Event report
2016.10.28
FabCafe Hida 編集部
こんにちは!
ヒダクマ/FabCafe hidaの森口あっこです。
ヒダクマでは、2016年10月22日と23日に、「森を遊ぶ」ー 森をフィールドに、身体を動かして、創り、味わい、話して、考える をテーマにヒダクマ秋祭り2016を開催しました。
今回のテーマにあるとおり、森を五感を通じて体験していただけるようなプログラムを組みました。
森の生態が人の生活にどう影響しているのかを感じとれるような視覚と聴覚体験の森歩き、木という素材を使い手を動かしてものをつくる触感ワークショップ、森から採れる食材をつかった料理やドリンクの味覚体験、森の生命の強さをアロマで楽しむ嗅覚体験、心地よい音で癒される聴覚体験ライブ、そして、伝統、暮らし、技術の開放といったテーマで、過去を敬いながら、現在そして未来について考えるトークセッションを行いました。お越しいただいた皆さまにとって、雄大な自然との持続的で良好な関係性について意識するような機会になったようであれば幸いです。
以下に、簡単ですが、写真とともにヒダクマ秋祭り2016 を振り返ります。
前回のヒダクマ秋祭り2015は、2015年10月に『自然の共生』をテーマに開催しました。今回はその第2回目となるフェスティバル。
10月22日と23日の2日間にわたって森歩き、トークセッション、ものづくりワークショップとフードやドリンクを楽しめるブースを展開しました。
22日の午後一番でスタートしたのは、『飛騨の森を歩き、森の価値を見つけるツアー』。
地元の森の植物と虫を愛し、飛騨の森を楽しむ達人として知られるアルプス薬品取締役の太田慶隆さんによるガイドの下、参加者の方々は、朝霧の森を歩き、森の植生を学ばれました。
お祭りのメイン会場であるFabCafe hidaでは、『自然と寄り添う暮らしのかたち』をテーマに、暮らし研究者である土谷貞 雄(つちやさだお)さんによるモデレーションでビオフォルム設計室の山田貴宏(やまだたかひろ)さんにパーマカルチャーについてのお話をいただきました。
こちらから映像をご覧いただけます。
複数のものづくりワークショップもパラレルで行いました。夏にFabCafe hidaでデザインレジデンスをしながら野菜のモチーフのアクセサリーをつくるワークショップを開催した福田香子さんを再び講師として迎え『アクセサリー・ワークショップ vol.2 広葉樹 × レーザーカッター』を実施。
個性豊かな広葉樹から好きな樹種を選び、木工技術とFabマシンのつかい方を学びながら自分の手を動かしてテーブルをつくり、その持ち帰りまでが一度に叶うという一石二鳥のプログラム、『木工 x 3Dプリンターでつくる最先端のものづくり体験 〜マゼマゼ広葉樹のコーヒーテーブルづくりワークショップ〜』も行いました。
こちらは今後の常設メニューとして展開予定ですので、何かつくりたい!という方はお気軽にお問い合わせください。
そして飛騨の地酒を活用したお酒のワークショップも!
飛騨古川の2大酒蔵の蒲酒造さんと渡辺酒造さんにブランド酒をご協賛いただき、個性的なカクテルや数々の賞を受賞している野村空人さんと齋藤 恵太さんコンビのファシリテーションにより、森の素材を生かした『広葉樹とお酒のマリアージュ研究ラボ ”飛騨の”かほり”に酔う”』ワークショップを行いました。朴葉やクロモジを飛騨ウォッカに漬け込んだインフュージョン、サクラの木の燻製の香りをお酒につけて味わうカクテルは、マジシャンのようなデモンストレーション。飛騨の土地で取れたカラタチという柚子の常夏版のような果物を日本酒とアールグレイティーとフュージョンしたカクテルなど、とても贅沢な内容。今回の企画に行き着くまで、飛騨では森の素材の調達に奔走し、東京では実験を繰り返し、飛騨入りしてからも直前まで試行錯誤を繰り返したからこそのワークショップとなりました。今回味わえなかった人のために第2弾もひっそり企画しています!
