Event report
2022.4.12
”廻転 -DIY Instrumental Performance”をFabCafeNagoyaにて開催しました!
ガムランの拡張を追求する森田了の作品、回転しながら演奏するガムラン、Sar/on railsがFabCafe Nagoya初上陸!更に、小山理恵、おおしまたくろう、ユタニツグマサ、HIEIが出演。それぞれの”DIY”な視点から新しい可能性を見い出すパフォーマンスが行われました。その様子をみなさんにレポートします。
”廻転 -DIY Instrumental Performance”とは
私たちは今までに色々な分野において道具を発明することで自身の能力=できることを拡張してきました。そうして生み出された道具たちは使い手ひとり一人の使いやすいように加工され、付け足され、それぞれにパーソナライズされてきました。
こうした行為は楽器においても同様に生まれており、デジタルファブリケーションやIoTが誰の手にも届きやすくなってきている現代こそ、盛んに行われてきています。
こうして加工され、付け足され、それぞれにパーソナライズ=DIYされた楽器によるライブパフォーマンスを取り上げるライブイベントを”DIY Instrumental Performance“と名付け、新しい表現を探る個性豊かなプレイヤーたちの楽器と演奏法を拡張していくアプローチの面白さと奥深さを体感いただけます。
https://fabcafe.com/jp/events/nagoya/220326_rotation/
関連イベント
自律廻転 -Sar/on rails Exhibition-
インドネシアの⺠族音楽「ガムラン」の根底に存在する精神「ラサ」に着想された森田了の音楽作品Sar/on rails を展示。アップデートとして、無人演奏での実地が試みられます。
Benda putar/ 回転するアルゴリズム
ガムラン音楽特有のリズム、音色から生み出される独特なフロー感”ラサ”を体現する繰り返しのアルゴリズムと、交換手による介入によって展開するミニマルなパフォーマンスとなりました。今年2月のサウンド・パフォーマンス・プラットフォームにて公開された楽曲に加え、ベース(大和比呂志)を加えた交えた合奏のための新譜も披露され、会場は繰り返される動作にによって生み出される”ラサ”に包まれつつ、1曲あたり10分弱という集中力が必要とされる演奏に独特な緊張感が漂っていました。
Sar/on railsの制作者である森田了さんは、インドネシアの民族音楽「ガムラン」に東京音楽大学在学中に出逢いました。ガムラン音楽の指標となる概念『ラサ』は、直訳すれば「味わい」「感じ」「思い」「情緒」などの意味になりますが、日本語における「粋」や「雅」のように言葉だけでは説明できない非言語的概念です。主に演奏や口伝によって伝承されていますが、『ラサ』という言葉が使われる対象は演奏⽅法や間の取り⽅・⾳響バランス・テンポなど幅が広く、その全てを捉えることは容易ではありません。
-
森田了
作曲家
東京音楽大学 作曲指揮専攻(芸術音楽コース)卒業。情報科学芸術大学院大学修了。
東京音楽大学にて作曲を専攻する傍ら、インドネシアの民族音楽「ガムラン」の演奏法・理論を学修。
現在はシグナル・コンポーズ株式会社に所属。
2022年2月に愛知県芸術劇場小ホールにて開催された、サウンド・パフォーマンス・プラットフォームに公募アーティストとして参加。
東京音楽大学 作曲指揮専攻(芸術音楽コース)卒業。情報科学芸術大学院大学修了。
東京音楽大学にて作曲を専攻する傍ら、インドネシアの民族音楽「ガムラン」の演奏法・理論を学修。
現在はシグナル・コンポーズ株式会社に所属。
2022年2月に愛知県芸術劇場小ホールにて開催された、サウンド・パフォーマンス・プラットフォームに公募アーティストとして参加。
-
吉島智仁
早稲田大学在学時からドラムを始め、池長一美氏に師事。
卒業後、洗足学園音楽大学jazz科に入学、在学時よりプロ活動を開始。 ジャズ、プログレッシブロック、フリーインプロヴィゼイション、アイドル、劇伴奏と、ジャンルを問わず様々な音楽をボーダレスに渡り歩く。
共演者も多数。 作曲やエンジニアもこなし、多くの作品をリリースしている。
ピアノトリオ”SKY TRIO”、ラグタイムカルテット”Thompson the Fox(きつねのトンプソン)”は国内外問わず高い評価を得ている。
微音、弱音を得意とし、振り幅の大きいダイナミクスを駆使して独特なうねりを生み出す音の旅人。早稲田大学在学時からドラムを始め、池長一美氏に師事。
