Event report
2019.5.30
FabCafe編集部
こんにちはFabCafeの金岡です。FabCafeではEverblue Technology社との協業プロジェクトとして、「A.D.A.M」というプロジェクトをスタートしました。
「A.D.A.M」は、オートデスク社による3D CAD/CAM ソフトウェア 「Fusion 360」のジェネラティブデザインを使って、自動操船ヨットのデザインをしようというプロジェクトです。近年、AIを使って解析、環境や目的に最適化した形状を生成する流れは、様々な産業で進んでいますが、このプロジェクトでは解析による最適化だけでなく、AIを使って「誰も見たことのない形をデザインする」ことにチャレンジします。
プロジェクト詳細→https://fabcafe.com/tokyo/blog/a-d-a-m-ai
第4回では、それぞれのチームが具体的なアイデアに向かって動き出しました。
第1回レポート→https://fabcafe.com/tokyo/blog/design-with-ai-adam-report-1/
第2回レポート→https://fabcafe.com/tokyo/blog/design-with-ai-adam-report-2/
第3回レポート→https://fabcafe.com/tokyo/blog/design-with-ai-adam-report-3/
誰も見たことのないヨットをデザインする
第四回目となる4月25日のワークショップは、チームに分かれて、先週に引き続きデザインの検討を行いました。
旅人さんと呂さん、二人のデザイナーの連日のアップデートにより、膨大な数のスケッチが張り出されました。さすがは現役のカーデザイナー、抜群のスピード感です。
Aチームの呂さんは、よりスタイリング重視のデザイン。菌類や微生物の増殖パターンを、ジェネラティブデザインを使ってヨットに応用しようという試みです。
建築系プログラマーの堀川淳一郎さんがチームに加わり、3Dモデリングで具体化してゆきます。
堀川さんはあらゆるソフトを操り、カタチを作り出すスペシャリスト。特に自然現象を模したカタチの生成を得意としています。
堀川淳一郎さんWebサイト:https://jhorikawa.com/
今回はHoudiniというソフトを使用してバリエーションを展開しました。
△複雑に入り組んだ骨のようなデザインを取り入れた双胴船デザイン
△増殖する菌がハル(船体)同士を繋げるトリマランデザイン
『気持ちの悪いカタチなら任せてください』と語る堀川さん。呂さんのスタイリッシュなデザインととう融合するのか、今後の展開が非常に楽しみなチームです!
旅人さん率いるBチームは、よりプロダクトとしてのヨットを追求する考え方。スタイリングも去ることながら、未来の漁師のスタイルや運搬方法を考慮したデザインが展開されていました。
△未来の漁師が無人操船ヨットを使うイメージ。まるでサーファーのように小型のヨットを海に放つストーリーが伝わってきます。
衝撃の変形プロトタイプ!
ここで飛び出したのが、エンジニアの桜井さんによるプロトタイプ。おもむろに鞄から取り出したプロトタイプを机の上に放り投げると、なんと自動的に変形してヨットになった!
△自動変形したヨット。ペットボトルで試作された部分がハル(船体)となるカタマランデザイン。
△エンジニアの桜井さん(写真右) 普段はエンジンの設計をしているエンジニアです。
漫画の中の主人公が、秘密兵器が入ったカプセルをポンと投げると出現するイメージから着想を得たという桜井さん。そのプロトタイプの完成度に感嘆の声が上がります。まさに旅人さんが求めていた運搬が容易な小型ヨットを実現する機構のアイデアで、Bチームは桜井さんの機構をデザインに応用することになりました。
変形機構のエンジニアリング
ワークショップの後半では、エンジニアの桜井さん、赤坂さん、デザイナーの秋山さんがジョインして変形機構についてディスカッション。もっぱらの課題は、この変形方法を4m級のフルサイズに展開した際に、どう耐久性と変形性能を両立させるか。また、海水という過酷な環境下でも確実に動作を繰り返せるジョイント金具はどのようなものかという検討に話がシフトします。
△エンジニアの赤坂さん。これまでに人工衛星やなんと潜水艦の設計まで手がけてきた機械設計のプロフェッショナル。
△プロダクトデザイナーの秋山さん(写真奥)
デザイン事務所「ふしぎデザイン」を東京に設立。「不思議なものを生み出し、世界の不思議を見つめる」というステートメントのもと、心を動かし共感を生む工業デザイン・プロトタイピングを行っています。
Webサイト:http://fushigidesign.com/
△プロトタイプのクロースアップ。シンプルで軽快なデザイン。これをどうフルサイズで実現するか。
もう一つの課題は、展開されたヨットをどうたたむのかということ。展開後、暴風や荒波をしのぐためにカプセル状態に自動的に戻る機能も求められます。
赤坂さんを中心に変形機構の主な仕様やプロポーションが練られ、秋山さんが機構を3Dモデリング化。着実に実現に向け動き出しました。この機構が実際のスケールで可動するのを見るのが楽しみです。
今後は1mサイズのプロトタイプを作成し、6月末のお披露目を目指します!
Everblue Technologies
-
FabCafe編集部
FabCafe PRチームを中心に作成した記事です。
この記事に関するご意見やご感想は、ぜひお気軽にこちらからお寄せください。
→ お問い合わせフォームFabCafe PRチームを中心に作成した記事です。
この記事に関するご意見やご感想は、ぜひお気軽にこちらからお寄せください。
→ お問い合わせフォーム