Event report

2020.11.16

Fab Meetup Kyoto vol.44 プレゼンター一覧/ イベントレポート

2020年08月19日開催

田根 佐和子

MTRL プロデューサー

2020年08月19日に開催されたFab Meetup Kyoto vol.44のプレゼンターをご紹介します。
イベント概要はこちら

Fab Meetup Kyotoとは?

「Fab Meetup Kyoto」は、多種多様なバックグラウンドの人たちが、月に1度、ゆるーくお酒を飲みながら、アイデアやプロジェクトをシェアするMeetupイベント。毎回複数のクリエイターが「つくる」にまつわるショートプレゼンテーションを行います。MTRL KYOTO / FabCafe Kyotoのオープン以降、毎月のレギュラーイベントとして開催され、業界の垣根を超えた人が集まるコミュニティが育ってきました。

新型コロナウィルス感染症流行の影響を受け、FabCafe Kyotoに実際に集まっての開催をお休みしていましたが、2020年8月よりオンライン版にて再開します。オンライン版のFab Meetup Kyotoでは、毎回1組のゲストを迎え、対話を通して「つくる」人の魅力や奥深さに迫ります。

Fab Meetup Kyoto vol.44ではシリコーンロックグラスでSNSを賑わせた錦城護謨さんにお邪魔して、製造に至る裏話やどういう現場で作られているかのお話を伺いました。

ゴムのプロフェッショナルとして、様々な種類のゴムを、クライアントの要望に合わせて日々生産している錦城護謨の皆さん。
普段からこんな悩みがありました。

  • (パーツ製造が多いため)生活のどの部分に役立っているのか社員でも分かりづらい。ユーザーの笑顔にも出会いづらい
  • 受注仕事が多く、自発的にものづくりをすることがない。
  • 受注仕事では仕様通りに作る事が至上命題。あらゆる制約を度外視し、技術と性能を全てつぎ込んだ製品を作ったことがない。
  • 自発的にものづくりをしたくても、デザインが出来ない。
  • ゴムにはゴムの面白い特性があるけど、それを発信してきたことはあまりない

「それでも普段から、こんなん作られへんかなあ、いうて言うてくるんです」──水田さん 

土木事業本部の水田さんは普段はゴムでの製品製造には携わっていないにもかかわらず、「水田ノート」というアイディアノートを認めているアイディアマンです。

ある日、太田社長から「こんな企画があるらしいので、説明会行ってきてみて」と言われて鈴木さんが向かったのがYAOYA PROJECTの説明会。
ものづくりの担い手さん達とデザイナーがタッグを組んで最高の新製品を作ってみる、という一年プロジェクトの説明会でした。
説明会を経て、「よし、参加してみるか」となった段で、普段から「作りたい」と言っていたメンバーが突然召集され、発足したのがプロジェクトチームの皆さん。それぞれ全く違う部署で違った業務に就いている4名が呼ばれました。

「急にYAOYA集合ー! ていわれて。野菜でも売るんかと思いました」。──吉年さん

全く違う部署で普段は違う仕事をしている4人が、見える錦城をキーワードに創り上げたのがシリコーンロックグラスです。

「ゴム」という単語から意表をつく透明度。
「ゴム」なのに切り子。繊細かつ複雑な細工と飲み口部分の思いがけない薄さ。
ほどよい重厚感。
ホットにも使え破損もしづらく、レンジに使えるなどの便利な機能。
力を込めると飴細工のようにたわむ意外性。

「こんなことができるのか?」「なにこれ見たことがない」「カッコいい」。
そして「便利」「子供達にも安全」というところがウケてクラウドファンディングで見事に購入者の心をいとめ、発注後2ヶ月待ちの人気商品となりました。

今回の素材は、以前原料メーカーと錦城護謨さんで「こんなんあったらええな」といって作った素材とのこと。
作ったはいいけれど、発注されることがあまりなく、利用シーンを探していた素材でした。

  • 特殊素材を創り上げる技術力。
  • 造形物が「磨りガラス状」にならないように、極限まで金型を研磨する技量。
  • 素材の性能をギリギリまで引き出しきったデザインと、それを実現する力。
  • 二種の粘度が違う溶液を同じスピードで滴下して交合させる技術など、造形部分のプロの技術力。

などなど。
最初こそ、何を作ろうか、それはどういう形状になるべきか、デザイナーとのコミュニケーションはどうやればよいのか。何から手をつけていいのかと手探り状態でしたが、「こんなモノ出来る?」「もっと出来るよ?」と、距離感が伝わってからはデザイナーも全力を発揮し、作る側も全力で応えたそう。
四人のメンバーは夜な夜な集まってはああでもないこうでもないと頭を悩ませていたそうです。

「金型の研磨だけで2週間以上、かかってます。成形したあと、殆ど後処理が要らないくらいに金型を研磨するのは、研磨のプロの仕事ですね」──吉年さん。

製造工程の様々な場所にそれぞれの職人の技が炸裂し、結果、製品化までこぎ着けました。

「海外でも人気がでて、予想通りうれしい限りです」とのこと。
元々YAOYA PROJECTでは海外でも売れる商品を、というコンセプトで作っていたので狙い通りです。