卒業後、洗足学園音楽大学jazz科に入学、在学時よりプロ活動を開始。 ジャズ、プログレッシブロック、フリーインプロヴィゼイション、アイドル、劇伴奏と、ジャンルを問わず様々な音楽をボーダレスに渡り歩く。
共演者も多数。 作曲やエンジニアもこなし、多くの作品をリリースしている。
ピアノトリオ”SKY TRIO”、ラグタイムカルテット”Thompson the Fox(きつねのトンプソン)”は国内外問わず高い評価を得ている。
微音、弱音を得意とし、振り幅の大きいダイナミクスを駆使して独特なうねりを生み出す音の旅人。 -
小山理恵
岡山県生まれ。
クラシックから現代音楽の奏法をマリンバで学び、2012年より卓上木琴を始める。以後、おそらく日本で唯一の卓上木琴奏者として日々研究、研鑽を積む。 主な活動中のバンドは、オドラータ、きつねのトンプソン。
2017年にはtuba奏者関島岳郎の「関島岳郎オーケストラ」に参加。 卓上木琴のための楽曲制作も積極的に取り組み、2020年卓上木琴によるアルバム「かしこい虫」を発表。
マリンバ及び木琴を水野与旨久氏に師事。現在、使用楽器は福井県こおろぎ社のMX32R、アメリカDEAGAN社のdrummer’s special 844。
岡山県生まれ。
クラシックから現代音楽の奏法をマリンバで学び、2012年より卓上木琴を始める。以後、おそらく日本で唯一の卓上木琴奏者として日々研究、研鑽を積む。 主な活動中のバンドは、オドラータ、きつねのトンプソン。
2017年にはtuba奏者関島岳郎の「関島岳郎オーケストラ」に参加。 卓上木琴のための楽曲制作も積極的に取り組み、2020年卓上木琴によるアルバム「かしこい虫」を発表。
マリンバ及び木琴を水野与旨久氏に師事。現在、使用楽器は福井県こおろぎ社のMX32R、アメリカDEAGAN社のdrummer’s special 844。
-
大和比呂志
エンジニアで音楽家(ギタリスト、テナーサックス、ビートメーカー)。
ギターを小川銀次、市野元彦に、音楽理論、テナーサックスを菊地成孔に師事。IAMASにて三輪眞弘に師事しリズムに関する研究で修士号を取得。株式会社シグナル・コンポーズ代表。慶応義塾大学SFC後期博士課程所属。ALMF主幹の一人(今回はイベントのブッキング、進行、PA、Benda putarにSit inと大忙しなので、誰かPA手伝ってください涙)
エンジニアで音楽家(ギタリスト、テナーサックス、ビートメーカー)。
ギターを小川銀次、市野元彦に、音楽理論、テナーサックスを菊地成孔に師事。IAMASにて三輪眞弘に師事しリズムに関する研究で修士号を取得。株式会社シグナル・コンポーズ代表。慶応義塾大学SFC後期博士課程所属。ALMF主幹の一人(今回はイベントのブッキング、進行、PA、Benda putarにSit inと大忙しなので、誰かPA手伝ってください涙)
ユタニツグマサ / テクノロジーとノスタルジーの邂逅
映画を彷彿とさせる古電話の呼び鈴と、機械的に生成されながらも意思を感じるモジュラーシンセの唸り。それらが合わさることでレトロスペクティヴな音の響きが生み出されました。
また、演奏することで周波数の変化によりリアクトするオーディオビジュアルシステムによるVJパフォーマンスも同時に行われました。リズムマシンと直結されリズムを刻む古電話が鳴り響き、ノイズ、キックが徐々にミックスされテクノ・ノスタルジカルな世界に没入していくかのようでした。
ユタニさんは澄んだベルの音やノイズのそれぞれが持つ性質を利用し、融合することで起きる音の変化に着目し制作したと話しました。アナログとデジタルが融合することで起きる異質さによって各々が引き立てるサウンドに会場は魅了されていました。
-
ユタニツグマサ
Maker/Hardware Engineer
滋賀県在住。楽器の制作改造演奏を通し新しい音、音楽を探求中
エレクトロニコス・ファンタスティコス!の協業チーム、京都 Orchest-Labでも活動中
古電話機を改造してたリズムマシンとモジュラーシンセを用いたアンビエント、ノイズパフォーマンスを実施滋賀県在住。楽器の制作改造演奏を通し新しい音、音楽を探求中
エレクトロニコス・ファンタスティコス!の協業チーム、京都 Orchest-Labでも活動中
古電話機を改造してたリズムマシンとモジュラーシンセを用いたアンビエント、ノイズパフォーマンスを実施
小山理恵 /拡張した音域による新たな音の可能性