そしてみんなの大好きカレー!秋祭りではやっぱりヒダクマらしく、飛騨の山で採集されるクロモジをスパイスに、飛騨の名産トマトと秋にたくさん採れるキノコがざくざく入ったカレーです。カレー研究歴数十年のヒダクマの松本による大作です。
FabCafe hidaは産地にこだわったスペシャリティーコーヒーや飛騨の森のクロモジティーを販売
夜には、FabCafe tokyoの岩岡による『広葉樹チップと燻製フードのマリアージュ研究ラボ 』を行いました。色、木目、匂いの異なる個性豊かな広葉樹で燻製チップをつくり、様々な食材を燻製してフレーバーの違いを楽しむ美味しい実験室です。
夜のバーでは、野村空人さんと齋藤 恵太さんコンビによる『飛騨の食材を使ったexperience (ミズナラ、ハーブ、フルーツなどを使った『お酒のBar: 飛騨と酔う』を開催。バーテンダーの鮮やかなパフォーマンス、飛騨の食材とアルコールの見事なマリアージュに、プロのこだわりを垣間見れました。
2日目の日曜日も新たなテーマでトークセッションを行いました。
セッション1は、『伝統建築、そして今の暮らしにあった住まいと街づくり』というテーマ。飛騨古川町で設計士の直井隆次(なおいりゅうじ)さんと伝統建築構法を追求し続ける飛騨市宮川村出身の荒木昌平(あらきしょうへい)さんにお話いただきました。
こちらから映像をご覧いただけます。
トークセッション3は、『技術を開放するデザイン』と題して、建築士の大野友資(おおのゆうすけ)氏とデザイナーの深地宏昌(ふかじひろまさ)氏にお話いただきました。
こちらから映像をご覧いただけます。
2日目は新たなワークショップが加わりました。
まずは、蔵で実施した『FABと飛騨杉のコラボによるコースターデザインワークショップ “木のカタチを視る”』からご紹介します。
木が生きてきた軌跡である年輪を浮かび上がらせる「浮造り(うづくり)」という伝統的技法をFABによりアップデートし、新たな木材加工のアプローチを見出した深地宏昌さん。 ワークショップでは木のカタチを活かしたオンリーワンのコースターをつくる体験をご提供しました。深地さんはこのワークショップを行うまでに。飛騨にて2回のデザイナーズインレジデンスを行いました。林業の現状を視るデザインリサーチ実施し、そこから編み出したのが今回の作品およびワークショップです。詳しくは上記トークセッションの映像をご覧ください。
同じく深地さんがつくった椅子の座面やテーブル天板。この美しい木目はぜひ一見いただきたい代物です。FabCafe hidaで実際に手にとってご覧いただけます。
嗅覚体験では、飛騨の素材を香りで楽しむことをテーマに、リフレクソロジストの松田旬古さんによる『飛騨の森の素材を活かした香りのスプレーワークショップ』を行いました。
森で育つ木々たちは過酷な状況を生き抜くため、様々な見えないパワーが詰まっています。それらから抽出される精油(アロマオイル)から使いやすいスプレーをつくるワークショップ。香りには、飛騨の森から抽出される希少なクロモジ、ヒノキ2種(木と葉っぱから抽出した精油)、スギ、ヒメコマツをつかいました。
そしてこの日はフードコーディネイターとして飛騨で活躍する藤原会美さんによるクロモジを使ったランチボックスとデリ。心待ちにしている人たちで販売前から既に列が作られていました。
常設で展示をしていたのは『モクメカー』。文字通り木目に沿って走るカー。板の上をモクメカーを走らせることで、いつもとは違った角度から”木目”を捉えてほしいとプロダクトデザイナーの三田地博史(みたち ひろし)氏が飛騨にショートデザイナーズインレジデンスを行い、飛騨を林業を通じて見た上で開発した作品です。
映像はこちらよりご覧いただけます。
そして、秋祭りのトリは、Soundscape、音の風景、日常に溢れている音を使って空間をデザインするサウンドクリエイターであるYosi Horikawaによる蔵でのライブパフォーマンス。耳で味わうアート鑑賞のような心地よい1時間。聴き終わったあとに聞こえてきたのは「素晴らしい!」の一言。Yosi さん自身も東京からはるばる来た甲斐があったと肩を撫でおろした様子でした。
ちなみに、この2日間は、飛騨古川町では恒例のそば祭りや軽トラ祭りが行われており、FabCafe hidaも軽トラ祭りとコラボレーションをして色々な広葉樹にレーザーカッターで彫刻をした特製のSL切符を発行しました。
最後に、ヒダクマ秋祭り2016にお越しいただいた皆さま、誠にありがとうございました。ヒダクマ秋祭りは恒例フェスティバルとして毎年開催し、自然と人間がどのようにバランスをとりながら豊かな生活を営んでいけるか、考え続けていきたいと思います。どうぞ引き続き温かくお守りください。
そして最後の最後に、今回のトークセッションに関して多大なアドバイスをいただきました土谷貞 雄さんにこの場をお借りして感謝いたします。そして遠方から来てくださった講演者、出展 者、パフォーマーの方々、ご協賛企業の方々、力を貸してくれたスタッフの皆さん、誠にありがとうございました。
モデレーター:
土谷貞雄氏
講演者:
山田貴宏氏、荒木昌平氏、直井隆次氏
ガイド、ファシリテーター、出展者:
太田慶隆氏、深地宏昌氏、松田旬古氏、三田地博史氏、福田香子氏、野村空人氏、齋藤 恵太氏、藤原会美氏
パフォーマー:
Yosi Horikawa氏、パンキー氏
協賛企業:
蒲酒造、渡辺酒造、DDD Japan
スタッフ:
Loftwork、FabCafe tokyo、ヒダクマ、FabCafe hida、清水快氏、高村快人氏
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FabCafe Hida 編集部
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