「手に取ってくれる人が普段使いしてくれるようなものがよかった。だからテーブルで使うものにしたんです」──吉年さん

「見える錦城になりたいんです」と、いう水田さん。
ロックグラスを皮切りに、人々を錦城の作るもので笑顔を増やす活動です。

第一弾のロックグラスは、一日24時間、工場でずっと製造中。
職人の技術の粋を尽くした金型が休む間もなく働いています。
この調子で生産をつづけて行けばそのうちに注文待ち状況も解消されそうです。

さて、ロックグラスの次は。
錦城護謨の一般向け商品開発プロジェクトはまだまだ続きます。

「とりあえずテーブルに並ぶモノを。またデザイナーと相談して作っていきます。
お楽しみに!」──太田社長

ロックグラスを手に入れよう

ロックグラスはこちらで購入ができます。

KINJO JAPAN オンラインショップ
https://kinjojapan.shop/

錦城護謨に見学に行こう!

大阪八尾市、東大阪市、門真市、堺市で開催されるオープンファクトリーイベント、FactorISM 2020。
錦城護謨さんをはじめとしていくつもの工場を見学することが出来ます!

FactorISM 2020 アトツギたちの文化祭

  • 日  時2020.12.10.THU – 12.13.SUN
  • 会  場八尾市・東大阪市・堺市・門真市
  • 総合案内みせるばやお会場/大阪府八尾市光町2-60 リノアス8F

※見学には事前申し込みが必要な工場もあります。各工場の申し込みに関してはサイトを御確認ください
https://factorism.jp/

  • 太田 泰造

    錦城護謨株式会社 代表取締役社長 みせるばやお 代表理事

    1972年大阪生まれ。近畿大学商経学部卒。
    1996年富士ゼロックス株式会社へ入社
    営業職を経験
    2001年に錦城護謨株式会社入社。
    土木事業部長、専務取締役を経て
    2009年 代表取締役社長に就任。

    1972年大阪生まれ。近畿大学商経学部卒。
    1996年富士ゼロックス株式会社へ入社
    営業職を経験
    2001年に錦城護謨株式会社入社。
    土木事業部長、専務取締役を経て
    2009年 代表取締役社長に就任。

  • シリコーンロックグラスプロジェクトチーム

    錦城護謨株式会社

    今回のシリコーンロックグラス制作にあたり、社内各部署から集められたプロジェクトチーム。
    夜な夜な実験とディスカッションを繰り返した。
    ・大川 浩司(おおかわ ひろし)
      土木事業本部 管理安全部 管理課 係長
       役割:商標関係、届出関係、資材担当
    ・水田 竜平(みずた りょうへい)
      土木事業本部 営業部 大阪支店 係長
       役割:デザイナー窓口、クラファン窓口
    ・鈴木 宏昭(すずき ひろあき)
      工業品事業本部 生産本部 副本部長
       役割:プロジェクト統括
    ・吉年 正人(よどし まさと)
      工業品事業本部 生産本部 技術部 課長
       役割:プロダクト全般
    ※左から

    今回のシリコーンロックグラス制作にあたり、社内各部署から集められたプロジェクトチーム。
    夜な夜な実験とディスカッションを繰り返した。
    ・大川 浩司(おおかわ ひろし)
      土木事業本部 管理安全部 管理課 係長
       役割:商標関係、届出関係、資材担当
    ・水田 竜平(みずた りょうへい)
      土木事業本部 営業部 大阪支店 係長
       役割:デザイナー窓口、クラファン窓口
    ・鈴木 宏昭(すずき ひろあき)
      工業品事業本部 生産本部 副本部長
       役割:プロジェクト統括
    ・吉年 正人(よどし まさと)
      工業品事業本部 生産本部 技術部 課長
       役割:プロダクト全般
    ※左から

  • 松尾 泰貴

    八尾市経済環境部産業政策課 係長

    関西大学卒。H20年八尾市に入庁。H20~24年度市長直轄組織秘書課に配属。プライベートでは入庁当初から食べ歩きを行い、飲食店の横のつながりである80会を立ち上げ、B級グランプリイベントを開催。H25~26年度経済環境部産業政策課(2年)産業政策全般に関する政策立案、次世代経営者養成講座等に従事。H27~28年度経済産業省 近畿経済産業局で関西圏内のベンチャー政策に携わる。H29年~八尾市出戻、みせるばやおの事業立ち上げ。上記、活動が認められ、『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード』2019に選ばれる。

    関西大学卒。H20年八尾市に入庁。H20~24年度市長直轄組織秘書課に配属。プライベートでは入庁当初から食べ歩きを行い、飲食店の横のつながりである80会を立ち上げ、B級グランプリイベントを開催。H25~26年度経済環境部産業政策課(2年)産業政策全般に関する政策立案、次世代経営者養成講座等に従事。H27~28年度経済産業省 近畿経済産業局で関西圏内のベンチャー政策に携わる。H29年~八尾市出戻、みせるばやおの事業立ち上げ。上記、活動が認められ、『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード』2019に選ばれる。