木琴はその構造上、最低音が”ファ”までと音域に制限がある中で、別の楽器を用いて音色を差し込むことで一人で音を表現する可能性を探求しています。
moves for xylophoning machineより「shadowing」「cycling」「pendulum」,「holes」の4曲を演奏し、「 shadwing」では、ミニマルミュージックのシンプルさのなかに、木琴の音板に仕掛けを入れることで変化の具合が際立つようにした作品。「pendulum」ではガムランのような音を止める行為(ミュート)を鉄琴に加えることで、木琴には出せない新たな可能性に挑戦しています。
-
小山理恵
岡山県生まれ。
クラシックから現代音楽の奏法をマリンバで学び、2012年より卓上木琴を始める。以後、おそらく日本で唯一の卓上木琴奏者として日々研究、研鑽を積む。 主な活動中のバンドは、オドラータ、きつねのトンプソン。
2017年にはtuba奏者関島岳郎の「関島岳郎オーケストラ」に参加。 卓上木琴のための楽曲制作も積極的に取り組み、2020年卓上木琴によるアルバム「かしこい虫」を発表。
マリンバ及び木琴を水野与旨久氏に師事。現在、使用楽器は福井県こおろぎ社のMX32R、アメリカDEAGAN社のdrummer’s special 844。
岡山県生まれ。
クラシックから現代音楽の奏法をマリンバで学び、2012年より卓上木琴を始める。以後、おそらく日本で唯一の卓上木琴奏者として日々研究、研鑽を積む。 主な活動中のバンドは、オドラータ、きつねのトンプソン。
2017年にはtuba奏者関島岳郎の「関島岳郎オーケストラ」に参加。 卓上木琴のための楽曲制作も積極的に取り組み、2020年卓上木琴によるアルバム「かしこい虫」を発表。
マリンバ及び木琴を水野与旨久氏に師事。現在、使用楽器は福井県こおろぎ社のMX32R、アメリカDEAGAN社のdrummer’s special 844。
おおしまたくろう / 鑑賞者と演奏者の視点を行き来するオンラインパフォーマンス
今回唯一のオンラインでの参加となったおおしまさんは、オンラインという仕組みを逆手に取った、ZOOMとYoutube Liveを併用したパフォーマンスをされました。
滑琴(かっきん)というスケートボードの裏にエレキギターの部品をつけスケートボードのように上に乗って走行することで路面の凹凸により弦を振動させて音を生成するノイズマシンと、自身の耳をスキャンして作った背負える自作バイノーラルマイクを使い、自身の個展会場付近の京都市内を滑走する様子を会場から視聴となりました。
個展会場でのインストラクションののち、GoProを使って(POV)主観ショットで映像を撮りつつ街を少しだけ滑走(奏)し、滑琴独特の歪みのあるノイズが静かに流れる中、私達はそれをじっと見守るほかないパフォーマンスとなりました。
-
おおしまたくろう
「PLAY A DAY」をテーマに、日常の道具を改変した楽器の制作と、それらを組み合わせた少し不思議なパフォーマンスを行う。音楽や楽器の名を借りた遊びやユーモアによって社会の不寛容へのマッサージを試みる。
http://oshimatakuro.tumblr.com/「PLAY A DAY」をテーマに、日常の道具を改変した楽器の制作と、それらを組み合わせた少し不思議なパフォーマンスを行う。音楽や楽器の名を借りた遊びやユーモアによって社会の不寛容へのマッサージを試みる。
http://oshimatakuro.tumblr.com/
HIEI / キャンドルの揺らぎによって変化する音楽
キャンドルに灯る炎の揺らぎによって音楽が生成されるパフォーマンス。キャンドルの幻想的な雰囲気とリズム感のある音楽。一瞬たりとも同じ音楽はできない、リアルタイム性を感じさせるような作品でした。キャンドルの位置によって音色が変化し、鑑賞者も一緒にキャンドルを配置することでリレーショナルアートへと展開していきました。ミニマル、テクノを取り入れたサウンドでパフォーマンスは展開し、私達が意図せず置いたキャンドルから音楽として昇華されていく様に体を揺らしながら聴き入っていました。
HIEIさんは元々植物で音を生成するインスタレーション作品をキャンドルに変更したことで、今の情勢からくる心のモヤモヤを炎の揺らぎによって浄化させる試みをするパフォーマンスとなりました。
-
HIEI
SOUND & MEDIA ARTIST
テクノロジーとサウンドの関係性をテーマにさまざまなアプローチで作品を制作。
