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2021.11.1

成長のカギはクリエイティブ都市 ”キョート” の多様性?世界銀行の調査報告書でFabCafe Kyotoが紹介されました

浦野 奈美

SPCS / FabCafe Kyoto

11/9(火) 京都を切り口に「クリエイティブ都市」を紐解くイベントに諏訪が登壇

世界銀行東京開発ラーニングセンターが主催する、「クリエイティブ都市とは?」を紐解くイベントシリーズの第2弾が2021年11月9日に開催、FabCafe Kyotoを運営する株式会社ロフトワークの代表取締役 諏訪光洋も登壇します。創造性がどのように経済、都市空間の変容、そして包摂性に影響を与えるかについて、京都というケーススタディをベースに、京都のクリエイティブスペースの創設者たちとともに議論します。ぜひご参加ください。

イベント概要

クリエイティブ都市イベントシリーズ #2:「京都:クリエイティブ都市」レポート発表イベント
日時:2021年11月9日(火) 16:00-17:00
参加費:無料
会場:オンライン
主催:世界銀行 東京開発ラーニングセンター(TDLC)
協力:京都市、国連教育科学文化機関(UNESCO)
詳細・申し込み:https://wb-creative-cities-series2-jp.peatix.com/view

世界銀行は、貧困削減と持続的成長の実現に向けて、途上国政府に対し融資、技術協力、政策助言を提供する国際開発金融機関。東京開発ラーニングセンター(以下TDLC)は、日本政府と世界銀行のパートナーシップの下、日本国内の都市インフラの知識や経験、技術を開発途上国や新興国の都市開発につなげることを目標に活動しています。

TDLCは2020年、クリエイティブ都市のケーススタディの対象として京都市を取り上げ、年間を通して研修・リサーチを実施。その内容をまとめた調査報告書及び年次報告書が公開され、産業と文化両方に接続するハブとして機能している場としてFabCafe Kyotoが紹介されました。都市開発の視点で京都の産業と文化の関わりが分析・編集されています。いずれの報告書もWebにてPDF版が公開されていますので、ぜひご覧ください。

関連リンク:京都:クリエイティブ都市 都市の競争力と包摂 的な都市変容のための創造性の活用(日本語)

文化と経済を豊かにする未来の都市デザインの可能性として、TDLCの2020年の重点テーマは「クリエイティブ都市」とし、ケーススタディとして、京都を取り上げ、研修・リサーチを実施。そのレポートが日英で出版された。この中で、FabCafe Kyotoは、地域の社会・文化・経済に与える機能として「カタライザー CATALYZER (触媒的な働きをする 促進者)」として紹介されている。

関連リンク:2020年度 TDLC年次報告書(英語)

TDLCが年間を通じて実施している途上国政府および自治体関係者向けの研修プログラムや現地支援などを活動報告書としてまとめたもの。
中でも途上国の関係者を日本に招いて実施する研修プログラムは主な活動の一つ。今年は、廃棄処理インフラ、都市における貧困問題、クリエイティブ都市を大きなテーマと置き、日本各地でフィールドワークを行った。京都はクリエイティブ都市の事例として取り上げられ、FabCafe Kyotoでもイベントが実施された。(p49)

世界銀行は第二次世界大戦からの復興を目的に生まれた国際金融機関。日本も、世界大戦の復興から発展を遂げた点において途上国発展のためのケーススタディとして注目されており、TDLCは日本に眠っている知見を外に開くことで、他国の発展に繋げることを目的に活動しています。

TDLCの主な活動として、TDD(Technical Deep Dive)があります。これは、開発途上国や新興国の都市開発に関わる関係者を日本に招き、毎回特定の都市とテーマに、有識者や現地の実践者などの対話や、フィールドトリップ、ディスカッションを通じて、法制度や人材育成 や民間連携事業などの知見の共有を実践的に行う取り組み。TDLCが設定している重点テーマに応じて実施され、日本各地、それぞれの異なるテーマで実施されています。

2020年度の活動では、廃棄処理インフラ、都市における貧困問題、クリエイティブ都市を大きなテーマとして日本各都市でフィールドワークが行われました。京都の社会や経済は、文化的伝統やクリエイティブ・コミュニティを育みつつ、グローバルな技術的トレンドも融合しているクリエイティブ都市の事例として2020年度の視察先に選ばれ、研修やリサーチが行われました。京都:クリエイティブ都市 都市の競争力と包摂 的な都市変容のための創造性の活用(日本語)では、京都の文化と経済の関わりやその発展の様子が、海外の関連事例とともに、都市開発の視点で分析・編集されています。

