Event report

2021.12.30

吉野に潜むメタ素材から生まれたプロトタイプ -Melt. Fieldwork Research vol.0 レポート

斎藤 健太郎 / Kentaro Saito

FabCafe Nagoyaプログラム・マネジャー、サービス開発 / 東山動物園くらぶ 理事 / Prime numbers syndicate Fiction implementor

Melt.と巡る五感ハンティングin吉野

こんにちは。高次素材設計技術研究舎 -Melt.の斎藤です。2021年12月17〜18日にかけて、奈良県吉野町にて「Melt.と巡る五感ハンティングin吉野」と題してフィールドワークリサーチ、およびプロトタイピングをおこなってきましたのでお伝えします!

 

Melt. Fieldwork Researchとは

「高次素材設計技術は机上にあらず!」をテーマに、オンライン会議を飛び出し実際に現実世界起こる現象を体験することや探索することで、高次素材設計技術を向上させるための屋外活動を行います。
フィールドワークは日本各所津々浦々に様々な現地のオーガナイザーを通じて、ありとあらゆる現象を五感をフルに使い探索を行います。

Melt.と巡る五感ハンティングin吉野 -Melt. Fieldwork Research #0
https://fabcafe.com/jp/events/nagoya/211217-18_meltfwr0/

melt frame work

本リサーチまでに5回、Melt.が考える”高次素材を用いたものづくり”を実践しているクリエイター達とオープンミーティングを行い、得られた示唆から高次素材を用いたものづくりを実践するためのフレームワークを立ち上げています。この”マテリアライズフレームワーク”を用いたものづくりの可能性を検証するために行ったフィールドワークリサーチです。

高次素材設計技術研究舎 -Melt.
https://fabcafe.com/jp/labs/nagoya/melt

マテリアライズフレームワークシート
https://miro.com/app/board/o9J_lvQdB64=/

参加メンバー

プロトタイピング拠点ニューコウミンカンにて。非常に冷え込み、プロトタイプ制作もほぼ、こたつ上でおこなわれた。

右から
三田地さん(新工芸家)
市川さん(複雑系科学/情報生命)
大野さん(建築家)
浅井(Melt.)
坂園さん(ファッションデザイナー)
斎藤(Melt.)

訪れたところ

Fieldwork Research map

Day1 吉野を歩いて感じる情景ハンティング[感覚レイヤー]

奈良県吉野町は山岳信仰と林業の町。吉野山や吉野川との結びつきが今でも色濃く残る土地です。今回、はじめに情景ハンティングのための心と視点づくりとして、ゲストハウスKAM INNの女将で修験者でもある片山さんにお話を伺いました。
修行とプライベートでの山への向き合い方や五感を使った感じ方、収集されている地衣類の奥深さなどのお話を通して情景をハンティングするための視点を醸成しました。

  • 片山 文恵

    岡山生まれ、岡山、新潟、神奈川育ちの元理系女子。2017年に吉野町に移住。現在はゲストハウスの女将であり、金峯山寺の行者。原始的な信仰、修験の生きる地で文化と信仰を継承し、現代語で伝える者として、講演やツアーなどを企画する。小さな生物と読経とカレーがすき。

    ゲストハウス KAM INN
    http://taikoban-yoshino.com/kaminn.html

    岡山生まれ、岡山、新潟、神奈川育ちの元理系女子。2017年に吉野町に移住。現在はゲストハウスの女将であり、金峯山寺の行者。原始的な信仰、修験の生きる地で文化と信仰を継承し、現代語で伝える者として、講演やツアーなどを企画する。小さな生物と読経とカレーがすき。

    ゲストハウス KAM INN
    http://taikoban-yoshino.com/kaminn.html

いざ吉野へ!