1990年代から音楽制作を開始し2007年King Street Soundsから”wave”をリリース、2009年にはmacrophage lab.名義で、Lisa Shaw(Naked Music)、金原千恵子、TeN(A Hundred Birds)をフューチャーしたアルバム “Agaruta”をGrand Galleryからリリース、収録曲“Syn-fonia”はEric KupperによるREMIXもリリースされる。Ableton Liveを用いたLIVEではFrançois K DEEP SPACE in Nagoyaのオープニングアクトを長年務める。
また、楽器メーカーにて電子楽器の研究開発などに携わる他、サウンド・メディアアート作品では、水晶を使って音楽を生成する作品“ひかりレコード”、ろうそくの炎のゆらぎで音楽を生成する「In the frame」などを制作、ドイツZKM、マイアミSCOPE Art Show、北京Star Galleryなどで作品を発表。テクノロジーとサウンドの関係性をテーマにさまざまなアプローチで作品を制作。
1990年代から音楽制作を開始し2007年King Street Soundsから”wave”をリリース、2009年にはmacrophage lab.名義で、Lisa Shaw(Naked Music)、金原千恵子、TeN(A Hundred Birds)をフューチャーしたアルバム “Agaruta”をGrand Galleryからリリース、収録曲“Syn-fonia”はEric KupperによるREMIXもリリースされる。Ableton Liveを用いたLIVEではFrançois K DEEP SPACE in Nagoyaのオープニングアクトを長年務める。
また、楽器メーカーにて電子楽器の研究開発などに携わる他、サウンド・メディアアート作品では、水晶を使って音楽を生成する作品“ひかりレコード”、ろうそくの炎のゆらぎで音楽を生成する「In the frame」などを制作、ドイツZKM、マイアミSCOPE Art Show、北京Star Galleryなどで作品を発表。
もともと大和さん・森田さんとはALMFとのコラボをFabCafe Nagoyaでもぜひ何かやりたい。と話はしていたのですが、本イベントのきっかけとなったのは2月に名古屋で開催されたサウンド・パフォーマンス・プラットフォームの公募枠に森田さん率いるBenda putarが出演することとなったことでした。
せっかく名古屋に来るので、なにかしようと森田さんたちと何度か議論を重ね、その中で伺った『Sar/on rails』を作った由来である、一定のリズムで繰り返し続ける時の没頭感の心地良さを感じ続けていたいという話から、そういった演奏体験を拡張するために意図を持って楽器を制作するような人たちを招いたライブイベントを企画しよう。ということで”DIY Instrumental Performance”というイベントタイトルで本イベントを企画するに至りました。
ALMFとの共催で実現した本イベントを皮切りに、音楽の楽しさや興味深さ、探求する沼の深さを体感できる色々な企画をたくらんでまいりますので、ご期待ください!
-
ALMF
ALMF:これからのリベラルな音楽のためのアカデミー
ALMFは「これからの音楽/アートの作り方」を、音楽・エンジニアリング・学術的なテーマを統合した視点から「クリエーター」と共に学び、議論し、実践する企画です。
音楽やエンジニアリングのノウハウの提供としてSignal compose、場所の提供や場のオーガナイズとしてFabCafe、二つのチームが一緒になり、新しい音楽の作り方を学び、共に探究し合う場を作っていくことが、この企画の趣旨となります。
ALMFは「これからの音楽/アートの作り方」を、音楽・エンジニアリング・学術的なテーマを統合した視点から「クリエーター」と共に学び、議論し、実践する企画です。
音楽やエンジニアリングのノウハウの提供としてSignal compose、場所の提供や場のオーガナイズとしてFabCafe、二つのチームが一緒になり、新しい音楽の作り方を学び、共に探究し合う場を作っていくことが、この企画の趣旨となります。
-
FabCafe Nagoya 編集部
FabCafe Nagoyaが作成した記事です。
こちらの記事に関するご意見やご感想は、以下よりお寄せください。
お問い合わせフォームFabCafe Nagoyaが作成した記事です。
こちらの記事に関するご意見やご感想は、以下よりお寄せください。
お問い合わせフォーム