こんにちは、おやきクリエイターのマミやです。私は長野県の郷土食、おやきの調理工程である「包む」という行為に着目したワークショップ活動を行っています。
今回は7/2〜31の間、FabCafe Nagoyaにて行われた企画展「crQlr Awards Exhibition Nagoya – “New Relationship Design(新しい関係性のデザイン)”」の食のワークショップとして開催された、「後悔包んでまるくなる。懺悔のおやきワークショップ」の様子をレポートします!
crQlr Awards Exhibition Nagoya – “New Relationship Design(新しい関係性のデザイン)とは?
「循環」をテーマに各国から集まったcrQlr Awards 2023受賞作品と東海エリアの循環型経済の取組みを展示。”New Relationship Design(新しい関係性のデザイン)”をテーマに、会期中は循環について自分ごととしてとらえるきっかけをつくるイベントやワークショップ、期間限定のカフェメニューを提供しました。
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包む会
調理工程の「包む」という行為から着想を得たワークショップです。「包」という漢字には「己」という字が含まれていることから、己を包むもの=生き様と捉えています。このワークショップでは、おやきを包みながら自身の経験を語り合う場を提供しています。包む会では「包む」を二つの意味で捉えています。一つは、おやきを包みながらテーマに沿った思い出を語り合うこと。もう一つは、その思い出をおやきの味・食感・見た目に反映させ、実際に包んで食べること。「人との違いを”受け入れる”のではなく”面白がる”」をモットーに、多様な人が接点を持てる場づくりを展開しています。
調理工程の「包む」という行為から着想を得たワークショップです。「包」という漢字には「己」という字が含まれていることから、己を包むもの=生き様と捉えています。このワークショップでは、おやきを包みながら自身の経験を語り合う場を提供しています。包む会では「包む」を二つの意味で捉えています。一つは、おやきを包みながらテーマに沿った思い出を語り合うこと。もう一つは、その思い出をおやきの味・食感・見た目に反映させ、実際に包んで食べること。「人との違いを”受け入れる”のではなく”面白がる”」をモットーに、多様な人が接点を持てる場づくりを展開しています。
今回のおやきワークショップのテーマは「ちょっとした後悔」
参加者には「ちょっとした後悔」の思い出を持ってきていただき、その思い出を味・食感・見た目に落とし込んだコンセプトおやきをつくります。この機会を通して、見逃していた感情や時を経て変化した感情を発見し、思い出を反芻して消化するようなワークショップを設計しました。
ワークではまずワークシートを使って、自分が過去に感じた後悔を振り返り、その感情や価値観をじっくりと探ります。次にその感情や価値観を「食材の感覚」に例えるという、ちょっとユニークなアプローチで、気持ちを整理しました。
その後は選んだ「食材」を使ってオリジナルのおやきのレシピを作成。そして実際にそのレシピをもとにおやきをつくりました。
おやきを包む、蒸す、焼く、飾りつける、そして食べるまでの工程を五感で味わうことで、自分の後悔と向き合い少しずつ受け入れてもらうことを体験してもらいます。
事前に用意した「ちょっと後悔した思い出」をワークシートに書き起こし、当時の感情と今の感情を紐解いていきます。思い出を持参することを宿題にしていた為、短時間でもスラスラとまとめている方がほとんどでした。
整理した感情の中でキーワードになっているものを抜き出して、擬音や見た目で食材から得られる感情とリンクできそうなものを選んでいきます。おやきの味を大きく左右させるこの工程。中には、この組み合わせが美味しそうだから〜と食材から選ぶ人もちらほら。
食材を決めると、ペンや色鉛筆を使っておやきの中身や盛り付け完成図を描いてレシピを作り上げていきます。その後、机にずらっと並ぶ食材の中から選び、バランスを見ながら具材を配合していきます。
生地は合同会社シーベジタブルのアオノリを練り込んだ生地を使い、懺悔をしながら1人1つおやきを包みます。マミやが包み方のレクチャーをした後、参加者同士で助け合いながら作業している様子になんだかほっこり。
蒸篭で8分蒸した後、蓋を開けると湯気と共に可愛いおやきが登場。シャッターチャンス!と皆さんカメラに夢中。その後、焼き目をつけてさらに美味しく仕上げます。
飾り付けをしたら、完成!コース料理のようにお皿まわりを飾り付けしたり、インパクト重視で具材を山盛りに乗せたりと、個性豊かなおやき達が出来上がりました。
できたてアツアツのうちに、いただきます!気になるお味は…ほとんどの方が美味しい!の反応。中には、首を傾げて具材が並ぶ机へ行き、追加でカスタムをする人も。そんなおやきを片手に床に敷いた芝生の上に座り、後悔の感情に対して気持ちがどう変化したかを語り合いました。
実際に参加者と一緒に後悔を形にしたおやきを作り、懺悔体験をしたことで大きく以下のことがわかりました。
- 感情と食材をリンクさせることは容易
- 食と感情はコントラストが大きいほど記憶に残る
まず初めに「1. 感情と食材をリンクさせることは容易」の理由として、「他人の不幸は蜜の味」「苦い思い出」など、味覚と感情を組み合わせた表現の言葉が共通認識としてあることが挙げられます。また、組み合わせはどうとでも考えられるので、途中大喜利のような感覚で食材を選んだりしていました。
次に、「2.食と感情はコントラストが大きいほど記憶に残る」ということ。例えば私の後悔の思い出である「次の日早いのに飲みすぎる」を整理すると、当時と振り返ったときで感情が対になっています。そして、私が当てはめた食材の味・食感などの特徴も感情と同様、対になっています。
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感情を整理する
「当時」:友人と会えた喜び、今日だけは自分を甘やかそうという楽観的思考
「振り返ったとき」:判断の甘さへの怒り、次の日辛い哀しみ -
感情を食材に当てはめる
「当時」:甘い、柔らかい、伸びる
「振り返ったとき」:刺激物、硬い、脆い
流行る食べ物は「甘辛、カリフワッ、サクもちっ」など味・食感のコントラストを上手く使っていたり、感情も同様に流行りものはシンデレラストーリーだったりします。
人生はいつだってコントラストが大切なのかもしれませんね。
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間宮千晴
2000年愛知生まれ、名古屋造形大学建築・インテリアデザインコース卒業。名古屋港エリアのまちづくり団体「港まちづくり協議会」で活動する傍ら、自主活動として長野県の郷土食「おやき」の出店や交流イベントを企画し、広報物のデザインも手掛ける。調理工程の「包む」から着想を得て、「包」という漢字に「己」が入っていることから、己を包むもの=生き様と捉え、おやきを包みながら自身の経験を語り合う「おやきを包む会」を開催。「人との違いを“受け入れる”のではなく“面白がる”」をモットーに様々な人が接点を持てる場づくりを展開している。
2000年愛知生まれ、名古屋造形大学建築・インテリアデザインコース卒業。名古屋港エリアのまちづくり団体「港まちづくり協議会」で活動する傍ら、自主活動として長野県の郷土食「おやき」の出店や交流イベントを企画し、広報物のデザインも手掛ける。調理工程の「包む」から着想を得て、「包」という漢字に「己」が入っていることから、己を包むもの=生き様と捉え、おやきを包みながら自身の経験を語り合う「おやきを包む会」を開催。「人との違いを“受け入れる”のではなく“面白がる”」をモットーに様々な人が接点を持てる場づくりを展開している。