KAM INNでの対話の後は情景ハンティングを実施しました。霊峰吉野山を中心とした自然の中で、参加者それぞれの観点を持って、”いいな”と感じたものを動画や音声、実物や体験として収集します。情景ハンティングでは考えすぎず、自分の感覚に正直になることが大切です。山歩きでは天気が崩れ雨に振られましたが、それがより一層、視覚以外を使った山の感じ方をすることに繋がったのではないでしょうか。

情景から高次素材へ[思考レイヤー]

各自がハントしてきた素材から特に良いものをいくつかセレクトして共有、そこから想起される言葉や感覚の深堀りをすることで、高次素材としての純度を高めていきました。

Day2 吉野産採れたて素材でプロトタイピング[具現化レイヤー]

Day1と打って変わって晴天でスタート。Day1で採集して純度を高めた素材を頼りに、ひたすら手を動かす時間です。苔や石といった採集してきた素材や、スポンジや3Dペンなどニューコウミンカンに準備した手頃な素材を使って、約1時間という短時間での超ラピッドプロトタイピングでしたが、5つのプロトタイプが生まれました。

生まれたプロトタイプたち

自然ハンドスカルプチャー

風景・自然・生物のもつ造形の美しさと町並みの形態を視覚と触覚で感じるプロトタイプ

吉野の山で触れてきた自然物や風景と、人工物としての町並みの共通項として造形の美しさを見出し、山を足の裏で感じるように視覚以外の感覚として触覚での感じ方を模索した。

GOSHINO

触感のグラデーションを表現するプロトタイプ

毬栗を手袋ごしに持ち帰ってきた際の、たまにチクチクする感触から、触覚のグラデーションを体感するプロダクトをプロトタイプした。

つくりもの

印象・情緒を作り出すプロトタイプ

石の上に苔があることで全体が柔らかく感じるという、その印象を人工的に生み出すことをプロトタイプした。

水滴、人の気配

人の気配・温かみを生み出すプロトタイプ

雨が振り冷え込む中で歩いた山中の音を使って、赤の持つ温かみや自然を感じる表現をOpen Processingでプロトタイピングした。

センシング・トゥ・ネイチャー

人間の感覚外で起きている事象を想像するプロトタイプ

地衣類や藻などは、一見全て同じ色に見えるがブラックライトで照らすことで思いも寄らない色で光る種もいる。人間の五感では感じられない事象も、他の生物にとっては当たり前に知覚できる、この世に存在しているはずのものを人間が知覚する方法を模索した。

高次素材設計技術研究舎 -Melt.へのお問い合わせはこちら

Melt.では物理現象や感覚、思想などを素材と捉えた新たなものづくりや、そのためのフィールドワークリサーチ、ワークショップ、プロトタイピングなどを実施しています。何か新しい手法を模索している、どんな可能性があるのか、面白そうだけどどんなことができるのか、など、明確でなくてもOKです。まずはお気軽にご連絡ください。

お問合せ先

info.nagoya@fabcafe.com

※「Melt.についての問い合わせ」と件名へご記載ください

Author

  • 斎藤 健太郎 / Kentaro Saito

    FabCafe Nagoyaプログラム・マネジャー、サービス開発 / 東山動物園くらぶ 理事 / Prime numbers syndicate Fiction implementor

    名古屋における人ベースのクリエイティブの土壌を育むためにコミュニティマネージャーとしてFabCafe Nagoyaに立ち上げから携わる。

    電子工学をバックボーンに持ち科学技術への造詣が深い他、デジタルテクノロジー、UXデザインや舞台設計、楽器制作、伝統工芸、果ては動物の生態まで幅広い知見で枠にとらわれない「真面目に遊ぶ」体験づくりを軸とした多様なプロジェクトに携わる。

    インドカレーと猫が好き。アンラーニングを大切にして生きています。

    名古屋における人ベースのクリエイティブの土壌を育むためにコミュニティマネージャーとしてFabCafe Nagoyaに立ち上げから携わる。

    電子工学をバックボーンに持ち科学技術への造詣が深い他、デジタルテクノロジー、UXデザインや舞台設計、楽器制作、伝統工芸、果ては動物の生態まで幅広い知見で枠にとらわれない「真面目に遊ぶ」体験づくりを軸とした多様なプロジェクトに携わる。

    インドカレーと猫が好き。アンラーニングを大切にして生きています。

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