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2021.12.1

FabCafe Nagoya1周年記念!”黒染め”から生まれたユニフォーム

-名古屋黒紋付染体験レポート-

FabCafe Nagoyaは9月18日に開業1周年を迎えることができました!

1周年記念にみんなでおそろいのユニフォームを作ることに。
FabCafe Nagoyaのユニフォームはグレーと決まっています。でも、「たまには気分を変えて、違う色の服を着て働きたいよね!」と、話していました。

なぜ”染め”に?

「新しいユニフォームのデザインをみんなで考えて作るのもいいよね。」FabCafe Nagoyaには服にプリントするUVプリンターも、自動で刺繡ができるデジタル刺繍ミシンもあり、自作しても楽しい、と考えていました。
そんなときにクルーの一人が汚れた服を黒染めしたという噂が流れてきました。感想を聞いてみると「すごい良かった!お気に入りだった服を汚してしまって。また着れるようになって嬉しい!」と大満足。
その話に食いついたのがサステナブル(人間・社会・地球環境の持続可能な発展)を愛する、サステナブル男、もとい、カフェマネジャー甲斐。「ユニフォームを染めよう!!!」と彼の一言でユニフォームを染めることに。みんなが着なくなった服を集め、黒いユニフォームを作ることに決めました。

 

服を染めたクルーにどこで染めてもらったのか聞いたところ、『山勝染工(やまかつせんこう)株式会社』さんで染めてもらったという。山勝染工さんは名古屋市西区にある、愛知県の伝統工芸品の一つ、『名古屋黒紋付染』を100年以上続けている老舗。

そこで、代表の中村剛大さんに今回のユニフォームづくりの話をしたところ、快く承諾していただきました。さらに、クルーに黒染め体験までさせていただけることに。

  • 中村 剛大

    山勝染工株式会社 代表取締役

    1977年愛知県名古屋市出身。2013年に名古屋に戻り山勝染工株式会社に入社。
    ライフスタイルの変化により需要が減っている伝統産業、その中の着物産業も例外ではありません。私たちはその変化に対応するため、2014年アパレルブランド中村商店を立ち上げ、同年染め替えサービスカラーリングを開始。

    1977年愛知県名古屋市出身。2013年に名古屋に戻り山勝染工株式会社に入社。
    ライフスタイルの変化により需要が減っている伝統産業、その中の着物産業も例外ではありません。私たちはその変化に対応するため、2014年アパレルブランド中村商店を立ち上げ、同年染め替えサービスカラーリングを開始。

クルーから集めた服は約30着。白地のボーダーや襟付きシャツ、スウェットなどさまざまな服が集まりました。

まず最初に、【地入れ】をします。約90度のお湯に服を入れて浸す作業をしました。地入れをすることにより服についた余分な皮脂などの汚れを落とし、繊維に染料が吸収されやすくなるそうです。洗剤を入れていない、ただのお湯に浸けただけで汚れが落ちたことにみんな驚いていました。そして、普段の洗濯の甘さを実感。写真は時間経過ごとに地入れのお湯を取り出したものです。

地入れをお湯の色が変わらなくなるまで行ったあとに、服を黒く染めて行く作業をしました。

染める服の重量に合わせて調合した黒の染料の温度は約60度。”60度”というのは服に染料が染まりやすい温度で、染料の種類によってこの温度も変わるそうです。ムラなく染めるためにパイプのような棒でまんべんなく混ぜる、”攪拌”という作業をします。

今回クルーから集めた服の重量は約8kg。染料に浸かった服は重く、それに加え染料の熱気で想像以上に汗も滴るパワフルな作業。翌日、筋肉痛になったクルーもいました。

「普段はこれを二つ同時並行で行っているんだよ。」と中村さん。これを聞いたクルーは「職人さんは簡単そうにやっていたのに…」と、職人さんを尊敬していました。この後は、お湯に入れて攪拌、染料に入れて攪拌、という工程を10回程度、繰り返し行いました。お湯に入れて攪拌するのは、洗濯をしたときに他の衣類への色移りを防ぐため。染め始めから染め終わりまでの所要時間は約5時間。長時間の作業をクルーで交代しながら進めました。

  • 反物(着物の生地)を染めるときに用いられる【かんす】という器具があります。【かんす】に反物を巻き付け、染料に入れて染めているそうです。反物は絹(シルク)で作られているので丁寧に染めていくために、この【かんす】が使われています。

    山勝染工さんでは、深みのある黒色に染めることができます。写真は、量販店で購入した黒のTシャツと山勝染工さんで染めた黒色のTシャツを比較したものです。重ねてみると赤いタグの山勝染工さんの黒さが際立っていました。また、色落ちすることもほとんどないそうです。

染め作業が終わったら、染めた時間と同じ時間だけ乾かします。染めたものを乾かす乾燥室があり、その中で服を干しました。部屋の中は暑く、まるでサウナのよう。乾いたら完成!写真は服のビフォーとアフターです。

縫い糸が化学繊維でできているものは染色できないですが、それが逆にアクセントになっていておしゃれ。クルーの中には染めた服を気に入りすぎて次の日から着ているクルーもいました。

ここまで体験レポートを書いてきましたが、伝統工芸についての認知度が年々低下してる現代において、少しでもみなさんに知っていただくきっかけになれたら嬉しいです。現在、衣類・繊維産業が石油に次いで世界最大の汚染源となっています。消費者である私たちができることは、服の寿命を延ばすことではないでしょうか。

(執筆:太田恵里香)

  • 山勝染工 株式会社

    伝統的工芸品産業

    お客様を笑顔にする“ものづくり”

    ものづくりに携わる者として、私たちは、お客様の笑顔を最も大切にしています。“ものづくり”は技術を追求する素晴らしさを持つ一方で、作り手の想いに寄りがちです。使う人の存在があって初めて、作り手の私たちが存在します。ものづくりを通して私たちは人と豊かになりたい。御誂え染めの精神はそこにも通じると考えています。

    https://yamakatu.co.jp/

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染め替え預かりサービスを実施!

12月3日から3月末まで、FabCafe Nagoyaにて染め替え預かりサービスを実施します。

染物に興味のある方、服の色に飽きてしまった方、汚れた服を捨てようかと悩んでいる方など、この機会に染物を体験してみませんか?このサービスを通して、”染め”を身近に感じ、服に対してこのサステナブルなサービスを選択肢として増やしていただけたら幸いです。

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