Event report

2021.10.10

NFTとはいったいなんなのか? その正体を探る

Fungible? Vol.1 -NFTから考える未来の美- レポート#1

莫大な資金が動き、世界的に著名なアーティストも参加していることで一気に注目を集めたNFT。そんなNFTを美学・美術的観点からどのように位置付けられるかについてのオンライントークイベントを2021年9月21日に開催しました。
NFTそのものへの知識、美学、芸術学に関する知見も求められる高度なディスカッションとなり、NFTの向かう先から現代美術の価値観の行く末を垣間見ることができました。非常に濃い議論が交わされた本イベントをレポートシリーズとしてお届けします。今回のレポートでは、加藤明洋さんにお話いただいた「NFTの歴史的背景と現状の概略」についてお伝えします。

プレゼンテーター

  • 加藤 明洋

    drawCircle合同会社代表取締役,スタートバーン株式会社/エンジニア

    情報科学芸術大学院大学(IAMAS)メディア表現専攻修士課程修了。ブロックチェーン技術の適用された社会の可能性と課題を、ボードゲームを通じて描いた修士作品/研究は、CREATIVE HACK AWARD 2018 SONY 特別賞をはじめ、各方面からの評価を得る。スタートバーン株式会社でエンジニアとして従事する傍、個人・周辺パートナーと連携し複数のプロジェクトを進めていくために、2019年drawCircle合同会社を設立。現在に至る。CV

     

     

    情報科学芸術大学院大学(IAMAS)メディア表現専攻修士課程修了。ブロックチェーン技術の適用された社会の可能性と課題を、ボードゲームを通じて描いた修士作品/研究は、CREATIVE HACK AWARD 2018 SONY 特別賞をはじめ、各方面からの評価を得る。スタートバーン株式会社でエンジニアとして従事する傍、個人・周辺パートナーと連携し複数のプロジェクトを進めていくために、2019年drawCircle合同会社を設立。現在に至る。CV

     

     

ブロックチェーンとは

NFTについてお話していただく前に、加藤さんにはブロックチェーンについて解説していただきました。
普通私たちの身の回りの多くのシステムは中央集権的で、システムの中で扱うデータは中央のサーバー的役割をするものが管理します。そして私たちがそのサービスを利用するためにはそのサーバー的役割を信用しなければいけません。例えば銀行がこれに該当します。私たちが銀行のサービスを利用する場合、私たちは銀行が勝手に個人情報や資金を流出しないと信用していて、そして銀行側もそう言った信用があることで仕事が成り立っています。

一方でブロックチェーンにはデータを一元的に管理する中央集権的役割が存在しません。ネットワークに参加する人たちがデータの追加にルールをもうけてそれに合意することでブロックチェーンは成り立っています。加藤さんによればブロックチェーンとは「誰も信用しなくてもデータを管理し続けられる仕組み」です。そしてブロックチェーン上にいくつも分散的に存在するアプリがあり、そのアプリの中の一つの価値基準としてトークンがあります。NFT(Non-Fungible-Token:非代替性トークン)はその数あるトークンの中の一種です。トークンは様々な意味を持っていますが、多くの場合暗号資産のことを指す場合が多いようです。

Fungible? Non-Fungible?

(Fungible)Tokenはトークン自体の単位を決めることができ、これは貨幣に近い考えと言えます。例えば、ドルが適用されている地域と円が適用されている地域では一枚の硬貨あたりの価値基準が異なりますが、これは貨幣が地域によって単位を変更しても良いからです。もし貨幣が単一の価値基準のみを持つなら地球で使える貨幣はドルだけ、のように単一の通貨単位になってしまいます。他にも(Fungible)Tokenの特性はとても貨幣的で発行枚数を決めることができたり、トークンをまとめて第三者に送ることができる機能を有しています。一方で、NFTはトークンを個別に区別できるようにすることを目的としているので、一枚一枚にIDを発行して確認できるようにする機能があります。そしてそのように付与したID付きのトークンに追加で情報を書き込んだり、そのトークンのオーナーを決めることでその持ち主を確認したりすることができます。このNFTは2021年の始めごろから取引量が増大し、Beepleの「The First 5000 Days」が約75億円で落札されたことで大きなブームとなりました。他にもTwitterの一番初めのツイートが高額で落札されるなど美術作品以外にもNFTの適用範囲は広がっています。NFTマーケットは既存のアートマーケットとは異なる評価基準で評価されることが多々あり、今まで評価されてこなかった作品も注目されるきっかけとなっています。上記の一例としてジェネラティブアートがあげられ、NFTの広まりとともに以前では考えられないような高額の値段で取引がなされています。

(高尾俊介 generativemasks https://generativemasks.on.fleek.co/#/ )

NFTのこれから

NFTの発展は目まぐるしく、他にも数多くの新たなプロジェクトが今この瞬間にも誕生しています。

(「Vine」の共同創業者 Dom Hofmann氏がローンチした「Loot」https://www.lootproject.com/ )

一時期の爆発的な流行は一旦落ち着いたものの、未だにNFTの可能性は未知数であり、多数の企業がNFT販売プラットフォームへ参入するなど、引き続き目が離せない状況です。プレゼンの最後には加藤さんにご自身が製作されたNFTアートも紹介して頂きました。


(加藤さんの作品 WAN NYAN WARS https://twitter.com/wannyanwars

加藤さんにはIACILSにて実施したNFTに関するポッドキャストにも出演していただいています。よりNFTについて知りたい!という方はぜひこちらもご視聴ください。

※Fungible Podcast Meetup vol.01 Theme「What Is NFT?」 

 https://fabcafe.com/jp/2109_fpm1-NFT

NFT から考える未来の美とは

ここまでNFTの仕組みと概要についてレポートしてきました。

筆者の感覚として、NFTというとブロックチェーン技術のような技術的なことがイメージとして初めに浮かんできていましたが、中央集権か、分散主義か、のように社会制度にも関わるような話が出てくることが少し意外でした。またバブル状態にあるNFT市場においてNFTアートは過剰評価されている傾向にあり、自分自身もそうした傾向から正直やや冷めた目線でNFTを見ていたのですが、加藤さんの作品も含めて今回紹介された作品にははっとさせられるような気づきが数多くあり、NFTへの見方をあらためる機会となりました。単純に美しいというものからコンセプトアート、それからNFTの仕組みそのものにフィーチャーした作品など多様な分野の作品が集められ、等しくNFTアートと呼ばれている今の現象は、人によってかなり厳密な定義があった芸術とは違う、広い範囲の芸術を定義できるという点に新しさを感じます。ここまでは加藤さんのお話を中心にNFTの概要について書いてきましたが、そのNFTを美学、美術史的視点から見るとどのように見えるでしょうか。次回の#2では秋庭先生にしていただいたプレゼン並びにディスカッションの様子を詳しくレポートします。(執筆:市川)

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