Event report

2025.9.16

Zine by Zineワークショップレポート

自分の手で、自分のストーリーを。

ハナ・ガボ・カラソ

FabCafe Tokyo インターン

「自分のストーリーを作りたい!」と思ったことはありますか?

2025年8月30日(土)、zineを通じて創造的な自由を表現するワークショップ「Zine by Zine」がFabCafe Tokyoで開催されました。コンセプトは、個人が創造性を解き放ち、物語を共有し、完成したジンを持ち帰れるリラックスした空間を作ること。

workshop facilitator explaning workshop

Zineは小さな手作り冊子であり、制作者は通常の出版制限なしに個人的な思考やアイデア、経験を表現できます。明確な形・要件がないため、制約なく創作する自由を提供できるところがポイント。今回は、多くの参加者にとってこれが初めてのzine制作体験になりましたが、ワークショップを通じて緊張が自信へと変わっていく様子は主催者としても励みになりました。

All the prompts that were used for insporation in the owrkshop

インスピレーションのためにアイデアが提供された

Zine作りを気軽に楽しめる2階MTRLスペース。参加者は各自のジンを完成させて披露できるだけではなく、完璧を求めずに何かを仕上げ、自身の物語を共有できる喜びを感じられます。

最初に、参加者の自己紹介とzineの簡単な説明が行われました。zineについてのアイデアがあるか尋ねたところ、誰も手を挙げなかったので、参加者たちの創造性を刺激するため、いくつかのヒントが提供されました。参加者たちは、用意された紙にストーリーボードを描いたり、レイアウトを試してみました。

そうすると、幅広いアイデアが出てきました。ある人はその週の天気についてイラスト付きストーリーをまとめ、また別の人はお気に入りのアイドルをカタログ化したテキストのみのzineを作りました。興味深いことに、多くの参加者が提案されたアイデアの一つから始めたにもかかわらず、最終的にはほとんどの人が独自のアイデアへと発展させていたのです。、参加者がそれらを自由にアレンジし、複数のアイデアを組み合わせたりして、あるいは全く無視して予想外の何かを生み出したのは。真の魔法でした。

workshop participant showing off their stroyboarding worksheet

ストーリーボードの作成

  • このイベントのもう一つの見どころは、バンタム・ツールズ社が開発したペンプロッター「NextDraw 8511」です。本ワークショップでの使用のために、この機械を惜しみなくご提供いただきました。ペンプロッターは、ボールペンやマーカーを用いて精密な画像データに沿って画像やテキストを描画する装置です。無数のドットで画像を構成する通常のプリンターとは異なり、プロッターは実際に線を引くため、手描きに近い質感と外観を持つ細部や複雑なパターンを表現することができます。

  • bantam pen plotter drawing

  • the pen plotter drawing one of the participant's zines

  • なぜ本ワークショップにペンプロッターを使ったのか?Zineは常に形式や技法の実験によって発展してきましたが、ペンプロッターは制作プロセスに全く新しい要素をもたらしました。参加者ははスケッチをスキャンしたり整えたりした後、機械がペンブレやインク濃度の変化で独自のひねりを加える様子を見ることができました。これによりラフな下書きが洗練された作品へと変貌し、遊び心を感じさせる驚きが加わりました。

    さらに、NextDraw 8511を使った作業は、zine制作がハサミやコピー機だけのものではなく、デザインやエンジニアリングの道具も取り入れて作られることを示しています。

部屋にはリラックスした雰囲気が漂い、参加者は集中しながらも気軽に会話を交わしていました。あちこち歩き回りながらアイデアやコツを共有する人もいれば、作業に没頭したり作品を折りたたんだりしている人もいました。 

ある参加者はペンプロッターに興味を引かれしばらく観察していたが、結局別の道を選び、最終的には広げるとポスターへ変貌するzineを作成。これは、提示されたテーマの一つを独自の方法で表現したもので、テーマが制約を課すことなく小さなきっかけを提供し、誰もが自分なりの解釈を加えられることを示しています。

  • zine by a participant remade their hand-drawn zine with the pen plotter

    手で描かれたzineがペンプロッターにより改めてトレーシングされた。この後、着色などができる

  • zine by participant that used the pen plotter to do the line art for their zine and then decorated it with markers and stickers.

    ペンプロッターが描いた線画の上にマーカーやステッカーで色をつけた

別の参加者はペンプロッターを使って図面をスキャンした後、手作業で色を足していきました。機械の精密さと手作業の温かみが融合し、機械的創造性と人間の創造性が織りなす唯一無二の作品に仕上がっています。

また別の参加者は、自分は絵が描けないし創造性もないと主張し続けていましたが、追求したいアイデアを見つけるとすぐに、驚くほど感動的な作品を生み出しました。その過程は、ジンが技術的なスキルではなく好奇心と自己表現の営みであることを証明しています。

 

最後に、参加者のうちの数人が自作のzineをグループに発表することにしました。ワークショップ自体と同様、発表もカジュアルな形式。参加者は作品をカメラにかざし、その映像が大型スクリーンに映し出される中、各ページの説明をしてくれました。

発表希望者を募った時、一人の参加者が手を挙げました。彼はシンプルな線画のジンを驚くほどの自信と風格で発表し、そのエネルギーがグループの残りのメンバーに前向きな雰囲気をもたらしました。そしてさらに二人の参加者が作品を発表し、励ましと好奇心に満ちた聴衆に向けてプレゼンテーションを行いました。

自身の創造力に自信が持てずにいたが、全く新しい視点を得て帰路についたという人もいます。ある参加者はこう語っていました。「創造性を発揮し、内なる子供と向き合う体験は驚くべきものでした。まるで昔、工作や美術の授業に戻ったような感覚でした。」

一方、他の芸術分野で既に創造性を発揮することに慣れていた参加者たちは、このワークショップを新たな表現形式を試す機会として活用したようです。

このワークショップは、創造的であるためにプロである必要はないということを人々に示しました。時には、遊び、新しいことに挑戦し、実際に何かを完成させる機会を自分に与えることが重要なのでしょう。

  • finished zine on top of the storyboarding worksheet

  • two participants showing their finished zines

Author

  • ハナ・ガボ・カラソ

    FabCafe Tokyo インターン

    スペイン・バルセロナのLa Salle大学でデジタルアートを勉強しているフリーランスアーティスト。2025年夏、FabCafeのインターンとしてイベント計画に頑張っている。フリーランサーとして海外コミションサイト「vgen」を使い、キャラクタデザインやイラストレーションをしている。将来にコンセプトアーティストになる夢がある。

    スペイン・バルセロナのLa Salle大学でデジタルアートを勉強しているフリーランスアーティスト。2025年夏、FabCafeのインターンとしてイベント計画に頑張っている。フリーランサーとして海外コミションサイト「vgen」を使い、キャラクタデザインやイラストレーションをしている。将来にコンセプトアーティストになる夢がある。

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