Event report

2023.5.9

Makerたちの祭典『Maker Faire Kyoto 2023』に、COUNTER POINTメンバーが出展

2023年4月29-30日の2日間にわたって、京都府相良郡精華町にある「けいはんなオープンイノベーションセンター(KICS)」で開催されたMaker Faire Kyotoに、COUNTER POINTメンバーが参加しました。惑星発見器、モール、きのこのお茶『菌茶』プロジェクト……クリエイターたちの熱気あふれるMaker Faire Kyotoで、偏愛と衝動に突き動かされたメンバーたちが交流してきた様子をレポートします。(撮影・編集:山月智浩)

 

Maker Faire Kyotoとは、メイカームーブメントを象徴するアメリカ生まれのイベントです。自宅の庭で、地下室やガレージで、人知れずびっくりするようなものを作っている才能あふれる人たちのコミュニティ同士を結びつけ、刺激と情報と娯楽を与えることを目的としています。

2019年の日本初開催以降、4年ぶり2回目のリアル開催となった2023年。電子工作やクラフト、造形ワークショップまで、全国からものづくりを愛するメイカーたちが交流しながら、作ることの楽しさを伝えます。手彫りした木を組み合わせたモジュールたちや段ボールのロボット、3Dプリンターで造形された陶器のうつわから電子楽器をサーキットベンディングした不協和音を楽しむ装置まで、それぞれの持つ偏愛と情熱が爆発するイベントとなりました。

今回出展したメンバーは、FabCafe Kyotoのレジデンスプログラム『COUNTER POINT』に参加していたメンバーたち。それぞれが強い個性と偏愛を持ちながら、これまで自分のプロジェクトに取り組んできました。

COUNTER POINT カウンターポイント

「COUNTER POINT」は、FabCafe Kyotoが提供するプロジェクト・イン・レジデンスのプログラムです。
組織を頼らず自分たちの手で面白いことがしたい」「本業とは別に実現したいことがある」そんな好奇心と創造性に突き動かされたプロジェクトのための、3ヶ月限定の公開実験の場です。
流浪する河原者たちが新しいスタイルの芸能”歌舞伎”を生み出した京都・鴨川の近く、築120年を超える古民家をリノベーションしたFabCafe Kyotoを舞台に、個人の衝動をベースにした新たなエコシステムの構築にチャレンジしています。

COUNTER POINTの活動と詳しい情報はこちら: https://fabcafe.com/jp/labs/kyoto/counterpoint

なんでも惑星に見えるプレート「惑星発見器」を制作している小瀬古智之さんは、東京を拠点に活動するグラフィックデザイナー。書籍のデザインなどを行う傍ら、視覚からの情報を認識し直せるようなグラフィック表現の探求を行っています。身近なものを何かに見立てるプロセスを追体験できるデザイントイとして開発されたのがこの惑星発見器。レンズが嵌め込まれた黒いディスクの中心から身の回りのテクスチャを眺めてみると、うっすらと印刷された陰影によって立体的な表情を見せます。なんでもない風景が宇宙と接続する驚きに満ちた光景に、お客さんは興味津々。お子さんから学生、大人の方まで夢中で惑星発見器をかざしていました。

ふさふさの針金「モール」を使ってあらゆる造形を生み出すモールアーティストのまきのみつるさんは、3ヶ月かけて作ったモール製の被り物をかぶって来場者と交流します。モールに対して、「よくお菓子の袋をしばるアレ」くらいのイメージしかない私たちは、机の上に並べられたそれらがモール製であるとはすぐに気付けません。これらのウサギたちは、業務用のモール1m1本でできているのだそう……。手芸屋さんの片隅で眠るモールたちの可能性をもっと知ってほしい!というモールへの熱い愛を形にするみつるさんの職人技に、子供たちは釘付け。うさぎやカブトムシ、ジェット機など親しみやすいモチーフが精巧に作られています。恐竜は意外と重たい。

「菌茶」チームのトマとゲルグが育てているのは、なんとキノコ。彼らは自分たちの手で培養したキノコからお茶を抽出し振る舞うことを目指しています。単管を組み上げて作ったインキュベーターの中では、電子制御されたキノコ培養システムが稼働。雨天が続いた会期中、みるみる成長するクロヒラタケは私たちをざわつかせました。ディスコードを用いたシステム開発など、湿度や光を調整しキノコの生育環境を整える彼らは、そのプロセスをキノコとのコミュニケーションと捉えています。最近のトレンドであるマテリアルとしてのキノコの開発に問いを投げかける彼らのプロジェクトからは、生態系ごとキノコをリスペクトしていることが感じられます。

Maker Faire Kyotoでは、出展者に20分のプレゼンテーションの権利が与えられます。もちろんブースでも出展者と交流はできますが、制作の背景まで知ることができるのはプレゼンテーションならでは。擬態への偏愛を大いに語ったり、観覧客にモールを手渡して一緒に蝶々を作って実演してみたり、何やら怪しげな集団のプレゼンテーションに、最初はまばらだった観覧席にもいつしか人だかりが。活動のユニークさにざわつきはじめる会場の様子を見て、メイカーたちの人を惹きつける力を改めて感じました。

筆者自身、メイカーフェアに足を踏み入れるのは初めて。各ブースで、自分の作るものをプレゼンテーションする出展者たちのキラキラした顔や、新たなものづくりの可能性に触れる来場者の高揚感に、元気づけられる二日間でした。

Author

  • 山月 智浩

    FabCafe Kyoto

    京都芸術大学 空間演出デザイン学科卒業。通販会社で商品企画を経験し、2022年FabCafe Kyotoに入社。大学時代に出会った社会包摂的なデザインのあり方に影響を受け、生産や消費に性急な時代をやわらかくするための企画や記事を考え中。

    京都芸術大学 空間演出デザイン学科卒業。通販会社で商品企画を経験し、2022年FabCafe Kyotoに入社。大学時代に出会った社会包摂的なデザインのあり方に影響を受け、生産や消費に性急な時代をやわらかくするための企画や記事を考え中。

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