てたプロジェクトが多かった中で、FabCafeクアラルンプールは若い来場者にアピールするため、大胆に没入型のデジタル体験に踏み切りました。「Re:Vision」のインスタレーションでは、万華鏡の中に直接頭を入れて、テムアン族のイメージに文字通り没入します。この体験は大きな反響を呼び、ソーシャルメディアでも広く紹介されました。
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- テクノロジー、デジタルファブリケーション、アートの新たな接点を探りたい
- クリエイティブなプロジェクトによる文化遺産の保護と地域活性化の推進したい
- デジタル技術を活用し、従来の概念を新しい方法で表現する教育プログラムを共同開発したい
プロジェクト概要
- プロジェクト期間:2022年8月~2022年11月
- クライアント:セランゴール州観光局産業開発部
- 協賛:セランゴール州政府
- 共催:シャーアラム市議会(MBSA), シャーアラムギャラリー、マルチメディア大学クリエイティブ・マルチメディア学部、RantaiArt
- プロジェクトメンバー (FabCafeクアラルンプール): イグナティウス・アンディ・ペルマディ(ディレクター)、グウィネス・ジョン(ディレクター)、ムスタファ・カミル、メイサラ・ルビス
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