Event report

2016.7.11

第一回目 くまむし けんきゅう会 レポート

FabCafe編集部

皆さま、突然ですが『クマムシ』のことを知っていますか?史上最強と言わせしめているアレです。BioClubでは、BioHackAcademyに続き、6月26日から『くまむしけんきゅう会』(通称:くま研)という3ヶ月のプロジェクトが始まりました。今回は、その第一回目の様子をレポートします!

さて、そもそもクマムシとは何なのでしょうか?講師のクマムシ博士こと、堀川大樹先生に、それを教えてもらうところからスタートです!

▲講師をつとめるクマムシ博士・堀川大樹先生

クマムシとは、体長1mm未満の微小な動物で、4対8脚の足でゆっくりと動くことから『緩歩動物』と呼ばれ、独自のグループ(緩歩動物門)を形成しています。種類はなんと1,200種以上に及び、通常市街地から海、山、極地など幅広く生息しています。また、宇宙や絶対零度と言った極限の環境でも生き延びることから、『最強生物』と言われています。

▲ヨコヅナクマムシ(提供:堀川大樹先生)

くま研に集まったのは、小学生から大人まで、職業もデザイナーから学校の先生まで様々です。早速会場を出て、渋谷の街にクマムシの採集に繰り出しました!

▲採集に繰り出す、くま研メンバー

クマムシは、苔や地衣類の中に住んでいます。ただし、とってもカラカラで汚くてしょぼい苔・地衣です。堀川先生の観察眼を信じ、苔リテラシー(注:クマムシが住んでいる苔を発見する能力のこと)を高めていきました。

緑の綺麗な苔は、水分が多い環境に生息するため、様々な生物が好んでおり、競争が激しいそう。クマムシは、水がないカラカラのショボ苔で暮らすという選択をすることで競争を避けてこの社会を生き抜く、という賢い戦略をとっているようです。

▲ 淵の苔も狙い目です

▲ 沢山のショボ苔を前に喜ぶメンバー

▲ クマムシがいる確率を予想する堀川先生

さてさて、お気に入りの苔が見つかったところで、即顕微鏡〜〜〜!

というわけにはいかないのがクマムシ。採取した苔・地衣を入れたシャーレに水を入れます。その際に、苔・地衣に直接水を当てないように注意しましょう。水を直接当てると、土がたくさんでてきてしまい、あとで観察しにくくなります。

▲シャーレに水を入れる様子

▲苔を採取しすぎた場合は、少量ずつシャーレに移し替えましょう

そして、少なくとも2時間、できれば一晩待たなくてはなりません。なぜかというと、クマムシは通常、乾燥した苔の中で自らも脱水してカラカラの状態(『乾眠』状態という)となっています。乾眠状態では、生命活動は停止され、動くことがありません。水をかけると苔の中にいる乾眠状態のクマムシが吸水して復活します。そして、時間をかけながらもぞもぞと苔から外に出てくるのです。こうしてようやく、クマムシを観察することができます。

〜 2時間30分経過 〜

顕微鏡をのぞいて、シャーレの中にもぞもぞと動くものを探しましょう。

▲顕微鏡でクマムシを探すメンバー

今回このワークショップで使用した顕微鏡は、『実体顕微鏡』と言われるタイプのものです。堀川先生からも顕微鏡をお借りしたのですが、BioClubでは、モノタロウでこちらを購入致しました!2万円以内で購入可能です。

▲真剣にクマムシを探すメンバー

また、先生のブログでも紹介されている顕微鏡キットでも、クマムシを発見することができました!こちらはさらに手軽なのでオススメです。

▲顕微鏡キットのミニ顕微鏡で観察している様子

メンバーの皆さまの努力の甲斐あり、今回のワークショップでも10匹以上ほどのクマムシを見つけることができました!中にはオニクマムシという肉食のクマムシまで見つけることができました。こちらがその映像。渋谷にも沢山のクマムシが住んでいるんですね!

最後は、見つけたクマムシを小さなシャーレに移していきます。これが中々大変です。特殊なピペットを作り、この最後の難関に挑みました。

「良い研究には、良い道具が必要」(by クマムシ博士)

ということで、BioClubではこちらのパスツールピペットを購入。9インチの長いタイプのパスツールッペットです。それをアルコールランプで溶かし、『くまむし操作装置』を作ります。パスツールピペットの太い部分と細い部分の付け根の部分を熱し、そこがやわらかくなってきたタイミングで、まっすぐ、ゆっくりと伸ばしていきます。

ギリギリまで細く伸ばしたところで、火から離し、カッターを用いて折りやすいように切れ目をつけたのちペットボトル内で折りましょう。ちなみに、メンバーの間でこの装置作りに成功したのはたった2名。非常に難しい作業です。

▲ガラスピペットをアルコールランプで溶かすメンバー

▲捕獲に成功したクマムシは小さいシャーレへ

この他にも、第一回目のくま研では、培地の作り方を学んだ他、今後の研究・制作テーマに関するアイディア出しを行いました。これから3ヶ月かけて、くま研メンバーはそれぞれ研究・制作を行います。アウトプットがとても楽しみですね!

▲アイディア出し

クマムシについてもっと知りたい方は、堀川先生のブログ・書籍・オンライン研究所がオススメです。くま研メンバーでなくても、是非チェックしてみてくださいね!

▶︎ブログ
クマムシ観察絵日記
むしブロ

▶︎オンライン研究所
クマムシ博士のクマムシ研究所

▶︎書籍
・『クマムシ研究日誌:堀川大樹著
・『クマムシ博士の「最強生物」学講座:堀川大樹著

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  • FabCafe編集部

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