FabCafe Kyotoは、産業と文化両方に接続するハブとして機能している場として視察パートナーに選ばれ、途上国各国の開発担当者向けにイベントが開催されました。視察のためにFabCafe Kyotoに集まったのは、世界10カ国(アルバニア、ボリビア、カメルーン、中国、エチオピア、ジョージア、ネパール、フィリピン、サウジアラビア、スリランカ)から集まった政府や自治体の行政官の方々。経済開発における文化的・創造的活動のあり方を学ぶため、京都での視察と実践者とのディスカッションを行うためです。

視察時、FabCafe Kyotoの木下浩佑は、FabCafeやロフトワークが京都で活動している背景を、長く受け継がれてきた歴史文化と、京都で発展してきた伝統産業、テクノロジー、そしてさまざまなな大学が集まるという4つの要素が揃ってる点を挙げました。

木下 ユニークなのは、同時多発的に、スタートアップやクリエイター、研究者などがこの地域に集まってゆるやかにつながりながらシーンを形成している点です。グローバルに活動する人 たちが京都に増えることで、これまで「新幹線の駅があるだけの通過地点」とされていた場所が、「文化産業の発信地」としてリデザインされている最中にあるように感じます。私たちは、そのなかでよりシジャンルレスにプレイヤーをつなぎ、発火点をつくるような役割を持っていると考えています。

報告書の中で、創造的な都市開発に寄与するクリエイティブスペースの役割を、「カタライザー CATALYZER (触媒的な働きをする 促進者)」、「アンプリファイア AMPLIFIER (増幅者)」、「コントリビュータ CONTRIBUTER (貢献者)」の3種類に分類。FabCafe Kyotoは、協働的なクリエイティブ・コミュニティを構築し、地域のクリエイティブ経済を牽引するカタライザーとして紹介されています。

なお、視察の際にも、京都で活動しているクリエイターや拠点を紹介(フリーペーパーを発信しながら京都の芸大生の拠点となっている場所や、伝統技術と新しい文化を混ぜることで新たな価値を創造している方々など)。参加者の方々からも、FabCafeのような別領域の人々をつなげて共創を促す場所が都市デザインにおいて重要だという感想をいただきました。中にはFabCafeを作りたいと言ってくれた方も。新旧東西の文化が入り組みながら、知的好奇心と遊び心に溢れる生の京都を感じてもらい、それぞれの国の都市デザインの参考になれば、私たちとしても嬉しいことです。

FabCafeではTDLCのパートナーシップのもと、引き続きプロジェクトが進行中。文化やクリエイティビティを中心に据えることで、社会を持続的に発展させていくためのチャレンジを続けていきます。

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  • 浦野 奈美

    SPCS / FabCafe Kyoto

    大学卒業後ロフトワークに入社。渋谷オフィスにてビジネスイベントの企画運営や日本企業と海外大学の産学連携のコミュニティ運営を担当。2020年にはFabCafe Kyotoのレジデンスプログラム「COUNTERPOINT」の立ち上げと運営に従事。また、FabCafeのグローバルネットワークの活動の言語化や他拠点連携の土壌醸成にも奔走中。2022年からは、自然のアンコントローラビリティを探究するコミュニティ「SPCS」の立ち上げと企画運営を担当。大学で学んだ社会保障やデンマークのフォルケホイスコーレ、イスラエルのキブツでの生活、そして、かつて料理家の森本桃世さんと共催していた発酵部活などが原体験となって、場の中にカオスをつくることに興味がある。

    大学卒業後ロフトワークに入社。渋谷オフィスにてビジネスイベントの企画運営や日本企業と海外大学の産学連携のコミュニティ運営を担当。2020年にはFabCafe Kyotoのレジデンスプログラム「COUNTERPOINT」の立ち上げと運営に従事。また、FabCafeのグローバルネットワークの活動の言語化や他拠点連携の土壌醸成にも奔走中。2022年からは、自然のアンコントローラビリティを探究するコミュニティ「SPCS」の立ち上げと企画運営を担当。大学で学んだ社会保障やデンマークのフォルケホイスコーレ、イスラエルのキブツでの生活、そして、かつて料理家の森本桃世さんと共催していた発酵部活などが原体験となって、場の中にカオスをつくることに興味がある。

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