VIDEO ARCHIVE


IMAGE ARCHIVE


久宝寺駅前に広がる錦城護謨株式会社。
訪問した日は快晴。絶好の工場見学日より(?)でした。


工場の中にあった標語など。錦城護謨さんの工場はとにかくびっくりするくらいきれい。
この額ももしや毎日磨いているのではと疑うほど。


「ゴムと一言にいってもいろんな種類があります。ロックグラスのゴムとは違うけど、ゴムを練る工程は見応えありますよ。見ます?」とのことで。ゴムを練る工程を見せていただきました。
銀の日本の筒の間に原料のゴムを載せ、自重でローラーの間を垂れ落ちる過程でローラーに巻き付き、これを何度か繰り返すことにより、均質に混ざり、幅も均一になる


ローラーに巻き付かせる原材料。
この時点ではグレーに着色されたものでした。
一個20KGと結構な重さ


ピンクのゴムを練る工程の動画。
赤の染料を混ぜローラーで練ることにより、ピンク色に。
生肉の塊ではない。


原材料。グレーやピンクの色をつける前の色。
乳白色のノリ状。この状態ではまだゴムの性質はない。


練り揚がって均一な厚みになったゴムの原料を使い勝手のよいサイズにカット。
このあと成形機にかける工程に。


工場の中を俯瞰で。一台の機械が一回成型するのに数分かかるため、一人のオペレーターが4台の機械を一挙に操作して作業していくため、これだけ広くても最大5人で回せるそうです


一回分の成形サイズにカットされたゴムの原料を一個一個型に配置し、熱と圧力で成形する過程。オペレーターさんの肩口に突き出ているパイプはエアコン。


ロックグラスチームの吉年さん。
「ゴムにも色々あるんです」


工場の一角にある展示エリア。
同じサイズのボールだが片方はスーパーボール並みにはね、片方は全くはねない


同じサイズと厚みなのに片方はメチャクチャ重いです。
「鉄より比重重いです」


液状のゴムを型に充填し、熱と圧力で成形する機械。
「機械は大きいけど、精密なモノが得意で、最大でも手のひらサイズのモノを成形してるフロアです」


できたてほやほやのロックグラスをじっくり見つめる担当さん。
このあと熱処理など、2,3工程はあるそうですがほとんど出来上がりそのもののような美しさ。


ロックグラスの縁部分から外したバリ。
ゴムとはいえ、輪ゴムほどは伸びない。


名神高速道路の料金所の路面に設置されている感圧装置。
ロックグラスとは違って「鯛焼きのような造り方」で作るとのこと。
中にセンサーを仕込んだ状態で成形。


ロックグラスの成形機。
タンクの中に二種の原料(水飴のような液体)が入っていて、チューブから成形機の上に延びている。
金型がセットされたあとに混合液が混ぜて充填され、熱と圧力で成形される仕組み。


できあがったロックグラス。
とてもではないがガラスには見えない。


ロックグラスの試作過程で出来た、ワイングラス。
「まだこのころはそんなに複雑な計上してないでしょ。最初はこんなシンプルなデザインで上がってきたんです」
「半面が磨りガラス状なのは、金型の研磨の有無です。何度も何度も研磨して貰い、今のガラスのような外見までもってきました」


Fab Meetup Kyotoは定期的に開催しています。興味のある方はイベントページやFacebookページを定期的にチェックしてください。

また、Newsletterを購読すると、月1回のペースでイベント情報をお届けできるのでオススメです。

Author

  • 田根 佐和子

    MTRL プロデューサー

    大手PC周辺機器メーカーで営業部門、広告部門を担当した後、2006年、ロフトワークに入社。クリエイターとのチームメイキングに定評があり、ソーシャルゲームなどのコンテンツ・ディレクション分野で活躍。2011年に京都オフィスの立ち上げメンバーとして京都移籍。現在は素材の新たな可能性を探る事業「MTRL」のプロデューサーとして、企業や職人、研究者を繋ぐ活動をしている。特技は”興味の湧かないものはない”こと。職人/技術者/研究者への人一倍のリスペクトと個人的な好奇心から、プライベートでも日本中を駆け巡って会いに行ってしまう。趣味はスキーとダイビングという、ロフトワークでは数少ないアウトドア派。

    大手PC周辺機器メーカーで営業部門、広告部門を担当した後、2006年、ロフトワークに入社。クリエイターとのチームメイキングに定評があり、ソーシャルゲームなどのコンテンツ・ディレクション分野で活躍。2011年に京都オフィスの立ち上げメンバーとして京都移籍。現在は素材の新たな可能性を探る事業「MTRL」のプロデューサーとして、企業や職人、研究者を繋ぐ活動をしている。特技は”興味の湧かないものはない”こと。職人/技術者/研究者への人一倍のリスペクトと個人的な好奇心から、プライベートでも日本中を駆け巡って会いに行ってしまう。趣味はスキーとダイビングという、ロフトワークでは数少ないアウトドア派。

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