プロジェクト概要

背景

高度経済成長の中で広告はいち早く目を惹き、購買行動を促すことが求められ、「早い・安い・うまい」な広告が街に実装されてきた。街には押し付けがましい広告が溢れ、それらに引っ張られる形で街のテンポ感も早く形成されてきた。

対して、現在ではコロナ禍の生活も相まって生活の豊かさ=QOLを高めることが大切なファクターとなり、街と人の生活のテンポにミスマッチが生じている。それにより、街に出るだけでなんとなく心が疲弊してしまうのではないかという仮説が、議論を深める中で見えてきた。デジタルサイネージからできるアプローチとして「じっくり眺められるデジタルサイネージのコンテンツとは?」を検討する中で、鑑賞体験の強度を担保するためには枠に収まるコンテンツと共に、鑑賞空間そのものを生み出すことがひとつの解になると考え、プロトタイプを制作した。

サイネージメーカーであるファーストの持つリソースで「デザインのいい街」を生み出し、支えるための空間実装プロジェクトとして「WAKWAK BOX Project」はクリエイター、様々な場を運営する事業者とのワクワクの共創をおこなう。

概要

WAKWAK BOX Projectは街の中に神出鬼没に現れるポップアップ型クリエイティブ体験空間を生み出すプロジェクトである。街と住民の関係性をととのえ、社会のあり方を見つめ直すきっかけを生み出すために、クリエイティブの観点からアプローチし、町の速度を緩やかにととのえることを目的とする。

デジタルサイネージの体験拡張のプロトタイプとして2022年1月に実施・制作した「時間の素材性に対する実験会 -Melt. Research Exhibition」を下敷きに、より没入すること=じっくりと眺めていられるデジタルサイネージ体験を創出するためにディスプレイの近傍の空間へアプローチを広げ、鑑賞空間自体を生み出すことで鑑賞体験を行うための場としての強度を高めることを目指し、体験する装置として1stプロトタイプを制作した。

1stプロトタイプではデジタルサイネージを最奥に置き、アルミステーとプラダン、ブラックシートで構成されるトンネル・小屋型の形状を採用した。


また、WAKWAK BOX内での鑑賞体験の強度を検証するためのデモコンテンツとして汁物ダイヴを制作した。本コンテンツは音、映像、身体動作で体験する複合型体験コンテンツである。デジタルサイネージへ向かって歩んでいくと表示されている映像もリンクしてラーメンへ落ちて行き、着水のタイミングでウミガメが優雅に泳ぐ映像に切り替わる。体験の際にはノイズキャンセリングヘッドホンを装着し、ラーメン屋のガヤガヤ音から、ゆらぎとととのいを感じる音源へと切り替わる。体験設計及び、身体動作と動画・音源再生が連動するシステムの構築をおこなった。

 

実施期間

企画・制作:2022/2/8〜2022/4/24
1st レビュー:2022/3/10 @ファースト社屋内
2nd レビュー:2022/4/7 @FabCafe Nagoya
実地検証:2022/4/8〜2022/4/12 @FabCafe Nagoya
アディショナル企画・制作:2022/4/12〜2022/4/23
アディショナル検証:2022/4/24 @テレビ塔3階 Cashime (Wa-marche)

ターゲット

本企画ではWAKWAK BOXのユーザをコンテンツを制作するクリエイターと、空間として設置する事業者と定義して、この2者をターゲットに置いた。

  • プライマリ:クリエイター(コンテンツ制作者)
  • セカンダリ:事業者(施設運営、イベント企画など場を作る人)

動画

WAKWAK BOXのいま

以上がWAKWAK BOXの原型となる形としてのプロトタイピングを行ったが、実験の結果を踏まえ現在我々はさらなる体験価値の向上、利便性、そしてなにより「なんやこれは?」の最大化を目指し急ピッチで次世代機の開発を推進している。
近々、この次世代型WAKWAK BOXが諸君らに新たなる「なんやこれは?」をお届けできる日も近い。
心して待っていてくれ。

企画・制作

 


高次素材設計技術研究舎 -Melt.

制作協力


株式会社ファースト

スペシャルサンクス

甲斐慶太
若杉のアニキ
Kei Ichikawa
ウェルビー栄店
Cashime
西畠のアニキ
榊原のアニキ
FabCafeクルーのみんな
Uocean
TK
ハチジェット
岳さん
たにぐち研のみなさん
体験者(汁物ダイヴァー)のみんな

Author

  • 高次素材設計技術研究舎 -Melt.[Meta-material design-Engineering Learning Team]

    高次素材設計技術研究舎=Metamaterial design-Engineering Learning Team(以下Melt.)では、全ての人へ新たな視点をインストールすることを目的としています。フィジカルに存在する物質ではなく、物理現象や思想を含めたあらゆる要素を素材と捉え、それらをものづくりとして実装するための設計手法の探求、及びマテリアライズの可能性を研究する有志による団体です。
    鉱石や木材、樹脂、水資源などの有視有限の物質のみならず、音や風などの物理現象といった”無形の素材”を取り扱える様になることで、現状の発想と創造の枠を破る新たなマテリアライズのロールモデルを形成し、プロトタイピングを通じてかつて無い設計手法をオープンに展開します。

    https://fabcafe.com/jp/labs/nagoya/melt

    高次素材設計技術研究舎=Metamaterial design-Engineering Learning Team(以下Melt.)では、全ての人へ新たな視点をインストールすることを目的としています。フィジカルに存在する物質ではなく、物理現象や思想を含めたあらゆる要素を素材と捉え、それらをものづくりとして実装するための設計手法の探求、及びマテリアライズの可能性を研究する有志による団体です。
    鉱石や木材、樹脂、水資源などの有視有限の物質のみならず、音や風などの物理現象といった”無形の素材”を取り扱える様になることで、現状の発想と創造の枠を破る新たなマテリアライズのロールモデルを形成し、プロトタイピングを通じてかつて無い設計手法をオープンに展開します。

    https://fabcafe.com/jp/labs/nagoya/melt

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